もぐらゲームス執筆陣の選ぶ 2023年おすすめフリゲ・インディーゲーム17選

インディーゲーム,フリーゲーム,特集

2023年も様々なフリーゲームやインディーゲームが登場した。ゲームアツマールの終了や投票企画フリゲ20XXの最終回などフリーゲームを取り巻く環境には少なくない変化のあった1年だが、その中にあっても創作の灯は途絶えることなく続いていく。これからも人々を楽しませる作品が生まれてくることを願うばかりである。

本稿では、もぐらゲームスの執筆陣が、2023年にプレイしたゲームの中で特におすすめできるフリーゲーム・インディーゲーム17作品を一挙特集する。
各執筆者が2023年に遊んだ中で心に残った作品の数々を紹介していくので、気になった作品があればぜひ手に取って遊んでみていただきたい。

昨年の記事はこちら。
もぐらゲームス執筆陣の選ぶ 2022年おすすめフリゲ・インディゲーム19選

17に咲ク!

『17に咲ク!』はしょーへー90.9氏が制作したブラウザ上でプレイするRPG。2023年4月29日より同氏の運営するWebサイト「corge.net」にて公開されている。ビジュアルノベルや戦略シミュレーションのエッセンスをも取り込んだ贅沢な造りが特色の意欲作だ。

コウゲンに暮らすロボット達とタニゾコに暮らす人間達による世界。”17歳の寿命”を迎える少女・アンリの葬式の前日から物語は始まり、タニゾコへと落ちてきたロボット・ノノとの交流を経て事態は急展開を迎える。なぜロボット達は人間に対して高圧的なのか、なぜ人間は17歳をもって寿命を迎えることとなるのか、彼らが生き延びる術はあるのか。枝分かれする数多の分岐と結末を駆け巡りそれらを紐解いていくこととなる。

敵との戦闘は擬似六角ヘックスのフィールド上で行われ、キャラクターを入れ違いで移動させることで様々なアクションを取るシステムとなっている。味方キャラで敵キャラと入れ違うように移動すれば攻撃、味方キャラと入れ違うように移動すればスキル発動や倒れた味方の助け起こしとなる。一筆書きのような感覚で軽快に楽しめる上に、入れ違う際にキャラ同士の位置が入れ替わることを考慮してキャラを動かす必要がある。望むべき未来を勝ち取るためには強大な敵が立ちはだかるため、レベルアップとアイテムクラフトで力を蓄えていこう。
(真野 崇)

[基本情報]
タイトル:『17に咲ク!』
制作者: しょーへー90.9
クリア時間: 7時間~
対応OS: ブラウザ
価格: 無料

プレイはこちらから
https://corge.net/17/

ルビを振るゲーム

『ルビを振るゲーム』はmikyokuji氏の制作による、その名の通り表示されている風景に対してマウスクリックでひらがなを打ち出して、漢字に読み仮名を振っていくという作品。2023年6月19日から7月9日の期間で開催されたUnity 1週間ゲームジャム「ふる」の参加作品として公開されている。

内容としては「間違い探し」のような非常にシンプルなゲームだが、ひらがなが小気味良く打ち出されて漢字のそばにピタリと張り付く感触の良さが楽しい。それに加えて、ルビを振る対象である漢字がどこにあるかを探すうちに身の周りにどれほど沢山の漢字が存在しているのかという事の気付きを得られることだろう。本作をプレイした後に街に繰り出せば街を見る目が少し変わる、そんな作品となっている。

ステージは東京の上野・浅草周辺の風景を収録したもののほか、10月に渋谷で開催された展示会「P.O.N.D. ARCADE 2023」に合わせて渋谷ステージが追加されるアップデートが行われている。ゲームジャム開催時にプレイしたと言う人も改めてプレイしてみるとよいだろう。
(真野 崇)

[基本情報]
タイトル:『ルビを振るゲーム』
制作者: mikyokuji
クリア時間: 20分~
対応OS: ブラウザ
価格: 無料

プレイはこちらから
https://unityroom.com/games/rubiwohuru

斧娘 プリティアックス

バランスの観点から攻撃速度や命中率の面で使い勝手を悪くされがち!剣や槍のように伝承のあるものが少なくラインナップが貧弱!そんな鬱憤を晴らす斧使いの斧使いによる斧使いの為の全編「斧」な短編SRPG、それがakira氏の制作による『斧娘 プリティアックス』だ。2023年3月12日よりふりーむ!にて公開されている。

タイトルからしてパロディー全開だがそれを裏切ることなく、ふもとの村でやばい斧がもらえそうな山賊の巣の山であったり、自分から突っ込んできて落石に巻き込まれる竜騎士の将軍が出てくるなど、分かる人の脇腹をくすぐるネタのチョイスが冴えわたる。一方で1キャラあたり装備が2つまでしか持てない事や、味方が少人数かつアクの強い能力値の持ち主ばかりであることなどから、考えるべき点は意外に多い。攻撃力や命中率などを補強できる所持アイテム「バフカード」の活用が攻略のポイントだ。

そして金!暴力!AXE!で全てを押し切る斧のようにあまりにも力強い幕間劇がクセになる。クリアする頃にはゲームに登場する斧すべてが普通の目では見れなくなる身体になってしまうだろう。AAAAAXE!
(真野 崇)

[基本情報]
タイトル:『斧娘 プリティアックス』
制作者: akira
クリア時間: 1時間~
対応OS: Windows
価格: フリーウェア

ダウンロードはこちらから
https://www.freem.ne.jp/win/game/30143

Idol Showdown

Besto Game Teamが開発した『Idol Showdown』は、株式会社カバーが運営するVTuberプロダクション「ホロライブ」とその所属VTuber達を題材としたファンメイド2D対戦格闘ゲーム。日本時間2023年5月6日よりSteamにて配信されている。人気美少女IPを使用した二次創作の同人2D格闘ゲーム、というところに往年のノリが令和に帰ってきたと感じたのはきっと筆者だけではないはずだ。

VTuber達の配信を元にした技の数々は賑やかな物が多く、彼女達を知っている人にも知らない人にもハチャメチャなバトルを軽快な操作性で味わうことができる。システム面では弱→中→強のチェーンや吹き飛ばしを絡めて次々と繋がるコンビネーション、ゲージを消費して必殺技から別の必殺技へと連係する「スパチャキャンセル」、様々なアシストをしてくれる「コラボ」キャラとの連携など攻めを重視したスピーディなスタイルとなっており、ここにも往年のテイストが見え隠れする。

本作固有のゲームモードとして、アイテムを集めつつ特殊な対戦条件のステージを攻略していくローグライト風モード「Virtual Frontier」が存在しており、1人プレイでも楽しめるよう工夫が凝らされている。その他にもコマンド入力のみならずワンボタンでも繰り出せる必殺技、ロールバックネットコードを使用した通信対戦、タイトル画面からショートカットで即座にトレーニングモードに移ることができるなど快適さにも配慮されている点が多く、フリー対戦格闘ゲームの新定番ともいうべき非常に隙のない作品だ。

余談となるが、登場キャラクターの1人となっているVTuber「獅白ぼたん」が本作を取り上げた配信内で本作へ宛てた追加音声を提供したり、大規模格闘ゲーム大会「EVO2023」内の有志トーナメントにおいて日本人選手2名がそれぞれ優勝・ベスト8入賞を果たすといった様々な話題でも注目を浴びたタイトルである。弊誌と同じく株式会社Moguraが運営するバーチャル・エンタメメディア「MoguLive」では本作開発陣への制作者インタビューを実施しているので、本作についてより深く知りたい方はそちらも参照してみてほしい。
(真野 崇)

[基本情報]
タイトル:『Idol Showdown』
制作者: Besto Game Team
クリア時間: 1時間~
対応OS: Windows
価格: 無料

ダウンロードはこちらから

Cuisineer

ハック&スラッシュ型アクションRPGとレストラン経営の欲張りまんぷくセット。それがシンガポールの開発スタジオBattleBrew Productionsが開発した『Cuisineer』(キュイジニア)だ。販売はMarvelous EuropeとXSEED Gamesが担当し、2023年11月10日よりSteamにて配信されている。両親の世界旅行によって多額の借金を背負う事になってしまった猫耳少女ポムは、自身の冒険家としての経験と故郷に残された両親のレストランを元に借金を返済するべく奔走することとなる。

探索パートは俯瞰視点のアクションRPGとなっており、ダンジョンの構造は潜る度に変化する。ダンジョン内では徘徊する敵モンスターを倒して食材を、周囲の木や石からは家具の作成やレストランの拡張などに使える木材・石材をそれぞれ採取していく。武器は近接用のフライ返しや出刃包丁、遠距離用の皿投げや卵爆弾と言ったように食器や食材などをモチーフとしたものから2種類を装備することができる。

自宅へと戻ってきたらレストランを開店し、ダンジョンで得た食材で料理を提供してお金を稼いでいく。調理やレジでの会計、時として現れる食い逃げ犯への対処といった業務を全て1人でこなす俗にいうワンオペ状態であり、ランチやディナーなどのラッシュタイムともなればダンジョンでの戦闘を超えんばかり勢いでダッシュを駆使して店内を走り回る忙しさになるだろう。難しいメニューになるほど調理に時間が掛かるため、店の規模が大きくなってくるとオーダーが詰まらないようにする方策も考える必要が出てくるようになる。

街の中では住人からの依頼をこなすことでレシピを増やしたり、家具の購入、武器・防具の強化や属性の付与、回復ポーションの役割を果たすタピオカティーの研究などが行える。ラッシュタイムでの座席数が足りないのでダンジョン内で木を切ってテーブルや椅子に加工して座席数を増やし、ラッシュを捌いて得た儲けで調理器具を新調して作れる料理の種類の幅を広げ、新たな料理の材料のために再度ダンジョンへ潜る…といったように、探索と料理のサイクルを往復する中でできることが次々と拡がっていくため、「次にやりたいこと」が際限なく生まれてきて止め時を見失ってしまう一作だ。
(真野 崇)

[基本情報]
タイトル:『Cuisineer』
制作者: BattleBrew Productions
クリア時間: 30時間~
対応OS: Windows
価格: $24.99 / ¥2800

ダウンロードはこちらから

怪異ホラーミステリー「星影の館殺人事件」

周囲から「探偵」と勘違いされている主人公になり、「星影の館」こと山守(やまもり)一家の屋敷で起きた殺人事件の調査に挑むコマンド選択型テキストアドベンチャーゲーム。画面右側に並んだコマンドを選択・決定し、目前の人物と会話したり、現在いる場所の調査などをこなしながら進めていく、1980年代の同ジャンル作品を完全踏襲した作り。グラフィック、音楽もそれに寄せているが、既読スキップ、バックログなどの機能も備わっており、全体としては過去と現在のハイブリッドとも言えるゲームデザインになっている。

売りはコマンド選択型テキストアドベンチャーとしての高い完成度。特に本編の構成が見事で、事情聴取に現場検証などイベントが多彩で単調になりにくく、先の展開が気になるあまり、夢中になって進めてしまう面白さがある。システム周りにも一部エピソード限定の特殊な機能があるのに加え、それをフル活用するイベントも用意。とりわけ終盤限定のシステムは、それまでコマンド選択型テキストアドベンチャーとの認識のまま遊んできた人ならビックリ仰天間違いなし。同時にストーリーを追いかけていくだけのゲームには絶対にさせないという、確固たるこだわりも痛感させられるはずだ。

肝心のストーリーも「怪異」なる異形の存在による超常現象が”当たり前”とされた設定もあって、正統派のサスペンスミステリーとはひと味もふた味も違う恐怖と謎が満載。最終的に明かされる事件の真相も衝撃的。詳しくは言わないが、エンディングまでやり終えたら、ぜひオープニングのイベントを再確認いただきたい。

ボリュームもじっくり進めれば10時間以上と大きめ。見た目にグッと来た人はもちろん、アドベンチャーゲーム好きなら是非遊んでいただきたい傑作だ。なお、有料版と無料版があるが、ゲーム内容に大きな差異はない。
(シェループ)

※紹介記事:懐かしさと新しさが交差する”力作”コマンド選択型アドベンチャーゲーム『怪異ホラーミステリー「星影の館殺人事件」』

[基本情報]
タイトル:『怪異ホラーミステリー「星影の館殺人事件」』
作者:法螺会
クリア時間:7~10時間以上
対応プラットフォーム:Windows、Mac、ブラウザ
価格(税込):無料(※有料版:550円)
対象年齢:15歳以上推奨(※暴力、出血、身体欠損表現あり)
公式サイト:https://horakai.com/hoshikage/index.html

ダウンロードはこちら
◇ふりーむ!(ブラウザ版あり)
https://www.freem.ne.jp/win/game/29961

◇フリーゲーム夢現(ブラウザ版あり)
https://freegame-mugen.jp/adventure/game_10862.html

◇ノベルゲームコレクション(ブラウザ版あり)
https://novelgame.jp/games/show/7694

◇Vector
http://www.vector.co.jp/soft/winnt/game/se525147.html

プレイはこちら
◇PLiCy
https://plicy.net/GamePlay/148655

有料版はこちら
◇BOOTH(※無料版あり)
https://horakai.booth.pm/items/4535645

◇DLsite
https://www.dlsite.com/maniax/work/=/product_id/RJ01022457.html

ヨリガミマーケット

個人サークル「上海アリス幻樂団」制作の弾幕シューティングゲーム作品群こと「東方Project」の二次創作作品。商店を開いた疫病神の「依神女苑(よりがみじょおん)」、貧乏神の「依神紫苑(よりがみしおん)」の双子の姉妹が幻想郷の頂点に君臨する店を目指し、奮闘するというストーリー。ちなみにプレイヤーが扮するのは紫苑の方。

ジャンルはRPGだが、マップの探索要素は皆無。メインは店に訪れる客を相手にした商売という名の戦闘で、事前に仕入れた店の商品を売りつけ、お金を稼いでいく個性的すぎる内容を最大の魅力としている。

戦闘システム自体はRPGお馴染みのターン制のコマンド選択型。だが、攻撃が商品の売りつけ、体力が所持金という具合に置き換えられているのが特徴。また、作中の設定から客も商品を売りつけてくる上、プレイヤーが扮する紫苑は貧乏神であることから、1ターン経過のたびに所持金が減っていくハンデまで設定されている。それらによる収入の減少、その果ての破産(ゲームオーバー)を回避するため、客の好みに応じた商品の売りつけはもちろん、所持金の変動にも神経を配ることが要求される脳ミソフル回転な戦略的な商売(戦闘)が楽しめる。特に所持金が安定せず、常に減り続ける様子は見ているだけでも胃がキリキリしてくるほど。逆にそれらの懸案を踏まえ、高収入を達成した時には圧倒的な達成感が得られるなど、まさに商売の醍醐味と恐怖がこれ以上なく凝縮されている。

その特徴から、特にRPGの戦闘が好きな人にイチオシの作品。ストーリーと設定も単純かつ分かりやすいので、「東方Project」を知らずとも突撃してしまって大丈夫だ。短編作品ゆえにクリアまでは短めだが、考える要素の多さから体感時間は長い。終始、数値の動きを見守り、最良の作戦を探る”販売戦略”の面白さと恐怖(?)を味わってみよう。
(シェループ)

※紹介記事:命同然の金を客から搾り取り、狙え一獲千金!東方Project二次創作作品にして驚きの販売戦略RPG『ヨリガミマーケット』

[基本情報]
タイトル:『ヨリガミマーケット』
作者:羽々斬
クリア時間:2~3時間
対応プラットフォーム:Windows、Mac、ブラウザ
価格:無料
備考:ダウンロード版はふりーむ!IDが必要

◇ダウンロード・プレイはこちら
・ふりーむ!(ブラウザ・ダウンロード版)
https://www.freem.ne.jp/win/game/31526

・フリーゲーム夢現(ブラウザ版のみ)
https://freegame-mugen.jp/roleplaying/game_11552.html

・PLiCy
https://plicy.net/GamePlay/165612

ローグライクVida

”ローグライク”と冠されているが、実際はフィールドマップの存在しないノンフィールド型RPG。謎の少女より託された【きりふだ】の入った箱を持ち、迷宮最奥の【せいひつ】を目指すという内容。全10+αのジョブから1つを選び、迷宮内の複数ある層を順番に攻略していくというのが基本の流れとなる。

見所は戦闘システムで、見た目は手札から1枚を選び、相手への攻撃といった行動を実施していくカードゲームスタイル。だが、手札のカードをプレイヤー側が編集するという「デッキ」を作る要素はない。手札は最初に選んだジョブに応じて決定される。

また【ば(場)】の概念があり、敵味方問わず行動と共に画面中央部のマス目フィールド上にあるアイコンが右から左へと移動。双方が移動し終えると、一番右端に近いキャラクターから行動する。移動するマス目はカードに記された【コスト】によって決定され、相手より先んじて攻撃を仕掛けたい場合は低コストのカードを選べばいい。だが、どんなカードが手札に現れるかはほぼ運。そんな毎ターン最良の一手を考えつつ、【ば】の動きにも注意を配るという独特な展開を楽しめるシステムに完成されている。【ば】にトラップを仕掛るなど、ボードゲーム的な戦術が駆使できるのもユニーク。また、カードはどれも攻撃などのコマンドを絵的に表現したもので、個々の種類を把握する必要はなく、直感的に理解できるのも大きな特徴。実際にプレイすれば、その意外な分かりやすさに驚かされるはずだ。

いわゆる「デッキ構築ローグライク」ではないことには注意が必要だが、戦略性の高さと直感的な分かりやすさを持つ戦闘システムは大変面白く、ジョブの豊富さからやり込み甲斐も抜群。ローグライクらしいランダム性と1発勝負のスリルも味わえるほか、苦手な人に配慮した救済措置も備わっているので、興味を抱いたならぜひプレイいただきたい1本だ。
(シェループ)

※紹介記事:【きりふだ】を運べ―独自のバトルシステムと取っつきやすさが魅力のノンフィールド型RPG『ローグライクVida』

[基本情報]
タイトル:『ローグライクVida』
作者:エレゾウケイ
クリア時間:20~30分(1周)
対応プラットフォーム:PC、スマートフォン
価格:無料

◇ダウンロード・プレイはこちら
・PLiCy
https://plicy.net/GamePlay/151743

・フリーゲーム夢現(ブラウザ・ダウンロード版)
https://freegame-mugen.jp/puzzle/game_11050.html

L/Right Reflection

攻撃魔法を使えない魔導師の少女「ルミス」が、母親を救うために必要な「魔女の血液」を求め、森に棲む魔女「アイファ」の討伐に挑む短編RPG。唯一、ルミスが扱える”反射の魔術”で敵が繰り出してくる攻撃を跳ね返し、ダメージを与えていくというアクションゲーム的な手応えに富んだ戦闘システムを大きな見所としている。

敵の攻撃と共に飛んでくる「スキルカーソル」が「マーカー」に重なるタイミングに合わせ、対応するボタンを押していく点では、どちらかというとリズムゲームっぽい。ただ、ゲームバランスはアクションゲーム寄り。特にカーソルの動き方に複数かつ捻ったパターンがあったり、それぞれをきちんと把握して的確に対処することが要求される点にそれっぽさが出ている。レベルアップによる強化が体力と魔力限定で、防御力は対象外というのもまた然り。まさに「反射で戦う以上は反射神経を鍛えろ」と言わんばかりの個性的で納得感のあるバランスになっている。

ただ、パターン把握するのにトライ&エラーを重ねる必要はなく、防御行動を取ればどんな動きかを安全に確認可能。他に補助効果を与える魔術を駆使するなど、RPG由来の戦術を駆使して困難を打破する面白さもある。アクションゲーム色は濃いけど、RPGとしての遊び心地もバッチリ。そんな双方の強みが絶妙に活きた興味深いシステムになっている。

レベルアップによる力押しが困難なため、アクションゲームが苦手な人には薦めにくいが、逆にそれらが好きな人や対戦格闘ゲームのジャストガードを狙う駆け引きが好きな人には刺さりやすい内容。ボリュームも控え目ながら、中盤から終盤は非常に手に汗握る”反射バトル”が満載で、かなりの充実感と(いい意味での)疲労感を得られる。アクションゲームでもあり、RPGでもある異色の戦闘システムを極めよう。
(シェループ)

※紹介記事:反射だけで戦い抜け。アクションゲームな戦闘システムが魅力の短編RPG『L/Right Reflection』

[基本情報]
タイトル:『L/Right Reflection』
開発:Atelier Never
クリア時間:3~4時間(※実績コンプ:5~10時間)
対応プラットフォーム:PC(Windows)
価格:無料

◇ダウンロードはこちら
・Steam

・ふりーむ!
https://www.freem.ne.jp/win/game/30587

LunarLux(ルナーラックス)

衛星「ルナー」に迫りくる危機に「ルナーフォース」の戦士で主人公の「ベラ・グレイ」が立ち向かうRPG。アクションにシューティング、果てはカードゲームまで盛り沢山の要素が詰まった戦闘システムを売りとしている。幾つかの要素は『ロックマンエグゼ』、『流星のロックマン』、『Undertale』といった名作をモチーフにしているが、システム自体は完全な別物で、独自性は強め。

また、本編が進むほどにできることが増え、加速的に面白さが増していくのも戦闘システムのもうひとつの売りとなっている。特に中盤にて訪れる”転機”は、戦闘スタイルそのものが一新するほどの刺激的な変化と、戦術・戦略性の広がりを味わえる。ストーリー的に大きなネタバレのため、どんな変化なのかを詳しく紹介できないのがもどかしいが。

戦闘システムに限らず、ストーリー主導型で展開される本編もイベントが盛りだくさんで、とりわけ見下ろし視点のアクションシューティングに挑む「ネットワークダイブ」の凝りに凝った内容は必見。ネットワークシステムに潜入するという流れも、元ネタを知る人ならばツッコみたくなること請け合いだ。それらのイベントと共に紡がれるストーリーもベタながら熱い展開が満載。台詞を始めとする日本語翻訳も完璧といっても過言ではない仕上がりで、プレイ中は日本製のゲームと錯覚してしまうほどだ。

他にもアニメチックで可愛らしいグラフィックとキャラクターデザイン、テンション高めで熱い音楽(特に戦闘曲)といった注目点多し。戦闘に要する時間が長いという難点もあるが、それを踏まえた興味深い配慮がされていて、水増し感をほとんど感じさせないのも秀逸な部分だ。2023年はインディーゲーム界隈において、話題性の高いターン制RPGの新作が多数発売されたが、本作もそれらと肩を並べる見所を持った仕上がり。未プレイであれば、ぜひ体験いただきたい。

ちなみに今後、Nintendo Switch版の発売も予定されているとのことだ。
(シェループ)

※紹介記事:てんこ盛りな戦闘システムとストーリーで送るSFアクション&シューティングコマンド型RPG『LunarLux(ルナーラックス)』

[基本情報]
タイトル:『LunarLux(ルナーラックス)』
開発:CosmicNobab Games(※販売:Freedom Games)
クリア時間:8~10時間
対応プラットフォーム:Windows
価格(税込):2,300円

◇購入はこちら
・Steam

・Epic Games Store
https://store.epicgames.com/ja/p/lunarlux-41403d

Gravity Circuit(グラビティ サーキット)

無慈悲なロボットたち「ウィルス軍」の侵攻に主人公「グラビティー・サーキット」こと「カイ」が立ち向かう、ステージクリア型2Dアクションゲーム。カプコンの看板タイトル『ロックマン』シリーズの『ロックマンX』と『ロックマンゼロ』に多大な影響を受けた作品で、ステージセレクトや壁蹴りといった元ネタ由来の要素が多数登場する。

それでいて、本作唯一無二の遊びを確立させているという、恐ろしく高度なことをやってのけている。特にパンチとキックの近接攻撃を主とした格闘ゲーム色の濃い展開は非常に独自性があり、この作品でしか味わえない動かす楽しさを表現している。ほぼすべての敵を一撃で仕留める「投げ」も、コツを掴めばテンポよく敵を仕留めていける独自の爽快感が味わえるに加え、それ自体がプレイヤー自身の上達の結果として返ってくるのも面白く、クセになる気持ちよさがある。

多彩なスキルとチップを購入して最良の組み合わせを作り出し、自分好みの性能のカイを作り出すカスタマイズ要素も検証し甲斐抜群。他にグラフィック、音楽、効果音の完成度もハイレベル。特に音楽はノリノリでカッコイイ楽曲揃いで、サウンドトラックが欲しくなること確実だ。演出も敵やボスを倒した際のド派手かつ重々しい爆発など、アクションゲームで最も気持ちのいい瞬間を知り尽くした仕上がりになっている。

誇張抜きにインディーゲーム界隈に多々ある『ロックマン』のフォロワー作品の中では3本の指……否。最高傑作と言っても大げさではない逸品である。アクションゲームが好きで、本作をまだ遊んでいないという人よ。直ちにやれ。『ロックマン』好きなら絶対に遊べ。紛うことなき『ロックマン』史上最高のライバル誕生の瞬間を刮目して見よ!
(シェループ)

[基本情報]
タイトル:『Gravity Circuit(グラビティ サーキット)』
開発:Domesticated Ant Games(※販売:PID Games、オーイズミ・アミュージオ)
クリア時間:4~5時間
対応プラットフォーム:PC(Windows、Mac、Linux)、Nintendo Switch、PlayStation 5
価格(税込): 1,900円(Steam、Epic Games Store)、3,500円(Nintendo Switch)、3,499円(PlayStation 5)
備考:Nintendo Switch、PlayStation 5はパッケージ版あり

◇購入はこちら
・Steam

・Epic Games Store
https://store.epicgames.com/ja/p/gravity-circuit-489baa

・My Nintendo Store
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000065713.html

・PlayStation Store
https://store.playstation.com/ja-jp/concept/10006297

Gunbrella

あの正真正銘”ネコロイド”な探索型アクションゲーム『Gato Roboto』を手がけたdoinksoftの新作。何者かに妻を惨殺された男の復讐劇を描く、フィルム・ノワール風アクションアドベンチャーゲームである。

売りはタイトルにも冠された「Gunbrella」……傘の銃。一部の人は英国紳士の某ベテランスパイを想像するかもしれないが、まさにあんな感じに傘に仕込まれた銃(ショットガン)で戦闘を繰り広げていく。

ただ、戦闘以外に移動面でも活躍するという特徴があり、上空に大きく飛び上がる、前方に傘を構えた状態でダッシュするといった独特なアクションを楽しめる。始めはその挙動に戸惑うかもしれないが、慣れてくると文字通り縦横無尽な立ち回りが可能に。特に複数の敵による襲撃を上空に飛び上がって華麗に回避し、その背後に着地して至近距離から鉛玉をぶち込む快感は格別。まるでアクション映画の主人公になったかのような気分に浸れる。

戦闘、人捜し、難所の突破といった波乱に満ちた本編も遊び応え十分。ストーリーも暗く、硬派な雰囲気を漂わせつつ、所々にユーモアを含めた作りで楽しませてくれる。妻を殺した犯人の手がかりである「ガンブレラ」から真相に迫っていく展開も見応え十分かつ、当の犯人と敵対勢力が紛うことなき外道であることから、思わず主人公の境遇に共感すら覚えてしまうほど。日本語ローカライズも『Gato Roboto』に引き続き架け橋ゲームズが担当(※翻訳は「Fall Guys」「Narita Boy」などを手がけた黒澤勇太氏が担当)しているだけに盤石で、一連のストーリーを違和感なく堪能できる。

敵を倒すと血しぶきに合わせ、肉片も飛び散るなど演出面は凄惨で、苦手な人は要注意だが、アクションゲーム好きならばぜひ遊んでみていただきたい一本。攻撃に防御のみならず、移動周りまで活躍する汎用性の高さと、それを使いこなした時の圧倒的な気持ちよさを味わってみて欲しい。そして、許されざる悪行を働いた者たちに傘銃の洗礼あれ!
(シェループ)

[基本情報]
タイトル:『Gunbrella』
開発:doinksoft(※販売:Devolver Digital、日本語ローカライズ:架け橋ゲームズ)
クリア時間:5~6時間
対応プラットフォーム:PC(Windows)、Nintendo Switch
価格(税込):1,700円
CERO:15歳以上対象(暴力、犯罪表現あり)

◇購入はこちら
・Steam

・My Nintendo Store
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000053421.html

消えたリリーと呪いの館

何者かに誘拐され、魔物に変えられた人間たちの正体を暴くことに挑む探索型推理ホラーアドベンチャーゲーム。基本的に館の内部を探索し、時折襲ってくる魔物を撃退して拘束。それと共に読み取れるようになる”記憶の映像”から魔物が誰かを推理・特定していく。そして最終的にはプレイヤーが扮する主人公「ロイ」の愛娘「リリー」を発見することを目指す。

最初こそマップを行き来して魔物を探し、その襲撃と共に始まるクイック・タイム・イベント(QTE)を攻略するという探索型アドベンチャーゲームらしい展開が繰り広げられるが、メインは推理。それもロイが所持する「行方不明者リスト」などの元人間にまつわる情報、別の魔物の記憶も参考にしながらその正体を探るという、論理的な思考が試される手応え抜群のものになっている。

最大の手掛かりたる記憶もすべて動画で映し出されるため、情報を得たいならメモが必須。しかも魔物それぞれの記憶は、元となった人間の視点から見たものになるので、決まって”欠け”がある。そうした情報を細かくチェックしては比較検証し、最終的には特定へと繋げていくのが基本になるため、推理ゲームとしてはかなりの手ごわさとなっている。
ただ、簡単に正体を特定できる個体もいて、その難しさは「特定難易度」によって可視化されているので、理不尽さは感じさせないバランスだ。解法も凝っているほか、それと共に紡がれていくストーリーも徐々に驚きの真相が露わになってくる。詳細は見てのお楽しみだが、ほぼ確実に”引っかかってしまう”ことをお約束しよう。

推理の過程で必ず見る映像も種類が豊富で、巧妙な罠も仕込むという凝りっぷり。様々な情報を見ながら犯人を見つけるという、探偵的な遊びをこれでもかと言わんばかりに楽しめる作品なので、興味があればぜひ挑戦を。
(シェループ)

[基本情報]
タイトル:『消えたリリーと呪いの館』
作者:パルソニック
クリア時間:4~7時間
対応プラットフォーム:PC(Windows、Mac)、ブラウザ
価格(税込):無料
備考:ダウンロード版はふりーむ!IDが必要

◇ダウンロード・プレイはこちら
・ふりーむ!(ブラウザ・ダウンロード版)
https://www.freem.ne.jp/win/game/29902

FANATICA SPEEDIA

なんでもひとつ願いを叶えてもらえる儀式「神の秘儀」に挑む「牧師」の活躍を描いたリアルタイムカードバトルゲーム。タイトルの一端が物語る通り、トランプの遊び「スピード」を題材にしたゲームで、それに戦闘要素を加えた作りを大きな特徴としている。

遊び方そのものはスピード同様、画面中央にある台札に繋がる数字のカード(聖句)を場札から探し、重ねていく形となる。スピードと違うのは勝利条件。相手の体力を0にした方が勝ちという、バトルゲームらしいものになっている。その関係からスピードにおける手札(ストック)の概念はなく、体力が尽きるまで延々と続く。

また、聖句にも4つの柄があり、攻撃などの行動はその種類に応じて決定。剣なら攻撃、ハートなら回復といった感じだ。さらに画面中央の台札に出せるカードがない時は、数字の並びを無視してそこに重ねる「背教」という行動を取れる。だが、それを実行するとカードに記された数字分のダメージを受けてしまう。逆にワザとそれを行って、敵側に背教を強要させる状況を作り出すという戦術に転用させることも可能だ。他にも「祝福」なる装備でカードごとの効果を強化させるカスタマイズ機能、連戦形式で展開されるステージクリア型の本編などの特徴的な要素やシステムが満載。

ある意味、ありそうでなかったタイプのゲームで、スピードを知る人ほど不思議な体験が味わえる意欲作である。リアルタイムなりの慌ただしさもあり、特に「祝福」解禁以降の戦闘はやり応え十分。最適な組み合わせを探りつつ、瞬時の判断を繰り出していく展開には夢中になってしまうこと請け合いだ。一連の特徴もあり、特にアクションゲームとストラテジーゲーム好きほど刺さりやすい。純粋に”異端のスピード”としても見所の多い仕上がりなので、興味があれば挑戦いただきたい。
(シェループ)

[基本情報]
タイトル:『FANATICA SPEEDIA』
作者:yayoidai
クリア時間:2~5時間
対応プラットフォーム:Windows
価格(税込):無料

◇ダウンロードはこちら
・ふりーむ!
https://www.freem.ne.jp/win/game/30754

・フリーゲーム夢現
https://freegame-mugen.jp/roleplaying/game_11165.html

Abyss ~昏冥の刻~

あらゆる生命を喰らう脅威「アビス」を屠ることを生業とする「アビススレイヤー」に憧れる少女と、記憶喪失の少年の冒険と戦いの物語を描いた長編RPG。「Chapter」と称された全4つのエピソードを順に辿っていく、ストーリー主導型のゲームデザインを採っている。Chapterの総数は少ないが、1つあたりクリアに平均5~7時間を要するなど、ボリュームは非常に大きい。

また、RPGとしての遊びやすさと手応えを両立・追求した作りを最大の魅力としている。遊びやすさに関しては、思わず「そこまでやるか!?」と声に出てしまうレベル。イベント完了後のダンジョンからの自動脱出、(条件付きだが)体力全回復ポイントでのアイテム・装備調達など、ストレスを限界にまで減らすこだわりが炸裂したものになっている。それでいて、きちんと戦略を立てないと返り討ちに遭うほど難易度がヌルくない。特にボス戦にその傾向がよく現れていて、属性や攻撃の特徴を踏まえた判断が求められる、手応え十分のバランスになっている。

難易度選択機能もあるが、最も低い「ノーマル」でもそんなバランスを実現。単にボタン連打し続けるだけで攻略できるゲームにはさせないという、作者のこだわりを感じられる調整になっている。相応に戦略の幅も広い。とりわけ「念石」なる装備用アイテムで特技、魔法、ステータス強化などを図り、独自のキャラクターを編み出すカスタマイズ要素は、ハマればとことん突き詰めたくなる深さがある。ストーリー主導型なりに仲間が離脱・途中参戦する展開も多く、それぞれのステータスにも個性付けが図られているのも、現状に応じた最良のパーティを考える戦略面の面白さを演出する。

好きなメンバー(パーティ)で戦い続ける面白さを求めると合わない恐れもあるが、逆にそういうのが好きな人ならばたまらない作り。ストーリーも王道ながら時に大波乱が起きたりと、最初から最後までプレイヤーを退屈させない。”遊びやすくも手応え十分”という表現がこれ以上なく似合うRPGで、それに惹かれたならぜひ、プレイいただきたい大作だ。
(シェループ)

[基本情報]
タイトル:『Abyss ~昏冥の刻~』
作者:トウモロコシ汁
クリア時間:35~40時間
対応プラットフォーム:Windows、ブラウザ
価格(税込):無料

◇ダウンロードはこちら
・ふりーむ!
https://www.freem.ne.jp/win/game/29800

・フリーゲーム夢現
https://freegame-mugen.jp/roleplaying/game_10812.html

◇プレイはこちら
・PLiCy
https://plicy.net/GamePlay/127767

未来都市の氾濫

政府主導プロジェクトにより、未来都市へと生まれ変わった街を舞台にしたビジュアルノベルゲーム。「Chapters」と「Parts」という2つのエピソードがあり、それぞれを読み進めていく形となっている。内容もそれぞれ違い、「Chapters」では街で自殺者が相次ぐ問題とその裏に隠された闇に迫るエピソードが、「Parts」では幾多の引っ越しの末、生まれ故郷たる街へと戻ってきた父親と娘に焦点を当てたエピソードが語られる。

売りはスクリーンショットからも分かる全体的なビジュアル。キャラクター、背景などすべてがピクトグラムによって表現されるほか、現在地に時間帯、状況、果てはバックで流れている音楽の情報まで細かく表示されるインターフェースを採用している。演出もこのデザインを踏まえた独特かつ、プレイヤー側の想像力を刺激するものに仕上げられている。特に見た目以上に多彩な表現を見せつけてくるピクトグラムには驚くこと請け合いだ。

ストーリーもAIを始め、最先端の技術を生活基盤に組み込んだ未来都市ならではの弊害と事件、怪奇現象(?)が連続する見所満載の内容。とりわけ中盤から終盤にかけての展開には、この設定ならではかつ、現実にも起こり得るのではという恐怖を覚えるかもしれない。また、2つのエピソードは好きな順序で進めていける。だが、一番のおススメは「Chapters⇒Parts」と交互に進めていくこと。そのような形ならより一層、このストーリーを楽しめると同時にすべてを終えた後の余韻が強く残るだろう。

細かい部分でも台詞、ナレーションなどのテキストも短くまとめられているほか、専門用語も最小限で読みやすいといった見所がある。キャラクターも全員、ピクトグラムで表現されながらも個性が強く、誰かしら必ず愛着を持ってしまうはずだ。2つのエピソードすべての読了に5~6時間とボリュームも大きく、その物量に相応しい見所満載の作品になっている。このビジュアルにグッと来た人はもちろん、SF好きも要チェックだ。
(シェループ)

[基本情報]
タイトル:『未来都市の氾濫』
作者:HULINERS
クリア時間:5~6時間
対応プラットフォーム:Windows、ブラウザ
価格(税込):無料

◇ダウンロードはこちら
・ノベルゲームコレクション(ブラウザ版あり)
https://novelgame.jp/games/show/8592

・ふりーむ!
https://www.freem.ne.jp/win/game/31307

・フリーゲーム夢現
https://freegame-mugen.jp/adventure/game_11426.html

アンガー・マネジメント・ファンタジー

かつて破滅のドラゴンから世界を救った3人の英雄がいた。そのひとり、バーバリアンのセルゴールは「怒り」を自らの「力」へと転換する能力があり、それがドラゴンを倒す決め手になった。だがある日、セルゴールはギルドの健康診断に引っかかり、次に怒りの力を使えば即座に”最期”を迎えると告げられる。さらに折り悪しく、ドラゴンが3日後に復活するという天からのお告げまで降ってきた!怒りの力を使えば己の生涯が終わる。だが、使わねばドラゴンに太刀打ちできない。どうしろと……!?

そんなある種、絶望的な展開と共に幕を開ける短編ファンタジーノベル。ビジュアルからしてシリアスな雰囲気バリバリだが、実態はギャグ100%の”考えたら負け”系ストーリー。ギャップありまくりの内容である。そして、随所に”怒ったら負け”な選択肢という名のトラップを用意。それらで怒りに任せた行動を取らないよう注意し、ストーリーを進めていくというタイトル通りの”アンガー・マネジメント”が試される作りを特徴としている。

また、ギャグ100%の通り、ストーリーにシリアス要素は皆無。全編「どうしてそうなる!?」(一部「そりゃそうなる!」)の連続である。キャラクターもセルゴールを始めとするメイン勢に限らず、脇を固めるサブ勢も濃すぎる面々揃いに加え、その誰もがファンタジーらしからぬ言動を口走る。特に本編終盤の展開は、その真骨頂にして集大成の壮絶なものになっている。ストーリー的にも衝撃の連続で、全てを終えた後にはファンタジー、アンガー・マネジメント、そしてチャーハンという3つの題材に対する哲学的な問いを求めたくなること確実である。

基本、分岐はなく、すべてを終えるのに1時間はかからない。だが、見た目から斜め上に行き過ぎな展開は、色んな意味で心に残ること間違いなしである。
「一体、どういうことなんだ……」との疑問を抱いたそこのアナタ!急ぎ突撃を!このハチャメチャなファンタジー世界でアンガー・マネジメントの重要性を学ぶのだ。そして、すべてを終えたら近所の町中華にチャーハンを食べに行こう。なに?近所にない!?だったら駅前に行きゃチェーン店のひとつぐらいあるだろう!もしくは自分で作れ!!
(シェループ)

[基本情報]
タイトル:『アンガー・マネジメント・ファンタジー』
作者:yukki(ゆっき)
クリア時間:15~30分
対応プラットフォーム:Windows、ブラウザ
価格(税込):無料

◇ダウンロードはこちら
・ノベルゲームコレクション(ブラウザ版あり)
https://novelgame.jp/games/show/8422

・ふりーむ!
https://www.freem.ne.jp/win/game/31584

  • シェループ(@shelloop

    様々なゲームに手を伸ばしたがる人。2D、3Dのアクションと手強めの戦略シミュレーションを与えると喜びます。

    Webサイト:box sentence

  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。