フリーホラーゲーム『ミオソティス』作りこまれた“音”の演出が巧みな恐怖の逃亡劇

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ホラーアドベンチャーゲームで、ポイントとなる要素といえば何が思い浮かぶだろうか?

たとえば「見るも恐ろしい存在に遭遇する」といった視覚的な恐怖は、まず挙げられるように思う。しかし、目には見えなくても、どこかから不気味な存在が忍び寄ったり、何かの拍子で聞こえてくる「音」も、視覚的に知覚できないからこそ、恐ろしいものであるかもしれない。

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そこで今回は、耳に聞こえる「音」の演出が非常に丁寧に作られたホラーゲーム『Myosotis -ミオソティス-』を紹介する。ゲーム内容としては、執拗に追いかけてくる怪物から逃げ回るというものになっており、『Efframai -エフレメイ-』や『ライトを消すだけの高時給な宿直』といった力作ホラゲを制作した夜雨ドッド氏の新作だ。

本作の主人公はとある少女。家の中のベッドから起き上がると、部屋には奇妙な雰囲気が漂っていた。目の前には埃の乗ったコーヒーや腐りかけたシチュー、そして植物に隠された紙切れに書かれた謎のメッセージ、少女は部屋の外へ出ようとするが、そこで……。

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異様な雰囲気の漂う部屋で目覚めた少女

このゲームでは作中にキャラクターの会話などは存在せず、ひとまずは少女を操作して家の中を探索することが目的となる。家の中には物置や写真、冷蔵庫や謎の薬の入った器材など、いったい何を意味しているのか分からないモノが存在する。それらを調べていくことで少しずつ自分が何をすれば分かっていくだろう。

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だが、探索は必ずしも悠長に行うことはできない。なぜなら家の中には謎の「怪物」のような存在が徘徊し、少女を執拗に付け狙っているからだ。この怪物が実際にどういった追跡をしてくるのかは、ぜひゲームをプレイして確かめてほしい。なお怪物に接触すると画面上の「注射」のゲージがどんどん少なくなっていき、これがゼロになるとゲームオーバーだ。

そしてもう1つ注目すべきは「音」の演出だ。本作における音は方向や距離感を表現したものとなっており、少女が歩いたり階段を登ったりすることで、それぞれ異なる音が耳に聞こえてくる。この演出は雰囲気作りとして非常に丁寧に作りこまれたものとなっているので、ぜひともヘッドフォンを付けてのプレイをお勧めしたい。

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怪物に接触しないように上手く逃げおおせよう

家の中を探索していくうちに、様々な情報が見つかっていく。これらをどう使うかもプレイヤーの考えに委ねられているので、怪物から逃げつつも、手に入れた情報を総合して何をすべきか思考しよう。なおゲーム開始時に難易度の選択を行うことができるため、追いかけ要素のようなアクションが苦手な人は易しめの難易度を選ぶのもいいだろう。

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ゲーム開始時には難易度も選択できる

本作のプレイ時間は20~30分程度となっている。序盤に情報をかき集め、そして後半ようやく「この状況はいったいなんなのか」を考察できるようになった頃に訪れるエンディングは、それまで体験していた「恐怖」とは全く別のものになるかもしれない。

作りこまれた音の演出やコンパクトにまとまったゲームシステム、そして物語の見せ方が秀逸な短編フリゲだったので、気になった方はぜひ時間の空いたときにプレイしてみてはいかがだろうか。

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[基本情報]
タイトル『Myosotis -ミオソティス-』
制作者 夜雨ドッド氏
クリア時間 20~30分
対応OS Windows
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/14156

  • poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。