GDCで見つけた、発想がキラリと光るゲーム7選
3月2日から5日間にわたり開催されたゲーム開発者会議GDCで筆者が現地で見つけた面白いゲームを紹介していく。
今回は会場にある「インディメガブース(Indie Megabooth)」コーナーからキラリと光る作品を紹介する。このコーナーはGDCの会場内で開発中か発売したてのインディゲームを世界中から15作品集めて展示している。その中から7作品をピックアップして紹介していこう。
Push me Pull you
あまりの発想に脱帽してしまうゲーム。それが、オーストラリアのHouse Houseが開発中の4人で遊べる新感覚の対戦ゲーム「Push me Pull you」だ。昨年の東京ゲームショウにも出展していたので知っている人も多いのではないだろうか。そのあまりにおかしなプレイ画面は思わず笑わざるをえない。
2〜4人プレイができるのだが、例えば4人の場合、2対2のチーム戦となる。キャラクターはまるで芋虫のような外見の謎の生物。両端には頭がついており、それぞれを各プレイヤーが担当する。操作は自分の担当している頭の移動と身体の伸縮だ。大きな円形のリングの中心においてあるボールを一定時間自分たちの陣地にキープしたチームが勝利する。身体の伸縮がキモで、プレイ中に絡み合う頭と胴体はきわめて滑稽な状態になる。
一見バカゲーに見えなくもないのだが、バランスがよくとれており「詰み」の状態も存在しない。常に展開が変わる熱い対戦ゲームなのだ。筆者は「バカらしさ」と「奥深い面白さ」は紙一重だと思うが、このゲームはそのバランスが見事にとれている。今回、筆者が最もおすすめしたいゲームだ。
タイミングが合わず、開発者の写真はとれなかったが、ブースは常に賑わっていた。
対応機種:PC、Mac、Linux
リリース:2015年後半
公式サイト:pmpygame.com
The FLOCK
そっと忍び寄るはずが襲われる悔しさ。オランダのVogelsapが開発している4人対戦のPC向けステルス・スリラーゲーム。プレイヤーはそれぞれ魔物だ。広大で起伏が激しく入り組んだステージに設置されたアーティファクトを入手し、長時間持ち続けることが目的となる。一度アーティファクトを入手したプレイヤーは動きの遅い、人間のような存在になり、光を魔物に照射することで他のプレイヤーを倒すことができる。他のプレイヤーは背後から忍び寄ってアーティファクトを奪い合うといった戦いになる。
魔物同士で攻撃することもでき、いかに他のプレイヤーに気づかれずに襲うことができるかが鍵だ。そっと他のプレイヤーの背後に近づいていたはずが、突然気配を感じ別のプレイヤーに襲われる…、といった展開もあり、常に緊張感が漂う。
ステージの至るところにある魔物の石像のふりをしたり、囮として石像を置くことできるといった要素が戦いを盛り上げる。
作りこまれたグラフィックはダークソウルのような重厚で暗い雰囲気を見事に醸し出している。また、他のプレイヤーが近づいてくると突如大きくなるサウンドは、非常に独特。いつ襲われるともわからない緊張感はこれまで体験したどのゲームにもない面白さを生み出している。
オランダから来た陽気な開発者2人組、Jeroen(ゲームデザイナー、右)とPeter(アニメーションプログラマー、左)。学生時代からこのゲームを開発し続けているという
対応機種:PC
リリース:2015年中
公式サイト:http://www.vogelsap.com/theflock/
EXTREME EXORCISM
Extreme Exorcism Trailer from Golden Ruby Games on Vimeo.
こちらもひときわ歓声が上がっていたニューヨーク在住のデベロッパーGOLDEN RUBY GAMESが開発中の2Dアクションゲーム。ジャンプと剣やミサイルなど手に入れた武器を使った攻撃しかできないシンプルな操作だ。1人用モードと4人まで対戦できるデスマッチモードがあるが、会場ではこのデスマッチモードが非常に盛り上がっていた。
一画面内の決して広くはないステージを舞台に、ランダムで出現する武器を奪い合う戦いが熱い。なお攻撃に当たると即死するため、開始してから1分も経たずに決着がつくスピード感満点の対戦だ。特徴的なのは、一度勝利したプレイヤーには次の試合でゴーストが出てきて一緒に戦ってくれること。ゴーストは他のプレイヤーを自動的に攻撃してくれる。それだと負けたプライヤーが一層勝てなくなる…と思うのだが、試合開始時にステージに出現する順番が負けたプレイヤー順のため、武器をより早く手に入れることができるといった絶妙なバランス調整がきいている。
対応機種:PC、Xbox one、PS4、PS3、WiiU
リリース:2015夏
公式サイト(Facebookページ):https://www.facebook.com/GoldenRubyGames
MEGATON RAINFALL
スーパーマンになって街を救えるか?スペインのデベロッパーPentadimensional Gamesが開発中のファーストパーソン・スーパーヒーロー・アクションゲーム。プレイヤーは不死身のスーパーヒーローになり、地球を襲っているエイリアンから守ることになる。このゲームではプレイヤーは神であり、攻撃を受けることはない。その代わり、街が敵の攻撃を受けるとHPが減っていき、守りきれないとゲームオーバーになってしまう。スタート地点の宇宙から地球に一気に急降下していくのはとにかく気持ち良い。動きも早く。まさに映画のスーパーヒーローになったかのような感覚になる。Oculus Riftにも対応しており、より没入感の高い体験を味わうことができる。
開発者のAlfonso。Oculus Rift版は酔いの防止も実現しており、一人称視点で高速で移動するにも関わらず酔いにくい。
対応機種:PC (Oculus Rift対応)
リリース:不明
公式サイト:http://www.vogelsap.com/theflock/
No Pineapple Left Behind
ボストン在住のデベロッパーSubaltern Gamesが開発している一癖も二癖もある学校経営シミュレーションゲーム。プレイヤーは校長先生となり、魔法使いのせいでパイナップルになってしまった生徒たちの成績を上げていかなければならない。生徒たちの成績を上げることで、学校の経営は順調になる。パイナップルは非常に従順で勉強も良くするが、人間の子供たちはマナーが悪くて厄介だ。そんな生徒たちをプレイヤーはうまく管理しなければいけない。先生を雇い、各教科の成績を上げたり、食事の時間などでモラルが低下しないように気を配ったり、親からの苦情がこないようにする、といったパイナップルの要素以外は非常に現実的な「学校経営」をそのままシミュレーションゲームにしたゲームデザインだ。一見シリアスな設定だが、パイナップルという要素とキャラクターのコミカルな動きが面白い作品になっている。
開発者のSeth。パイナップルがテーマということで実物を持参していた。
対応機種:PC
リリース:不明
公式サイト:http://subalterngames.com/
Machineers
デンマークのデベロッパーLohika ApSが開発しているパズルゲームシリーズ。2014年9月にリリースされているが、現在プレイできるのは全5章中の第1章のみ。現在第2章の制作にとりかかっている。
主人公の女の子は機械工で、街で壊れたロボットや機械を修理していく。この修理の過程がパズルゲームになっており、工具を選択し配線やスイッチなどを組み合わせて動くようにつなげていくパズルだ。例えば、ジュークボックスの配線を直していくパズルでは、実際に音が出ているかどうか音で確認しながら進めていくことになる。あれもだめ、これもだめと試行錯誤しながら機械を組み立てていく面白さが、ゲームの中でうまく再現されている。3Dアニメの独特なグラフィックスと、目で耳両方で遊べるパズルが楽しい作品だ。
開発チームのHenrike。常に肩に載せているフクロウはゲーム内に登場するキャラクターだ。
対応機種:iOS
リリース:2014年9月(第1章のみ。第2章以降は順次公開)
公式サイト:http://www.machineers.com/
MUSHROOM 11
2012年のグローバルゲームジャムで生まれた作品。ニューヨーク在住のデベロッパーUntameが開発中の一風変わったパズルアクションゲームだ。プレイヤーは形のないアメーバのような物体を動かしていかなければならない。プレイヤーが操作できるのはこの物体ではなく、あくまでもそのサポートのみ。ラーメンの油をつっついてくっつけるかのように、この物体の右にマウスを持ってくると、左に力が加わり左に動かすことができる。ジャンプやもっと機敏な動きをするにはどうしたらいいのか考えながら進めていくことになる。時には、この物体をちぎったりしながら進めていく。これまでのアクションゲームとは操作感が全く違うのが、難しくもあり新鮮だ。
開発チームのKaraとSimon。ゲームジャムの作品をリリースまでもっていくところが本気だ。
対応機種:PC
リリース:2015年中旬
公式サイト:http://mushroom11.com/