未知の衛星に墜落した宇宙飛行士とのリアルタイムの交信が面白い。スマホ向けノベルゲーム『Lifeline』
ノベルゲームといえば、文字が淡々と表示されていくものだと思っていた。そう、今回紹介する『Lifeline』をプレイするまでは。
スマホを使ったリアルな時間演出が特徴的な『Lifeline』を紹介しよう。
未知の衛星に墜落した主人公を救え
本作のストーリーは、プレイヤーが未知の衛星に不時着した宇宙飛行士 タイラーからの通信を傍受するところから始まる。タイラーは宇宙船ヴァリアに乗っていた学生で、ラットの研究をしていた。しかし、船は目的地に着く前に不調をきたし、未知の衛星に墜落してしまう。
プレイヤーは地球でタイラーとメッセージをやりとりしながら、彼にアドバイスをして導いていく。
そしてプレイヤーができることは助言のみ。ところどころでプレイヤーは助言を求められ、選択肢が現れる。冗談のようなやりとりのこともあれば、タイラーの運命が決まってしまうこともあるので、慎重に選択肢を選ぼう。
スマホのメッセージによるリアルタイム性の演出
さて、これだけだと、まるで普通のノベルゲームのようだが、このメッセージがこのゲームのポイントであり、最も特徴的な「リアルタイム性」を演出している。
インターフェースを見ると分かるように、メッセージは細切れに上から下に流れていく。その流れ方はLINEなどの我々が実際に使っているスマホのメッセージと同じペースなのだ。タイラーがその場で文章を打っているように文章が流れていく。
そして、タイラーが「少し待ってくれ、あたりを探してくるから」と打つとメッセージ欄には「取り込み中」の文字が現れる。そしてメッセージは止まる。それもそのはず、タイラーは物探しをしているのだ。数分すると彼はその結果を報告してくる。
時にはタイラーが眠りにつくこともある。その時は数時間メッセージが現れない。では、ずっとゲームをつけっぱなしにしなければいけないのかというと、そうではない。プレイしているのはスマートフォン、そう、通知機能があるじゃないか。タイラーのメッセージは他のSNSと同じく通知として表示される。なお、Apple Watchとも連動しているため、Apple Watchを通してより臨場感のある体験ができる。
こうしてタイラーとやりとりをしていると、まるで彼とリアルタイムでメッセージを交換しているような感覚になってくる。スマホを放置しておいて、ふと目を遣るとタイラーからの次のメッセージが来ている。次第に「まだメッセージはこないかな」と気がかりになってくるのだ。
通信が途切れてしまうシーンでは、彼に何が起きたのか心配になります
通常、「ゲームにハマる」というと「ゲームに没頭してずっとプレイしてしまう」状態のことを指すのではないかと思うが、このゲームにおいて、ハマるとは「メッセージがこないか気になってしまった」状態と言える。タイラーの行く末が気になり、早く次の連絡がこないかと心配になるあなたは、まさにゲームの中で求められている役割を演じているのだ。
なおストーリーには悲劇的な結末も待ち受けている。日数が経つにつれて、展開はスピードアップし、スリリングになっていく。
宇宙船から見える山に向かって歩くタイラーが見つけた文明の痕跡…
リアルタイム性を重視してはいるが、バッドエンディングを迎えてしまったら、最初から繰り返すのはかなり億劫だ。選択肢まで戻ってやり直すこともできるようになっている。
このゲームを終えて筆者が最初に感じたのは、ゲームをクリアした!という感覚よりも、「ああ、(タイラーが助かって)良かった……」という安堵だった。リアルタイム性を追求した結果、見事にストーリーに没入し、タイラーに感情移入をしていたのだ。ノベルゲームゆえ、文字以外の情報は一切登場しない。そこから演出によってここまでプレイヤーに働きかけている点は非常に興味深い。
彼は未知の衛星で一人、あなたが通信を受信するのを待ちわびている。
[基本情報]
タイトル 『Lifeline』
制作者 3 Minute Games
クリア時間 数日(実際にプレイしている時間は2,3時間程度)
対応OS iOS /Android (Android版は英語のみ)
価格 120円
ダウンロードはこちらから