2014年のゲーム実況を振り返る~フリーゲーム・インディゲームのゲーム実況人気動画をまとめてみた
早いもので2014年も終わりに差し掛かっている。2014年はどんな年だっただろうか?
もぐらゲームスではフリーゲームにも力を入れて紹介を数多く行ってきたが、フリーゲームにとって2014年は飛躍の年となった。
『クロエのレクイエム』などの、フリーゲームにおける有名タイトルでは小説化が次々と実現した。『青鬼』は夏に映画化がなされた。また、『恐怖の森』などのホラー系コンテンツも人気で、これも映像化が決定している。もぐらゲームスでは、これらのコンテンツについてリストアップする記事を公開しているので是非ご一読頂きたい。
あの『恐怖の森』が実写映画化!小説化・映画化したフリーホラーゲームを一挙紹介してみた
こうしたフリーゲームの成長を支えている要因の一つが「ゲーム実況」だ。様々な理由から、ゲーム実況ではいわゆる家庭用ゲーム機のゲームタイトルよりも、フリーゲームやインディゲームのほうが好まれる傾向にある。
有名実況者の動画の中には数十万再生を叩き出す動画も珍しくない。こうしたゲーム実況の隆盛は、ニコニコ動画だけではなく、Youtubeなどでも同様に見られる現象だ(ちなみにゲーム実況は英語では”Letsplay”という)。ゲーム実況がなぜ・誰向けに流行っているのか?ということには様々な考察が考えられるが、ここでは深く踏み込まず、読者の皆様に各自考えていただくことにしたい。
なお、ゲーム実況の隆盛の理由を考えるヒントとしては、ライター・評論家のさやわか氏が、月刊誌「サイゾー」2014年4月号で考察を行っているため、バックナンバーかKindle版(108円と安い)を一読いただくと参考になるだろう。
今回は2014年のフリーゲーム・インディゲームを振り返る上で重要な「ゲーム実況」について取り上げる。そこで、再生回数が多かったゲーム実況をいくつかピックアップして紹介してみたい。
なお、今回、個別のゲームタイトルが「フリーゲーム」なのか「インディゲーム」なのか、という定義には特にこだわらず、家庭用ゲーム機のゲームタイトルではないもの、という基準で抽出を行ったほか、ニコニコ動画・Youtube両方から特筆すべきゲームタイトルをピックアップしている。必ずしも再生回数が多いものを上から順に全てご紹介するわけではないことをご理解いただきたい。
ハンバーガー大戦争
ハンバーガー教の神父であるハン神父がついうっかりハンバーガーをけなしたことから、呪いでハンバーガーにされてしまう。ハン神父はハンバーガーへの復讐を決意したのだった……という、エキセントリックこの上ないRPGがこちらの『ハンバーガー大戦争』。実況では「ハンバーガーに復讐する」とそのものずばりなタイトルで、レトルト氏の実況が人気。単発ながら2014年12月時点で78万再生を叩き出す、という、今年のフリーゲーム実況の中ではトップクラスの再生数を誇った。世の中、わからないものですね……。
ダウンロード:制作者様サイトよりダウンロード(無料)
第七号車
列車のなかで出会った美しい少女と会話をしながら少女にまつわる感動的なストーリーを追っていくゲームがこちらの『第七号車』。
フリーゲーム『第七号車』。列車で出会った少女の物語、心を癒やす旅路。
上のレビューでも書いているように、この作品は中国語のフリーゲームからの翻訳。非常にイラストやストーリーのクオリティが高い作品で、レトルト氏の実況でもあれ……目から汗が……な状況だった。感動を分け合えるのも、ゲーム実況のいいところだ。
ダウンロード:ふりーむ!よりダウンロード(無料)
Chime
「ミッション遂行型アドベンチャー」と銘打たれたこちらの作品。10人以上の登場人物がそれぞれのストーリーを持っており、ゲームを進めるにつれてそれぞれの物語が交差していく。恋愛要素が多く、甘くせつないストーリーを持ったゲームに仕上がっている。
レトルト氏の実況「全員を幸せに導く!」はおまけも含めて全29回という超大作となったが、最後まで盛り上がっていた。
ダウンロード:ふりーむ!よりダウンロード(無料)
クトゥルフの弔詞
我々が口にだすのも憚られるほど冒涜的なクトゥルフ神話の恐怖を、見事な筆致でノベルゲームとしたのがこちらのノベルアドベンチャーゲーム『クトゥルフの弔詞』。底知れぬ暗澹たる恐怖がそこにあるのだが、これは見たものしかわからない。こちらはテラゾー氏のゲーム実況動画だ。読み上げに安定感があって、しかもどこか楽しくなっていくから実況者の動画は素敵である。
ダウンロード:Vectorよりダウンロード
カンスト勇者
主人公を含め全員レベルはMAX、この高い能力値でターン制のボスバトルをタイムアタック的に攻略する作品がこちらの『カンスト勇者』。最初からHPがゆうに1万を超えており、使える技もダイナミックで超強力なもの、と爽快感がウリのゲームだ。
M.S.SProjectの実況では、非常に掛け合いの面白い実況動画となった。元気の良い実況は観ている方も元気が出てくるし、非常に盛り上がれるので年末年始の視聴にもおすすめだ。
ダウンロード:ふりーむ!よりダウンロード(無料)
クロエのレクイエム
今年小説化もされた『クロエのレクイエム』は、実況でもPart1再生数85万と非常に人気を誇っている。もぐらゲームスでは、『クロエのレクイエム』や『幻想乙女のおかしな隠れ家』を制作した二人組サークル「ブリキの時計」にインタビューを行っている。
成長するフリゲ作者『クロエのレクイエム』から『幻想乙女のおかしな隠れ家』へ。ブリキの時計インタビュー
ストーリーは非常に良くできており、ホラーゲームとしても非常にゾクゾクするものがあるので、是非実況でも味わってもらいたい。キヨ氏の実況では、その持ち前の声の大きさもあり怖さが緩和される点は非常にありがたい。
ダウンロード:ふりーむ!よりダウンロード(無料)
The Stanley Parable
ビルの一室で代わり映えのしない仕事を毎日こなす主人公のスタンレー。ある時ふと気づくと、いつものビルから人が忽然と姿と消している事に気づき、スタンレーはビル内の捜索を開始する……というストーリー。だが、このゲームがユニークなのはナレーション。ナレーションは、プレイヤーが選択した行動に応じて後付けで変化していく。
アブ氏の実況では、ナレーションの「声」を「指示」とみなし、それにプレイヤーが従わないいらだちを感じる様子を「実況者 vs 指示厨」という構図としており、非常に楽しめる動画となっていた。インディゲーム的な側面でも、ゲーム内でメタな視点から行われるゲーム批評めいたナレーションコメントもあり、非常にそそられる作品だ。
ダウンロード:Steamより購入(定価1,480円、セール中につき1月2日までは444円)
恐怖の森
※サムネの恐怖表現がきついため、画像を押すと実況動画「【DeathForest】恐怖の森で3D探索ホラー鬼ごっこ【実況プレイ】Part1」へ飛びます。
2014年夏、突如現れその強烈なインパクトで有名になった作品がこちらの『恐怖の森』。ちなみにもぐらゲームスでも紹介記事を書いているが、全記事の中でもいまだにかなりアクセスの多い記事の一つだ。
恐怖の森で迫り来る異形。『Death Forest』注目の3Dフリーホラーゲーム
なぜ人気なのかといえば、やっぱり「あの顔」のインパクトが強すぎて、「何か怖いゲームない?」と言ったときの筆頭にあがりやすい作品だから、なのだろうか。恐怖の森でタグ検索してみると、2014年7月20日前後に一斉に各実況者からPart1投稿がなされている。この当時のゲームカテゴリランキングは、一時期恐怖の森に占拠されたほどであった。しかもほぼ全動画が「あの顔」をサムネにしているので、本当に恐ろしい…
ダウンロード:ふりーむ!よりダウンロード(無料)
The Curse of Blackwater
海外のインディゲーム。『The Slender Man』を思い出させるような出だしで始まる、逃げ系のホラーゲームで、正直筆者的にはこの雰囲気とサウンドは無条件に怖くなるからズルいと思う。怖いもの好きな方は是非プレイしてほしい。
こちらはガッチマン氏の実況で、非常に落ち着いた感じの出だしでホラーゲームが苦手でもなんとなく落ち着いて見られる。また、本動画はYoutubeとニコニコ動画両方で投稿されている。最近の流れとして、ゲーム実況者が徐々にニコニコ動画だけではなくYoutubeにもチャンネルを作り、動画を投稿している流れが目立つ。
Hero and Daughter
フリーゲーム『月光妖怪』を作った制作者の新作、『Hero and Daughter』。レベル1に戻ってしまった勇者が、ダンジョンで拾える召喚石から女の子を召喚し、彼女たちの助けを借りながら、魔王を倒しに行く……というストーリー・システムで、もぐらゲームスでもレビューを行っている。
レベル1の勇者がハーレムなメンバーと一緒に戦う『Hero and Daughter』をプレイしてハクスラについて考える
アブ氏の実況は非常にテンポが良く、しかもゲームの内容もよく分かる。是非、気になったら自分でもプレイしてみて頂きたい。
ここまで、印象的だったフリーゲーム・インディゲーム実況をいくつかピックアップしてお届けしてきた。「お気に入りの実況動画が入っていなかった!」という方も多数いらっしゃると思う。筆者自身1日数本程度ゲーム実況を視聴しているが、ここで紹介しきれなかった作品は数知れない。
2014年の実況は昨年に引き続き、「大豊作だった」と言って差し支えないだろう。ここに紹介しきれなかったゲーム実況動画で2014年に面白かったものがあれば、Twitterやはてブコメントなどでぜひ補足紹介をいただきたい。