2DSTGが苦手な人にこそオススメしたい、ゆるくて熱いSTG『ネコネイビー』
私は2Dシューティングゲームが好きだ。
しかし一方で、2Dシューティングが苦手でもある。
『グラディウス』シリーズが好きだ。でも一度やられてパワーアップを失うとそこから挽回できずゲームオーバーになってしまう。『怒首領蜂』が好きだ。でも中盤以降の高密度の弾幕をドット単位で避けるのがいつまでも安定せずやられてしまう。『バトルガレッガ』が好きだ。でも攻略法を調べると「普通に敵を倒してはダメ」など独特の作法があることが分かって断念してしまった。
筆者にとって、2Dシューティングは難しすぎる。システムの理解とパターン構築のために限りない数のトライ&エラーをしなければならない。それだけならまだしも、動体視力や操作精度などの「人間性能」が高く求められる。
元々アーケードゲームだったので、何度もゲームオーバーになってもらうことを前提に調整をしているのだろう。もちろん、何度もコンティニューすればクリアはできる。が、そのようなゴリ押しのクリアでは本当の攻略とは言えない。しかしノーコンティニュークリアなど自分には不可能。ああ、自分でも攻略を楽しめるようなシューティングゲームが、欲しい。
そんななか出会ったのが、サークルデスモフモフの『ネコネイビー』だ。
『ネコネイビー』はシンプルでオーソドックスな横スクロールシューティングなのだが、なんと、このゲームはシューティング苦手な筆者でもちゃんと「ノーコンティニュクリア」ができたのだ。本記事では「シューティングゲームを苦手としている人にこそ遊んでもらいたいシューティング」として『ネコネイビー』の紹介をさせて頂きたい。
なお、このゲームは有料版の『ネコネイビー』とは別に、無料版の『コネコネイビー』が用意されている。両者の差は主に「コンティニューの有無」と「難易度選択の有無」だけのようだ。『コネコネイビー』でも最後まで普通に遊べ、隠し機体もゲットできる。どちらかというと「通常版と追加コンテンツ」に近い関係だ。なんと太っ腹。(※以下のレビューは『コネコネイビー』のものになります)
「ゆるい」そして「熱い」シューティング
最初に目に付くのがグラフィックだ。画面写真を見ての通りではあるが、手書き風の味のある絵で、「自機は猫」「大抵の敵には顔が付いていてゆるキャラっぽい」というゆるい世界設定となっている。小難しい世界設定が語られたりすることもないので、肩肘張らずに気軽に入れるはずだ。
↑かわいい。
だが、このゆるさは「手抜き」では決してない。各キャラクターはゆるゆるとアニメーションしているし、またゲーム中に使用されているフォントはおそらく作者の手書きであろう。
ゲーム自体もとても丁寧に作られている。まず、敵弾の視認性が良い。各種エフェクトや効果音もコダワリを感じる。ボスは複数パーツに分けられてダイナミックに動くし部位破壊もある。スコア表示が色分けされていて視認性を高めているなど、細かい点での気配りも見られる。
また、筆者はシューティングにあまり詳しくないが、それでも『怒首領蜂』や『バトルガレッガ』へのオマージュにいくつか気づいた。(また、他の方の感想でも様々なシューティングゲームへのオマージュを多数指摘されていた)
特筆すべきは「爆発」だ。筆者はシューティングゲームの最大の醍醐味を「破壊の快感」だと考えているのだが、『ネコネイビー』はその破壊がとても気持ちよい。撃つ、倒す、爆発。それを味わうだけでも楽しい。それはコダワリ抜かれた「爆発」のタマモノなのだ。(ここは百聞は一見にしかずなので是非動いているところをご覧頂きたい)
このように、ぱっと見ゆるいゲームではあるが、節々から熱さを感じるのだ。何よりもこのゲームの節々から「この作者はシューティングゲームが大好きなんだな」ということがすごく伝わってくる。
ゲームシステムも「ゆるい」かつ「熱い」
ゲームシステムは比較的シンプルだ。操作は移動に加えて、1種類のショットと、1種類のボムのみ。最低限の操作なのでとても入りやすい。
ボムは回数制限ではなく、ゲージを溜めて撃つ方式となっている。敵を倒すと出現する青色の「ネコアイテム」を取ることでゲージが増加し、ゲージが満タンになったらボムが撃てるようになる。
ボムゲージはすぐに溜まるので、ボムをガンガン撃っていける攻撃的なバランスになっている。ボム使用中は無敵になれるので「ヤバかったらとりあえずボム」のようなラフなプレイでも結構遊べる、ゆるいゲームシステムだ。
だが、上手くなってくるとボムの使い所が重要になってくる。ボムで敵弾や敵を破壊すると黄色の「スコアアイテム」が出現する。スコア1億点ごとに残機が増えるので、計画的なボムでスコアを稼ぐのはノーコンクリアの近道でもある。敵をまとめてやっつけたときのアイテムがジャラっと出る感覚は是非体験して頂きたい。
また、このゲームは「前に出ると有利」なゲームバランスになっているのも面白い。
正面に飛ぶメインショットは遠くまで届くのだが、上下に飛ぶサブショットは拡散してしまうし、また射程が短めになっている。なので後ろからちまちまと撃つよりも、思い切って敵に密着してしまう方が攻撃力が高くなる。
また、敵に密着して倒した際に「ブレイブショット」というボーナスが得られる。ブレイブショットが成立すると得られるスコアとネコアイテムが増えるので、ボムゲージ増加と1UPが早くなる。敵に近づくのはハイリスクだが、その分高いリターンが返ってくる熱いゲームシステムだ。
『ネコネイビー』をSTG苦手な人にオススメしたい理由
冒頭で「『ネコネイビー』はシューティングゲーム苦手な人にオススメしたい」と書いたが、それは決して「簡単なゲーム」だからではない。
精密な操作を強いられる場面が少ない
他のシューティングゲームと比べれば、弾幕の量はそこまで多くない。また自機の移動速度も速めなので、敵弾は大きく避けるのが基本だ。弾幕シューティングにありがちな「弾の隙間をドット単位で避ける」といった精密操作が必要な場面はこのゲームでは滅多にないだろう。
↑広範囲に撃ってくる敵も、ちゃんと中央を開けてくれてたりする。
殺られる前に殺るゲームである
もちろん、激しく攻撃してくる敵も多数いる。が、このゲームは敵に密着すれば高火力が出せるゲームである。ヤバい敵がいたら、その出現タイミングを覚えて密着して撃ち込めば撃たれる前に倒すことが可能だ。
ボムでの緊急回避やり放題
ボムが使い放題で、かつボム使用中は無敵になる。ヤバい場面を覚えておきそこでボムを使えば切り抜けられる。ボスも攻撃がゆるい時とヤバい時が交互に来るようになっているので、対策を練ればそこまで難しくないはずだ。
ワンミスがそこまで重くない
シューティングゲームにおいてボムは残機と同等の価値がある存在だが、ボムがストック製のシューティングの場合、ボムを沢山抱えたまま死んでしまうと大損失となってしまう。一方『ネコネイビー』はボムがゲージ制なのでそういった心配なく安心して死ぬことができる。また、1UPが頻繁に発生する(クリアまでに8回以上は1UPできる)のもあり、1回の死がそこまで重くない。
敵の出現パターンや場面ごとの攻略方法などをあれこれ工夫し、ボムの的確な使い所を把握していく。前に出るべき場面と下がるべき場面を覚える。スコアを効率良く稼ぐ方法を模索して1UPを沢山する。上手く立ち回ることができれば弾幕の隙間を抜けるような場面はほぼなくなるはずだ。動体視力や操作精度よりも、経験と工夫が重要なゲーム仕上がっている。
つまり、あなたでも「工夫の楽しさ」と「上達の楽しさ」が、そして「破壊の気持ちよさ」と「ジャラジャラの快感」が楽しめる、ゆるいけどしっかり熱い2Dシューティングゲーム。それが『ネコネイビー』だ。
[基本情報]
タイトル:ネコネイビー
制作者:サークルデスモフモフ
プレイ時間:エンディングまで約20分
動作環境:Windows
価格:1080円(無料版『コネコネイビー』もあり)