【動画あり】40分でプログラミングを一切せずにカッコいいブロック崩しを作る衝撃の実況!!〜Unreal Engine 4ビギナー勉強会レポート
4月12日、東京・六本木でUnreal Engine 4というゲームエンジンの初心者向け勉強会が開催された。
Unreal Engine4はゲームの開発に使うエンジンの一つで、最近注目を集めている。
作られたゲームはこちらの動画にコンパクトにまとまっている。
か、かっこいい…。
今回の勉強会は、当初定員30名と小さな規模で行われる予定だったが、瞬間的に満員となり定員増加を繰り返している内に、結局300人が集まる非常に大きなイベントとなったことから、その注目ぶりが伺える。
勉強会では、主催である株式会社ヒストリアの佐々木瞬(@s_ssk13)氏からUnreal Engine4の詳細な機能の説明があった後に、「Blueprintでさくっとマイゲームを作ってみる」というお題で、株式会社バンダイナムコスタジオの湊和久氏がゲーム制作の実況を行った。
※今回実況をした湊氏は「ゲームメカニクス おもしろくするためのゲームデザイン (ゲームデベロッパー)」、「Unityではじめるゲームづくり (DVD付) (ゲープロシリーズ)」などゲーム制作に関する本の翻訳等にも関わっている。
実演後に湊氏がポイントの解説を行って、勉強会は終了となった。
UnrealEngine4 ビギナー勉強会 – Togetterまとめ
40分でブロック崩しができた!
筆者はノンプログラマーで、最近ゲーム開発に関心を持ち始めてUnityを軽く触り始めたばかりの超初心者だ。
そんな筆者が今回の勉強会で最も衝撃を受けたのが湊氏による実況だ。
持ち時間はなんとたったの38分
「ブロック崩しを作れるところまで作ります」
ということだったが、本当にできるのか…。
会場に設置されたPCから操作画面を前方のスクリーンに映して実況しながら、湊氏がゼロからブロック崩しを作成する様子を会場の300人は固唾を呑んで見入った。
というわけでどうなることかと期待しながらスタート。
( ˘ω˘ ) ふむふむ、ブロック崩しの外周を作り、正面にカメラを設定する。
( ˘ω˘ ) 玉を作って壁にあたったら反射するように。そしてプレイヤーが動かす台を作っていく。下に落ちたら死亡とな。それにしても操作の速さが神がかっている…。
( ˘ω˘ ) 一つの工程ごとに実際に動かしてみて、挙動が出ない時はバグを探してデバッグ(バグを消す作業)
( ˘ω˘ ) ブロックを配置し、玉が当たると、ブロックが消え、爆発するエフェクトを追加したり。玉の出る数を増やしてみたり。「やばい1秒ロスしたッ!」とかしゃべりも面白い…。
( ˘ω˘ ) 音楽をつけてみたり、壁にあたったら火花が3秒間出るように工夫。「BGMをつけたりエフェクトを派手にするとそれっぽくなります」とな。
ここで40分が経過し終了となった。
( ^ω^)あれ……?
( ω )゜ ゜
ブロック崩しができている!!しかもカッコいい!
さらに最後のQ&Aの時間に質問があり、40分の成果に加えてブロックを丸くしたものがこちら。
なお、このライブコーディングの様子は参加者の方が動画を撮っていてYoutubeに動画がアップされている。目の前でゲームが作られていくライブ感を味わえるこの映像はぜひ見ていただきたい。
( ˘ω˘ ) 湊氏はこれまでもUnreal Engineを使ったことがあるプロ、俺にはとてもできないぜ
( ˘ω˘ ) ん?まてよ?
( ✹ω✹ ) プログラミングしてるところが一切なかったぞ…。
そう、今回のブロック崩しのお題はUnreal Engine 4でプログラミングを全くせずブロック崩しを作るということだったのだ。湊氏は全てBluePrintという機能を駆使して作業を進めていた。
Unreal Engine 4のBluePrintとは何か?
ゲームの仕組みは大雑把に解説すると、「○○をしたときに、○○する」という条件とアクションの連続でできている。
・Bボタンを押したときに、ジャンプする
・敵に触れると、死ぬ
・弾が壁に当たると、反射する
普通は、これらをifなどの関数で作っていくプログラミングが必要となるわけだが、UE4のBluePrintという機能は、フローチャートのように条件とアクションをつないでいくことによってプログラミングをせずにゲームの仕組みを作っていくことができる。UnityでいうところのPlayMakerと同様のようだ。
BluePrintの画面。にょろにょろとフローチャートを作っていくことで実際にゲームの仕組みが出来上がっていく。
プログラミングにびびっていた筆者も、「時間はかかるかもしれないけど、自分にもできるかもしれない!」と思わせるに足る素晴らしいライブコーディングだった。ゲーム作るのって難しそう、という不安はかなり払拭され、ニョロニョロを伸ばしていくのは楽しそうだという気持ちが強くなった。
なお、BluePrintを使わずにC++という言語を使ってプログラミングをすることもできる。超初心者からプログラマーまでしっかりカバーしているゲームエンジンだ。
なぜこの勉強会に300人も集まったのか?
ゲームエンジンにはUnity、Unreal Engineの他にも、「CryEngine」、「Cocos2d」など何種類かのエンジンある。先月もUnityが新しいバージョン「Unity5」を発表し、物理レンダリングの採用を明らかにした。その翌日に「Unreal Engine」が月額19ドルで利用可能なプランを発表し、さらに「CryEngine」が月額10ドルでの利用を発表するなど、大きなニュースが相次いだ。
Unity – Unity PRESS RELEASE – GDC2014でUnity 5のリリースが発表、予約受付を開始
Epic Games、「Unreal Engine 4」を月額19ドルで一般提供 – CNET Japan
ゲームエンジン「CryENGINE」を月額約1000円で利用できるプログラムが登場 – GIGAZINE
これまで、個人レベルでゲームを作ろうとしたら、無償版もあり、有料版でも手が届きやすいUnityを使うというのが定番だった。Unityも、UE4と同様にゲーム画面となる空間を映しながら作業ができ、プログラムの知識が最初は必要ないため、初心者にも扱いやすいことで知られている。
一方、Unreal Engineはグラフィックが美麗で高性能とはいえ、法人契約が中心で数千万円単位と、とても手を出せるものではなかった。
現在、非常に注目を浴びている理由として、今回の月額制(サブスクリプション・モデル)の発表で、一気に手が出せるところまできた、というのが最も大きい。
Epic Gamesによると、法人でも月額制を利用することができる(※使用する人数分契約する必要がある)ということで、大手のゲームメーカーだけでなく小規模な開発にこのエンジンが使いやすくなった。
ゲームとして販売をする場合は売上の5%のロイヤリティを支払うことになるが、ゲームセンターのゲームやインタラクティブ性のないゲーム以外の分野での利用の場合は、ロイヤリティが発生しない。
これまでに比べると一気に手が届きやすくなったという印象だ。
課題はあるが、それでも下がったハードル
湊氏の実況を見て感動したのもひとしお、いざ冷静になると一つの不安が沸き上がってきた。
「あれだけ多機能なゲームエンジンを触るなんて、そもそも使いこなせないんじゃないか…」
そう。Unityにも言えることだが、ゲームエンジンの課題として多機能すぎる故に、「やりたいことをやるために何をしたらいいかわからない」という状態になりかねない。また、要求するパソコンのスペックが高い。
UE4の普及はまだ始まったばかりだが、分からないことをを自由に聞けるフォーラムや助け合い所は既に開設されている。また今後はソフト自体の日本語化なども行われるということだ。
分からないことを聞けば、教えてもらいながらゲームをつくっていける環境は整っている。まずは「こんなゲームをつくろう!」というコンセプトがあれば、作り方を相談しながら一歩一歩作れるかもしれない。
そんなわけで筆者も近々UE4を触ってみようと思っている。
Unityもそうだが、今はゲームを作ってみたいと思ったら、ちょっと手をのばせばいいだけの時代なのだ。