影絵の街を”嵐のごとく”翔け抜けろ。タイムアタック・プラットフォーマー『ARASHI』プレビュー

アクション,インディーゲーム

image6
 
今回紹介する『ARASHI』はフランス・モンペリエのVFX専門大学校「ArtFX School」の学生チームの制作による2Dアクションゲーム。Unreal Engineを用いて制作されている。
2017年12月に開催されたフランス・トゥールーズでのゲームショーで公開されたのち、2018年2月よりitch.ioにてデモバージョンがダウンロード可能となっている。

ダッシュ&ジャンプをなめらかに使いこなせ

// ARTFX OFFICIEL // Jeu vidéo – Arashi – Trailer from ArtFX OFFICIEL on Vimeo.

『ARASHI』はサイバネティックな加速装置を用いたフリーランニングに挑む横スクロールアクションゲーム(プラットフォーマー)で、敵との戦闘や探索要素などの存在しない純然たるタイムアタックアクションとなっている。
穴に落ちる、壁に挟まれる等の場合は手前の地点に戻るのみでゲームオーバーは発生せず、ゴールに辿り着けばステージクリアとなり、タイムが記録される。
 
image1
 
ゲームコントローラ使用時は左スティックで移動、ボタンで2段まで可能なジャンプと空中ダッシュ、トリガーで地上ダッシュ(ラン)を行う。空中ダッシュは連続3回まで行うことができ、回数は画面右下の加速装置のエナジーランプで確認できる。往く手を阻む窓ガラスは空中ダッシュで体当たりすることで突破可能だ。
また、壁に張り付いた状態からジャンプボタンで壁蹴りを行い、高所へ登っていくことができる。
 
image9
 
加えて、地上ダッシュ状態からジャンプを行うことで、通常のジャンプよりも高く、爆ぜ上がるような加速のついた「スーパージャンプ」となる。スーパージャンプは「2段ジャンプしてから空中ダッシュ」といった動作と比べてスピーディに移動することができるため、是非マスターしたい。微細ながらも本作の操作感覚に大きく寄与している点として特筆しておきたいアクションだ。

時間を縮めるはタイムレコードのみにあらず

image3
 
装備している加速装置には時間制御の機能も存在している。5秒間のスローモーションを発動できるほか、地上ダッシュボタンとの組み合わせでエナジーランプをひとつ消費してより強力な時間停止(フリーズ)を発動することもできる。
 
image4
 
時間制御が解禁されてからは、ONになっている時間が極端に短いスイッチや、高速で市街を走る列車が登場する。スイッチを入れてもすぐに閉じてしまうドアロックを潜り抜けなければならない場合や、猛スピードで走る列車へ合間を縫って飛び乗る場合など、スローモーションやフリーズなどの時間制御を活用する必要が出てくるだろう。

都市と自然の狭間のメトッド・ナチュレル

image8
 
ネオンとシンセサイザーに彩られたサイバーパンク的なビジュアル・サウンドも本作の魅力のひとつといえる。
ストーリーを示唆する文章こそないものの、煌びやかだが自然の失われた近未来都市で、高層ビルの上にただ一本たたずむ桜の木を目指し、女性がサイバネティックな加速装置を用いたフリーランニングに挑むというビジュアルは物語を感じさせるのに十分だ。
ステージが進むごとに目的地である桜の木がより近くに見えてくるのも心憎い。
 
image5
 
一度クリアしたステージを再プレイする際には、最速タイムの動きをトレースするゴーストが出現し、それまでの自分の記録と比較をしながらステージを進めることができる。
また、ステージによっては複数のルートが存在している場合もあり、シンプルながらも最速タイムを模索する楽しさが感じられる作品となっている。
己を鍛え記録を突き詰めることに情熱を燃やすパルクール精神の持ち主の方にオススメといえるだろう。
 
image2
 
現在は学生プロジェクトとしてデモ版が公開されている本作だが、アートを総括したGuilhem Desbrousses氏を中心に開発スタジオ「Smiling Crook Studio」を設立し、2019年に『ARASHI』の正式リリースを目指すとしている。本作の今後の動向についても注目したい。

[基本情報]
タイトル: ARASHI
制作者: ArtFX School OniTeam
クリア時間:  20分~
対応OS: Windows
価格: 無料(デモ版)

↓ダウンロードはこちらから
https://artfx-school.itch.io/arashi

  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。