ストーカーの気分で、ネットで元カノ調査 スマホゲーム「元カノは友達だから問題ない」は問題ある。
むかーしから多くの人が悩むのが「男女の間で友情は成立するのか」という問い。
多分若い頃だと、7:3くらいで「する:しない」だと、ぼくは思ってます。
肉体関係があるなしにかかわらず、完全に異性として見ない、って相当難しくないですかね。そうでもない?
もっとも、20世紀は連絡手段が限られていたので、距離をおく、というのが楽だったと思う。
でも今は、スマホがある。
電話、メッセ、ゲーム、そしてLINEやSkypeやTwitterやFacebookなどのSNS。
これヤバイよ。四六時中何してるか見えちゃう。どこ行ったかわかっちゃうことすらある。
そんな昨今、本当に元カノとクリーンな関係でいられるのかをシミュレートするのが、今回紹介するスマホアプリ「元カノは友達だから問題ない」。
あらすじ
主人公は、今は「今カノ」とそこそこ順調に付き合っているところ。
以前付き合っていた「元カノ」とは、今は離れている、というところからスタート。
「今カノ」。おとなしくて、影のある雰囲気が魅力。かわいい。めっちゃイヤそうな顔してるけど
同窓会で彼は「元カノ」と出会います。かつて学生時代は、なかなかよい仲でした。
久しぶりに出会った彼女は、とってもキュートな、大人な女性に。
もちろん向こうも覚えています。大人になったら、友達としてうまくやっていけるかもしれない、なんて思うのはまあ、わかる。
明るく優しく元気でセクシーな「元カノ」。かわいい。なんかちょいエロい
主人公は「今カノ」のことが嫌いではないので、別れる気はありません。
じゃあ「元カノ」と会うのは、どうなんだろう?
いやいやーー、友達でしょ? 友達ならいいよね、友達だもの。
かくして、恋人としての「今カノ」と、友達としての「元カノ」に連絡する日々が始まりました。
正直「よくねーよ!」とこの時点で思ってなりませんよ、ぼくは!
お前のその行動、色々不誠実だろ、気に入らんのだけど。「今カノ」に謝れ。
……という善悪感覚がこの後、ゲームの大事なフラグになります。
こんなゲーム
基本的には会話でゲームは進んでいきます。ベースシステム自体は一般的なギャルゲーと同じ。
会話方法はカード選択制になっており、彼女たちへの応答としていずれかの台詞を選択。それによって物語が分岐します。
間違ったかなと思ったら、すぐに前の選択肢まで戻れる親切設計。
会話中の選択肢。基本的には物語分岐。マップを開くと分岐点に戻ることが可能
画面の上のところに意味深な赤と青のゲージがあります。
これは選択肢によって変動するもの。選択肢による物語変更だけじゃなく、このゲージ量によっても話は分岐していきます。
なので「両方満タンにすればGOOD」とは限らない。絶対的な正解は存在しません(フラグ管理はできます、一応)。
加えて、会話パート以外がえらい凝っている。
コミュニケーション手段は会話だけじゃない。
SNSを利用した情報収集が、そのままゲームになっています。
電話がかかってくるとこんな感じで着信します。さてと、すぐ出る? 出ない?
LINE的なSNS会話ツール。どうしよう、「今カノ」の感情が読めない
今はメールですらないもんね。主な手段と言えばLINE(作中では「LIME」)ですよ。
これがどうにも生々しい。
特に「既読」の文字。
友達・家族・恋人で、LINEの既読つけるかどうか、迷ったことある人はかなり多いと思います。
「既読して返答するか、開かないか、既読無視するか」
反応で相手の心理を察することができてしまう。しかも、思い込みで歪むことも多いのが、厄介なところ。
今カノは未読状態。さーて、開いておくべきか否か
ストーキング気分体感ゲーム
Twitter的なものとFacebook的なものは、相手が書き込んだ内容が残っているもの。書き込みは必ずしもこちらとのコミュニケーションではありません。
むしろ、相手が他の人とのコミュニケーションを取っている様子を横から見られるという、おっかねーツールでもあります。
これを主人公はフル活用。「元カノ」が今どう過ごしているかをジワジワネットで調べます。
はい、もうストーキングでしょうこれは。
だんだん楽しくなってきたぞー。もうここは、ストーカー気分になりきろうじゃないですか。
「元カノ」のTwitter的なアレ。鍵垢じゃないのでフォローしなくても見られる
SNSモードでは、実際に自分や「元カノ」絡みの情報、彼女の動向が見て取れます。
この下をスクロールして追っていくことも可能。
「早く 別れたい」。不穏ですね。調べたくなりますね。調べちゃいますか。
Facebook的なアレ。関係ないけどアイコンが猫なの、あるあるすぎる
もう一つのSNSモードは、Facebook的なやつ(作中では「FaceNote」)です。こちらはタイムラインの他に「共通の友人」からつながっていけるのが特徴。「元カノ」のつながりをチェックしていこう。
「友達」申請をするかしないか、というのは究極の選択。ならないと、限定発言が読めない。でも「元カノ」に会ったからってすぐに友達申請するのって、鬱陶しくない?
色々タップすると、検索結果とかでてきてハラハラ。ほんと心臓に悪い。
MISSION、彼女のSNSを根掘り葉掘りチェックしろ、というゲスい感じのゲーム
ゲームでは「SEARCH MISSION」がしばしば入ります。
SNSを開いた上で、色んな所を調べながら「元カノ」の様子をチェックしていく。時間制限があるのでかなり焦ります。
さすがにゲームとはいえ、気が引ける……。
いや待てよ、友達でしょ、このくらいやっても問題ない……か?
そこで、最大のチェックポイントが入ります。
心に問え、それでいいのか?
会話でもSNSでもない、謎の二択がゲーム内に時々登場します。
これは今まで選択してきた行動に対して、どう感じたか問われるという、鏡を見るかのごとき問い。
あなたは、主人公の行動をどう思いますか?
元カノをSNSで探すのは問題ない? ど、どうだろう……。LINEやツイート(現実の)に投稿もできます
それまではストーカーごっこ、友達ごっこをプレイヤーは体験できます。わりと気ままに。
でも本心どうなのか問われると、かなり悩む。
直感的には「問題だろー」と思うかもしれない。でも友人だと思っていれば、「そのくらいしても問題ないんじゃない?」という気もする。
思いっきりプレイヤーの考えが反映されます。
もう一つ重要なポイント、クリア後にTIPSというものが追加されます。
物語の二周目を進めていくと、主人公視点ではなく「元カノ」「今カノ」視点で何が起きているかわかる、というもの。
このTIPSを全部見ることで、起きている出来事の全体像がわかる。
そして愕然とさせられます。
あれだけストーカー行為を働いても、結局何にもわかってなかった、ということに。
本当に人とコミュニケーションなんてできるんだろうか
言葉ってこんなに曖昧なもんなのか、というのを味わうゲームです。
面と向かって話していても、全然相手の気持ちなんてわからない。
ましてや文字だけのSNSを第三者視点で見ても、わかるわけがない。
特に「今カノ」から送られてくるメッセージの、無機質さときたら。
ぶっちゃけ主人公は相当クズいです。多分製作者も意識的にそう作っているでしょう。
ところがいざそのクズキャラのプレイヤーになってみると、本当に倫理的価値観や、相手の感情の真実がわからなくなってくる。
「男女の友情はありえるのか?」
主人公は、あると言い張る。言い張って「元カノ」に近づこうと必死になる。
本当にそれ友情なんだろうか。自分だったらどうなんだろう。
人間をどこまで信じられるのか、どこからが裏切りなのか、の問題です。
簡単に裏切れてしまうのが、現代のコミュニケーション。
「元カノ」と「今カノ」のキャラがまたよくできている。「今カノ」はミステリアスでかわいいのですが、感情がわからないおっかなさがある。「元カノ」はあっけらかんとしていて、とっつきやすく、すぐ仲良くなれそう。
「元カノ」に惹かれてしまっている、心移りしている主人公の感覚がまんま反映されています。
それを踏まえた上での、「あなたならどうする?」。
正直ネットストーカーごっこ面白すぎるので、このスタイルの続編が出たら、もっとSNSいじる幅を増やして欲しいところ。制作者が以前作っていた「元カノ(仮)と今カノと僕」「ぼくのカノジョは浮気なんかしない」なども、かなり濃いめに現代コミュニケーションを掘っているので、オススメ。
人の気持ちは、知りたいもの。
でも知らないから平和に暮らせるのかも。
[基本情報]
タイトル 『元カノは友達だから問題ない』
制作者 GLOBAL GEAR, K.K.(制作者様サイトはこちら)
クリア時間 2時間~(多数分岐あり)
対応OS Android端末 iOS端末
価格 無料
ダウンロードはこちらから
iOS版