彷徨う夢遊病者をベッドに連れて行くスマホパズルゲーム『Back to Bed』

スマホゲーム

不思議な世界を舞台に、ステージのギミックを指でタップして動かしながら遊ぶスマホゲームが面白い。有名どころでは、昨年公開された『Monument Valley』がある。非常に幻想的な雰囲気の中で、これまでのスマホゲームとも一線を画し、非常に面白い体験だった。

今回紹介するのは、夢の中の世界で夢遊病者をベッド(ゴール)まで連れて行く『Back to Bed』だ。スマホの中に浮かぶ非現実的な不思議なギミックの箱庭をキャラクターが歩きまわるのでゴールへ誘導していくという部分は『Monument Valley』のように聞こえてしまうが、このゲームのプレイ感は違う。雰囲気とゲームデザインのバランスが絶妙なので、さっそく紹介していこう。

夢遊病者のボブをベッドまで誘導しよう

本作の主人公は夢遊病者のボブ、そしてステージは彼の見ている夢の中になる。ボブは、ほうっておくと、一方向にしか動けない。目の前に障害物があると、時計回りに移動する方向を変えていく。

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ボブ

プレイヤーは、ボブの夢の中にいる犬のような世話役になって、彼を正しくベッドまで導かなければならない。ステージに落ちているりんごを使い、ボブの進路にりんごを置いて、彼の動きをうまくコントロールするのだ。

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このままだとボブは落下してしまう

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りんごを置いてあげると進路変更できる。

ステージは夢の中の世界ということで、壁を歩けたり、ワープできる扉があったり、超現実的な世界だ。かのエッシャーやダリの絵のような不思議な世界が広がっている。

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壁に階段がつながっているところでは、このように壁を歩ける。

また、お邪魔キャラとして、夢から強制的に彼を覚ましてしまう「時計」などもいる。ボブはこちらの努力など気づくこともなく、どんどん歩いていってしまうので、急いでリンゴを運ばなくてはいけなくなる。ちょっとした緊張感のあるパズルだ。なお、失敗してもボブはすぐにまたスタートから歩き始める。ベッドに着くまでは、夢を繰り返すのだ。

徹底的に行き届いている「夢遊病」の世界観

このゲームをプレイしていると、世界観があまりにもスッと自分の中に入ってくることが驚きだった。

本作は、「夢の中を彷徨う夢遊病者」という決して明るいテーマではないが、夢の中のなので現実ではない色々なことが起きる。暗めの色で構成されつつもカラフルなステージ、ステージ開始時は呆然として立ち尽くしているが、数秒経つとはっと気付いたかのように動き始めるボブの動きなど、テーマがゲーム全体に行き届いている印象だ。

また、登場するギミックもまた夢の中ということで、現実ではありえない異空間な雰囲気をよく表している。

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唇の障害物は、息を吹きかけて強制的にボブを移動させてしまう。

そして、設定とゲームデザインの調和だ。夢遊病者本人を操作するのではなく、お助けキャラクターとして夢の中で彼を導く存在としてプレイヤーが存在すること。ベッドへ戻ることがボブにとってのゴール(救い)であること。時計に合うと夢から覚めてゲームオーバーになってしまうこと。などゲームをプレイする上での世界観における位置づけとゲームプレイの意味合いが見事にマッチしている。

本記事の一番最初で挙げた、『Monument Valley』と比べると似て非なるゲームということが伝わっただろうか。幻想的で、謎めいた雰囲気の『Monument Valley』は遊園地で遊ぶかのように非現実的な世界に巻き込まれていくプレイ感だった。比して、『Back to Bed』は、夢遊病という設定がじわじわと身にしみてくる、少し不気味で現実的な世界が広がるプレイ感だ。ボブという夢遊病者のカウンセラーになったようなかの感覚である。

[基本情報]
タイトル Back to Bed
制作者 Bedtime Digital Games
プレイ時間 1~2時間
対応OSと価格 iOS(360円)Android(360円)


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  • すんくぼ(@tyranusii

    学生時代、MMORPG「リネージュ」で朝から晩まで飽くことなきレベル上げと戦争に没頭する毎日を送る。本業では廃人卒業後、国家公務員を経て、再びゲームの世界へ。「もぐらゲームス」を立ち上げました。ハマったゲームはライブアライブ、ファイアーエムブレム 聖戦の系譜、デモンズソウルなど。
    個人ブログもやってます:もぐらかペンギンか