デジゲー博2022で見つけたおすすめ同人・インディーゲーム7選

イベントレポート,インディーゲーム

2022年11月13日、同人・インディーゲームの頒布イベント「デジゲー博」が東京・秋葉原UDXの2階および4階にて開催された。今年は2013年の初開催から数えて10回目の開催という節目となり、記念企画として記念ステッカーの配布や記念トレーナーの販売も行われるなど、同イベントが自主製作ゲームの展示即売会として定着してきた歴史を感じさせるものとなった。昨年までと同様に引き続き感染症対策が取られつつも、縮小以前の規模となる220組が出展して熱気を見せていた。

本記事では取材陣が気になった同人・インディーゲームを7作品紹介する。読者の皆さんも気になった作品があればぜひチェックしてみてほしい。

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Shuhei Miyazawa『Raindrop Sprinters』

Shuhei Miyazawa氏制作の『Raindrop Sprinters』は、子供のころに興じたことがあるであろう「雨を避ける」という遊びをテーマとした80年代前期アーケード風アクションゲームで、2021年にフリーゲームとしてリリースされた『Raindrop』のバージョンアップ版にあたる。

基本ルールは画面下の猫の手を左右に移動させて「雨粒に当たらないように渡り廊下を渡りきる」というシンプルなもの。立ち止まらずに駆け抜けることで「ノンストップボーナス」が入ったり、得点アイテムの星を多数獲得してからゴールするなど特定の条件を満たしてゴールする事で特殊効果を持つ「バッジ」を獲得できるといった隠し要素的なボーナスの数々が仕込まれており、これらを活用したスコアアタックが楽しい作品だ。

『Sprinters』での追加要素として、様々な障害を任意で設定して難易度や獲得点数を調節できるモードや、一時的にスローになる超能力を活用したモードなどが搭載されている。本作は2023年初頭にリリース予定。PC版のほか、Play,Doujin!のパブリッシングによるNintendo Switch版のリリースもイベント当日に発表されている。
(真野 崇)

Website:https://twitter.com/room_909

Vidr-On『ARMED EATS』

Vidr-On(びーどろん)開発の『ARMED EATS』はポップな色使いとメカ少女が目を惹く2Dシューティングゲーム。開発者のRamune氏はtwitter上に長期的に開発状況をアップロードしており、読者の中にも本作の映像をタイムラインで見かけたという人は少なからずいることだろう。今回のデジゲー博ではプレイアブルでの出展となり、映像のみでは確認できなかった本作の実際のゲームプレイに迫ることができた。

その内容はというと、横視点ながら任意にスクロールさせることのできるフィールドを動き回り、射程が短めのメインショット、強化型バルカン砲、ロックオン式ホーミングミサイル、支援機を呼び出しての爆撃といった特盛りの武器を駆使して道を阻む敵を粉砕しつつ、3色のフードチップを集めて料理を完成させてゴールを目指す出前シューティングとなっていた。

細やかに描き込まれ所狭しと動くキャラ達に敵味方問わず入り乱れる攻撃など、展示バージョンの時点でも非常に派手で盛りだくさんなプレイを満喫できたが、武器の取得や強化といったパワーアップをローグライト形式で取得し、さらに派手なプレイを楽しめるようにしていくとのこと。引き続きの続報に期待したい。
(真野 崇)

Website:https://twitter.com/ramunepod

Nice Gear Games『NICE DISC:The Last Hot Blood』+「同ZINE」

Nice Gear Games『NICE DISC:The Last Hot Blood』はフライング・ディスクを相手にぶつけあう架空のスポーツ「NICE DISC」で戦う、最大4人プレイが可能な対戦型アクションゲーム。itch.ioにてデモ版がダウンロード可能となっている。

取れる行動は左右の移動とジャンプ、8方向へのディスク投げのみ。いかに対戦相手と軸を合わせてディスクを命中させていくか、という点に的を絞ったシンプルかつスピーディな攻防が本分。飛んでくるディスクをディスクで撃ち落として防御したり、対戦相手をジャンプで踏んでディスクを落とさせる、弾かれたり地面に落ちたディスクをいかに拾い直すかといった点も駆け引きのポイントとなる。

また、同ブースでは日本で開発された同人ゲーム・インディーゲームを集めて紹介する小冊子「同ZINE」0号の頒布も実施されていた。この小冊子はインディーゲームプラットフォームitch.ioと連動し、バンドル形式で掲載ゲームを一括でダウンロード購入できるようになっている。同ZINEでは作品の自薦も受け付けており、クリエイターとプレイヤーのゲームとの出会いを繋ぐ存在として注目したい。
(真野 崇)

Website:https://nicedisc.carrd.co/

KaniPro『ヴァイオレットフジ子』

『ヴァイオレットフジ子』はKaniPro開発による2Dアクションゲーム。令和の時代にあって90年代テイスト全開のビジュアルはそれだけでも異色に映るが、単純な見た目のみならずアクションの挙動等も90年代テイストを踏襲しており、その濃度の高さに気圧される。

主人公「麻桐フジ子」が繰り出す攻撃と敵キャラクターには赤・青・白の3色が割り振られており、それぞれがじゃんけんのような関係になっている。青い敵には赤の攻撃で、赤い敵には白の攻撃で、白い敵には青の攻撃で対応する必要があり、敵に応じて的確に色を使い分けて攻撃を繰り出す必要があるほか、同じ色で攻撃するとフジ子は大きく弾き飛ばされてしまう。同色による「あいこ」は一見ただのペナルティのように見えるが、「あいこ」の攻撃によって大きく弾き飛ばされることを利用して穴を飛び越える必要があるなど的確な判断と操作が要求される。

色の使い分けには慣れが必要になるが、敵キャラクターの上に対応する弱点の色を表示するアシスト機能も搭載されており理解を進めながらプレイすることができる。歯ごたえあるアクションゲームに挑みたい人に推薦できる作品だ。本作はSTEAMにて2023年前期のリリース予定となっているほか、体験版をダウンロードすることが可能だ。
(真野 崇)

Website:https://twitter.com/KaniProGames

koeda『ANTHEM#9』

koeda氏が開発中の『ANTHEM#9』は秘密結社と怪物を操る宗教組織との戦いを描くデッキ構築型ローグライトゲーム。2023~2024年のリリースを目標に開発が進められている。

基本的にはデッキ内のカードを繰り出して敵を攻撃し、敵を倒すごとに追加のカードを入手して先に進む、というデッキ構築型ローグライトゲームのスタイルを踏襲しているが、特徴的なのがカードの使用方法。本作ではターン毎に画面下に3色の「ジェム」が配られ、各カードに示された順番どおりにジェムを並べることでカードの効果が発動するようになっている。
ジェムの並びはカードごとに独立して参照されるようになっており、例えば「緑・緑」と「赤・緑」のカードがデッキ内にあった場合はジェムを「赤→緑→緑」の順番に並べることでジェムの数を節約しながら両方のカードを発動させることができる。

連続攻撃を決めることによって敵からの攻撃をキャンセルさせることが可能なため、カード同士の効果の組み合わせのみならず、デッキとジェムの組み合わせから的確にチェーンを編み出せるかが問われることになる。コンビネーションを構築する楽しさに一味を加え、より深い構築を楽しめる作品となりそうだ。
(真野 崇)

Website:https://twitter.com/koeda68287606

GESA『Diner Show』

サークルGESA『Diner Show』はiPhone向けリズムゲーム。既にApp Store上にて配信中で、ダウンロードは無料となっている。

恐竜のキャラクターにリズムに合わせてライン上を流れてくる肉を食べさせて大きくすることが目的となるのだが、特筆すべき点はその操作方法。スマホを傾けることで軸を合わせて肉をキャッチしていくという、ありそうで意外に見ないジャイロセンサーにスポットを当てている。

画面を傾ける事で見える範囲が変わってしまうため、流れてくる肉の予告がやや見えずらくなるという難点もあるが、体感ゲーム的な楽しさを手軽に味わえるのが魅力的。有料オプションでカメラから風景を取り込むARモードも用意されており、スマホの機能を余すところなく活用するというチャレンジ精神が感じられる一本だ。
(真野 崇)

Website:https://twitter.com/gesa_gamedev

Download on the App Store

トロヤマイバッテリーズフライド『Death the Guitar』

トロヤマイバッテリーズフライドが開発中の『Death the Guitar』は持ち主を殺されたエレキギターが復讐に立ち上がるバイオレンス2Dアクションゲーム。2023年にSTEAMでのリリースが予定されている。

敵に直接接触したり攻撃を受けないようにしつつ、ステージ内の敵を全滅させていくことが目標となる。主な攻撃手段として音波による近接攻撃のほか、「エレキ」ギターなだけあり電撃を放つことができる。電撃は周囲の地形に応じて電流が地面を這って行ったり、空中に放電を行うことができるため便利な攻撃手段となる。加えてステージ中に配置されたアンプを使ってトランポリンのように跳ねて移動することが可能だ。

殺人エレキギターという耳を疑う設定もさることながら、特筆すべき点はそのサウンド。アンプで跳ぶたびにドギャーン!敵を倒すたびにズギャーン!!と高らかに鳴り響くエレキギターが高揚感を生み出しており、ひとつひとつのアクションの痛快さを数十倍にも増幅させている。その尖り方はまさに”ロック”な作品と言えるだろう。
(真野 崇)

Website:https://twitter.com/toroyakun

  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。