”スタイリッシュ”にして”ガチンコ”。アクションゲームの信念を貫く一作『Furi』

Steam,アクション,インディーゲーム

『Furi』
 
『Furi』(フリー)は、フランスのインディーゲームスタジオThe Game Bakersが開発したハイスピードSci-Fi剣劇アクションゲームで、STEAMと海外PlayStation4にて7月5日より配信中である。また、国内でもPlayStation Plusの8月のフリープレイタイトルとして8月3日より配信が開始された。

海外制作の作品ながら、日本語字幕および日本語吹き替えに完全対応しており、英語に苦手意識があるという人でも気兼ねなくプレイすることができる。
近年のインディーズゲームシーンの拡大により、発売当初やそれに近い時期から日本語に対応する海外作品も少なからず出てきているが、吹き替えにまで対応している点は特筆すべきといえるだろう。

脳髄を刺激するビジュアル&サウンド&スピード

ひとりの男が囚われていた。
いわく、殺人兵器としての罪で、浮遊大陸をワープゲートでいくつにも連ねた監獄へ収監され、責め苦を受けていた。
そこへ同じような立場と思しき「ウサギ頭の男」が突如現れ、彼を枷から解放して戦う事を促す。
「看守がポイントだ。あいつを倒せば自由になれる。」と―――

『Furi』
 
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『Furi』を一目見たときに飛び込んでくるのは、その特異なビジュアルだ。
狂言回しの役割を担う「ウサギ頭の男」、般若の面と阿修羅の三面像を組み合わせたかのような「第一の看守」など、『アフロサムライ』の岡崎能士氏がデザインを手掛けたインパクト溢れるキャラクターが次々登場する。
背景美術も、SF的なネオンに彩られた空間のみならず、捻じれた橋でつながる空中に浮いた島々、荒涼とした砂漠など、どこか幻想的ともいえる光景が広がっている。
 
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また、『Hotline Miami 2』で作曲を手掛けたCarpenter Brut氏をはじめとするミュージシャン達による、アップテンポなバトルを引き立てるテクノ・サウンドは”アガれる”こと間違いなしの粒よりの楽曲群だ。
サウンドトラックはbandcampでも試聴・購入が可能になっているので、まずは音楽から聞いてみるという入り方もアリだろう。

”射撃戦”と”接近戦”の2つの戦いを制し、看守たちを打ち倒せ

『Furi』のアクションパートはボス戦のみで構成されており、銃と剣を操る主人公を操作し、射撃・斬撃・回避・防御の4つのアクションを駆使してボスキャラクターと対決していく。
PCで遊ぶ場合はキーボード+マウスでも操作可能だが、ゲーム起動時にも表示されるように可能であればゲームパッドでの操作を推奨したい。

基本は360度全方位のアクションシューティング方式となっており、ゲームパッド操作ならば左スティックで移動し、右スティックで照準を定めて射撃を行い、ボス敵へダメージを与えていくことになる。
(※便宜上、射撃戦モードと呼称する)
 
『Furi』
 
主人公が行えるアクションの中でも特徴的なのが、青い光の軌跡を伴いながらの高速ダッシュを行う回避アクションで、これは敵から放たれた弾丸や衝撃波などの攻撃をすり抜けながら移動することができる。
ボスが仕掛けてくる弾幕シューティングばりの攻撃も、このダッシュを駆使すれば華麗に潜り抜けることができるだろう。
逆に、ダッシュでは避けにくいレーザーや誘導弾での攻撃などは、物陰に隠れてやり過ごすことも必要となってくる。
 
『Furi』
 
射撃戦モードでボスの体力を減らしきるとボスがスタン状態となる。
スタン状態となったボスに近づき斬撃を当てることで、ボスの周囲を戦闘空間とする状態に移行する。
この状態では銃撃は使用不可となり、剣による斬撃が攻撃の主体となる。
(※便宜上、接近戦モードと呼称する)

この接近戦モード中は、無暗に攻撃しても敵に防御されて反撃を受けてしまう。
ボスの攻撃予告を見てダッシュで回避したり、あるいはボスの攻撃をガードするなどして、相手に隙ができたところにこちらの斬撃を叩き込むカウンター戦法で立ち回ろう。
 
『Furi』
 
ボタン長押しで出せるチャージ斬撃を最大溜めで命中させたり、敵の近接攻撃をジャストタイミングでガードすると敵がスタン状態となり、さらに一撃を加えることでコンボデモが発生。
流麗な連続攻撃と共にボスへ大ダメージを与えることが可能だ。
 
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自身の体力が0になってしまった場合は、残機を消費して射撃戦モードからの仕切り直しとなってしまう。
緑色の敵弾を撃ち落とすと出現するアイテムを回収、もしくは敵の近接攻撃をガードすることで体力が回復するので、自身の体力がピンチなときであればあるほど、冷静かつ正確に敵からの攻撃を捌く胆力が求められるといえるだろう。

自由を勝ち取るための覚悟を問う

『Furi』は、奇抜なビジュアルと派手なサウンドに彩られながらも、ボス敵の猛烈な攻撃を見切り、的確に攻撃を叩き込んでいくという「アクションゲームのボス戦の面白さ」にどこまでも忠実な、驚くほど古風でスパルタンな作品となっている。

アクションシーンの難易度は高めに設定されており、ハイテンポな分、一瞬でも判断や操作のタイミングを誤れば、あっという間に攻撃を食らい続けることになってしまう。
また後半のボスともなれば、こちらのガードを空振りさせるようなタイミングをずらした攻撃も仕掛けてくるなど、一筋縄ではいかなくなってくる。
何度も打ちのめされ、フラストレーションが溜まる部分も多分にある。
だがそれだけに、敵の攻撃パターンを”見切った”ときの感触や、体力も残機もギリギリの状態でボスを突破できたときの達成感・安堵感は格別だ。

歯ごたえのあるアクションゲームを求めていて、かつ充分な忍耐力の持ち合わせがあるならば、『Furi』を手に取ってみてほしい。

[基本情報]
タイトル:『Furi(フリー)』
制作者:The Game Bakers
クリア時間: 3時間~
対応OS: Windows , PlayStation4
価格: $24.99 / ¥2900

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  • 真野 崇(@tacashi

    フリーゲームと共に四半世紀を生きるフリゲ馬鹿一代。
    フリーゲームのレビューブログ「自由遊戯黙示録」を経て、自身のフリゲ人生を集約した、フリーゲーム・同人ゲーム・インディーズゲームの年代記「自主制作ゲーム史論」を執筆。