『静』の死にゲー『6180 the moon』。いなくなった太陽を月が探す物語
東京ゲームショウ(TGS)で大盛況を博したインディゲーム。中でも、国内外のクリエイターが出展したブースはにぎわいを見せていた。
また、一般公開日初日の9月20日夜に開催されたIndie Game Fesは400人を超えるゲームクリエイター、メディア、パブッシャー等々が参加し、こちらも大盛り上がりとなった。
もぐらゲームスにとっても今回のTGSは、非常に多くの面白いゲームを見つけ、そしてクリエイターと直接話す機会となった。既に販売されているゲームも、開発中のゲームもあったが、今後色々な形で取り上げていきたいと思う。
今回紹介する『6180 the moon』も、TGSに出展されていたゲームだ。白黒のコントラストが非常に印象的なアクションゲームで、TGSの期間中にSteamでのダウンロードが開始された、公開されて間もないゲームだ。
触っていて気持ちのいいアクション
スクリーンショットからも分かる通り、白と黒のコントラストが非常に美しい。そしてぼやけている白と黒の境界が宇宙というテーマをよく表している。
このゲームの主人公は月だ。
画像の中の一文は、一番最初に月が言うセリフだ。
「何が起きたんだろう?太陽はどこに行ってしまったのかな…?」
そう、このゲームはいなくなってしまった太陽を月が探す物語。
ステージは月(moon)、地球(earth)、金星(Venus)、水星(Mercury)と太陽がどこにいったのかを探るために訪ねて旅をする。それぞれの星の位置関係を考えるとピンとくると思うが、どんどん太陽に近づいていくのだ……。
それぞれの星には10個ずつステージがあり、ゴールを目指す。
アクションは非常にシンプルで、基本的な操作はジャンプのみ。
一番最初のステージは月の1面。チュートリアルなのだが説明も非常にわかりやすい。
ところで、このジャンプが曲者だ。このゲームの舞台は宇宙なので普通のジャンプではない。ジャンプをすると基本的には一直線に飛んで行き、さらに画面の上と下がつながっているため、上にジャンプしたはずの月は反対の下側から現れる。
反対側の床にぶつかると反射して戻ってくる。
また、無重力中でのジャンプなのでただ直線方向の動きではなく、反対側から出てきた時にふわっとした不思議な動きが可能だ。この「ふわっ」とした動きが操作していて気持ちいい。
星を進めるごとにギミックは増えていく。
そして星ごとに背景色が若干変わる。
光を纏うと、一度だけジャンプの加速を止めることができるようになる
さてこのゲーム、1時間程度で意外とあっさりクリアできる。一度クリアすると終わりかと思いきや、そうではない。月の旅は続く。クリアまでは50面だが、用意されているのは全ステージ合わせると100面、つまり残り50面が残されているのだ。
ネタバレになってしまうので詳しくは書かないが、星を選ぶ場面でRキーかコントローラーのYボタンを押そう。新たな50個のステージが姿を現す。
徹底的に「静」な雰囲気の死にゲー
このゲームの真骨頂はアクションだが、それなりに失敗をすることになる。要は死にゲーなのだ。
もぐらゲームスでは今まで、『VVVVVV』などの死にゲーをいくつか取り上げてきた。
Steamで高評価の死にゲー『VVVVVV』がスマホに移植されてた
スマホ死にゲー『Sometimes You Die』で5秒に1回死んで見えてきたもの
幻想的な雰囲気なのに死にまくる。ゆるふわ死にゲー『Elemant4l』
トゲの形や上下のつながり、そしてその死にっぷりは確かに『VVVVVV』とも似ている。電子音のカッコイイBGMとともにテンポの良さが特徴的な『VVVVVV』に比べると、この『6180 the moon』は徹底的に「静」だ。
トゲにあたるとバラバラ抜くだけ散るが、心の中は不思議なほど落ち着いている。
TGSで体験版を展示していた制作者のTurtleCreamも「最初は『VVVVVV』に似てるとよく言われますが、プレイすると全然違うんです」とコメントしていたが、確かにプレイしているときの気持ちはワクワクとは違う。驚くほど全く逆だ。
落ち着いた雰囲気のBGMに、絵本のようなストーリーと、モノトーンのシックなグラフィックが映える。その組み合わせのレベルの高さは、エッシャーの絵のような不思議な世界でパズルを解いていくスマホ向けゲーム『Monument Valley』を想起させる完成度の高さだった。
幻想的なトロンプ・ルイユの谷で謎解きを。 トリックアート・パズルゲーム『Monument Valley』レビュー
『VVVVVV』や『Monument Valley』と対比しつつ、ぜひ堪能していただきたい一作だ。
※なお、日本語版がないため、ストーリーは英語しか表示されないが、ゲームをするだけならあまり重要ではないので、気にしなくて構わない。ただし、ストーリーを理解すると面白さは倍増するので、英語が読める人はぜひ読んでほしい。筆者は、絵本のような口調で月の言葉を訳しながらプレイしていた。
[基本情報]
タイトル 6180 the moon
制作者 Turtle Cream
クリア時間 2時間程度
対応OS win / mac
価格 398円(サントラ入りは598円)
備考 現在、言語は英語版のみ
ダウンロードはこちらから
Steam(win/mac)
http://store.steampowered.com/app/299660/