無敵のボディで少女を守るエスコートアクション『アトの跡 第1章』 「吸い込み」と「反射」を駆使して敵を殲滅!
古今東西さまざまな物語でみられる”いたいけな少女を守る”というシチュエーションは、男子に生まれたならば一度は夢見るものだろう。
そんな「少女を守る」という事をテーマとした”エスコート・アクションゲーム”が今回紹介する『アトの跡』である。
本作はPCゲーム制作サークル「ほしさらい」のチャレヒト氏の主導で開発が行われ、「デジゲー博」「Bitsummit」「ニコニコ自作ゲームフェス」などのイベントに繰り返し出展されている。各イベントでは試作版をプレイすることができたが、このたび2月1日に『第1章』が正式公開となった。
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少女を守りつつ森を進め
本作はロボットのような姿を持つ種族「ミタイ」のアトを操作し、道をふさぐ岩や攻撃を仕掛けてくる敵などの障害を排除し、アトの足跡を追ってついてくる少女・ヒヨをゴールまで護衛することが目的となる。
アトは「反射」(バーンアクション)と「吸い寄せ」の2種類のアクションを使用できる。
「反射」は障害物となる岩などを吹き飛ばすことができ、「吸い寄せ」は敵の本体や攻撃を吸い寄せることが可能だ。
さらに「吸い寄せ」た敵本体や敵弾を「反射」で蹴り飛ばせば攻撃として利用できる。
特に敵本体を吸い寄せたときは敵がボール状に変化し、吸い込みの最中にこのボールを蹴り飛ばせば「狙い撃ち」となり、他の敵を巻き込む強力な攻撃手段となる。
鋼の体を持つ「ミタイ」であるアトは何度攻撃を受けてもゲームオーバーになってしまうことはない。時にはその特性を駆使し、ヒヨを身を挺して守らねばならないこともあるだろう。
ただし攻撃の受けすぎも禁物で、許容量を超えたダメージを受けるとアトはダウンしてしまう。耐久力はアイテムで回復できるほか、ヒヨがそばにいればヒヨが回復してくれるので活用しよう。
一方で、ヒヨは敵からの攻撃に対しては一発で気絶してしまう。ヒヨが気絶すると、ヒヨに黒い烏のよう影がまとわりついていき、画面左上部に表示されるカウントダウンタイマーが0になるとヒヨが連れ去られてゲームオーバーとなる。ヒヨが気絶した場合は急いで助けに戻ろう。
ステージ構成が織りなす阿吽の呼吸
筆者は2015年5月に開催された「東京インディーフェス」にて『アトの跡』のことを知って以来、インディーゲーム関連のイベントで本作を見かけるたびに試遊を行っているが、イベントを経るごとに練り上げられていくステージ構成の妙に驚かされた。
たとえば「吸い寄せ」の届かない木の奥に敵がいる場合、どのように敵を排除して安全を確保すればいいだろうか。
こんな時は、敵の撃ってきた弾を吸い寄せ、反射で蹴り飛ばして打ち出せば木を貫通して敵を倒すことができるわけである。
この他にも、敵の大群が現れた際には敵を倒せる効果を持つ灰色の岩を蹴り込む、大きな盾を持つ敵に対しては反射を利用したアクションで盾を剥がしてから吸い寄せる、キノコから噴き出す毒ガスは後ろをついてくるヒヨにとって有害なため逆に吸い込まないほうが良い、ボス相手ならば敵弾を吸い寄せ続けて動きが止まったところで一気にカウンターを決める…など、わずか2つのアクションが多彩な展開を生み出している。
地面をその場で踏みつけるような「反射」アクションの小気味よさも相まり、まるでパズルのピースをはめるかのように、問われたシチュエーションに対して狙った通りのアクションができた時の手ごたえは確かなものがある。
プレイヤーの抱いたクエスチョンに対して、確かなアンサーを返してくれる、ゲームとの間に対話性を感じることができる。そんな血の通った作品に仕上がっているといえるだろう。
エモーション豊かなモーションたち
一の動作は万の言葉よりもはるかに多くの物を語る。
『アトの跡』の最大の魅力は何といってもキャラクターの細やかなアニメーションにある。
アトとヒヨの主人公二人組を筆頭に仕草がコミカルで可愛らしく、はたから見ているだけでも賑やかで楽しめるものになっている。
とりわけ筆者が本作に惹かれるきっかけとなったのが、この「気絶したヒヨをアトが抱えてゆすり起こす」仕草だ。守り守られる二人の関係性がよく表れた一幕となっている。
ストーリーパートより、ヒヨを襲っていた烏を追い払い、ヒヨに向かって指で丸を作るアト。無口ながらに感情豊かな様子がうかがえる。
アトの「吸い込み」に焦る敵キャラクター達。ボールと化した後も愛嬌が感じられる。
月並みではあるが、こうした「動き」はどうしても文章や静止画の上では伝えづらい。ぜひゲームをダウンロードして実際に動いているところを見ていただきたい限りだ。
二人の旅はまだ始まったばかり
本作の難点を強いて挙げるとするのならば、その短すぎるボリュームだろう。
一般的なアクションゲームの1ステージ分、最初のボスを倒した時点で終了となってしまうのは、続きを遊びたいと思わせるだけのものがあるが故に食い足りなさを感じてしまう。
タイトルに『第1章』と銘打たれており、続きがあることをうかがわせる終わり方をしているので、まことに気の早い話ではあるが”第2章”以降の展開を首を長くして待つことにしたい。
[基本情報]
タイトル: アトの跡 第1章
制作者: ほしさらい(チャレヒト)
クリア時間: 30分~
対応OS: Windows
価格: フリーウェア
↓ダウンロードはこちらから
(ふりーむ)
http://www.freem.ne.jp/win/game/13985
(Vector)
http://www.vector.co.jp/soft/winnt/game/se515135.html