「Humble Trove」で、ここでしか遊べないゲームを堪能しよう!

インディーゲーム

インディゲームファンは、まだ自分の知らないゲームを探すことに躍起だ。もぐらゲームスという名の由来のように、掘って掘って宝石を見つけるのが楽しくて仕方がない。それがインディゲームファンの一つの側面である。幸い、そんな探求心を満足させるだけの膨大な数の作品が、現在様々な形で配信されている。

しかし、ゲームの配信が終了したり一度きりの配信だったりで、もう二度と手に入らない作品もまた存在する。ハードで流通しない、デジタル配信ゆえの壁である。
 
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「Humble Original」もまた、そうした二度と手に入らないはずの作品群だ。同シリーズはゲームバンドルサイト「Humble Bundle」の定期購入バンドル「Humble Monthly」に毎月入っているオマケのようなものだ。加入者だけが遊べるプレミアムなゲームというのを売りにしているシリーズだ。(中には発売前の特別配信や後に一般販売されたものもある)

同シリーズでは、名だたるディベロッパーが開発した作品や新興のディベロッパーによる意欲作といった、探求心をくすぐる作品が配信されてきた。正直、二度と手に入らないのが惜しいものばかりだった。

それが先月、「Humble Monthly」加入者ならいつでも「Humble Original」作品をダウンロードできるサービス「Humble Trove」が開始された。いくつか抜けはあるものの、手に入らなかった作品を今からでも遊べるようになったのだ。

「Humble Trove」スタートから半月たち、先日最初のタイトル追加もなされた。そこで今回は「Humble Trove」で配信されている、ここでしか遊べないゲームを数点紹介しよう。

『Cat Girl Without Salad: Amuse-Bouche』

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『Shantae』シリーズや『Mighty Switch Force!』で知られるアメリカのディベロッパー「WayForward」が手掛けた横スクロールSTG。本作はもともとは同ディベロッパーが2013年にエイプリルフールジョークとして発表したフェイクニュースだった。パズル、アクション、STG、ADV、ストラテジー、格闘、リズムゲーム、アーケード、ホラー、RPG、TPS、RTS、そしてビジュアルノベル。そのすべての要素を持ったゲームという、エイプリルフールらしいジョークであった。

それを本当に開発してしまったのが『Cat Girl Without Salad: Amuse-Bouche』だ。スペースバウンティハンターであるケバコを操り、スペース指名手配犯を捕まえに行くストーリーで、ディベロッパーの持ち味であるかわいらしいデザインが目を引く。
 
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本作の特徴は何と言ってもアップグレードだ。様々なゲームの要素を組み合わせたというコンセプト通り、アイテムをゲットするとショットが様々なゲームジャンルにちなんだものへと変化する。パズルガンはショットが某バブル系パズルのものになり、同じ色を3つくっつけると大爆発が起こる。RPGガンは攻撃方法がコマンド入力に変わる。ダンスガンは流れてくるノーツに合わせてタイミングよくボタンを押すと強力なショットがでる。といった具合だ。

強引なミックスでシューティングの体を保っていない節もあるが、そもそもジョークなのだから笑って楽しむのがいいだろう。

『Keyboard Sports – the final tribute』

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『Keyboard Sports – the final tribute』はデンマークのインディディベロッパー「Triband」が開発したアクションゲームだ。「Triband」は小さなディベロッパーで、ほとんど無名のチームだ。だが、本作の出来を見るにそれは非常に惜しい。

本作はタイトル通り、キーボードでの操作がコンセプトの作品だ。といってもWASD操作や十字キー操作とは、キーボード活用の次元が違う。文字キーから左右Shift、Capslockに至るまで、全てのキーを使って操作するのがこのゲームだ
 
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本作の操作キャラクターは画面上に示されたキーボードのキーの上に立っており、別のキーを押すと画面に示されたそのキーの位置まで移動する。簡単そうに見えるがこれが非常に難しい。障害物をよけたり、狭い橋を渡ったり、様々なアクションを要求されるが、画面上と自分の想像の間に微妙な差がありミスしてしまう。

押した場所に動く直観的な操作でありながら、うまく操作できなずあたふたしてしまう。ゲームのボリュームは少ないものの、個性ある楽しい作品だ。

『Jawns』

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『Jawns』は『Intake』や『SPLICE』を手掛けたアメリカのインディディベロッパー「Cipher Prime」が開発した作品だ。縦長の画面だが、スマホ向けではない。

本作はデジタルボードゲームで、チェスや将棋のように1対1で戦い、王である二重丸のコマを取り合うゲームだ。オンラインマルチに対応していて、友達とネットを介して遊ぶことができる。もちろん、CPU戦も実装されている。
 
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本作のコマは道が続いているならばどこまでも進めることができる。だが、敵のコマを取るときは直進でないと取れない。コマにはさいころの目が書かれており、これがコマの強さを表している。

何も書かれていないコマは特殊コマで、同じ特殊コマしか取れないがどれだけ強いコマであろうと特殊コマは取れない。本作の王は一切コマを取れないため、こうした壁役が重要になるわけだ。壁を作りつつ、いかに相手の王を詰むか。カジュアルながら、奥深さを感じさせるルールだ

通常ルールに加え、4つのルールが用意されており、プレイバリューも高い。ボードゲーム好きはぜひ遊んでみるといいだろう。

「Humble Monthly」に加入しよう!

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ここでしか遊べない作品が揃う「Humble Trove」。ここまで読んでくれた方はおそらく興味深々であろう。だが、「Humble Monthly」がどういったサービスかわからない方も多いはずだ。ざっくりではあるがこれについても説明しよう。
 
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「Humble Bundle」はゲーム振興とチャリティを目的にゲーム販売を行っているサイトだ。テーマに沿ったゲームのまとめ販売(バンドル)を行い、販売額のいくらかが募金される(「Humble Bundle」では自分でその割合も決められる)。

今回紹介した「Humble Monthly」は「Humble Bundle」のサービスのひとつで、契約しておくと毎月ゲームの福袋が届くというものだ。来月の目玉作品は公開されているものの、そのほかの作品は来月の配信日までナイショのお楽しみ。月々12ドルで契約できる。ちなみに中身が公開されたあとから欲しいゲームが入っていたからといって、それを買うことはできない。

「Humble Monthly」加入者にはいくつか特典があり、「Humble Trove」もその特典のひとつ。加入すればすぐに今回紹介した「Humble Original」作品を遊ぶができる。

今回は「Humble Original」シリーズに焦点を当てて紹介した。が、メインである福袋にも毎月けっこうな有名作が入っている。ここだけでしか手に入らない作品に、毎月届く福袋。インディゲームファンはぜひ加入してみるといいだろう。

「参考リンク」

Humble Bundle
Humble Monthly
Humble Trove

「基本情報」
『Cat Girl Without Salad: Amuse-Bouche』
制作者:WayForward(制作者様サイトはこちら

『Keyboard Sports – the final tribute』
制作者:Triband(制作者様サイトはこちら

『Jawns』
制作者:Cipher Prime(制作者様サイトはこちら

  • 洋ナシ(@younasi

    海外インディゲームの情報同人誌を作っているただのオタクですが、声をかけられゲーム記事を書くことになりました。人生何があるかわかりませんね。そういうことがあるのは、もっとこう絵がうまかったりマンガが面白かったりする人だけだと思ってました。他の執筆者の方のように輝かしい実績はありませんが、世界で初めてSurgeon Simulatorでペン回しに成功したという地味な実績があります。

    ブログ:http://tukedai.minibird.jp/blog/