お前は一体何ゲーだ!?超B級マルチジャンルアドベンチャー『Shikon-X Astro Defense Fortress』

インディーゲーム

本作は80年代レトロ風・SF・シューティング・ディフェンス・ブロック崩し・アドベンチャーである。色々渋滞していてどういうことなんだ、と早速ツッコミを入れたくなる方も居るかもしれないが、この作品に関しては実際こうなのだから仕方がない。

『Shikon-X Astro Defense Fortress』は南米チリ・アルゼンチンを拠点とするKindermann Corp.が開発したSFアドベンチャーゲーム。2023年11月30日よりNintendo Switch版がニンテンドーeショップにて、2024年8月8日よりPC版がSteamにてそれぞれ配信開始されている。いずれも日本語表示に対応している。

開幕のこの勢いに君はついてこれるか!?

いきなりこれ大丈夫なのか?なんだか宇宙で戦争な感じのモノローグによれば、人類は電力源である「エナジーカプセル」を巡って「ロラー」と呼ばれる種族と戦争状態が続いている。連邦政府の基地に勤めるダーイア少佐は孤児であった幼少期から訓練を積み、ロラーとの戦闘に備えていた。そこに敵襲が訪れる。戦闘艇Shikon-X号、緊急発進だ!

まずは画面中央部にあるエナジーカプセルを破壊されないよう、Shikon-Xのディフェンスモードでカプセルの外周を回って敵からの攻撃や隕石を受け止めていく。さしずめブロック崩しならぬ”ブロック崩され”といったところで、この部分だけで単独の作品として昇華させられそうな新鮮さがある。

ひとしきり敵からの攻撃を退けたところで、ダーイア少佐に追撃命令が下り、Shikon-Xはアタックモードへとトランスフォーム。縦スクロール型シューティングへと移行する。シューティングパートでのShikon-Xは慣性のある操作感となっているため、慎重に機体をコントロールしつつレーザーを発射して敵を撃退していこう。

メインはアドベンチャーです

戦闘が一段落して宇宙基地へと戻ってくると、基地内を探索するアドベンチャーパートへ移行し、以降はアドベンチャーパートを基本として進行する。ダーイア少佐を操作して他の人物と会話したり、アイテムを探し出したりして発生した問題を解決していこう。

基地のロビーに放置されているゲーム機が著名なブロック崩しゲームを思わせる物になっていて、本作のルーツを感じ取ることができるなど、判る人には判る小ネタなども挟まれている。暗号の解読など一部で謎解きはあるが、基本的には総当たり気味に各所を調べていけば大きく行き詰る事はないはずだ。

物語の中盤にShikon-Xは故障してある惑星に不時着してしまい、探索の舞台は野外にも及ぶこととなる。故障したShikon-Xの修理に奔走するなかで、なんだか愉快な人達にもたくさん出会うことになるだろう。

良くも悪くも「カオス」な一本

終盤にはダーイア少佐の出生の秘密が明らかになるなどシリアスな物語が展開する…かと思いきや、尻切れトンボな形でエンディングを迎える。プレイ時間にすると2時間程度であり、戦闘シーンの頻度も少ないため、これで終わりかとつぶやきたくなるボリュームの少なさは明確に本作のネックというべき点だ。一方で映画1本分の時間で過度に拘束されずにプレイするものとして割り切るならば十分ともいえる。

どちらかといえばあれこれお行儀の良いことを考えるよりも、脈絡のないごった煮感をそのままに味わうのが作法といえるかもしれない。その意味で「B級映画のノリが好きな人」にオススメしたい作品だ。

ところで、ミニゲームとして基地のロビー内ではフリッパーピンボールで遊ぶことができるのだが…やっぱりお前は一体何ゲーなんだ?

[基本情報]
タイトル:Shikon-X Astro Defense Fortress
制作者:Kindermann Corp.
クリア時間:2時間~
対応OS:Windows 
価格:9.99 / ¥1200

↓ダウンロードはこちらから
(Steam)

(My Nintendo Store)
https://store-jp.nintendo.com/item/software/D70010000067049

  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。