愛知ゲームキャッスルで見つけた注目インディーゲーム7選
2025年3月23日、インディーゲーム展示会「愛知ゲームキャッスル」が愛知県名古屋市のウインクあいち8階展示室を会場として開催された。今回が初めての開催となる。入場はチケット制となっており、当日はのべ53組が展示を行っていた。
会場のウインクあいち(愛知県産業労働センター)はJR名古屋駅から徒歩4分程とアクセスしやすい場所となっている。 新幹線等を含めたそのアクセスの良さからか、会場には中京圏のみならず各地から出展者が集まっていた。
本イベントの主催であるヒガタニ氏は、自身もゲームクリエイターとして『Warehuman -ウェアヒューマン-』を開発中の人物。氏に今回のイベントを企画した理由について聞いてみたところ、製造業の盛んな地元に対してゲームで身を立てられる場を用意したい、という反骨心もにじむ回答を頂けた。
弊誌でも各地の展示会の様子をたびたび伝えている通り、近年は地方各地でのインディーゲーム展示会の開催が活発になってきている。プレイヤーには新たなゲームを知る機会として、クリエイターにはプロモーションやフィードバックの機会として、こうした地方のイベントへの参加・活用を一考して頂ければ幸いだ。
本記事では取材陣が気になった作品を7点紹介するので、気になった作品があればチェックしてみてほしい。
ストロベリーごはん『1234 つなげるパズル』
『1234 つなげるパズル』はストロベリーごはん氏が制作したスマートフォン向けのマージパズルゲーム。数値の書かれたコマを連番でなぞり、3種以上の数値をなぞることでコマを消して、最後の数値に+1された値のコマに変換していく。また行き詰った場合には回数制限のあるアイテムを使用することでブロックを除去・変換して状況を打破できる。
例としては、2、3、4とコマをつなげた場合は5のコマに変換される、という具合になる。がむしゃらに変換していくだけでは手詰まりを起こすため、後々になっても連番をつなげられるように先を見据えて変換を重ねていくことを考えるのが重要となる。シンプルなルールでありながら独特の思考と手触りの良さが楽しめる作品となっていた。
本作はApple Store並びにGoogle Playにて配信中。また、かわいい動物たちが登場するコマで遊べるアップデートと、それに合わせたSteam版のリリースを予定しているとのこと。パソコン上で遊びたいという方は開発者Xなどで今後の続報を確認してほしい。
(真野 崇)
Website: https://x.com/ShadowloveP
Nanbu Works『Indomitable Blade』
サークルNanbu Worksが開発中の『Indomitable Blade』(インドミタブル・ブレード)は、滅びゆく王国の首長となり、亡国の騎士たちを率いて生き延びることが目的となるダークファンタジー・シミュレーションRPG。
戦闘システムは行動順制を採用。敵への攻撃の際にはヒットポイントだけでなく、攻撃力・防御力・素早さ・スキル発動に使用する「Will値」といったあらゆる能力値に対してダメージを与えることが可能となっており、真正面から敵を倒すだけではなく敵を弱らせることで立ち回っていくシステムとなっている。ただし、敵も同じように能力値に対してダメージを与えてくるため油断は禁物。実際に筆者が会場で試遊していた際には、いつの間にか主人公が防御力の値を削られており、敵からの一撃で倒されてゲームオーバーとなってしまう一幕があった。
ゲーム展開は加入する仲間や攻略対象のマップ、ストーリー分岐などがプレイの度に変化するローグライク方式で、倒された仲間は生き返らないので、得られた戦力を慎重に活用していくことになる。総じてSRPGを遊び慣れている人でも襟を正して挑む必要がある作品となりそうだ。
(真野 崇)
website : https://indomitable-blade.com/
のろらる『雨夜行』
『雨夜行』はサークルのろらるの門田めいあ氏が開発中の横スクロール型2Dアクションゲーム。日本の古典などをモチーフとした和風の世界観が特色となっている。会場ではアクションパートのみの体験となっていたが、アクション以上にストーリーやキャラクターにもこだわって制作を進めているとのことで、ブースに飾られていた自作のぬいぐるみやグッズなどからもそれを感じ取ることができた。
アクションパートは攻撃やジャンプ、武器の切り替えやしゃがみといったアクションを駆使して進んでいくオーソドックスなもので、手軽な難易度とプレイ感が特徴となっている。ステージ中には美術品である「資財」というコレクションアイテムが散りばめられているので、これらを集めていくのも楽しみのひとつとなる。
本作は時期未定ながらも無料公開が予定されている。公式サイトでは開発版のダウンロードが可能となっているので、いち早く体験してみたい人はチェックしてみてほしい。
(真野 崇)
Website : https://nororal.com/amayakou/
麺屋すぱいす 東京支店『アイアイ喫茶店』
サークル名のとおり東京からの参加となる麺屋すぱいす 東京支店の『アイアイ喫茶店』は、主人公が自身の田舎にある奇妙な喫茶店に入るところから始まるショートノベルゲーム。
こちらがお品書きになります。「酢豚入りパイナップル」「見様見真似の炒飯」など、モーニングサービス発祥の地のひとつとされる愛知の名だたる喫茶店もかくや、と言うような料理の数々だが、この中から注文したメニューによって新米女給さんとマスターの反応が変化し、符丁と勘違いされ店の奥に連れて行かれ、それぞれのエンディングへと分岐していく。
メインビジュアルにもなっている新米女給さんがハジキを持ち出すハードボイルドな展開はインパクト抜群。到達したエンディングによってはアイテムを入手することができ、そのアイテムによってもさらなる分岐が発生するなど、1周あたりの時間が短い代わりに繰り返しプレイすることで様々な結末を楽しむ形式の作品となっている。本作はSteamのほかスマートフォンでのリリースを計画中とのことで、続報が待ち遠しい一本だ。
(真野 崇)
Website : https://x.com/men_spice_tokyo
清水れお『ネモフィラのゆめ』
清水れお氏が制作中の『ネモフィラのゆめ』は悪夢と現実が入り混じる、部屋から出ることができないという少女と対話するノベルゲーム。少女は自分の行動を覚えていて欲しいと語り、そしていきなり寝る。
何事かと思って彼女から日頃のことなどを聞き進めるなかで、彼女が配信者に憧れていることや、家庭環境があまり良くないこと、何らかの病気をしていることなどが判る。一方で彼女の様子が何かの発作のようにおかしくなるときもあり、プレイヤーには彼女との向き合い方が問われる事になる。
何が真面(まとも)で何が異常なのか、どこからが夢でどこまでが現実なのか。途中で色調が崩れる演出もドキリとさせられる本作は清水れお氏のX(旧Twitter)経由でデモ版がダウンロード可能となっている。
Website : https://lit.link/reoshimizu
阿冷Rio『いぇふぉさま』
『いぇふぉさま』は阿冷Rio氏が制作中の2Dホラーアドベンチャーゲーム。制作にゲームボーイ向けゲーム制作ツールGB Studio(関連記事)を用いたレトロ風スタイルで、こっくりさんのような「いぇふぉさま」というまじないを行った後に行方不明となってしまった小学生「イズミ」くんを探し出すというオカルト色の強い作品だ。
ゲームシステム面では重要な証言や証拠が記録される「レコーダー」の存在が特徴。まじないに参加した通りすがりの探偵や、「いぇふぉさま」の事をイズミ君に教えた自称オカルトライターなども交えて消えたイズミ君の謎を追うことになり、その中で失踪事件と超常現象がじわじわと結びつく空恐ろしさを感じ取ることができる。
展示面でも配布されていたパンフレットが探し人のチラシで、本当に起きた事件であるかのように真に迫ったものになっているのが印象的だった。本作はitch.ioにて体験版が公開中であり、ブラウザ上からプレイ可能となっている。また、同じくitch.ioにて2025年7月下旬頃に完成版を無料公開予定とのことだ。
Website : https://x.com/Ah1yaR10
CAVYHOUSE『こふんは生きている ーマホロヴァ・クラブの死体さがしー』
『こふんは生きている ーマホロヴァ・クラブの死体さがしー』は、サークルCAVYHOUSEが開発中の探索型3Dアドベンチャーゲーム。姿は前方後円墳そのものの自身を古墳だと思っている男の子「こふんくん」を操作して、自身の中に眠ってくれる死体を探すことが目的となっている。
会場内では公園内を探索し、公園に隠されたひみつを解き明かすところまでをプレイすることができた。こふんくんと相方の「はにわくん」の小学生男子そのもののやり取りが微笑ましく、彼らのやり取りをもっと見てみたいと思わせてくれる。また、公園の遊具で遊んだりすることで「アクションポイント」を入手することができ、アクションポイントを使うことで探索・謎解きに関するヒントが得られるので、進行が行き詰まりにくい点も好感触となっていた。
奇抜な設定に反して王道ジュブナイルが楽しめそうな本作は2025年の夏~秋ごろに発売予定とのこと。スタンド・バイ・ミーかもしれないこふんくんの死体探しの冒険に注目だ。
(真野 崇)
Website : https://www.cavyhouse.net/