ゲームボーイそのものな雰囲気が懐かしい。失われた色を探すフリゲアドベンチャー『COLORS 失われた記憶』
ファミコンが一世を風靡していた時代のグラフィック、ドット絵。最近ではドット絵は単にレトロ感を表すためだけではなく、一つの表現手法として使われている。
では、懐かしいこんな画面はどうだろうか。
そう、ゲームボーイだ。
1989年の発売以来、全世界でハードウェアとしては最多記録となるシリーズ累計1億個以上を売り上げた。1998年にはカラー表示が可能になったゲームボーイカラーが発売になった。そのゲームボーイの画面もひと目でそれと分かる非常に独特なグラフィックだった。
そんなゲームボーイの雰囲気をそのまま再現し、さらに上手くシステムとストーリーに組み込んでしまったのが今回紹介するフリーゲーム『COLORS』だ。
本作は先月結果が発表されたニコニコ自作ゲームフェス4でも敢闘賞を受賞している。ゲームボーイを知る世代にとってはたまらなく懐かしい仕上がりになっていること間違いなしだ。
プレイ画面を囲む枠が妙に太いことに気づいた方も多いと思う。この表現はSFCにゲームボーイソフトを挿して使うための機器「スーパーゲームボーイ」の画面を模したものだ。デザインを何種類かから選ぶことができる。当時を知る人間としてはニヤリとしてしまう。
『色』で謎を解いていくアドベンチャー
少女は目がさめると
「色」のない世界にいた―あなたの目的は、彼女をあやつって
世界に「色」を とりもどすことです。
主人公は世界に色を取り戻すため6つのカラーストーンを探して世界を冒険する少女。
そして、このゲームのテーマは『色』だ。
カラーストーンを探して謎を解いたり、村の住人の相談にのってあげたりながら進んでいく。
ヘビやハムスター、ウサギなど村の住人はみな動物だ。かわいい。
このゲームでは色は3つの意味を持っている。
1つ目は、ストーリーにおける少女にとって現実世界に帰る鍵としての『色』。少女の目的は、6つのカラーストーンを集め、元の世界に戻ることだ。
最初は色のことを知らなかった村の住人もカラーストーンを集めるにつれて、徐々に世界のことを思い出していく。
果たして6つの色を揃えると何が起きるのか、ぜひその目で確かめてみてほしい。
2つ目は、ゲームデザインにおける謎解きの鍵としての『色』。カラーストーンを探し出し、色を手に入れることで行ける場所はどんどんと増えていく。色を上手く組み合わせて謎を解いていく謎解きは、色を使ったパズルばかりだ。難易度はそこそこ高く、「失われた記憶」という副題にもあるように記憶系の謎解きが多い。村人が言っていた言葉など、記憶力勝負になることも多いのでメモを取りながらプレイすることを薦める。
キャンパスを使って色を切り替えることができる。右下にある「ふしぎなペン」を手に入れるにつれ、同時に使える色の数が増える。
例えばここは、扉に☓が書いてあって通れないが、色をつけると…
そして、3つ目はプレイヤーにノスタルジーを感じさせる効果としての『色』だ。ゲームにおいてモノクロの画面に色がつきカラーになるということは、まさにゲームボーイからゲームボーイカラーに進化したように、ゲームとしての進化を意味する。なつかしい時代を思い出させるとともに、色が増えていく=ゲームが進んでいく、ということはグラフィックのリッチ化を体感させる。モノクロのゲームの世界に色塗りをしているような楽しさがある。
筆者はこのゲームをプレイして、インディゲーム『Evoland』を連想した。『Evoland』はゲームの歴史そのものをより壮大なスケールで組み込んだRPGだ。プレイヤーが鍵となる宝を見つけるにつれ、システムそのもの・グラフィック・音楽とゲームの全ての構成要素がリッチになっていく。最初はモノクロ、直線移動しかできないが冒険が進むに連れ、3DのRPGへと進化していく。オマージュされている作品は、SFC版『ゼルダの伝説』、『FF7』、『DIABLO』あたりではないかと推測できる。
『Evoland』。序盤、中盤、終盤の比較。ストーリーの進行とゲームの進化が同時に起こる。
この『COLORS』はプレイ時間は2時間程度と手軽だ。もちろん、懐かしさを抜きにしても色を使っていくストーリーと謎解きは非常に独特で面白い。ゲームの進化に思いを馳せながら、ぜひプレイしてみてはいかがだろうか。
[基本情報]
タイトル COLORS 失われた記憶
制作者 ZK氏(制作者様ページはこちら)
クリア時間 2~3時間
対応OS Win
価格 無料
ダウンロード http://www.freem.ne.jp/win/game/6929