心を痛めつけるためのスマホゲーム『あなたの事が嫌いです』のおしとやか美少女・園原ひなたちゃんに嫌われてみよう
かつて『ときめきメモリアル』で、藤崎詩織が言ったセリフが伝説になりました。
「一緒に帰って、友達に噂とかされると恥ずかしいし…」
メインヒロインの下校時の断り方、あんまりにも辛辣。つらい。
心が砕け散った人は多数。と同時に、幼なじみに対してでも冷淡に接する姿勢にゾクゾクした人も多いのではないでしょうか。いやうそです、多くはないか。目覚めた人はいると思うよ。
そんな人におすすめするのが、出てくるキャラクター全員が冷淡な反応しかしないアプリ『あなたの事が嫌いです』。
タップすることで、どんどん好感度が下がっていくというシステム。どの選択肢を選ぼうとも、絶対上がりません。中でもぼくは、一緒に図書委員になった園原ひなたちゃんをご紹介したい。タップしていてどんどん変な気持ちになっていきます。
こんなゲーム
ちょっと解説を見てみましょう。
「女の子に好かれる事は一切ありません」
「触れば触るほど嫌われていくので頑張ってください!」
何を頑張るのかよくわからないです。
でもついつい罵倒のバリエーションを聞きたくてタップしてしまう魔力あふれる作品。
登場キャラは3人。気の強い女王様系の藤代綾、ギャルギャルしい悠木亜里紗、おとなしい園原ひなた。
マゾヒスト的には藤代綾と悠木亜里紗は、わかりやすいんです。
たとえば、藤代綾と自分が実行委員になったときの会話。
……いや「会話」ですらないのですが。
どの選択肢を選んでも好かれることはまずないので、安心して嫌われましょう。
あ、はい、ごめんなさい……。みるみる自信が失われていきます。ぼくなんていりませんよね、そうですよね……。
悠木亜里紗もなかなかキツい。
おちょくってバカにするスタイル。蔑むような姿勢。い、痛い、すいませんすいません!
この2人は、割りとご褒美感があります。
というのも、こちらが求めていた「嫌悪」のリアクションをちゃんと与えてくれるからです。
嫌われているのはわかっている。だから顔をあわせる度に心底いやそうに突き飛ばす。
彼女たちの「辛辣さ」は「求めていたもの」です。ある程度、ネガティブなキャッチボールが成立しているのです。
彼女たちが蔑んでくれるのなら、ぼくは豚にだってなろう。
園原ひなたちゃんの憂鬱
そんな中、おっとりした園原ひなたちゃんのやりとりが胃を全力で荒らしてきます。
彼女は基本優しい子なので、口撃はあんまりしません。ただ、こちらに厭忌の目を向けているのを、ポロッと漏らす。
全力で嫌悪感をぶつけてくるわけじゃない分、無理に気を使っている分、大変見ていてしんどいです。
青い瞳がとってもキュートですね(耳をふさぎつつ)
「なんでいるんですか…?」
いや、なんでと申されましても……。
とはいえゲーム的に「ここから去る」ということは不可能なので、ひたすらにタップしましょうか。タップタップ。
こういう間接的表現が多い
目なんてあわせてくれません。
ってかさ、「先輩のカウンターには誰も来ませんね…」って、ぼくは園原ひなたちゃんにだけじゃなく、学校の全員に嫌われてるんですか。それの方がきついんだけど。
このアプリの「嫌われ」表現、登場キャラとのやりとりだけではなく、自分がいない裏でどのような会話が行われているか、どう避けられているかを描いている点で秀でています。
たとえば、自分(プレイヤー)がいないところで、こんな会話をしているのを見ることが出来ます。
「主人公嫌われストーリー」と「いない時の楽しそうな一時」両方が描かれます
先生に、同じ日に委員が重なるのを訴えるひなたちゃん。あんまりだ。
陰口を見られる、というのは「嫌われゲー」ならではの仕掛け。
登場人物3人はところどころで交流があります。もちろんそこにぼくはいません。
まさかの、藤代綾への相談。
笑顔じゃん!見たこと無い(かわいい)笑顔じゃん!!
そうだったのか、3人はぼくの知らないところで、どう避けるかを話し合っていたんだね。知らなかったよ。心が痛いよ。
ありとあらゆる手で、嫌われる辛さを味あわせようとするドM向きなこの作品。
ところが園原ひなたちゃんルートは、「ボクを罵ってください」という藤代綾と悠木亜里紗のルートとちょっと違います。
彼女をタップしていると、自分を信じて疑わないタイプのストーカーの気持ちがわかってしまう。
リアクションがある幸せ
「かわいい子に嫌われたい」というのは、歪んだ形ながらも「コミュニケーション」です。
このアプリで一番辛いのは、タップしていても反応がない時です。「無視」はとても怖いし、心折れます。
しかしそこはゲーム。タップし続けると「ペチッ」と手を払われますし、何らかの拒絶の言葉を吐いてきます。
彼女たちのセリフは、心底うんざりしているのを感じさせる、苦々しい言葉ばかり。けれどもきちんと返してくれる。ほとんど無視はしません。ほとんど。
ひなたちゃんもやっぱり、タップしていると手を払ってきます。忌み嫌う言葉を出してきます。それでも彼女、ちょっと育ちのよさが出ちゃう。
生きててごめんなさい感あふれるけども、そこについつい甘えたくなる
結構ひどいことを言ってはいるんですが、今までさんざん嫌われた後なので「こういうリアクションをしてくれる」ことが嬉しくなってしまう。ああ、一応ぼくのことを見てくれてるんだねやったぜ、と。
いつしか「嫌われる(ような行動をしてもらう)ため」このアプリをいじり続けてしまう。
嫌がらせをしたときに、泣いたり叫んだりするのを「こちらへの反応」として、ついつい喜んでしまう心理。
マゾヒスティックどころか、サディスティックな気持ちがムズムズ芽生える。
この複雑な興奮を胸に抱えつつ、ぼくは今日もひなたちゃんの胸のあたりをタップしながら、手をひっぱたかれ続けています。
[基本情報]
タイトル 『あなたの事が嫌いです』
制作者 SEEC INC.(制作者様サイトはこちら)
クリア時間 連打スピード次第
対応OS Android,iOS
価格 無料(ゲーム内課金あり)
ダウンロードはこちらから
iOS版