「ゲームマーケット2014秋」直前!初心者にもおすすめのアナログゲーム特集

アナログゲーム,カードゲーム,ボードゲーム

ついに2週間後に迫った「ゲームマーケット2014 秋」。「ゲームマーケット」は、ボードゲーム・カードゲームをはじめとしたアナログゲーム(非電源ゲームとも呼ばれる)のイべントだ。2000年に開始され、現在では東京で年2回、大阪で年1回開催される大イベントとなっている。また、2013年からは開催規模の拡大にあわせ、東京の会場は東京ビッグサイトに移転されている。

今回の記事では、2014年11月16日の「ゲームマーケット2014秋」開催に合わせ、初心者にもおすすめできる注目ゲームをいくつか紹介する。もちろん、分量の都合などで今回取り上げられないものもあり、他のゲームも意欲的なゲーム揃いだ。会場に足を運べる方は、是非その目で確かめてみてほしい。

交渉と恐喝のカードゲーム『ギャングスターパラダイス』

image05

『ギャングスターパラダイス』。ギャングの抗争を世界観とした、交渉と恐喝のカードゲームだ。広島で開かれているクリエイターのための私塾、「広島ものづくりジム」のゲームデザイナー、開真氏の作品。プレイヤーは武器を買い、手下を雇いながらギャングのトップを目指す。このゲーム最大の特徴が、武器などによる交渉や恐喝を自由にしてよいところだ。弾がないのに銃をちらつかせて脅して相手の武器を捨てさせたりと、ブラフも重要な勝利の鍵となる。
「ゲームマーケット2014秋」では、新装版ギャングスターパラダイスが発売される。こちらは印刷等のクオリティ向上が図られているほか、新仕様のカードなどが追加されている。待望の新版だ。(Noah)

ギャングスターパラダイス 公式サイト

たった16枚のカードがこんなに面白い『LoveLetter』

image03

2014年のドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされたのがこちらの『Love Letter(ラブレター)』。元々は「500円ゲームズ」という企画から生まれた作品で、その名の通り500円で楽しめるゲームというコンセプトで生まれた作品だ(製品版は1,850円。パッケージやデザインなどが値段に見合うぶんだけグレードアップしている)。「姫」「将軍」「騎士」「僧侶」などなどの職業がそれぞれ特殊効果を持っており、その特殊効果を駆使しながらうまく勝利を目指すゲームだ。「たった16枚のカードが織りなす遊びがこんなに面白いとは……」と思わず楽しみながらも感嘆してしまう作品に仕上がっている。1ゲーム5分程度と気軽に遊べるゲームで、友達と集まった時などに最初にやるゲームとしてもオススメだ。(Noah)

ラブレター 公式サイト(アークライトゲームズ様)

ゴリラとゴリラと、ときどきバナナ。『ゴリティア』

image06

昨年は冒険企画局とのタッグで『シェフィ』をリリースしたゲームデザイナー、ポーン氏の新作。紹介ページによると、勝利条件にして消費者にして土台にして哲学にして資源にして行動者たるゴリラをピラミッド状に積み上げる一人用カードゲームらしい。皆さん、どんなゲームなのか分かりましたね?(分かりません)
共同デザイナーには『惨劇RoopeR』『OWACON』のBakaFire Partyと『ダンジョン・オブ・マンダム』『ヴォーパルス』のI was gameを迎え、珠玉のゴリライラストやカードデザインは『ふしぎの城のヘレン』のさつ氏……とそうそうたる顔ぶれが並ぶ。
そんなこんなで、前評判からして期待の高まる本作。きっと奥深く野生的でバナナでゴリラなゲームを体験させてくれるに違いない。(水原由紀)

ゴリティア (ステッパーズ・ストップ様)

手札のマークしか描いちゃダメ!『スタンプグラフィティ』

image01

ゲームマーケット2014大阪にて大好評を博したのが『スタンプグラフィティ』。ボードに絵を描いて当てるゲームといえば、ファミリーでもパーティーでも定番のゲームとして幾つか知られている。本作は、そこにもうひとひねり入った作品といえる。プレイヤーは絵を描く時に、自分の手札の中にあるマークしか描いてはいけないのだ!「D」のようなマークや、「| |」というような2本線などをうまく組み合わせながらお題としている絵をうまく描いて当ててもらうというゲームで、縛りがある中でのもどかしい当てっこが盛り上がること間違いなしの一作だ。(Noah)

スタンプグラフィティ公式サイト(ちゃがちゃがゲームズ様)

協力型ゲーム&トリックテイキング!『オツカイフクロウの苦労話』

image08

3人用カードゲーム、『オツカイフクロウの苦労話』。プレイヤーは使い魔のフクロウとなってお使いをこなしていく。システム的には、手札から属性カードを出しつつ、場にある得点カードを獲得していくというシンプルなものだ。いかに全体で高い得点を出せるかを記録する協力型ゲームであることが特徴の一つ。友人が3人集まったら、定期的にどれだけ得点が出せるのか、チームワークとその日の運を試してみてはどうだろう。トリックテイキングと呼ばれる伝統的なゲームルールも利用され、奥深いゲームに仕上がっている。ゲームマーケット2014春では、早々に売り切れとなっていた作品。夜の闇を思わせるイラストも味わい深い作品だ。(Noah)

オツカイフクロウの苦労話 (梟老堂様)

ヤ○ザのプライドを持ってプレイ!『上座~KAMIZA~』

image02

盤遊会という国内最大規模のYAKUZA組織の会長が死亡したことに端を発する『次期会長の座を争う幹部たちの抗争』をテーマとしたという『上座~KAMIZA~』。「YAKUZAをテーマにしたバッティングゲーム」というコンセプトのままに、カードを出すときに任侠っぽいセリフを言うロールプレイが付いているのが特徴。「けど、ロールプレイとか得意じゃないし……」という方にも安心、カードごとに手札から出すときに言うべきセリフが付いているようなので、初心者も気軽に楽しめるように様々な配慮がされている。「本当は鉄砲玉なのに警察のふりをする」、「組長なのに若頭や鉄砲玉のふりをする」など、ロールプレイによってブラフをかますこともできるというのはシステム上よく考えられたポイントだ。圧倒的にカッコイイPVもあるので、こちらを見つつ期待に胸をふくらませてみては如何?(Noah)

上座~KAMIZA~ (オサブラゲームズ様)

「超ホウキ的」トリックテイク!『とりっく&でざーと』

image00

Table Games in the Worldのゲームマーケット2014春:新作評価アンケートにて3位にランクインしたゲーム『ぺクーニア』を制作したサークル「操られ人形館」の新作。こちらは上記で紹介している『オツカイフクロウの苦労話』のような、トリックテイクのゲームとなっている。新作のゲームということで詳しいプレイ感をお伝えできないのが惜しいが、サークル公式ページの遊び方のページからはゲームの雰囲気が存分に伝わってくるので、是非見ていただきたい。当日は試遊卓もあるとのことで、実際に遊んでみるとより雰囲気を楽しめそうだ。
本サークルは2005年から活動を開始、いままでに10数タイトルもの作品をリリースしてきた。最近では2008年に発表したカードゲーム『The Majority』の国際版を販売することを目的としたクラウドファンディングがニンジャスターゲームズにより実施され、見事成功している。
『とりっく&でざーと』は、そんな世界からも注目されるサークルが新たに生み出す完全新作のゲームと言うことで、今回のゲームマーケットでぜひチェックしたいタイトルのひとつだ。(poroLogue)

とりっく&でざーと(操られ人形館様)

Oinkgamesの新作に期待高まる『海底探検』

最近はスマートフォンアプリ『MUJO』をリリースしたOinkgames。彼らがデザインするアナログゲーム作品はどれもゲームシステムや見た目がシンプルで美しい。今回の新作『海底探検』がどんなゲームなのか……今回も期待が高まる新作の詳細が分かり次第本ページを更新したい。(Noah)

Oink games様公式サイト

「ちょうどいい」は意外と難しい?『L-TILES』

サークル『ゲームNOWA』による陣取りゲーム『L-TILES』。自身の担当色2つと相手の担当色1つがL字型になった手持ちタイルを1辺以上が接するように繋げ、連続した枚数で点数を獲得していくシンプルなゲームだ。しかし、ただ繋げればよい訳ではなく、繋げすぎると減点~無得点になってしまうので、相手が自分の担当色を繋げてくるという妨害を考慮しながら“ちょうどいい”大きさにしていくバランス感覚がものを言う。誰でも簡単に楽しめる作品ながら存分にジレンマが味わえるゲーム性は見事だ。
ゲームマーケット2014秋では新たに「壁」「ブランク」「カメレオン」「ブロック-2」という4種類のタイルが入った拡張セットが発売される。更に戦略が広がること間違いなし。(おこげ)

『L-TILES』(ゲームNOWA様)

ファンの熱い想いで復刻『パニックハイスクール』

1991年に制作されたカードゲーム『パニックハイスクール』。20余年の歳月が流れた今、このゲームがファンの手によってリメイクされるという。「サークル仲間や部活仲間を手駒に使って闘争に勝ち抜き、生徒会長になって予算を自由自在に操作する」との世界観で、ゲームバランスに多少の調整を加えた上でほぼ当時のゲーム感のまま復刻されるとのことだ。筆者が感銘を受けたのは、このゲームを20余年もの間大好きで遊んでこられたという方が、今回制作者に直接許可をとった上でリメイク版の作成をしたということだ。なんと、そのプレイ回数は1,000回を超えているとか……。
残念ながらゲームマーケット2014秋での取り置き依頼はすでに受付を終了しているが、会場で見かけたら熱い想いを感じてみるのはどうだろうか。筆者自身ももし遊ぶ機会があれば、そのプレイ感を確かめてみたいところだ。このようなアツい想いを持っている方も多数出展しており、それこそがゲームマーケットの醍醐味ではないだろうか?下記にそのアツさがうかがい知れるブログをリンクしておくので、是非チェックしてみていただきたい。

パニックハイスクール

大人数で盛り上がれる『犯人は踊る』

image07

もぐらゲームスでは10月に「アナログゲーム会」というイベントを行った。そこで繰り返し遊ばれていたのがこの『犯人は踊る』だ。ゲームとしては、一人だけ紛れている犯人を、探偵カードで捕まえるというもの。シンプルなように見えるが、特殊効果のあるカードで犯人はどんどん変化していくし、中には「犯人が逃げおおせると自分に有利になる」という効果をもったカードもあり、状況はどんどん混沌に満ちていく……。6人以上の大人数でやると、非常に盛り上がること間違いなしだ。なお、制作されている鍋野企画では、ゲームマーケット2014で新作『ひつじ算』も販売予定とのこと。(Noah)

犯人は踊る (鍋野企画様)

きのこ・たけのこが血で血を洗う『オカシノビ』

image04

「お菓子の国で暗躍する忍者達の二大勢力である、きのこ派とたけのこ派の争いとそれに巻き込まれた中立派の戦いを描いたゲーム」とのこと。ざっくり言えば暗号を用いて陣営を推理し、『賭博黙示録カイジ』でお馴染みの方もいるかもしれない「限定ジャンケン(グーチョキパーはそれぞれ手札として表現され、手札がなくなるとその手を出せなくなる)」のようなシステムで戦闘をしつつ、特殊能力をもったカードをうまく使う……というようなゲームだ。制作サークルのアルハラシステムズでは、この他にも酒を飲ませまくって吐かせるカードゲーム『オトーリバース』や、焼き肉バトルを描いた『ビバニク』といった、コンセプトが非常に尖ったゲームを出しており、今回も楽しみだ。

酒を押し付け吐かせるカードゲーム『オトーリバース』。クラウドファンディングで再販&新作資金募集中

先日記事として紹介したが、無事に制作のためのクラウドファンディングでの資金調達も完了している。(Noah)

オカシノビ(アルハラシステムズ様)

ここまで紹介してきたゲームは、どれも前評判の高いゲームばかりだ。他にも紹介したいゲームはいくつかあるが、紙面の都合に加え、在庫の関係もありここで紹介するのを控えさせて頂いたゲームもある。また、新作の作品よりも、プレイ感の分かる既に期待度の高い作品の紹介を重視した。もし会場に実際に足を運べる方は、事前にゲームマーケットの公式ページやカタログなどで出展するゲームを確認してみることをおすすめしたい。予約によって取り置きをしてくれる制作サークルもある。

アナログゲーム(非電源ゲーム)は、初心者でも親しみやすいばかりではなく、ゲームメカニクスが剥き出しで制作者の創意工夫が強く見て取れるゲームが多いのが特徴のひとつだ。また、実際に手に取った時のリアルな感触もゲームの楽しみ方に彩りを提供している。

ぜひこの一大イベントの機会にアナログゲームに詳しくなってみては如何だろうか。

  • Noah(@powerofgamesorg

    通称のあP。「もぐらゲームス」エグゼクティブプロデューサー&共同編集長。ゲームをする人。「ゲームのちからで世界を変えよう会議」の中の人。経営戦略(ゲーム産業)と金融が一応専門分野。 MMORPG「リネージュ」の元プレイヤー(8年ぐらい、10,000時間ほどプレイ)。長らく一つのゲームをやりこむ派でしたが、最近は雑食気味にいろんなゲームをプレイしています。思い出に残っているゲームはリネージュ、ティアリングサーガ、勇者のくせになまいきだ。or2など

  • poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。

  • おこげ(@orokoge

    デジタルゲームで一番プレイしたのは『ワールド・ネバーランド』初期2作。現在はゆるふわボードゲーマーとして僻地高知でマンガをメインに雑多な趣味で広く浅く活動中。

  • 水原由紀(@mizuharayuki

    読みは「みずはらゆき」。ゲーム業界のはしっこに勤めつつ、色々書いてます。思い入れの強いゲームは初代『.hack//』や『風ノ旅ビト』、『Dear Esther』『ゆめにっき』『Ruina 廃都の物語』などなど。2015年マイベストははむすたさんの『ざくざくアクターズ』。美学と工学の交差するゲームを求め、今日も片道切符。Narrative関係勉強中。