2014年・フリーゲームの潮流~話題となったフリゲ作品を語りながら、2015年の展望を予想してみた。
もぐらゲームスでも多くの記事で取り上げた「フリーゲーム」。小説化、映画化などのメディアミックス、海外で作られたフリーゲームの人気といった話題もあり、2014年は特に注目された年となった。
今回は、そんなフリーゲームの環境が大きく動いた1年を振り返りつつ、今後のフリゲの展望を予想する企画として、2014年に話題となったフリーゲーム作品や、それらを取り巻いた話題を、もぐらゲームスのメンバーで座談会形式で語り合った。作品ごとに「ここが面白い!」という内容を語ったほか、2014年のフリーゲームを取り巻く事情を見渡した上で「2015年のフリーゲームはどうなるんだろう?」という予想を話した会となっているので、フリーゲーム好きはぜひ読んでみてほしい。また「このゲームも話題だったよ!」というご意見がある場合は、例によってtwitterやはてブコメントで補足を頂ければ嬉しい限りだ。
まずは2014年上半期のフリゲ事情を振り返ってみよう!
- Noah
- さて、では皆さんそろったところで、「2014年・フリーゲームの潮流」と題して、もぐらゲームスのメンバーによる対談を行ってみたいと思います。今回、水原くんとporoLogueくんには、それぞれ「2014年版・フリゲ時事表」と「フリーゲーム 簡易年表」を作ってもらっていますので、それを見ながら。
- 水原由紀
- フリゲ2014やウディコンにフォーカスして作ってみました。急造ゆえ色々粗いですがお許しを……。また、上半期の情報がやや薄いですが、適宜参考にしていただければと。
- すんくぼ
- 上半期は、今から振り返ってみるとまだ注目作はそこまで出てなかった感じなのかな。「2014年版・フリゲ時事表」を見てると、夏以降盛り上がってきた感じなのだろうか。
- poroLogue
- 上半期でリリースされた話題作という意味だと『LiEat』『月光妖怪』『Margikarman ItoA』などかな。
- 水原由紀
- 『Margikarman ItoA』は2月2日にリリースされていますね。『Margikarman』のアップデート版。Margikarman自体はフリゲ2013で9位、33票入ってます。
『月光妖怪』(2014年3月公開:DLはこちら)
『Margikarman ItoA』(2014年2月公開:DLはこちら)
- Noah
- 1月から6月の上半期は、やはり『LiEat』かな。ただ2月の『Margikarman ItoA』はゲーム実況で2014年の後半にかなり伸びたので、そういう意味では良作は出ていたけど、まだ十分に発掘されていなかったという感じじゃないかな。
- poroLogue
- たしかに、むしろ最近twitterなどのSNSでよく話題を見かけるようになったね。
- 水原由紀
- 意外と広まるのが遅かったんですよね。他にも作品はたくさんあったと思うのですが、拾い切れていない状況で……。僕のプレイしてた範囲だとそのあたりですかね。
- Noah
- ちなみに川崎部さんの『SCE_2』っていうのはどんな作品なのかな?
- 水原由紀
- 『ゲームジャンル:「ゲーム」の意欲作』ですね。公式サイトがこちら。
『SCE_2』(2014年2月公開:DLはこちら)
- Noah
- 大胆な……
- poroLogue
- これも2014年後半、特に年末にかけて認知度が上がってきたね。『フリゲ2014』でランクインしたのも影響しているのかな。
- 水原由紀
- 公式サイトにある「ゲーム画面」のページだけ見ると、どんなゲームなのかまったく分からないという。非常に面白かったので、色んな人に実際に遊んでほしい作品ではあります。
- すんくぼ
- 公式サイト自体もなかなか凝ってるね。DEPTHでメニュー表現してたりとか。ストーリーの文字がぐちゃぐちゃだったりで、明らかに「深そう」な雰囲気を漂わせている。
- 水原由紀
- 作中でも色々な他ゲームからの引用やジャンルの切り替えが行われていたりします。「こういう作品です!」とは言いにくい感はありますね。ゲームの世界設定や謎の考察なんかが好きな人はどっぷりハマれそう。構造としてはかの『Remember11』に近い匂いを感じました。
- すんくぼ
- 大勢を見てみると、特にふりーむ!なんかはツクール製のホラーが多くて、そうした中で、今の『SCE_2』だったり頭ひとつ、二つ抜きでたゲームが注目されたっていう印象だね。
連載、海外作品、ホラー…2014年話題となったフリゲの特徴を追う
- Noah
- 『LiEat』はやっぱり注目作だね。
- poroLogue
- 個人的には「イラストや演出にこだわった短編ゲーム」が「短い期間の連載型」でどんどん出てくる、というところが注目だったかな。
- Noah
- 不定期にシリーズの連続リリースを行う、という連載形式のフリーゲームはかなり珍しく、意欲作ということでもぐらゲームスでもレビューを行ったね。
『LiEat』(2014年4月公開:DLはこちら)
- poroLogue
- ただ、これは恐らくプレイした人も感じているとは思うのだけど「ゲームシステムそのものが革新的」というわけではなかったと思う。「ある程度期間の決まったゲーム連載」が珍しかった、という。
- 水原由紀
- システムやストーリーテリングというより、連載形式・イラストやグラフィック、演出重視、というあたりだったんですかね。「嘘を食べる」という設定はすごく面白かったんですけどね。
- Noah
- なるほど。その後連載という形式のフリーゲームが出てくるかな、と思ったんだけど、そういったこともなく、こうした形式はやはり制作コストが大きすぎるのかな……形式とか設定は確かに面白いと思うんだけど。
- poroLogue
- 注目作ということだと、海外産のフリーゲームである『PRICE』とかどうだろう。これはもぐらゲームスでも翻訳者の方にインタビューを行ったけど。
- すんくぼ
- 『PRICE』の面白さも、イントロムービー含めたグラフィックの綺麗さとか演出だったかな。基本的にはシンプルな部屋からの脱出ゲームだからね。あとはループ設定があるくらいか。ただストーリー自体は悲劇性高くて救いがない感じは個人的に推しだったけどね(笑)
- Noah
- 『PRICE』の他にも、『偶弦』『第七号車』は悲しき魚さんの翻訳で、次々と出てきたね。アジア圏に広がるフリーゲーム、と。
『PRICE』(2014年7月公開:DLはこちら)
『偶弦 人形の糸』(2014年5月公開:DLはこちら)
『第七号車』(2014年5月公開:DLはこちら)
- 水原由紀
- 翻訳系だと『OFF』が外せないですよ!8月に翻訳版が公開された作品なんで、ちょっと時系列が前後しちゃいますけど。
- すんくぼ
- ああ、「フリゲ2014」で1位になった『OFF』。
- Noah
- 2007年の初出のゲームが2012年に英訳か。で、日本語版翻訳が2014年と。
- 水原由紀
- 元がフランス語なんですよね。作者のMortis Ghost氏は確かベルギーの人だったかな?海外ではTumblrを中心に、膨大な数の二次創作やイラストが投稿されてます。
- すんくぼ
- 海外でも人気で日本でも人気ってことなのかな。海外製ゲームとしては珍しいような。
- 水原由紀
- かなり珍しいです。実況や動画の影響が結構大きくて、あとは日本語の翻訳を行った方々や英語版のファンが熱心に口コミをしておられました。
『OFF』(2014年8月日本語版公開:DLはこちら)
- すんくぼ
- いったい何がそんなに色々な人の心を掴んだんだろう?
- 水原由紀
- 世界設定やストーリーの運び、グラフィック等は独特かつキテレツでかなり尖ってますね。反面、システム部分はやっぱり2007年の作品だな、と思わされるところも多く……(笑)
- poroLogue
- やはりシステムというよりは、尖った感性の部分に引かれたという感じかな。『ゆめにっき』のような独特な世界観のゲームを好む層はフリーゲームプレイヤーには多いので、その層にヒットしたのかも。
『ゆめにっき』(2004年公開:DLはこちら)
- 水原由紀
- だと思いますね。あとは『MOTHER』シリーズの影響も色濃いように見えるんですよね『OFF』。そういう意味でも芸術的なゲームというか、若干ひねったゲームを好む層にクリティカルヒットしたんですかね。
- Noah
- 『OFF』から『ゆめにっき』を連想する人は一定数いそうな感じはあるね。
- poroLogue
- あと補足すると『ゆめにっき』のような日本のフリーゲームは海外でも一定の人気がある。それに、まだ翻訳されていない海外産のフリーゲームでも、日本のフリーゲームプレイヤーが楽しめそうな作品は見かけたりするので、言語という壁が壊されたら一気にゲームの受容環境が変わるのかも。
- すんくぼ
- まさに『偶弦』『PRICE』『第七号車』とかにも当てはまることだね。
- 水原由紀
- 『Ib』や『魔女の家』に影響を受けた海外作品が生まれつつある、という現状ですからね。日本の作品がいつブレイクしてもおかしくないと思います。
- Noah
- 『Ib』とかは、初出は2014年ではないんだけど、海外のファンが多い証左として、2014年にファンメイキングの動画が作成されているね。
『ib』(2012年公開:DLはこちら)
『魔女の家』(2012年公開:DLはこちら)
- すんくぼ
- ホラゲはもぐらゲームスでも色々とりあげてきたけど、そういえば2014年初めに出た『黒先輩と黒屋敷の闇に迷わない』は異色だったね。先輩の女の子に「セクハラ」を仕掛けるというシステム(笑)
『黒先輩と黒屋敷の闇に迷わない』(2014年3月公開:DLはこちら)
- すんくぼ
- あと夏頃の『恐怖の森』の実況効果は凄まじかった。Unity製で異色だとは思うけど。
- 水原由紀
- あの顔を記事のサムネイルにしたら差し替え依頼が来たという(笑)
- すんくぼ
- すぐに差し替えました(真顔)
- 水原由紀
- 僕も記事サムネ開いた瞬間、PCの前で「ひっ」ってなりましたからね(真顔)
『恐怖の森』(2014年7月公開:DLはこちら)
- すんくぼ
- あとホラーADVの流れだとじわじわ怖い『幻想乙女のおかしな隠れ家』とか。実況絡みでは他にも『柳太郎伝説』とか『彼女』とか『ニゲテ』とか、とにかくアドベンチャー系のホラゲがどんどんリリースされて、それを実況者がどんどん実況するっていう流れができていたね。
- Noah
- 2014年はフリーゲームがゲーム以外のコンテンツとして登場する仕掛けが多かったね。『青鬼』は夏に映画化、2014年の7月に出た『恐怖の森』は12月20日から映画公開中、と。その辺の流れも面白かったので、コンテンツ化の流れを追いかける記事を書いています。
- poroLogue
- コンテンツ化といえば、さっき話に出た『幻想乙女』の制作サークル「ブリキの時計」の前作『クロエのレクイエム』は、小説化もされたホラーゲームとして話題になったね。
- Noah
- ホラーゲーム作品の中でも、『幻想乙女のおかしな隠れ家』は個人的にはイチオシで、ドットの作り込みからストーリーの複雑性まで、『クロエ』と比べてもレベルはどんどん高まっている印象。
『幻想乙女のおかしな隠れ家』(2014年8月公開:DLはこちら)
- poroLogue
- 作品ごとにクオリティアップしている印象はあるよね。次回作はRPGということをインタビューで話して頂いたので、今後が楽しみ。
- 水原由紀
- 公称のジャンルは「ダークファンタジーADV」なので、個人的にはホラーに分類することに若干違和感が無くもないんですが、演出にはそういう要素が結構盛り込まれてましたしね。ちなみにクロエは「ホラーアドベンチャー」です。
- poroLogue
- クロエはまさに「ホラー」と「物語」をうまく組み合わせた作品という感じだった。
『クロエのレクイエム』(2013年公開:DLはこちら)
- 水原由紀
- 『クロエ』は『魔女の家』や『Ib』の変奏だと思ってます。前者二つに比べてクロエやミシェルといったキャラクターや、物語がかなり強く立っているので、別の味わいがありました。……いえ、『Ib』のギャリーさんは素敵なオネエキャラでしたよ?
- Noah
- たしかに、単純なホラーゲームで、探索型で…というようなゲームは、実は最近は減ってきているのではないかという気がする。
- すんくぼ
- 行き詰まり感はあるね。ホラーとそしてアドベンチャー自体。特にツクール製のものはね…。
- 水原由紀
- そうですねえ。最近は割と洗練されてきている、飽和しつつあるので、単なる……という作品は、ここから先は減りそうですね。。
- poroLogue
- グラフィックはみんな豪華になってきているし、その部分で差別化するのは難しくなってきたかも。ゲーム制作ツールの進化や多様化もあって、ある程度労力を少なくして素敵な演出など出来るようになったね。
- 水原由紀
- 『LiEat』や『ダンス・マカブル』でもありましたが、立ち絵がしれっとアニメーションしますからね。「こいつ……動くぞ!」的な。
ゲームシステムの作りこみが特徴的なウディコン作品
- Noah
- 演出というところでは、これも川崎部さんだけど『召喚指揮候補生』は素敵な演出満載だったよね。
- 水原由紀
- ああ、アレは本当にいちいちカッコいいですよね。拝承。
- すんくぼ
- 拝承。
『召喚指揮候補生』(2014年8月公開:DLはこちら)
- poroLogue
- WOLF RPGエディター コンテスト(以下、ウディコン)の作品だね。ウディコン作品は、フリーホラーゲームの盛り上がりとはまた少し違って、独特なゲームシステムや演出部分に注力したゲームが多いのが特徴だと思う。
- Noah
- 『召喚指揮候補生』は、第六回WOLF RPGエディターコンテストで2位だね。他にも、3位の『ロードライト・フェイス』なんかはまさに、システム部分で驚異的で、シンプルで面白かった。
- poroLogue
- 『ロードライト・フェイス』はレビュー記事も書いたね。これは記事としてもかなり評判で。「システムの面白さ」という基準でゲームを遊ぶ層はやはり厚いのだなあと思ったよ。
- 水原由紀
- 1位の『RainyTower』はザ・短編フリゲって感じでした。面白かった。
- すんくぼ
- まだやってないんだけどアクションゲームなんだよね?
- poroLogue
- 『RainyTower』はアクションゲームだね。フリーゲームだと、やっぱりRPGやアドベンチャーがよく遊ばれる傾向にあるけど、純粋なアクションゲームでヒットしたのは、やはりシステムが初心者の人にも優しいように作られてたからかなと。
- 水原由紀
- そうですね。2Dアクションで、ひたすら上を目指して進むゲームなんですが、操作がマウスクリックなんですよね。普段はツクール製+見下ろし型のゲームを遊ぶことが多いので、最初は操作に慣れなくて苦戦してました。RainyTowerはプレイ回数を重ねるごとにどんどん上達していくのが感じられて楽しかったんですよね。学習することがすごく楽しいゲームだったように思います。
- Noah
- おーなるほど、ツクール製のゲームが多いなかで、そういうシステムは逆に新しいね。制作コストも高そうではあるが…。
- 水原由紀
- あと、キャラ同士の会話が結構面白くて……ギャグ満載シリアス満載でお腹いっぱい楽しめました。世界設定が部分的にハードSF寄りだったりするところとかも個人的にポイント高いというか。
- poroLogue
- マウスクリックというのは良いよね。気軽にアクションを楽しみたい人にもプレイ出来るので、そこにキャラ同士の会話も充実…となると人気の理由が分かる。
『RainyTower』(2014年8月公開:DLはこちら)
- 水原由紀
- 流石はウディコン1位、納得させられましたね。アレは。
- すんくぼ
- あのものすごく落ち着いたタイトル画面とは大違いだ…もっとどっしりしたゲームかと思ったら。
- Noah
- ウディコンの作品は、なんというか、システムに特徴のあるゲームが多い印象。
- 水原由紀
- 確かにシステム、インタラクティブ部分に独自性やこだわり、洗練を感じさせるゲームが多いように思いますね。
- Noah
- エディタの特性的にかなり柔軟性があるから、システムを際立たせようとして使う人が多いのかな。
- 水原由紀
- そういう意味でウディコン5位『ソラドウト』はかなり珍しい作品でした。
- poroLogue
- あとは、やはり参加者層がはっきりしていることかな。自作ゲームフェスとかだと、いま人気のホラーゲームや、実況栄えを意識した派手な作品を作りたい人もいるのだろうけど、ウディコンはシステム面など含めて細かく作りたい人が多い印象。
- 水原由紀
- 上位作品に限らず、そういった傾向は強いですね。
- すんくぼ
- グラフィックもこだわりが見えるしね…そういう意味では玄人好みなのかもしれない。
- poroLogue
- 主催者のSmokingWOLFさんの代表作『片道勇者』も、グラフィック含めシステムを作りこんでいる印象の作品が多いので、自然とそういう人があつまってくるのかも。
- 水原由紀
- 同作者さんの『シルフェイド幻想譚』もそういうところありますしねえ。
『片道勇者』(2013年公開:DLはこちら)
『シルフェイド幻想譚』(2005年公開:DLはこちら)
- すんくぼ
- システムにこだわった結果それが新しい潮流を作っていくこともあるのかな。例えば『ロードライト・フェイス』の「ノンフィールドRPG」は珍しいと思うのだけど。
- poroLogue
- 「ノンフィールドRPG」というジャンルは、フリーゲームの中ではこれまでもあったのだけど、『ロードライト・フェイス』はもしかしたら珍しいと言えるのかもしれない…。例えば、いままでのノンフィールドRPGは、独特な世界観やゲームデザインを極限に突き詰めるというかなりテクニカルなジャンルに寄っていた感触があるのだけど、この作品はその間口を広くして、より多くの人に遊ばれた印象がある。
『ロードライト・フェイス』(2014年9月公開:DLはこちら)
- すんくぼ
- レビュー記事に対してスマホで遊びたい!っていう声も多かったし、裾野を拡げたのかもしれないね。
- Noah
- やっぱり、フリーゲームをスマホで遊びたい!って声は多くて、そのニーズをすくえるかも知れないのが『RPGクリエイター』なのかな。
『RPGクリエイター』(2014年6月公開:iOS版DLはこちら)
- poroLogue
- 「スマホ向けの開発ツール」「とっつきやすい」という意味だと、そういったツールが理想なのかな。今後も開発を続けていくようなので、楽しみだね。
- 水原由紀
- こういうツールがガシガシ出たり改良されたりすると嬉しいですね。あとはツール開発者の皆さんにも労力に見合った何かがあれば……!
- すんくぼ
- ウディタもWOLFさんが1人で作ってるんだもんなあ…。
- 水原由紀
- 頭が下がるどころか地面に埋まる勢いですね……。
「カタテマ」「小麦畑」…フリゲ界のベテラン作家の作品
- poroLogue
- 話がツール寄りになってきたけど、2014年の注目作品としては、あと思いつくのは『ムラサキ』『ダンス・マカブル』『Hero and Daughter』(以下、HaD)とかかな。
- Noah
- 全般的に人気のあったものとしてはそうかな。個人的に好きというのだと数えきれず……。
- すんくぼ
- 大所が残っているね(笑) それぞれのベストは最後に発表することにして、『HaD』からいくか。ニコニコ自作ゲームフェスでも大賞をとっていたし。
- 水原由紀
- 『月光妖怪』の作者でもあるtachiさんが2014年の夏にリリースした作品ですね。ええと、とりあえず先に言っておくとディエちゃん推しです。
- すんくぼ
- 俺はエリナかなあ。
- poroLogue
- まさかの推しキャラ合戦(笑)
- すんくぼ
- ホーリーもいいけど…と置いておこう。まあこの、いろんな可愛い女の子がいるってことがまず魅力だよね、このゲームは。
『Hero and Daughter』(2014年7月公開:DLはこちら)
- poroLogue
- ダンジョンに潜ってステージを攻略していく爽快感もあったね。本当にサクサクと楽しめる。可愛い女の子×ゲームの面白さ、という組み合わせはやはり鉄板なのだろうか。
- 水原由紀
- 男女分け隔てなくウケますからね。とりあえず美少女という。あとはハクスラ的な面白さというか、かの大作『らんだむダンジョン』的な。
- すんくぼ
- そうだね、その辺りのHaDのハクスラ要素についての考察を絡めてもぐらゲームスでレビューしました。
- すんくぼ
- それと制作者さんの情熱かな…(笑) 凄まじい勢いで更新してアップデートを行っているという…。その度に女の子の強さのバランス調整や、新要素の追加をしていて、ネトゲ運営もビックリの充実ぶり。
- 水原由紀
- あれは凄まじいですよね。
- poroLogue
- 大枠は完成した状態で出して、アップデートをして要素を増やし、より面白いものにしていく…まさにオンラインゲームの更新みたいだね。
- 水原由紀
- きっちりやってるんですよね。オンライン上で公開していることの強みの一つなので、今後はより増えてきそうな形式です。『Margikarman ItoA』や『トバリドトキシンRE』も、それぞれ『Margikarman』『トバリドトキシン』のアップデート版ですし。
『トバリドトキシンRE』(2014年9月公開:DLはこちら)
- poroLogue
- オンラインで公開していつでも更新が出来るというのは、フリーゲームの強みなのかもしれない。
- 水原由紀
- フリゲにも「運営型」の思想が入り込んでいるのかもしれませんな。
- すんくぼ
- Steamのアーリーアクセス的なね。『ムラサキ』はどうでしょ。「フリゲ2014」でも2位。色使いもかなりド派手で異色な雰囲気だけど
『魔王物語物語』『いりす症候群!』のカタテマから6年ぶりの完全新作が登場。連鎖爆発パズル物理アクション+弾幕ゲー、その名も『ムラサキ』!
- poroLogue
- やはりベテランの作者の方という感じだったよね。色使いなどのデザインもそうだし、シューティングとパズルを融合させたシステムが魅力的だった。
- 水原由紀
- システム面の魅力もさることながら、『魔王物語物語』なんかで培われたストーリーテリングの手法も見逃せないですね。
- poroLogue
- 「カタテマ」作品のひとつの集大成のような感じではあったよね。ゲームの中を流れる「音楽」がポイントになっている演出もとても良かった。音楽担当のwatson氏の楽曲は、単品で聴いても素晴らしいよね。
『ムラサキ』(2014年10月公開:DLはこちら)
- すんくぼ
- 『ダンス・マカブル』もベテランっていう部分はかなり大きかったね。小麦畑さん恒例の民俗学的なテーマや培われてきた演出は他のアドベンチャーとは一線を画す雰囲気、ストーリーの重厚さを醸し出していた
『マヨヒガ』『オシチヤ』『デンシャ』…サークル小麦畑の名作を振り返りながら最新作フリーゲーム『ダンス・マカブル』をレビュー&攻略
- poroLogue
- 探索ゲームとしても非常に出来の良いものだったね。立ち絵が動くというのにまず驚いたし、物語的なテーマも深い。
- 水原由紀
- 『ダンス・マカブル』は聖書・キリスト教を下敷きにしていましたね。あのマップの作りはぜひ全体図を見てみたいところ……。
- poroLogue
- 画面を一歩引いて見ると、マップが人間の体の一部になっている…ということに気が付くと、作品が扱っているテーマ的なものに気付いて「ああ、そうだったのか!」となるよね。ぜひプレイ後に考察してみてほしい作品だった。
『ダンス・マカブル』(2014年10月公開:DLはこちら)
年末最後に現れた大作、はむすた氏の『ざくざくアクターズ』
- poroLogue
- 大きな話題となった作品については、これで一通り触れたかな。
- 水原由紀
- ちょ、ちょっと待った!!アレを忘れるところでした。アレですよ、アレ。ざくアクこと『ざくざくアクターズ』が12月24日に公開されたんですよ!開発初期からずっと追っていたので嬉しい話です……。一応補足しておくと『らんだむダンジョン』の作者、はむすた氏による新作です。いやー楽しみにしてました。
『ざくざくアクターズ』(2014年12月公開:DLはこちら)
- poroLogue
- 『ざくアク』があったね。自分はまだプレイ出来てないのだけど、大作という事で待ち望んでいた人は多かったよね。
- Noah
- 『ざくアク』は年末の公開とあって、2015年に向けて遊ばれる機会が増えそうなタイトルだね。
- すんくぼ
- ボリュームはかなりのものらしいね(笑)
- 水原由紀
- ですね。年明けからどんどん広まっていきそう。
- poroLogue
- いまは早い人がクリアしてるくらいだけど、『らんだむダンジョン』の制作者の方の次回作とあっては、2015年はこの作品の話題がとても大きいものになるだろうね。
- 水原由紀
- 間違いなくそうなるでしょうね。自分は開発途中版のセーブデータが消し飛んだので、今必死で追いつこうとしているところです。何度やっても作り込みが細かいというか、職人技ですね……。
- poroLogue
- 『RPGツクール』の機能を使いこなしている印象があるね…。
- 水原由紀
- ご自身で拡張している部分も含め、徹底して使い倒してますね。開発中のバージョンでもボリュームは相当ありましたね。とはいえ、時間の経過を忘れるレベルで熱中できる作品でしたよ!
メンバーの選ぶ「2014年のフリゲマイベスト」は?
- poroLogue
- 改めてだいたい語りつくした感じだろうか。それぞれの2014年のマイベストフリーゲームを発表するかな?
- すんくぼ
- そうしよう。
- Noah
- ですね。その後、少し2015年の予測もしてと。
- すんくぼ
- 今の感じだと水原くんのベストは滑り込みで『ざくアク』か…
- 水原由紀
- いや、まだクリアしていないのでちょっと……!ともあれ、この流れで2014年のマイベストに移りましょうか。
- poroLogue
- この流れで、まず水原くんのマイベストはいかがだろう?
- 水原由紀
- 私の2014年マイベストは『ムラサキ』ですね。シンプルで奥深く爽快感のあるシステムもさることながら、ゲームプレイとがっちり組み合わさった物語や出来事の「語り方」、そして“音楽”と絡む終盤の演出等、どれを取っても隙が無い、それどころか突き抜けた素晴らしさがありました。
『ムラサキ』(2014年10月公開:DLはこちら)
- poroLogue
- 総合力の高い作品だよね。記事も書いていたし、納得のマイベスト。
- 水原由紀
- さっき熱心に言及した『ざくアク』は2015年ベストということで……(笑)
- すんくぼ
- 気が早い(笑)
- 水原由紀
- 2015年の話をすると鬼が笑うのでさておき(笑)
- poroLogue
- こんな感じで一言コメントでいくかな?自分のマイベストはウディコン2位の『召喚指揮候補生』です。練り上げられたシステムとシナリオが合わさってひとつの「演出」となっていく部分は、ある意味でゲームの新しい表現を掘り当てていたのかなと感じました。
- 水原由紀
- おお、『召喚指揮候補生』ですか。私もきっちり最後までプレイしたんですが、特に終盤の展開や演出は文字通り抜群でした。
- すんくぼ
- サクサク進むしテンポも良かったよねえ。あれだけのキャラに背景とかしっかり設定されているし。
- Noah
- 拝承!
- 全員
- 拝承!
『召喚指揮候補生』(2014年8月公開:DLはこちら)
- すんくぼ
- じゃあ次俺で…今日は挙がらなかったんだけど、『COLORS 失われた記憶』っていう最近レビューしたフリゲがありまして、それが一番良かったかな。ゲームボーイそのまんまなんだけど、フリゲだからこそできるあの丸々再現しちゃった感じ。世界観とゲーム性が「色」というテーマでしっかりと絡み合ってて楽しかった。
- 水原由紀
- GB的なドット絵や色遣いにスーパーゲームボーイまんまな見た目だったりと、ノスタルジアを感じさせる一本でしたね。色を使ったギミックも面白かったです。
- poroLogue
- コンパクトな作品だから、短い時間で楽しめるというのもあるね。
『COLORS』(2014年6月公開:DLはこちら)
- Noah
- 『COLORS』はフリーゲームの中でもかなり斬新な感じの取り組みだったと思う。レビューのなかにもあった、3Dになっていく『Evoland』とはまた違う趣。
- すんくぼ
- 全年齢向けを謳う公式ページもいい感じ。じゃあオーラスはNoah氏で。
- Noah
- イチオシは『ロードライト・フェイス』かな。シンプルにまとまっているのに、戦略性も高いゲームが好きなので。このレビューにも書いたとおり、アイテムの個数制限が結構厳しくて常に取捨選択を迫られる感じがたまらない。
『ロードライト・フェイス』(2014年9月公開:DLはこちら)
- poroLogue
- ワンプレイを短時間でクリア出来て、難易度が分かれてるから繰り返し楽しめる作品だったね。
- 水原由紀
- 何度もやりましたねー。出てくる要素自体は決して多くないのですが、組み合せやランダム要素による豊かさが多分にあるというか。繰り返しプレイを誘うデザイン、でした。
最後に、2015年のフリーゲームはどうなるか予想してみた。
- poroLogue
- 最後に、さっき言ってた2015年はどうなるんだろう、という話をして締めますかね。
- すんくぼ
- 2015年は水原くんが言うように『ざくアク』からスタートと。
- 水原由紀
- 2015年はかの『悠遠物語』の完成版(ver1.00)が出るのを楽しみにしてます。正式名称は『悠遠物語 ~空の大陸とアイテム屋さん~』ですね。第四回ウディコン総合1位。
『悠遠物語 ~空の大陸とアイテム屋さん~』(2012年公開:DLはこちら)
- poroLogue
- あとは、大枠の話になってしまうけれど、2014年はフリーゲームの「小説化」や「実況」などにスポットが当たっていた中で、個人的にはフリー頒布のノベルゲーム『ghostpia』が「作品を無料の形式で出し続けたい!」と題して、年末にクラウドファンディングを行い成功した、という出来事も大きかったと思う。こういった、ファンや有志の方々を巻き込んでゲーム制作に力を貸してもらうという形は、2015年以降また注目されるんじゃないかと思う。
『ghostpia』(2014年10月公開:iOS版DLはこちら)
- Noah
- 2015年の予測というよりは、さっきの会話の流れという感じになってしまうのだけど、やっぱり年々フリーゲーム制作のレベルが高くなってきていると感じるので、制作者さん側から見ると、WOLF エディターとか、Unityとか、より柔軟性の高いツールが求められているのかも。そのなかで、システムの特異性や、ドット、エフェクトなどのグラフィックへのこだわり、小説顔負けのストーリー、などの「勝負ポイント」を持ってくる、しっかりしたゲームが2015年は増えてくるんだと思う。
- 水原由紀
- 翻訳方面も気になりますね。2014年あった『PRICE』や『OFF』に続くようなタイトルが海外から出てくるのかどうか。逆に、国内から海外への輸出(?)も気がかりですね。もちろん翻訳にかかる労力等の障壁はあるので、そう簡単にはいかないと思いますが……。
- すんくぼ
- ホラーとかアドベンチャー系は食傷気味なので縮小するんだろうけど、何か今までとは違う尖った作品が出てくるといいなあ。これまでにない怖さや謎解きを体験したいところ…。
- poroLogue
- 海外ゲームの増加、こだわりのあるゲーム、尖ったゲームが増えてくる…という流れは、どれもたしかにありそう。ともあれ、2015年も色々なフリーゲームを遊ぶのを楽しみにしたいね。