会話から矛盾を見抜け!コミュニケーションを楽しむフリゲアドベンチャー『1bitHeart』第2章レビュー
もぐらゲームスで公開時にもレビューを行った『1bitHeart』。『Alice mare』や『LiEat』といった作品を制作してきた△○□×(みわ しいば)氏が製作中のフリーゲームだ。2月に体験版ということで第1章が公開されたが、4月に第2章がリリースされた。既に一度レビューをお届けしているが、「コミュニケーション」の部分が非常に際立ったゲームなので、改めて紹介しよう。
『1bitHeart』は、陽気な引きこもりの主人公「ナナシ」が未来からきた少女「ミサネ」とともに、友達を作りながら、街で起きる事件を解決しようと奔走するアドベンチャーゲーム。世界を制御する管理プログラム、そして各人が持つ情報端末ビットフォンなどSF的な近未来な世界観が独特なイラストで描かれている。
第1章では、街で起きた事件を解決したところで終わるが、第2章は喫茶店などが集まる大人な街「ココアリー」を舞台に新たな事件が起きる。そして第1章で問題となった「ハッキング」の形跡が…。
花壇の手入れをしている青年モロク。面倒なので話さずに肩に乗っているビットフォンが代わりに話す
制作者サイトによれば、本作は全4~5章とのことで、まだ物語は半分以上残されている。いよいよ事件の黒幕に近づいていけるのか、今後もストーリー展開から目が離せない。
「Talking Time」と「好感度」システムが意味すること
さて、このゲームをプレイしていて特徴的なのが、そのテーマだ。そもそも主人公のナナシは引きこもり。陽気とはいえ、学校にも行かず、自分を気持ち悪いと言い切り、自虐を繰り返す彼の様子を見ていると、人間関係への根本的な自信のなさが見え隠れする。
そんなナナシがパートナーの「ミサネ」に連れられて、友達を作ることが本作の1つのテーマだ。面白いのは、外に出た時のナナシの振る舞い。意外と話せるやつなのだ。女性相手にもたじろぐことなく、相手を褒める。ちょっと直球すぎるところもあるが、とてもいいやつなのだ。
そして本作で最もゲーム性が存在する部分といえば、本編中の「Talking Time」と各章クリア後のおまけ要素「好感度」だ。
「Talking Time」は、逆転裁判シリーズのように、これまで聞いてきた状況証拠から、怪しい相手の嘘を見抜き、論破すること。ゲーム本編のストーリーと絡まり、非常に重要な役割だ。プレイヤーがとれる選択肢は「話を聞く」「深堀する」「ツッコム」など。相手に不審がられないために会話を暖めなければいけないコミュ力と証拠を探さなければいけない冷静さの両方が求められる。
ミサネに助けてもらいながら、Talking Timeに臨むナナシ。アドバイスは人との会話を進めるために重要なことばかりだ。
一方、クリア後にあるおまけ要素は本作の目的でもある「友達づくり」をすることになる。誰と友達になるかはプレイヤー次第、街の中のキャラクターと話すと好きなモノのヒントを得ることができる。そのアイテムを買ってあげることで好感度が上昇し、友だちになってキャラクターごとの特殊イベントを発生させるというもの。恋愛シミュレーションならぬ友達シミュレーションだ。
作中に登場するほぼ全てのキャラクターの中から、友達になりたいキャラクターを選ぼう。キャラクターの数は非常に多く、会話イベントも好感度が上がるにつれて、各キャラクターごとのストーリーが展開していく。そんな具合だが、資金には限りがあるので、誰と友達になるか、どの程度深い友だちになるか、考えるのは完全にプレイヤー次第だ。広く浅く色々な人と友だちになるのか、少なくも一人ひとりと深い付き合いをするのか、プレイヤーの性格が現れるかもしれない。
ストーリーを楽しみつつ、自分のコミュニケーション能力が試される『1bitHeart』、今後も数カ月おきに新章が追加される。今からでもぜひプレイしてみてはいかがだろうか。
なお、第1章公開時のレビューはこちら。
『LiEat』制作者の新作フリゲ『1bitHeart』。「友達作りシステム」が鍵のアドベンチャー
[基本情報]
タイトル 1bitHeart
制作者 △○□×(みわ しいば)
クリア時間 2時間~
動作環境 Windows 7/Vista/XP/2000(WOLF RPGエディターの動作環境に準じる)
ダウンロードhttp://1bitheart.nobody.jp/
※第1章をプレイ済みの方は、ダウンロード後、セーブファイルをコピーすれば引き続きプレイが可能