『BOOR』アクション・パズル・SF、3つの程よいブレンド
人類が地球を離れ、宇宙で暮らす時代の物語。
宇宙空間で人類が居住するスペースコロニー「EDEN」内にある、巨大な人工知能「BOOR」。コロニーの環境を管理するために開発されたもので、これによって平和が保たれる・・・はずだった。
その「EDEN」にある時、1機の宇宙船が事故によって不時着し、一人の少女が生き残る。少女が見たのは、誰もいない廃墟のような場所だった。
Steamで配信中のゲーム『BOOR』は、そんなSFのストーリーと、白・黒・赤の3色のみで描かれたシンプルな映像が特徴のアクションパズルゲームだ。
見極め、考え、味わうゲーム
ゲーム内容は、主人公の少女を操作して、様々な仕掛けやトラップを抜けながら進んでいくもので、各ステージに設けられた出口まで移動すればクリアとなる。
操作は左右移動とジャンプ、そしてアクションボタンで特殊な能力「分身」を発動させる。押すと少女の同じ姿の分身が出現して、少女は動かなくなり、プレイヤーは分身のみを操作する。基本は同じく左右移動とジャンプだが、分身には「特定の壁をすり抜ける」と「攻撃を受けても消滅するだけでミスにならない」という特徴がある。
分身の能力を利用すれば、壁をすり抜けた先にあるスイッチを押して扉を開ける、動くものに対して追いかけてくる敵を誘導して落とし穴に落とす、敵を見つけるとレーザーを撃つロボットに近づいてブロックを破壊させるなど、ステージ上の様々なトラップや仕掛けを突破することができる。
だが、分身は一定時間を過ぎると消滅してしまうので、どこで分身を発動させるか、どこを進めばスイッチの場所にたどり着けるか、限られた時間でどう誘導するか、少女と分身をどう動かしていくかなどを考えていく、それがパズル要素となっている。
ゲームには50を超えるステージが用意されているが、中にはじっくり時間をかけて解法を考えるパズル重視のステージがあれば、攻撃を避けたりジャンプするタイミングが重要なアクション重視ステージやボス戦もある。
特にアクションやボスの場面では、敵の攻撃パターンがある程度決まっているので、じっくり動きを見ていけば避けるタイミングがつかめるだろう。例えミスしてもペナルティなどはないので、何度も繰り返して挑戦することが突破につながる。
また、ステージをクリアしていくと、キャラクターとの会話を主としたストーリーを見ることができる。日本語ローカライズされていないため英語のみだが、時にはロボットに捕まったり、謎の人物に遭遇していく。その人物は何者か、スペースコロニー「EDEN」に何があったのか、そこを制御する人工知能「BOOR」とは何か?そんな物語が、進むたびに明らかになっていく。
このゲームで、アクションとしての「見極める」、パズルとして「考える」、ストーリーを「味わう」、この3つを味わうことができる。
「あっさり風味」のブレンド
このゲームのように、基本はアクションゲームで各場面にパズルがある、そして背景に大きなストーリーを感じさせるゲームといえば『LIMBO』『INSIDE』、3D映像の『PORTAL』など数多くあるが、それらと比べて『BOOR』は大規模なものではなく、アクションとパズルのどちらも薄い。でもそれは「薄っぺらい」など悪い意味ではない。
アクションは、敵の攻撃が激しいなど高難易度ではないので、パターンを見極めて確実に避けるように心がければクリアできるレベル。パズルは少女と分身の場所を考えるのが主で、複雑や難解なものではない。ちょっとした操作テクニックと思考だけで先に進めて、そのたびに明らかになっていくストーリーを見ることができる。プレイ時間も、ゲームを開始してからクリアまでスムーズに進めば3~4時間ほどで到達できるだろう。
長時間でもなく手軽に遊べて、でもちょっとした手応えも味わうことができる、そんな「あっさりした深み」を持っている。アクションやパズルは少し苦手という人にはお勧めできるタイトルだ。
【基本情報】
タイトル BOOR
制作者 Dazlog Studio
クリア時間 3~4時間
対応OS PC(Windows, Mac, Linux)
価格 \498
販売ページ Steam:BOOR
http://store.steampowered.com/app/450170/BOOR/