フリーゲーム『獄都事変』。個性的な獄卒たちと亡霊のホラーアドベンチャーゲーム。
「亡者を捕まえろ。」 そう指示された斬島は怪談の棲む廃校へ――
今回レビューするフリーゲーム『獄都事変』はホラーアドベンチャー。
本作では主人公の斬島をはじめ登場人物のほとんどが「獄卒」だ。獄卒とは、仏教用語で「地獄で,亡者を責めさいなむ鬼」(大辞林)のことを言う。和風な雰囲気を予感させながらも、このゲームで描かれているキャラクターの服装や舞台は近代日本的だ。2時間程度の短時間で完結するゲームだが、そんな独特な世界観と獄卒一人ひとりの個性がいきいきと魅力的に描かれている作品に仕上がっている。。
人気実況者キヨによる実況動画も更新されているところだ。
個性豊かな獄卒たち
本作の主人公の「獄卒」斬島はビルに出現し、飛び降り自殺をさせた亡霊を追って学校を探索することになる、仲間の獄卒たちと校舎を捜索するうちに亡霊の悲しい物語を知る…、というストーリーだ。
軍服のような制服を着ている斬島。獄卒はみな軍服のような制服を着ており、近代日本風の雰囲気が漂う。艦◯れの提督みたいでカッコイイ
校舎の上の階に進むにつれ、様々なパズルが現れる。難易度は高くないので、各階をいったりきたりして、また音にも注意して進んでいこう。
本作で注目したいのは、主人公の斬島を始めとする「獄卒」たちの存在だ。主人公の斬島を始め、登場する仲間たちは全員獄卒という役割を担っている。目をくりぬかれても生きているところから、彼ら自身も怪奇的な存在なのだが…。
同僚の佐疫。優等生かつ優しいという完璧ぶり。ピアノも引けるらしい。
他にも登場人物がいるが、全員似たような顔にも関わらず、表情が異なっている。また、仲間が傷ついても全く動揺しない等、彼らが人間のようで「獄卒」というこの世ならざる存在であることがじわじわと伝わってくる。
名前も、斬島、肋角、田噛など、普通の人間の苗字とは一味違った不穏な漢字が当てられている。
亡霊探しと亡霊の過去がオーバークロッシングして語られる
ストーリーは、亡霊探し。なのだが、斬島が亡霊・マキに近づくにつれ、彼女がなぜ悪さをしていたのか、生前の記憶が交差して語られていく手法は鮮やかだ。
ところどころに落ちている「壊れた金具」はキーアイテム。亡霊の記憶が蘇る。
本記事の最初に紹介した獄卒の意味も考えると、彼らが亡霊を追いかけるのは、成仏しない亡霊の魂を成仏させるため・・・なのかもしれない。
用意されたエンディングは2種類。ネタバレは避けたいので詳しい言及は避けるが、トゥルーエンドに至る条件はストーリーの展開にもしっかりと繋がっていて、自然なエンディングを迎えることができる。果たして斬島はマキを成仏させることができるのか、その目で確かめて欲しい。
なお、制作者のページに攻略のヒントがあるので、行き詰まった人は目を通すといいだろう。
この世とあの世の狭間で獄卒たちの世界観をぜひ楽しんでみてはいかがだろうか。
[基本情報]
タイトル 獄都事変』
制作者 リンネ堂(制作者サイト)
クリア時間 2時間程
対応OS win (RPGツクールVX Ace RTPが必要)
価格 フリーソフト
ダウンロードはこちらから
ふりーむ!→http://www.freem.ne.jp/win/game/8225