「滑れるようになる」が味わえるゲームデザイン。スノボで滑り抜けるスマホゲーム『Alto’s Adventure』

アクション,インディーゲーム,スマホゲーム

デフォルメされたデザインでアーティスティックな雰囲気が漂うゲームはついつい遊んでいて見とれてしまう。

スマホゲームで言えば、昨年リリースされたパズルゲーム『Monument Valley』は、その独特な世界観と触って解くパズルの面白さが見事に組み合わさったゲームだった。

今回、紹介する『Alto’s Adventure』はカナダの2人組のデベロッパー・Snowmanが2月19日にリリースしたばかりの新作。スノーボードに乗って滑りながら、逃げたリャマを追いかけるランゲームだ。

ひと目で分かるそのアーティスティックなグラフィックとサウンドが醸し出す世界観だけでなく、スノボに乗って滑る楽しさを上手く再現している。その面白さを紹介していこう。

とにかく美しいランゲーム

雪原の村に住む主人公のAlto(アルト)が、スノボに乗って滑りながら逃げたリャマを追いかけることになるという設定。

ジャンルとしては至って単純なランゲームだ。ランゲームは操作がタップやスワイプだけで非常にシンプルでありながらもスピード感があり、複雑な操作を苦手とするスマホ向けのゲームジャンルと言える。超名作『Temple Run』が世界的に1億7,000万DLを突破するブームに、またGREEの『消滅都市』もこの仕組みを採用している。

この『Alto’s Adventure』では、アルトは雪原から、森、村などを次々と滑り抜けていく。そのデザイン一つ一つがデフォルメされており、思わず見とれてしまう。

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タイトル画面からタップするとタイトル下のリャマが逃げ出してそのままシームレスにプレイがスタートする。

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走るリャマを追いかけよう。コインは集めると村で買い物ができるようになる

さらに、ランゲームは同じような風景が連続して単調になりがちだが、このゲームは違う。プレイしていると、夕方、夜、夜明けと刻一刻一刻と背景が変化していくのだ。そのグラデーションは見事。また、ランダムで天候も変化するため、風景に飽きることはない。

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時間が経つにつれ、日が暮れていく

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夜になると真っ暗で、村の家から漏れる光と月、星明かりのみ

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雨や吹雪になることも。

操作は、タップしてジャンプをするか、ジャンプをしたまま長押しをしてバックフリップ(回転)をするかといった操作のみ。道を塞いでいる障害物を避けたり、崖から大ジャンプをしたり。屋根の上を走るなど、簡単なコースの分岐があったりもする。

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ジャンプ!

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着地まで高さがある場合はバックフリップを決めろ!

「滑れるようになる」感覚の再現と乗り越えた時の気持ちよさ

このゲームでは、障害物に当たったり、崖から落ちるといったミスをするとゲームオーバーになり1プレイが終了する。その時点でスタートから何m進んだか、リャマを何匹捕まえたか等の実績に応じてスコアが算出される。

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プレイしてみてまず最初に実感するのは、「意外と難しい」ということ。障害物があればジャンプするだけと聴くと簡単そうなのだが、その気持ちでいると心が折れてしまうかもしれない。

タイミングが風景に溶け込んで見えにくいものがあったり、タイミングが悪くて崖を越えられなかったり。バックフリップに至っては、「よっしゃ決めてやるぜ!!!」と意気揚々と長押ししたはいいものの思ったよりも滞空時間が短くて頭から落下したり。

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これはまずい

とにかく最初は、「あれ?おかしくね?」と思ってしまうほどにコケてコケてコケまくる。もちろんタイミングを合わせるのが上手な人はスイスイとできてしまうかもしれないが、筆者はひたすらコケまくっていた。

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岩に当たってズコー

しかし、しばらくコケ続けていると、徐々に身体がタイミングを覚えてくるもので、徐々にジャンプもバックフリップもできるようになる。

「この地形の時に、調子にのってバックフリップするとやばい」
「森の中や夜は障害物が見えにくいから特に集中しないといけない」

そんな風に気をつけなければいけないポイントが身についてくるのだ。その結果、気持良く滑れるようになる。実際にスキーやスノボをしたことがある人なら、最初は嫌というほどたくさん転んでしまうが、徐々に慣れてきて、気持ちよく滑れるようになる瞬間があるのではないだろうか。

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ヒャッハー!!速度が出てくるとマフラーがたなびく描写になりまるで風を切っているような感覚になる。SSはさらに、転ばないアイテムをとって効果が発動しているので水色になっているところ。

まさに、このゲームにおける上達は「コケながら覚える」という、実際にスノボに乗れるようになるプロセスそのものを再現している。そのうち余裕も出てくるので風景の美しさも楽しみながら、その中を滑り抜ける快感を味わえる。非常に秀逸なプレイ体験だ。

やさしいチュートリアルから、いきなり気持ちよく滑りたい人には少しきついかもしれない。しかし、最初の苦難をぜひ乗り越えて、グラフィックを楽しみながら滑れるようになるまでがんばってみるだけの価値はあると思う。

ぜひお試しあれ。

なお、記事の冒頭でも紹介した。アーティスティックかつ触っていて楽しいスマホゲームといえば昨年リリースされたパズルゲーム『Monument Valley』。もぐらゲームスでは追加DLCの『Forgotten Shores』と合わせてレビューしているのでそちらもぜひご覧いただきたい。

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[基本情報]
タイトル Alto’s Adventure
制作者 Snowman
プレイ時間 1分以上〜
対応OSと価格 iOS(200円)

ダウンロードはこちらから

  • すんくぼ(@tyranusii

    学生時代、MMORPG「リネージュ」で朝から晩まで飽くことなきレベル上げと戦争に没頭する毎日を送る。本業では廃人卒業後、国家公務員を経て、再びゲームの世界へ。「もぐらゲームス」を立ち上げました。ハマったゲームはライブアライブ、ファイアーエムブレム 聖戦の系譜、デモンズソウルなど。
    個人ブログもやってます:もぐらかペンギンか