3人の子供の友達100人作れるかな大冒険!長編”見守り”RPG「ミマモロール!」
おめでとうございます!
アナタは今日から3人の子供たちのママになりました!
子供たちは友達を100人作るための冒険に出ようとしています!
親の立場からその様子を見守ってまいりましょう!
……という感じのストーリーと共に始まるのが今回紹介する、その名も『ミマモロール!』です。RPGアツマールにて開催されている「ゲームクリエイターズキャンプ -2nd season-」参加作品で2019年2月3日、ブラウザ版として公開。当初は本編の前半部分のみ遊べる内容でしたが、2020年5月1日のアップデートで後編が追加され、完全版となりました。また、これに併せてフリーゲーム配信サイト「ふりーむ!」でPCダウンロード版の配信も開始されています。
なお、本題に入る前にひとつ。
3人の子供たちは皆、男の子です!
そういうことですので、よろしくお願いします!
友達100人作ろうRPG!友達できれば強くなる!
本作は様々なエリアを探索し、時に敵さんと戦いながら進めていくロールプレイングゲーム(RPG)。またの名を友情と絶望のショタっ子長編探索RPG。公称です。
舞台となるのは「ゴルトオール」と呼ばれる砂漠の王国。この城下町を拠点に「魔女のゆりかご」と呼ばれるワープポイントから様々なエリアへ向かい、課題こと「クエスト」を攻略しながら進めていきます。
最終目標は冒頭の通りです。友達100人作っちゃおう!
作り方は簡単。城下町やエリアなど、行く先々で出会う人々に話しかけるだけです。たったそれだけで”あっ”という間に作れてしまいます。なんて優しい世界なのでしょう。ですが、皆が皆、そうとは限りません。中には心を開いてくれない人もいらっしゃられます。そういう人と関係を作る際はクエストを攻略したり、時には拳と拳をぶつけ合うことになります。要は戦闘です。
友達を作りますと「ステータスポイント」が手に入ります。大事なことなので2回繰り返します。本作では敵と戦っても経験値を得られません。戦闘に勝利しても経験値はゼロです。手に入るのは敵が落としたアイテム、お金の2つだけです。
代わりに友達を作った時に得られるポイントで3人を強くしていきます。ですから、友達を作らないと弱いままなのです。貧弱貧弱なのです。小さい「ウ」が抜けてますよ、と申されても知ったこっちゃありません。
そんな訳で育て方が他のRPGとは一味違うものになっています。一応、レベルの概念はあって、上がればポイントを割り振る以上の強化が行われます。しかし、上げるための条件というのが、拠点の自宅にある「ママの遺産ショップ」で販売されている専用アイテムを買うこと。
つまりは金を払うのです。生々しいです。また、高額ゆえにレベルの最大値も低いです。たった5です。しかし、相応に強化した際の恩恵は大きいです。なので、友達を作って基礎性能を上げながら、ここぞという時にアイテムを買って引き上げる。
大変特殊な作りをしているのが想像できるかと思います。
そして、特殊なのはこれに限りません。戦闘もまた然り。基本は素早さ(敏捷性)の高い順から行動するRPG伝統の枠組み(ターン制)です。体力がゼロになると力尽き、3人全員がやられてしまうとゲームオーバーに……なりません!3人の自宅に戻されます。ペナルティも何もありません。
さらに力尽きた仲間は3ターン経過後、復活します!
申し遅れましたが、3人の子供たちは人間ではありません。「ゾンビドール」と呼ばれる生ける屍、”うぉーきんぐ・でっど”なのです。ゆえに死の概念なんぞございません!しかも、復活すると一時的にですが攻撃力アップ!戦況によっては、文字通りの起死回生の一撃を決められちゃうのでございます。
他にも特殊な要素は多数ございます。特殊技こと「スキル」を連続して同じものを放ちますと「スキルチェイン」が発生。数に応じたボーナス効果が得られます。攻撃を当てたり受けたりすると溜まっていくTP、その名も「ともだちポイント」なるものを消費して使う強力なスキルもあります。使い所によっては、戦況を一変させることも。
また、スキルは「スキルパーツ」と呼ばれるアイテムを装備して使う仕組みで、プレイヤー……じゃなかった。ママの皆さんのお好みのラインナップで固められます。数の制限こそありますが、自由自在です。さらに戦闘では3人の誰を「リーダー」にするかで、戦い方や展開が変わる仕掛けも。マップ探索でもリーダーを切り替えて難所を突破したり、ストーリーを進める展開があります。
このように大変変わった特徴を持つRPGになっています。
そんな本作の売りは何でしょうと聞かれましたら、このように即答します。
可愛い男の子てんこ盛り!!
可愛いフィーバー!絶望フルコース!
もしくは”可愛いの宝石箱”とでも申しましょうか。
特定の方々の性癖にブスブスグッサリズボズボ刺さる男の子たちが仰山登場します。
主人公格の3人「ブレラ」、「エイダ」、「ルチア」を見るだけでもお察しの通りです。
それ以外にもぶっ飛んだ面々が揃っています。参考としまして、
白いゴスロリ少年!
ブンちゃん!(そのまんま)
”当然男の娘の”専属ナース!
……の3例で概ね理解できたかと思われます。
これ以上は何も申しません。
ゲームをダウンロードし、友達になるため会いにまいりましょう。
可愛い以外の魅力としては、ストーリーです。ゾンビな男の子3人が、友達作るための大冒険を繰り広げる。オープニングのあらましだけでも、とっても楽しそうでほんわかした内容をご想像するでしょう。
そのような方は、本作を直ちにプレイする資格をお持ちになったことを意味します。
今すぐダウンロードしましょう。そして、絶望しましょう。
不穏な言葉を用いた通り、実際の内容は真逆です。
友情と絶望のショタっ子長編探索RPGの公称から大体察せる通りです。
序盤こそワクワクドキドキの友達100人作れるかなの旅が繰り広げられていきます。しかし、舞台となるゴルトオールの城下町ではゾンビドールが嫌われている実情があります。
そのため、彼らは自分たちがゾンビドールであるのを隠しながら冒険していくのです。
ですが、強引な隠しごとはバレるのが世の常。具体的にどの辺でとは申しませんが、相応の展開が待ち受けています。大体ご想像通りの事態になります。しかし、一方で謎が突き付けられます。
なぜ、ゴルトオールではゾンビドールが嫌われるようになったのか?
その背景には3人の本当のママ「魔女メルトール」の存在が大きく関わってきます。また、ゾンビということはその元になる”何か”が存在することも意味します。
そこに焦点を当てる展開もありまして、それが始まりますと楽しそうな雰囲気は瞬間的に消滅。絶望暴れまくりのメンタルゴリゴリゴッソリゲッソリの出来事が連続するのです!もっと簡単に表しますと”ハートフルボッコ”とも言います。
まさに急転直下なストーリーです。そしてゾンビだけに暴力的な表現、演出も容赦なく挟まれます。これも詳細は伏せますが、可愛さに惹かれて遊んだ方は心の準備と物怖じしない覚悟を持って挑みましょう。
何だか凄く辛そうと思うかもしれませんが、それでも男の子たちは果敢に自らの運命と直面していきます。それらを乗り越えた先に何があるのか。もちろん紹介しませんが、きっとママのようにヨシヨシ、頑張ったねとしたくなる気持ちになることでしょう。
筆者は作者さまの趣味全放出なキャラクターたちのインパクトもさることながら、「愛」と「成長」、「生と死」に焦点を当てた一連の展開と巧みな構成に大きな感銘を受けました。特に終盤は心を締め付けられるような展開の連続なのですが、相応にベストなエンディングを迎えた時の輝きが圧巻です。”ベストな~”の通り、さらに2種類のエンディングがあり、対応を誤れば後味の悪い結果を迎えてしまうのですが。
ただ、どのエンディングも1周で全部回収可能。あくまでも厳しいのはストーリーで、ゲームは優しく、遊びやすくするように作られているのにも好感が持てます。
ほかにゾンビ特有の設定が生み出した、ゴリ押し容易な戦闘も痛快です。特に防御特化、攻撃特化、万能型と個性が明確に分けられた3人の特徴が演出する戦術を練る楽しさは絶品。雑魚敵はラクラク、ボス戦はスキルパーツの切り替えと言った準備が必要と、難易度の緩急が見事に表現されていて確かな手応えが得られます。演出の派手さも見逃せません。3人のみならず、ボスも必殺技を決めてくる時には画面全体を覆い尽くすカットインが挿入されて大いに盛り上がります。
きっとゲームの模様を見るだけですと、可愛い全振りゲームの印象をお持ちになることでしょう。あながち間違ってはいません。しかし、プレイすれば「でも、それだけじゃない」と思わず口に出して言ってしまう出来栄えです。
繰り返しになりますが、雰囲気に惹かれただけでも遊んでみる価値はあります。むしろ、その第一印象を大事にしてください。それを大事にしたがゆえの衝撃をプレイすれば得られるのです。
迷わず行きましょう。行けば分かります。
ママの皆さん、張り切ってミマモりましょう!
締め括ってしまいましたが、まだまだ魅力は山盛りです。
ひとつにボリューム。長編を名乗るに恥じない密度です。参考程度にストーリーを最優先に進めれば大体5~6時間。ストーリーに関係するクエストをひとつずつ攻略していくならば、10~15時間を要します。
また、ストーリーとは直接関係ない「サブクエスト」も満載。そして、忘れちゃいけない友達100人作れるかな!作った友達は「ともだちリスト」に保存されますので、これのコンプリートを目指すやり込みも楽しめます。さらにはクリア後の要素も!きっと、それらも含めて全部やり通すとなれば、2倍以上の時間がかかることでしょう。
メニュー画面、台詞ウィンドウ(吹き出し)の個性的なデザインも見所です。徹底して”可愛い”に全振りした、唯一無二のものになっています。次に進めるクエスト情報の表示、ゲームパッド向けのボタン設定機能、台詞の早送りなどの痒い所に手の届く配慮も満載。いずれも迸るほどの輝きを放っています。
また、ブラウザ版とPCダウンロード版はナウでヤングなクロスセーブにも対応!どちらかを行き来しながら遊べちゃうのも嬉しいところです。
正直に申しますと、人を選ぶ部分もございます。特に暴力、出血表現絡みはインパクト絶大。苦手なママさんには応えます。間接的ながら不健全行為を仄めかす表現もございますため、不快な思いをされるかもしれません。
また、ゲーム的にも「リーダーチェンジ」だけゲームパッド操作に非対応で、マウス、あるいはキーボードを操作しなければならないのが不便に感じるところです。結構、使う機会が多いので、対応していないのがもどかしく感じてしまいました。
しかし、それ以外で際立った難点はなく、大変綺麗にまとまっております。ゴリ押しが容易なので、RPGに苦手意識のあるママさんにも取っ付きやすいですし、ストーリー重視なママさんも大満足間違いなしの密度になっています。表現上の都合で「大人も子供も、おねーさんも。」とは断じて言えませんが、大変オススメできる傑作です。
さあ、3人の男の子を見守りましょう!
その成長を見届けましょう!
今日からアナタはママなのです!
カメラですけど!
[基本情報]
タイトル:『ミマモロール!』
作者:psycho02
クリア時間:6~8時間(※じっくりプレイした場合は10~15時間)
対応OS:Windows
価格:無料
備考:暴力、流血、犯罪表現、不適切行為を仄めかすイベントあり
※ダウンロードはこちら
https://www.freem.ne.jp/win/game/22761
※ブラウザ版(RPGアツマール)
https://game.nicovideo.jp/atsumaru/games/gm8250