フリーホラーゲーム『死人』 ゲームと現実の境界に待つ「真実」とは……?

フリーゲーム,ホラーゲーム

今回は、9月24日に公開されたフリーホラーゲーム『死人』を紹介。本作は、RPGツクールVX ACEで制作された探索アドベンチャーゲームとなっている。

このゲームの特徴は、謎のゲームソフトの世界を探索しているうちに、現実とゲームの境界が次第に薄くなっていくという演出や、ゲーム世界で起こった出来事が現実世界に影響を与える謎解き要素。そしてゲームを攻略していくうちに、主人公の過去についての断片的な回想も挿入され……。

と、様々な謎を楽しませてくれる作品だ。繰り返される「お前が殺したんだ」というキーワードも、物語の先を気にさせてくれるものとなっている。さっそく紹介しよう。

現実とゲームの境界を彷徨う

本作の主人公である少年は、なぜか家にひとりぼっちで、自室にある謎のゲームをプレイしている。本作を開始すると、いきなりレトロ調なゲームの世界からスタート。まずは探索を行ってみよう。
 
死人,フリーホラーゲーム
レトロ調のゲーム世界。どことなく不気味だが……
 
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ゲームが壊れたようなぎこちないメッセージが雰囲気を演出する
 
ゲームの進行は、基本的に世界を探索しアイテムを入手、そして謎解きを行っていくというものだ。レトロチックなゲームの世界を探索しているうちに、主人公は謎の女を見かける、そして……。
 
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ゲームを進めていくうちに入った部屋。ここで謎の女が倒れているが……
 
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これはいったい……!?
 
謎の女とのシーンが終わると、突如ゲームが終了してしまう。現実の世界に戻ってきた主人公は眠りにつくが……

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突如ゲームが終了し、現実に引き戻される主人公
 

謎を呼ぶ主人公の過去の回想

このゲームは、基本的にゲーム世界と現実世界を交互に進めていく。当初はそれぞれの世界で出来事は個別に完結しているが、次第にゲームと現実の境界線が怪しいものとなっていく。そして、主人公の存在についてもフォーカスがあたっていく。

ゲームを終了して眠りにつくと、回想のような場面が展開され、そこで見知らぬ女の子と意味深な会話をする主人公。この少女はいったい何者なのか?主人公のにはかつて何があったのか?現実とゲームの境界が曖昧なこの世界とは何なのか……。そういった謎が展開されていく。
 
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繰り返される「お前が殺したんだ」という言葉。主人公はなにか罪を犯したのだろうか
 
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主人公の回想に現れる一人の女の子

ゲームを進めていくと、現実とゲームを行き来して謎を解くというシーンも出てくる。こういった場面は、謎解きとしても成り立ちつつ、「ゲームと現実の境界が曖昧になっていく」という演出としても機能するものとなっている。謎解きの難易度としては適度にヒントがあるものとなっているため、クリアまではそこまで詰まらずに遊べるだろう。

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過去の回想もときおり挟まれる

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次第に現実にも影響が現れる
 
ゲームクリアまでの時間は30,40分ほどとなっている。本作は全3つのマルチエンディングの形式となっているため、コンプリートをしようとすると1時間以上となる。

ノーマルエンドには、普通にゲームを攻略していくだけでたどり着くことができるが、より深いエンディングを見るためには、通常とは違った探索などが必要だ。ノーマルエンドのクリア後にヒントが表示されるので、それを参考に探索してみるのがよいだろう。

本作は1時間ほどという短時間ながら、レトロ調なゲーム世界の雰囲気、そして現実とゲームの境界線が揺らいでいくという演出、それが謎解きにつながっていくというゲームデザインが上手く作り込まれている。空き時間で遊べるボリュームとなっているので、ぜひ遊んでみてほしい。

[基本情報]
タイトル:『死人』
制作者:丸得基地(制作者サイトはこちら
クリア時間:1プレイ3,40分程度
対応OS:Windows
価格:無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/12870

  • poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。