デジゲー博で見つけたおすすめ同人・インディゲーム12選
2016年11月13日、同人・インディゲームの頒布イベントであるデジゲー博が東京にて開催された。本イベントは今年で4回目の開催となり、ブース数の増加や様々なVRゲームの出展など、前年に引き続いての活況が感じられたイベントとなった。
そこで今回、もぐらゲームスではデジゲー博で気になった同人・インディゲームを12作品紹介。既に配信されている作品や、今後リリースを予定している作品もあるため、気に入った作品があったら情報を追っていくことをおすすめしたい。
1発1発狙って当てる楽しさを追求したSTG『MISSILEMAN』
今時シューティングゲームといえば、ショットを雨のようにバラ撒くタイプが主流だ。たしかにその方が派手で爽快感があるのだが、一方で「狙う」緊張感と「当てる」快感が薄れてしまっているようにも感じる。
『MISSILEMAN』は、ショットが連射できず、1発1発丁寧に撃っていくタイプのゲームとなっている。1発撃ったらしばらく撃てなくなってしまうため、よく狙って撃つ必要がある。外してしまったときのデメリットがあるお陰で、当たったときの嬉しさが高まっているわけだ。しかしそれだけではない。このゲームの良さは「当たった」ことを褒めてくれるシステムが搭載されていることだ。
まず、連続して敵を倒していくとカウントされる「コンボ」だ。ミサイルを外さずに当て続けることで経験値が多く得られるため、早くアップグレードをすることができるわけだ。また、アップグレードのひとつである「援護ミサイル」も、ミサイルが敵にヒットした際に追加で小型ミサイルが自動発射されるというシステムだ。
「コンボ」と「援護ミサイル」、この2つのシステムがミサイルをうまくヒットさせられた際の報酬となっており、ミサイルを当てる気持ちよさが大幅に増幅されているというわけだ。
(ニカイドウレンジ)
公式サイト:http://game-or-die.com/
王道をまっすぐ突き進む弾幕STG『アカとブルー』
https://www.youtube.com/watch?v=o83B-dm5JA8
弾幕STGへのアンチテーゼを感じた『MISSLEMAN』とは対照的に、こちらは近年の弾幕STGの王道を行くタイトルだ。それもそのはず、本作を制作している株式会社タノシマスの代表取締役が、弾幕STGの老舗である株式会社ケイブから独立した木村浩之氏だからだ。
実際、本作『アオとブルー』は、王道型のド派手なシューティングゲームとなっている。制作者が公式のブログで「ふつうのシューティングゲーム」と公言されている通り、本作は弾幕STGとしてはオーソドックスなシステムだ。ショットとボムがあり、コンボシステムがあり…といった感じで特筆したシステムはない。
だがしかし、クオリティに関しては決して「ふつう」ではない。ショットを当てる手応え感、爆発のエフェクトや効果音の気持ちよさ、美しさと視認性を兼ね備えた弾幕。熱く力強いBGM。本家CAVEのタイトルと堂々と張り合えるクオリティだと筆者は感じた。
「システムは普通だ」と書いたが、ボムのシステムはなかなかユニークだ。ボムゲージを溜めて発動すると、大きな火球がゆっくりと前進しながら敵弾をかき消し得点アイテムに変えていく。重要なのは「ボムで敵弾をかき消した量に応じてボムゲージがチャージされる」という点だ。敵弾が密集しているところにうまく打ち込めば、ボムが再び使用可能となるのだ。得点アイテムがジャラジャラ出る点と合わせ、麻薬的な気持ちよさがあった。
↑ボムを放った直後の画面。大量の得点アイテムが画面いっぱいに湧き出ている。
(ニカイドウレンジ)
公式サイト:http://tanoshimasu.com/project
AIで制御された群れをコントロールするゾンビ感染パズル『シカバネ☆パンデミック』
『シカバネ☆パンデミック』は、部屋の中にいる人間を全員ゾンビにすることが目的のパズルゲームだ。感染アイテムを使用すると少数の人間をゾンビに変えることができる。ゾンビは付近にいる人間を襲うので、感染させてゾンビを増やし、最終的に部屋中にいる人間を全部ゾンビ化させたらステージクリアだ。
ゾンビはAIによって制御され、自動的に付近の人間を襲う。が、人間も同様にAI制御となっており、ゾンビから逃げるようになっている。ゾンビは視野が狭く足も遅いため、そのままではゾンビに人間を襲わせることは難しい。そこで、プレイヤーは「ゾンビワープ」「ゾンビ透明化」などの手持ちアイテムや扉の開閉ギミックなどを駆使して、どうすれば人間に噛みつけるかを試行錯誤するわけだ。
いわゆる詰め将棋方式のパズルではあるが、ゾンビも人間もAI制御となっているため、カッチリとしたクリア手順が決まっておらず、様々な方向からのアプローチが可能なゲーム性となっている。また、クリアまでのタイムにによって評価が決まるので、効率のよい感染手順を確立する奥深さもあるようだ。奇抜さだけでなく、パズルゲームとしての新規性や完成度が高い一作だ。
「プレイヤーがゾンビ側となって人間を襲う」というやや不謹慎に思える設定ではあるが、そこまでグロテスクではなく、むしろゾンビの仲間を増やしていく快感や、増やしたゾンビの群れで人間を追い詰めていく感覚は妙な気持ち良さがあった。
(ニカイドウレンジ)
公式サイト:http://nekonekofrenzy.wixsite.com/nekonekofrenzy
フリーゲームの古典がまさかのリメイク『VolleyBall 2on2』
科学学会シミュレーションゲーム『PRINCIPIA』を開発したtomeappからは、新作『VolleyBall 2on2』がダウンロードカード形式で頒布されていた。
本作はSDキャラクターが2対2でのバレーボールを繰り広げる。2on2というだけあり最大4人までの同時プレイにも対応している。
十字キーと1ボタン操作でトス・レシーブ・アタック、キャラクターごとの必殺ショットなどを使い分け、
味方とも連携しつつ得点を狙うことになる。
タイトルどおりのシンプルかつストレートな内容だが、実は本作は1994年にPC-9801という機種のパソコン向けにリリースされていたフリーゲームのリメイクとなっており、当時PC-9801版を遊んだことがある筆者にとって実に22年ぶりとなる衝撃の再会に驚きと興奮を隠せなかった。
当時はまだパソコン用のゲームコントローラが珍しく、複数人で対戦するには1つのキーボードを共有しなければならないという苦難があったが、USB接続のゲームコントローラが普及した現代ならばパーティゲームとして気軽に楽しむことができるだろう。
(真野 崇)
公式サイト:tomeapp http://tomeapp.jp/
技能×頭脳のハイブリッド2D対戦格闘『獣の花』
『獣の花』はサークルmjnestが開発中の2D対戦格闘ゲーム。
本作では一般的な格闘ゲームにおけるコマンド入力による必殺技を廃し、4種類のカードを装備して必殺技や能力をカスタマイズできるというトレーディングカードゲーム的な要素がミックスされている。
カードの組み合わせを練り上げて知略で戦うか、あるいは間合い調節やコンビネーションなどのテクニックで戦うか、プレイヤーによって千差万別の戦法を取ることができる、というわけである。
必殺技カードは一度使用すると再使用可能になるまでに時間を要するほか、試合中に使える必殺技の回数(枚数)自体にも制限が存在するため、いつ”切り札を切る”かという事も駆け引きの要素となる。
実際に試遊を行った感想としては、ガード操作をボタン押しっぱなしで行う点や、通常ジャンプが人間を飛び越さない低高度のジャンプになっているなど、やや3D対戦格闘を意識したかのような操作感覚が印象的だった。
パンフレットに掲載されていた6人のキャラクターのうち操作可能なのが2キャラクターのみと、まだまだ開発中といった様相ではあったが、一味違った2D対戦格闘ゲームになることは間違いなさそうだ。
(真野 崇)
公式サイト:http://mjnest-b.blogspot.jp/
『SPACEWORLD』に見る、新世代のドット絵の息吹
本作『SPACEWORLD』は、『Hyper Light Drifter』等を想起させる、ドット絵でありつつも高解像度や現代的な技術・表現を織り込んだ’hi-bit’な2Dグラフィックスタイルで、暗い森の影と木漏れ日の対比の美しさ、アニメーションの細やかさが目を惹いた。
hi-bitなアートスタイルのゲームは海外で開発中の作品を中心に隆盛の兆しを見せつつあるが、国内からもこうした作品が現れてきていることに注目したい。
ゲーム内容はマップ自動生成型のアクションRPGとなっている。
開発者の方に話を伺ったところ、ありとあらゆるものに干渉可能な点を特徴としており、実際に敵キャラクターのスライムのみならず、そこら中にある草や木や岩を攻撃して破壊することが可能となっていた。
木を倒すとジャラジャラと大量の果物が落ちてくるなど、干渉を行った際に返ってくる反応も見もの。
RPGらしく成長要素もあり、経験値を貯めてレベルアップするとジャンプ攻撃などの新しいアクションが解禁されていく。
操作性も軽快で、特にジャンプ攻撃は攻撃範囲が広く、敵や地形を一気に粉砕できるのが痛快だった。
会場内で展示されていたデモは森のマップを動き回るのみの内容だったが、今後は素材を集めてアイテムを作るクラフト要素や、様々なクエストを導入していきたいとのことである。
(真野 崇)
公式サイト:スペースワールド http://www.spaceworld.cc/
会場内で見かけた「お腹が空くゲーム」2連発
TabletFrontierletで公開されていたのが、インパクト抜群の「魚を焼くゲーム」。
画面下の七輪へ向かって風を送り込むのではなく、机の上に置かれた「LeapMotion」というセンサーが手で仰ぐ動作を検知することで火を起こすというアイデアマン的な発想が光る逸品。
火が消えてしまうとゲームオーバーとなり、成績に応じて称号が表示される。
千葉大学電子計算機研究会(CCS)では4種類のミニゲームが展示されていたが、中でも異色なのが「おでんの具」が体当たりでぶつかり合う4人対戦ゲーム。
大学の文化祭のおでんの販促を狙って制作を始めたものの、ゲームが完成した頃にはおでんの販売がすでに終了していた…という、ちょっと切ないエピソードも披露してくれた。
(真野 崇)
マップ自動生成アクションゲーム『常世ノ塔』
次に紹介するのは、マップ自動生成のアクションゲーム『常世ノ塔』。本作は塔の上を目指しつつコインを集め、スコアを高めていくジャンプアクションとなっている。
操作キャラクターである「ココア」は通常は攻撃手段をもたず、MPを消費することで発動できる「魔法」を使うことで敵を倒すことができる。しかしMPは魔法を使うと減るゲージ性となっているので、使いどころを見極めて使用しないと、いざというときに使用できずに敵に倒されてしまう……という事態に。ほかにも、自分の体力ゲージを見極めつつ、トラップや敵の多い場所のコインを狙うか、狙わないか?といった判断など、細かい意思決定が面白い作品となっていた。
制作者の話によると、日替わりのマップをオンラインで配信して、ほかのプレイヤーとスコアで競い合うランキング機能も考えているとのこと。デジゲー博出展時にも当日のランキングを競うことができた。現在開発中のため、リリースを楽しみに待ちたいところだ。
(poroLogue)
公式サイト:http://commentout.info/
少女をエスコートしつつ進むACT『アトの跡』
本作は、プレイヤーキャラである「アト」の後ろをついてくる少女を守りながら戦うアクションゲーム。アトは敵や敵の攻撃を吸い込んでボール状にする技を使うことができ、ボールにした物体を飛ばすことで攻撃することができる。障害物や敵を倒しつつ進んでいくのが基本的な流れだ。
特徴的なシステムは、体力はアトではなく少女に設定されているため、少女が攻撃を受けないように守りつつ進むことが重要な点だ。アトは非常に強力な能力を持つが、少女は攻撃能力をもたないため、まさにエスコートしつつ進むことがポイントになってくる。
本作は11月中には第一章となる部分がリリース予定とのこと。イベント公開のたびに内容が洗練されている作品であり、今後の制作も楽しみにしたい作品だ。
(poroLogue)
公式サイト:http://hosisarai.blog.fc2.com/
『Her Story』 名作インディゲームの日本語版が登場
今回のデジゲー博には、インディゲームの配信プラットフォームである「PLAYISM」も出展。インディアドベンチャーゲーム『Her Story』の日本語ローカライズ版の展示を行っていた。
『Her Story』はサイレントヒル・シャッタードメモリーズのクリエイターでもあるサム・バーローが作り上げたキーワード検索型の推理アドベンチャーゲーム。
本作の特徴的なゲームシステムは、警察のデータベースに保存されている事情聴取映像のデータをキーワード検索し、1つずつ調べていくというシステム。これにより、物語の全容が少しずつ明らかになっていくという推理体験を楽しむことができる。ローカライズにあたって、この機能も日本語での検索ができるよう実装されたとのこと。
本作は11月18日から日本語版が配信開始され、11月末までリリース記念のセールが行われている。リリースが待たれていた作品だけに、プレイしたい人も多いのではなかろうか。
(poroLogue)
公式サイト:http://playism.jp/game/473/her-story
まるで洋ゲ―RTS『Tribal Siege』
会場でひときわ目を引くポスターで出展されていたのが、国内では珍しい洋ゲ―的な風貌を持つリアルタイム・ストラテジーゲーム『Tribal Siege』(トライバル・シージ)。
Tribal SiegeはRTSとアクションを融合させた、Windows、Mac、Linux対応のPCゲーム。 通常のRTSのように、資源を集めて陣地を拡大、兵士を作成し敵陣へ攻め込むことに加え、トランプラー(Trampler)と呼ばれる巨大なユニットをアクションゲームのように操ることができるのが特徴。
しかし、トランプラーを操るのには通常の兵士を作成する資源と異なる、Piety(信仰心)を集める必要がある。兵士中心に攻めるのか、トランプラー中心に攻めるのかはプレイヤー次第の戦術をとることができるとのこと。
現在、本作はSteam Greenlightを通過しており、配信予定は今冬となっている。対応言語は日本語、英語。国内のインディゲームとしてはなかなか見ない本格的な洋ゲーRTSのような作品となっているので、公開を待ちたいところだ。
(poroLogue)