フリーホラーゲーム『FS』少女はさまよう、“見えざるモノ”の潜む地下鉄を。

アドベンチャー,フリーゲーム,ホラーゲーム

今回は、呪われた地下鉄が舞台となる新作フリーホラーゲーム『FS』を紹介。本作は2月20日、ゲーム製作者のarohaJ氏によってリリースされた作品だ。現在はBOOTHAndappにて、それぞれダウンロード版とブラウザ版が公開されている。

北千田高校に通う主人公の少女「黒賀根雪乃」はある日、友人の「有海美夏」と一緒に下校していた。帰り道に乗った地下鉄の電車の中で、彼女たちは眠りに落ちてしまう。そして目を覚ますと、薄暗い地下鉄駅に2人だけ残されてしまっていた。奇妙な雰囲気の地下鉄を不気味に思う二人だが、そこで、異形の存在に出会い……。

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制作者のPixivページに掲載されている雪乃と美夏のイラスト

本作の特徴的なゲームシステムとしては、地下鉄に存在する「見えざるモノ」を知覚することができる「回帰」のシステムだ。回帰を使用することで、本来見えない存在や、過去にその場所にいた人物の姿、そしてセーブ可能なポイントなどを見ることができる。

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このゲームには、「回帰」状態でのみ見えるものが存在する

一方で、回帰を使用すると、通常は見えない恐怖の存在を見ることもできてしまう。それら存在に触れてしまうとゲームオーバーとなってしまう。役に立つ存在が知覚できる反面、ネガティブな効果と向き合うことが重要になるのだ。

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地下鉄には、雪乃と美夏以外にも少女が迷い込んでいる。ゲームの序盤では、彼女らのうち誰か1人をパートナーにする機会がある。パートナーによってゲームの進行が異なるほか、それぞれ違った特殊能力を持っており、いずれもゲームを進める上で役立つものとなっている。たとえば美夏は危険を察知する能力を持っており、進もうとしている方向に異形の存在がいる場合に直感で教えてくれるのだ。

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危機察知能力を持つ美夏
 
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地下鉄にて雪乃と美夏が最初に出会う少女「桜井銀子」
 
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ある一室にて知り合う「金城秋名」

本作は「回帰」を使用することによって、セーブポイントだけでなく敵となる異形の存在が現れるというように、「ポジティブなもの」と「ネガティブなもの」が混在して出現するところにホラーゲームとしてのポイントがある。進行に役に立つものを見つけたいと思う一方、もしかしたら怪異の存在が見えてしまうかも知れない……。そんなジレンマを感じつつも、回帰を使用してゲームを進めていく。

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本来ならいない人がそこに……。

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執拗に追いかけてくる不気味な存在から逃げ切れ!

本作の想定プレイ時間は1時間から2時間ほど。作りこまれた薄暗い地下鉄のマップからも不気味な雰囲気を感じ取れる本作、短編ホラーゲームを楽しみたい人は、遊んでみてはいかがだろうか。

[基本情報]
タイトル『FS』
制作者 arohaJ
クリア時間 1~2時間
対応OS Windows/Mac
価格 無料

ダウンロードはこちらから
https://arohatoko.booth.pm/items/295180

ブラウザ版
http://fs-game.tkool.andapp.jp/

  • poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。