フリゲホラーアドベンチャー『かみさまの心臓』。美しく紡がれる兄弟の物語
キャラクター同士の生き生きとした会話と綺麗な伏線回収が織りなす物語。フリーゲームのアドベンチャーでも、この2つが丁寧に作られている作品はそう多くない。
今回、紹介する『かみさまの心臓』は3月26日に公開されたばかりのホラーアドベンチャーゲームだ。魅力的なキャラクター同士の掛け合い、そして徐々に解きほぐされていく悲しい物語が特徴的だ。
等身大の兄弟と謎の少女
本作に登場するキャラクターはわずか3人。その全員が主人公とも言っても過言ではない。精神が崩壊してしまい言葉を話せない少年・目黒誠。誠を殺そうとしてくる弟・目黒誉。そして、中盤から現れる謎の少女・カーチャ。
舞台となるのは、まるで精神世界のような不思議な世界。誠は、謎を解きながら奥へと進んでいく。
ゲームの最初は、誠の精神が崩壊した理由を含めて、ほとんど背景の説明がない。プレイヤーは、アドベンチャーゲームということでいたるところでパズルを解くことになるが、このゲームにおいて、パズルはあくまでもアクセント。謎を解きながら、明らかになっていく物語を楽しもう。
扉を開けて先へ進むためのメモ集めなのだが、メモの内容は兄弟の過去に関する意味深な記述になっている。
なお、ストーリーは前後半に分かれているといってもいいだろう。兄の誠が弟の誉に命を狙われながら進む前半は、兄弟のこれまでの関係が明らかになる。そして、儀式のシーンを経た後半では謎の少女・カーチャの正体と兄弟の関係の変化がテーマとなって、物語はエンディングへと向かっていく。用意されたエンディングは3つだ。
後半登場するパズルは兄弟で協力していくことになる。交互に操作しよう。
このゲームでは、キャラクターが生き生きとしているのが非常に印象的だった。書き下ろされた丁寧なグラフィックと、その時々の感情によって変化する表情。そして、制作者によると、このゲームの主人公兄弟は普通の兄弟。誠と誉の会話は小説などで描写される兄弟のやりとりごとく、テンポよく自然に流れていく(その理由は、ハッピーエンド後に行くことができる「おまけ部屋」で明らかになる)。
並ぶ人形。各キャラクターのグラフィックだけでなく、舞台となる世界のグラフィックも世界観に合わせたものになっている
最初は全く謎に包まれていた物語が、彼らの会話やマップに散りばめられた書物などの断片的な情報から、組み上げられていき、最後のエンディングで伏線が全て回収される様はプレイしていて非常に気持良くなる出来だ。
なお、本作の謎解きはあまり難しくないが、気づきにくいものも多い。制作者のらふわーかー氏が公式サイトで攻略情報を掲載しているので、参考にしてみよう。
会話イベントの追加など更新も盛んに行われている。また、公開直後の4月1日にはエイプリルフールverとして1日限りで限定版のダウンロードが可能だった。
キャラクターの衣装が変わったりと、ちょっとした変更が加えられたエイプリルフールver
3人の魅力的なキャラクターが織りなす物語をぜひ楽しんでみていただきたい。
[基本情報]
タイトル かみさまの心臓
制作者 らふわーかー(制作者様サイトはこちら)
クリア時間3~5時間ほど
対応機種 Windows VISTA/7/8
価格 無料
ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/8799