振り返るのが恐い短編フリーホラゲ『アイシャの子守歌』。劇中で間接的に”語られる”悲劇とは?
2013年末から2014年にかけては数多くのフリーホラーゲームが登場したが、2014年後半から2015年に入ってからはフリーホラーゲーム一強という流れは下火となってきたようにも感じられる。ホラーアドベンチャーというジャンル自体にやや食傷感が感じられるのも確かだ。
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そんな中、時々現れて人気が出るホラーゲームは、何らか非常に印象的なものが多い。
今回、紹介するフリーホラーゲーム『アイシャの子守歌』は、30分程度でクリアできる超短編のホラーアドベンチャーだ。エンディングは1つしかないため、分岐を気にせず、ストーリーを存分に楽しみながら進めていくことができる。物語に関して、多くは文字で語られない。それでもしっかりとプレイヤーの心に訴えかけてくるストーリーと、ちょっとした恐怖の演出が特徴的だ。
文字では語られないが見事に”感じさせる”ストーリー
『アイシャの子守歌』では、ストーリーが語られることはない。主人公の女の子、アイシャは倉庫のようなところで目を覚ます。そこがどういうところなのか、時折現れる幽霊は一体誰なのか、プレイヤーはゲームをプレイし、時々出現する「日記」を読みながら、徐々に理解していく。
アイシャが目覚めたある施設で起きた「過去」、そしてその施設を一人きりで探索する「現在」、果たして何が起きているのかが30分程度の探索で徐々に判明してくる。
鍵となるのは、アイシャが会いたがっている「兄」の存在だ。果たして兄に何が起きたのか、そして探索していると時折、見える影は兄ではないのだろうか……。
なおプレイ中、主人公のアイシャは一言も言葉を発しない。アイシャがどのような気持ちで施設を歩きまわっているのか、思いを馳せてシンクロさせるのも、物語に身を浸す上で重要だ。
左右に歩くだけの2Dでも、「振り返る」怖さ
このゲームはホラーゲームなだけあって、探索中にはホラー要素がある。
まず、このゲームは左右の移動しかない、2Dというよりは、左右のみなので1Dだ。アイシャの周りは暗闇に囲まれており、見えるのはわずかに周囲のみ。途中手に入る懐中電灯では、アイシャが向いている方向を照らしだす。
この左右に照らす演出が絶妙で、プレイヤーは行き止まりや、何らかの設備を調べた後、振り返える=暗闇を照らさなければいけない。このゲームでは、振り返ると何らか先程までと様子が違うという演出が非常に多く仕組まれており、シンプルな移動方法とホラー要素をうまく組み合わせている。
30分以内という超短編そしてシンプルな操作ながら、過去と現在のストーリーを探る楽しみとホラー要素が美しく組み合わっている。
ぜひ味わっていただきたい一作だ。
[基本情報]
タイトル 『アイシャの子守歌』
制作者 あうぐ(制作者様サイトはこちら)
クリア時間 15~30分程度
対応OS Win ME/XP/VISTA/7/8/10
価格 無料
ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/10188