定番!おすすめフリーゲームRPG作品13選
フリーゲームやインディゲームの中でも、RPGは数々の名作を生み出してきたジャンルだ。しかし、ニコニコ動画やYoutubeなどで行われているゲーム実況では、どちらかというと、謎解きや探索で魅せるようなアドベンチャーゲームの方が多い印象がある(RPGツクールやWOLF RPGエディターなど、「RPG」を冠するソフトで作られているのにもかかわらず)。
実況であまり大作RPGがプレイされることがないのは、その重厚さゆえにややプレイ時間が長いからということがあるのかもしれない。しかし、フリーゲームには、そのプレイ時間中ずっと楽しませてくれるような、名作RPGがいくつも存在する。魅力的なストーリーや、個性的なゲームシステム、惹きつけられるキャラクター……これらのゲームを楽しまないのは非常にもったいない!というわけで今回は、「定番」あるいは「名作」と呼ばれるようなRPGフリーゲームを紹介していこう。
Ruina 廃都の物語
2008年末にリリースされ、そのまま第4回ふりーむ!ゲームコンテストにて最優秀賞を受賞した『Ruina 廃都の物語』。既に数年前の作品となった本作だが、今なお高い人気を誇り、男女を問わず幅広い層から支持を得ている文字通りの名作だ。
そんな『Ruina』はゲームブックやTRPGを基に作られており、フィールド移動をほぼ排した探索システムは快適でありつつ濃いプレイ体験を可能としている。他にも数多く登場するキャラクターたちとのやり取りやかけ合い、主人公の出生を選ぶキャラメイキング的な要素も忘れてはならないだろう。それぞれ能力や性格に強い個性があり、誰と一緒に/どの主人公で冒険するか迷ってしまうくらい。
また、作者の確かな文章力と広範な知識、重厚な世界観に裏打ちされたテキストとストーリー(とネタ要素)は大きな魅力のひとつ。ことテキストに関しては数あるフリーゲームの中でも随一と言っていいくらいだ。さあ、その広大かつ緻密な世界と物語に身を投じよう。
(水原由紀)
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帽子世界
昨年開催されたユーザー投票型のフリーゲームコンテスト「フリゲ2013~あなたが選ぶ今年のベストフリーゲーム~」にて、1位に選ばれたフリーゲームの大作RPG。女性ユーザーからも人気の高い可愛いキャラクターが多く登場する一方で、進めるごとにシリアスな様相を見せる物語も見逃せない。そしてコンシューマゲームの名作sagaシリーズを思いだすような豪華な連携技が乱れ飛ぶバトルも魅力だ。
本作にはメインストーリーだけでなく上級者向けの隠しボスも用意されており、ストーリーを楽しみたい人からやりこみたい人まで幅広く遊べるRPGとなっている。現在は要素追加版の開発も進行中との事で、そちらの完成も楽しみだ。
(poroLogue)
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イストワール
イストワールは、2004年にver2.0がリリースされて以降、多くのフリーゲーム好きに長らく遊ばれてきた名作だ。そんな本作は、広大なフィールドマップを歩き回り、アイテムを手に入れ、そして世界の謎を解く…という、まるで宝探しのようなゲームとなっている。
RPGとしては、レベル上げをして地道にクリアしていく…というよりは、ダンジョンを探索することで強力なアイテムを入手し、その力で敵を倒していくという進め方が有効になっている。プレイ時間としては20時間ほどかかる重厚な中編だが、じっくりと作品世界を探索し、そして秘められた謎を解明していく楽しみを思い出したいプレイヤーはぜひ遊んでみてほしい。
またフリーゲームでは、イストワールのように世界の隅々まで歩き倒すRPGとは真逆に、フィールドマップが存在せず、RPGにおけるリソースの取捨選択にフォーカスした「ノンフィールドRPG」も人気ジャンルのひとつとなっている。もぐらゲームスでも以前に紹介した『ロードライト・フェイス』はまさにそういったゲームなので、興味を持った人はそちらもプレイしてほしい。
(poroLogue)
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ふしぎの城のヘレン
ふしぎの城のヘレンが発表されたとき、ランダム要素を取り除き極限まで洗練された戦闘システムが、プレイヤーのみならず多くのRPG製作者を驚愕させた…、ということは記憶に新しい。そんな驚異的な完成度を誇る本作は、まさに短編フリゲの傑作といっても差し支えない作品。筆者もプレイヤーの一人として、RPG好きにゲームを勧めるとしたら、ひとつは迷わず本作を挙げたい。
5時間ほどのプレイ時間にRPGのエッセンスをギュッと詰め込んだのも見事の一言で、フィールドマップの中で活き活きと動く主人公ヘレンのドットイラストも細かいながら魅力のひとつだ。作者の方の過去作には2Dダンジョン型のRPG『愛はさだめ、さだめは死』もあり、こちらもRPG好きならば試行錯誤して楽しめる作品となっている。
本作は英語版も発表されており、インディーゲームのダウンロードサイト「PLAYISM」にて、英語版の開発に伴うオマケ要素が追加された有料版『ふしぎの城のヘレン+』が配信されている。一度クリアした方も、これを機会にプレイしてみてはいかがだろうか。(poroLogue)
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魔王物語物語
2014年9月に小説化もされた人気フリーゲームRPG。キャラクターたちの「日記」を読むことで、仲間の背景や世界設定を知っていく…という「多くを語らない」という物語性から多数のプレイヤーに衝撃を与えたと思われる名作。
未完の小説「魔王物語」の結末を見つけるため、とある島の中を探索する主人公「ヒマリ」。仲間たちとの冒険を経て、しだいに明らかになっていく「魔王物語」の秘密。そしてラストシーンに至る流れは、プレイヤーの間でいまもなお語り継がれる名場面尽くしとなっている。特殊なエンカウントシステムが採用されたRPGとしても手ごたえがあり、シナリオとシステムの両面からゲームを味わいたい人にオススメのゲームだ。
なお『魔王物語物語』の製作サークル「カタテマ」の6年ぶりの新作ゲーム『ムラサキ』も先日リリースされている。もぐらゲームスではこちらも紹介してきたので、合わせてプレイしてみてほしい。
(poroLogue)
『魔王物語物語』『いりす症候群!』のカタテマから6年ぶりの完全新作が登場。連鎖爆発パズル物理アクション+弾幕ゲー、その名も『ムラサキ』!
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らんだむダンジョン
フリゲ2010にて堂々一位を獲得した、かなりの知名度を誇る作品。「おすすめのフリゲなんかない?」と話題を振れば「とりあえずらんだむダンジョン」と返ってくるとかなんとか。
本作は従来のRPGにお手軽なアイテム収集や財宝探索を掛け合わせたゲームで、戦闘・アイテム収集・ストーリー進行がとにかくテンポよくサクサク進む。もちろんそれぞれの要素が薄いということはなく、やり込みやコレクション要素も豊富で、ハイカロリー気味なRPGを求めている人でも満足できるだけの密度・ボリュームをも兼ね備えている。
また、キャラクターの大半がツクールのデフォ素材で構成されているにも関わらず、それぞれの個性がきっちりしっかり立っているのも見どころ。アイテムについている「解説文」もポイントで、かなりの量のテキストや奥行きのある設定が全てのアイテムに付随しているという凝りっぷり。日がな一日コレクションしたアイテムのそれを読んでいるだけで楽しい。
上記に挙げた「快適」「スムーズ」と「濃厚」「ボリュームたっぷり」な要素があいまって、あまりの中毒性と熱中度の高さに土日が消滅すること請け合いの一作だ。ちなみに作者であるはむすた氏の新作『ざくざくアクターズ』も開発が進行中なので、そちらも要チェック。
(水原由紀)
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Hero and Daughter
7月の公開依頼、ふりーむ!で2014年一番ダウンロードされたであろう人気RPG。レベル1になってしまった勇者が魔王を倒すという設定。らんだむダンジョンと同じく、ダンジョンに潜ってアイテムを集めたり、敵をサクサクと倒していくハクスラだ。
最大の特徴は「女の子召喚システム」。一緒に冒険するのは魔女っ子やツンデレなど性格も見た目もスキルも多彩なの女の子たちだ。ギャルゲー的にどの女の子と冒険しようか選んでしまう。それゆえ非常にとっつきやすく仕上がっている。ハクスラ風のゲームをプレイしたことのない方も楽しめること間違いなし。作者はキャラやアイテム等の追加など細かなアップデートを公開以来ほぼ毎週繰り返しており、プレイしながらどんどん要素が増えていくゲームになっていることもプレイする楽しみの一つ。コンシューマー機のDLCにも劣らないアップデートを楽しみながら、女の子たちとの冒険(とコミュニケーション)を楽しもう!
(すんくぼ)
レベル1の勇者がハーレムなメンバーと一緒に戦う『Hero and Daughter』をプレイしてハクスラについて考える
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Seraphic Blue
Seraphic Blueは、総プレイ50時間を超える長編RPG…といきなり書いてしまうと、スマホ向けの短編作品が流行している昨今では、もしかすると身構えてしまう人も多いかもしれない。
しかし、あえて最初にこういった書き方をしたのは、とてつもなく長い時間をかけて真摯に描かれる「人間とは何か?生きるとは何か?」という本作のテーマは、あくまで自分のゲーム体験の中では他に類を見なかったからだ。この作品は、社会派小説をゲームという形に翻訳しようとした実験、といっても過言ではないと思う。
「悪魔狩り」を生業とする粗暴な孤児の青年「レイク」が、空から現れた女性天使「ヴェーネ」と出会い、自分の目に映る世界に何を見出したのか…。ゲームとはもちろん「面白いもの、楽しいもの」だが、この作品はゲームとしての「面白さ」を持つとともに、自分の中に新しい価値観を見出すような「一線を越えた物語体験」を持っていると感じた。ゲームに対してそういった「深み」を求めるプレイヤーは、ぜひともこの作品の結末を見届けてほしい。
(poroLogue)
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夜明けの口笛吹き
WllWMIIlMMW……本作『夜明けの口笛吹き』は2003年に公開された電波系デフォ戦RPG(作者談)。既に10年以上の歳月を経ているものの、世界の最下層で目覚めた主人公が目的も分からぬまま世界の最上層を目指して旅をするという本作のストーリーや、「哲学的」とも「電波」とも評されたテキストの魅力は未だに色褪せない。特に終盤付近のプログレッシヴな展開は必見。
また、なかなか珍しいことに、登場する楽曲の大半がオリジナルの自作MIDI音源となっている。余談ながら作者の奥山キイチ氏はkiichi名義でボカロPとして活躍していたり、現在は「ふりーむ!」上で音素材を公開していたり……と、タイトルといいネーミングといい音楽にこだわりの強い方なので、そちらを色々聴き比べてみるのも楽しいかもしれない。
(水原由紀)
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OFF
本作『OFF』は珍しいことに海外(ベルギー)からの作品。2007年にフランス語でリリースされた後2011年には英訳、そして2014年8月には有志による日本語訳がなされている。数々のメタ発言や奇妙なBGM、難解な設定、そして何よりペンによる手描き調のアートワークが特徴。その独特で不気味な世界観に魅せられた人々も数多く、英語圏では爆発的な人気を誇っている。『OFF GAME』あたりでGoogle画像検索をかけてみるといい。凄まじい量のファンアートを目の当たりにできるだろう。
RPGツクール製の作品としては異色の経歴を持つ『OFF』。本作のエキセントリックでネジの一本飛んだ世界に、頭からつま先まで浸かってみてはいかが?
(水原由紀)
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タオルケットをもう一度シリーズ
知る人ぞ知る……どころではなくなってしまった『タオルケットをもう一度』シリーズ。コンテストパークで賞を獲得したシリーズ第一作目の「3」や時空を超えた壮大な旅を描く三作目「1」、そして総決算的な四作目「4」に数多くのスピンアウト作品(『笑う、わらわぅ』や『夜の海でお月様を釣る』etc)と、充実のラインナップ。「1」はノベライズまでされている
。
そんな本シリーズの最大の特徴はふわふわしてかわいいグラフィックとグロテスクでダークな展開のギャップ。それが遺憾なく発揮された二作目『タオルケットをもう一度2』のストーリー展開は、フリーゲームファンの間ではもはや語り草であろう。
他にも、RPGにつきものの「戦闘」を演出やストーリー展開のための要素と位置づけてゲームに組みこんだ結果、シリーズが進むにつれて戦闘要素に比べビジュアルやシナリオが全面に押し出された作品になっていった……という経緯もなかなか面白い。昨今のシナリオやアートワーク・ドリヴンなゲームをフリーゲーム界隈で先取りしていたと言えるかもしれない一作だ。新作も準備中とのことなので、全てプレイ済みの人も期待して待っていよう。
(水原由紀)
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(※1作目は『タオルケットをもう一度3』)
『LiEat』シリーズ
『LiEat』は、ゲーム実況でも多くのユーザーから人気を集めたアドベンチャーゲーム『Alice Mare』の製作者の最新作だ。詐欺師の青年「レオ」と、嘘を食べるドラゴンの少女「エフィーナ」が旅する先で事件に巻き込まれる物語で、RPGというよりはアドベンチャーに近いゲームとなっている。2014年4月末から8月にかけて全3部作の連作として発表されたゲームで、1話あたり2時間ほどの短編。1作目は公開後なんと3日程でファンによる翻訳が行われたという注目作だ。
戦闘パートはあるものの、それ以外のアドベンチャー要素が強い作品であり、キャラクターたちの掛け合いと「嘘を食べて事件の真実を見抜く」というシステムが特徴的。作者の方は絵作品を多く手がけてきたイラストレーターで、作りこまれたグラフィック、世界観はさすがの一作と言わざるを得ない。もぐらゲームスでは、これまでにも『LiEat』を特集してきたので、こちらも合わせて読んで頂きたい。
(poroLogue)
人気ADV『Alice mare』の制作者が贈る新作フリーゲーム 『LiEat-嘘喰いドラゴンと朱色の吸血鬼-』
フリーゲームを「連載する」とは?特集『LiEat』夏休みに遊びたい短篇集
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(※1作目は『LiEat -嘘喰いドラゴンと朱色の吸血鬼-』)
召喚指揮候補生
最後に紹介するのは、2014年(つまり今年!)にリリースされた『召喚指揮候補生』。ウディコンことWOLF RPGエディターコンテストの第6回総合2位を獲得した「RPG+ADV+SLG」だ。ちなみに同制作チームの前作『帝国魔導院決闘科』は第5回ウディコンの総合1位と、相当な実力派であることがうかがえる。
そんな実力派の名に違わず、前作をより先鋭化させたような「敵の行動を予測する後出しジャンケン」とでも言うべき戦闘システムの手触りの良さと爽快感、そして鮮やかな伏線回収に彩られた熱いストーリーは流石の一言。さらに本作に登場する40名以上のキャラクターには個別のイラストとショートストーリーが用意されており、そこに加えて多数のオリジナルBGMまで……と、システム・シナリオ・ビジュアル・サウンド・演出と、どれを取っても高い完成度を誇る。2014年に出たフリーゲームの中でも、かなりの出来となった一作ではなかろうか。そんな本作をぜひとも手に取って頂きたい。
それと最後にひとつ。公式サイトにもあるキャッチコピー『なるべくいろんな人と仲良くなりましょうね』の意味は、ラストまでプレイしてその目と手と耳で確かめよう。単なるゲーム内のコマンドやユニットとしての枠を超えて、あなたに届くモノがきっとあるはずだ。それでは、拝承!
(水原由紀)
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