大混乱!弾幕サバイバルゲーム『13 Seconds』2024年度随一かもしれない試練に挑む勇気はあるか?

アクション,インディーゲーム

唐突極まりないが今、モーレツに手ごわいゲーム……具体的には、クリアを達成することが自らの称号になるようなものを欲していたりしないか。ぜんぜん欲していないのなら、これより先は読まなくていいし、興味を持つことも挑む必要もない。

欲しているならば、ぜひ本記事を機に挑んでみていただきたい。お値段もワンコインでお釣りが出る。懐にもやさしいぞ。

そのゲームの名は『13 Seconds』と言う。

弾幕を避け続け、13秒間生き延びることを13回繰り返せ!ただし……

『13 Seconds』は、2024年3月8日よりSteamで販売中のタイトルだ。
ジャンルは弾幕サバイバルゲーム、裏ジャンルは挑戦状ゲームである。

プレイヤーは苛烈を極めることで知られるロボット競技の参加者になり、全13レベルで構成された試練に挑む。やることはいたって単純。見下ろし視点(トップビュー)で構成されたフィールド上で自機のドローンを操縦し、周囲から飛んでくる弾を回避し続けることだ。

各レベルは13秒が経過するとクリアとなり、そのまま間を挟むことなく1段上がったレベルがスタートする。これを繰り返しながら、最終的にはレベル13のクリアを目指す。もし、被弾してしまうとその時点でゲームオーバー。レベル1からやり直しである。

ルールを聞くだけなら簡単そうに思うかもしれない。自機であるドローンの操縦にしても、できることは移動だけで、ジャンプや攻撃といったアクションは一切ない。操作も使うのはキーボードなら方向キーとWASDキー、ゲームパッドならコントロールスティックか方向キーのいずれかだけだ。

なのに本作が挑戦状との裏ジャンルを持つ所以とは何か。

操作するドローンが2機なのだ。

改めて、具体的な中身を紹介しよう。本作は2機のドローンをそれぞれ固有のフィールド上で同時に動かし、周囲から飛んでくる弾を避けていくのである。2機のドローンは合流が一切できず、必ず固有のフィールド上で動かなくてはならない。しかも、仮に片方が無事であっても、もう片方が被弾すれば問答無用でゲームオーバーである。

また、飛んでくる弾の種類もフィールドごとに固有である。

本作はレベルの上昇と同時に、弾を飛ばしてくる砲台、爆弾が追加される。砲台には直線レーザー、誘導ミサイルと異なる種類が用意されているのだが、これがレベルの上昇と同時にどちらかのフィールドに現れる。

つまり、双方のフィールドは決して同じ状態にならない。片方で誘導ミサイルが飛んでくることもあれば、もう片方は直線レーザーが照射されるようになるといった違いが生まれるのだ。極めつけに、どんな砲台や爆弾が追加されるかは毎回、ランダムである。

もうひとつ言うなら、ゲームオーバー後に再チャレンジしても、前回と同じ結果は再現されない。前回、レベルが2になった時にミサイル砲台が追加されたことを例に出せば、2回目のチャレンジでは直線レーザーを放つ砲台が追加、もしくは爆弾が降り注ぐような事態になるのである。

よってレベル13までの攻略において最も重要な力というのはズバリ、アドリブ力!そして、2つのフィールドを常時確認できる物理的な視野の広さと並行処理能力だ!

裏ジャンルの挑戦状たる所以は大体、お分かりだろう。
本作『13 Seconds』とはこういうゲームなのだ。

容易にはクリア不能。だが「なんとかなるんじゃ……?」という絶妙なバランスが異彩を放つ

そんな訳で本作は、モーレツに手ごわい。
ある意味、人間の処理能力と集中力の限界に挑むゲームとも言える。

そもそも、2機のドローンを同時に操作し、それぞれ状況が一致しないフィールドで弾を避け続けて生き残ることを繰り返すのだ。この時点ですでに大変。

「でも、レベルクリアまでの制限時間は13秒だし……」と、表面上は簡単そうに思うだろう。だが、いざやってみると、この13秒というのが妙に長い。やることが大変ゆえにか、体感的な錯覚が生じるのである。

そして、気付かされるだろう。「これ、実は結構大変なんじゃ……」と。実際、大変である。初見クリアは、誇張抜きによほどの超人でなければ不可能と言ってもいい。

単純にやることが大変なのに加えて、レベルクリアと同時に追加される砲台は毎回ランダム。それゆえに常時、アドリブで対応していくことになるからだ。やればやるほど、本作の挑戦状たる作りに恐れを抱くようになる……かもしれない。

ただ、じゃあ理不尽なゲームなのかと言われれば、そうではない。モーレツに手ごわいことは手ごわいなのだが、「なんとかなるんじゃ?」との希望を抱かせるバランスに調整されているのだ。

例えばプレイヤーを狙ってくる弾だが、その速度は遅い。シューティングゲーム並の早さで飛んでくることはなく、初期段階のレベルなら余裕で避けられる程度になっている。

レベル上昇と同時に追加される砲台による攻撃もまた然り。基本、不意打ちはしてこない。必ず攻撃の直前にはそれを予告する動作や反応を見せ、プレイヤーに警告してくれるのだ。

また、砲台の中でも、とりわけ厄介なのが誘導ミサイルだが、これも実はミサイルそのものに当たり判定がないという、意外な設定が組まれている。判定があるのはミサイルが爆発した時だけ。つまり、爆発前なら接触してもミスにはならないのである。その爆発にしても、する際には必ずミサイルが点滅するという事前動作(警告)付きだ。

このような配慮が凝らされているのもあって、ミスしても理不尽と感じることはほどんどない。弾を見落とした、それを踏まえた回避ができなかったという、プレイヤー自身の責任によって生じたものと返ってくるのだ。

おかげで本作のゲームバランスには公平さが保たれており、ミスしても自分の責任だと納得できるものになっている。手ごわいことは手ごわいが、不意打ちなどの卑怯な手を使った手法ではない。まさに真っ向勝負厳守の調整が図られているのである。

「なんとかなるんじゃ?」という希望を抱かせるものでは、砲台同様にランダムで出現するアイテムの存在も大きい。時間を3~5秒進めるもの、被弾を1回防いでくれるものなど、弾幕の回避を強力にサポートしてくれるものが揃っていて、偶然、いいものが出続ければ一気にレベルを上げていける。その機会に恵まれた時の高揚感は格別。中でも双方のフィールドに被弾を防ぐアイテムが出現して、弾速だけを遅くするアイテムも出現すれば、希望の光が現れたかのような錯覚すら覚えるだろう。

かと言って、それで楽勝になったりはしない。逆に言えば、アイテムの出が悪ければ苦しい展開にもなる。結局、最終的には双方の状況判断と操作、そして物理的な視野の広さが試されることに帰結するのだ。その意味では、出しゃばり過ぎない塩梅に落ち着いている。しかし、時と場合によっては最大のチャンスを作り出すなど、希望を抱かせる。

そのような存在と、前述した調整の妙もあって、遊んでみると「なんとかなるんじゃ?」となって、繰り返し遊んでしまう面白さがあるのだ。同時に理不尽さを抑え込んでいるからこそ、ドローンの操作や全体の見方にも上達が現れる。ついでに視力トレーニングをしたかのような感覚も味わえる(※個人差があります)。

なので、ワリと見所も多いゲームとなっているのだ。それでも、繰り返しになるが、本作はモーレツに手ごわい。安易にクリアは達成できない。それにゲームオーバーを繰り返すことで、便利な機能が解禁されていくみたいな要素もない。最初から最後まで、一貫して己との戦いが続く内容だ。

ゆえに、気軽に遊べてクリアできるゲームを探している人が安易に手を出さぬようご注意を。本作に挑んでいいのは、まさにどこかの魔界の村が掲げるコピー通り、「百万回やられても、負けない!」との覚悟を持った者だけだ。

2024年度随一かもしれない挑戦状タイトル。13秒を13回生き残れるか!?

ただ、本作にこれから挑むに当たって注意が必要なことがある。それは操作周りだ。

キーボード、ゲームパッドの双方に対応しているのだが、特にゲームパッドでプレイする際はSteamの割り当て機能を使って設定することを強く推奨する。

何故かというと、デフォルトだと右側のドローンを4つのボタン(※Xboxコントローラを例に出せば、ABXYボタン)で動かすことになってしまうためだ。

正直、デフォルトだと小回りが利きにくい上、指にも負担がかかるなど、手触りがよくない。なので、割り当て機能を使って左右のスティックで操作可能にすることを強くオススメする。

ゲームパッドの種類としては、左右のスティックが並び揃ったDUAL SHOCK 4、Dual Senseがいい。個人差もあるかもしれないが、筆者はそれらのゲームパッドによる操作が最も馴染んだ。左右に分割されたフィールドともスティックの配置が一致し、感覚的にも自然なものになるので、もしお持ちであればオススメしたい。

キーボードの場合は右のドローンをWASD、左のドローンを方向キーと、デフォルトが理にかなった配置になっているので、慣れている人ならすぐ馴染むだろう。ひとまず、ゲームパッドでプレイする際は前述の事柄に注意いただきたい。

なお、本作は13秒間13レベル生き残り続ける以外のゲームモードはない。そのため、クリアするだけなら約3分ほどとなる。

だが、その時間にクリアすることは恐らく難しいだろう。何故かは前述した通りである。逆に言えば、クリアを目指すだけでも相当長い時間遊べる。どれだけの時間を要するかは個人差があるため、平均は出せないが、とりあえず長いこと遊べる……とだけ言っておこう。

いずれにせよ、本作は紛うことなき挑戦状である。この試練に挑む覚悟が決まったなら、500円を片手に突撃しよう。自らの物理的な視野と処理、そして根気の限界に挑むのだ。覚悟を決めたあなたを2機の宅配ドローンがお待ちしているぞ。

最後に、本作は8月26日実施のアップデートでゲームバランスに多少の調整が入った。

アップデート前には、アイテムの中にドローンの移動速度が上昇するものがあったのだが、これが性質的にミスしやすくなる罠でしかなかったことから、別のアイテムに差し替えられた。

それにより、本稿執筆時点の本作はより公平性の高いバランスを持った内容になっているので、挑むならば今だ。

でも、挑戦状としての作りはまったく変わっていないのでご用心を。

[基本情報]
タイトル:『13 Seconds』
開発:Studio LEF
クリア時間:(成功すれば)約3分
対応プラットフォーム:Windows
価格(税込):470円

◇購入はこちら

  • シェループ(@shelloop

    様々なゲームに手を伸ばしたがる人。2D、3Dのアクションと手強めの戦略シミュレーションを与えると喜びます。

    Webサイト:box sentence