あの『恐怖の森』が実写映画化!小説化・映画化したフリーホラーゲームを一挙紹介してみた

フリーゲーム,ホラーゲーム

12月1日、2014年夏にニコニコ動画を中心に話題になったフリーホラーゲーム『DEATH FOREST』の実写映画化が明らかになった。12月20日より東京・渋谷にあるユーロスペースで公開される。また、劇場版とは異なるが、2015年1月にはオリジナルのDVD版
(リンク先、画像注意)も発売されるようだ。

『DEATH FOREST』は、2014年7月に公開されたフリーゲーム。2014年夏のニコニコ動画ゲームカテゴリを一時制圧したといっても過言ではない問題作だ。ブラクラと見まごう巨大な真っ白い顔が迫ってくる様は一度見たら忘れられない。もぐらゲームスでもレビューで紹介したが、ここまでの人気になるとは、あの顔(ヨシエ)恐るべし。

恐怖の森で迫り来る異形。『Death Forest』注目の3Dフリーホラーゲーム

フリゲホラー発の実写映画化は2014年夏に公開された『青鬼』に続き2作目だ。映画以外でも、最近特にコミカライズやノベライズが相次いでいる。

『ひぐらしのなく頃に』のアニメ化などゲームのマルチメディア展開は今に始まった話ではないが、フリーゲーム発の動きは最近特に加速している。各作品とも、プレイしてみるとストーリーや個性豊かなキャラクターなど、ゲーム性以外の部分でも魅力的な作品が多いのは確かだ。

そこで、今回はこれまでマルチメディア展開したフリゲホラー作品を振り返ってみよう。

コープスパーティー

1996年4月公開、2007年携帯用リメイク版、2008年PC用リメイク版、2008年1月ドラマCD版、2008年10月漫画版、2011年6月小説版、2013年7月OVA版ほか多数(画像は小説版)

学園祭の準備の日、夜遅くまで残っていた少年少女が怪談話を終えたとき、血と狂気の惨劇が幕を開ける……。と聞けばピンと来る方もいるだろう。そう、あの呪わしき『コープスパーティー』だ。初出はなんと1996年、ツクール製のゲームとしてはかなりの古参と言える。本作は2007年にリメイク版を発売、その後はPSPへの移植や続編・新規タイトルのリリースに加え、ドラマCD化・漫画化・小説化・OVA化……とマルチメディア街道のド真ん中を今なお突っ走っている。
(水原由紀)

ダウンロード:ファミ通.comよりダウンロード(プレイにはエミュレータが必要)

奥様は惨殺少女

2007年3月公開、2014年8月小説版

中学生にして妻!美少女幼妻の「さゆり」と一つ屋根の下のラブラブな生活が描かれるノベルゲーム……と思いきや、物語は次第に狂気が満ちていく。絶対に選んではいけない「選択肢」を選び、さゆりから振り下ろされる愛の包丁を受け止めた先に待ち受けるのは……。ヤンデレホラーとまた違った、読者の予想を何度も裏切るシナリオが魅力だ。(poroLogue)

ダウンロード:ふりーむよりダウンロード

包丁さんのうわさ

2007年8月公開、2013年12月小説版

呼び出したら誰かを殺してくれるという「包丁さん」。ある教師を殺してもらうために、それを呼び出してしまった少女「美春」とその友達。しかし包丁さんは「本当の名前」を言わないと帰ってもらえないという。現実に現れてしまった包丁さんに追いかけられ、真夜中の中学校を逃げ回る美春たちの運命は……。極限の状況で最善の選択肢を選び、生還を目指そう。(poroLogue)

ダウンロード:ふりーむよりダウンロード

いちろ少年忌譚

2008年5月公開、2014年6月小説版

数々の脱出ゲーム、アドベンチャーゲームを手がけてきたサークル「えびふろ」の贈る送るホラー作品。高校生の「佐々木いちろ」が好奇心から「こっくりさん」を呼び出したところ、こっくりさんから呪いを受けてしまう。そして高校に閉じ込められたいちろは、学校の「七不思議」に立ち向かうことに……。謎解きとホラーの二つを楽しめる作品だ。(poroLogue)

ダウンロード:制作者様サイトよりダウンロード

青鬼

公開時期不明、ver3.0の初出は2009年。2013年2月小説版、2014年7月漫画版
、2014年7月映画版
(画像は映画版)

ニコニコ動画での実況が元で一大ブームを巻き起こした作品。屋敷に迷い込んだ少年子どもたちを青い異形の『青鬼』が襲う…。実況者ボルゾイ企画の実況動画part1は500万再生を突破している。不気味な音とともに勢い良く迫ってくる青鬼の姿は恐怖そのものだ。2014年夏には、AKB48の入山杏奈主演で映画化も果たしている。(すんくぼ)

ダウンロード:制作者様サイトよりダウンロード

魔女の家

2012年10月公開、2013年10月小説版

不思議の国のアリス的な耽美な世界観とかわいらしい少女、それに対してあまりに恐ろしくも悲しいストーリーが特徴的な名作。エンディングで明らかになる事実は衝撃的。ゲームに至る前日譚が小説版として発売されおり、魔女の家で起こる悲劇へのプロローグを見事に描いている。(すんくぼ)

もぐらゲームスでのレビューはこちら。
超ライトゲーマーが名作フリゲ『魔女の家』をレビュー。ガチホラーとkawaiiの奇跡的融合

ダウンロード:制作者様サイトよりダウンロード

マッドファーザー

2012年12月公開、2014年11月小説版

「猟奇的なフリーゲームといえばコレ」的な作品がこの『マッドファーザー』。両親思いの少女アヤが、屋敷を探索し、夜な夜な怪しげな人体実験を繰り返す父親の狂気を味わうフリーホラーゲームだ。途中出てくる異形の怪物など結構グロテスクな描写も多い。小説版ではこのシーンがより詳細に、文字で記述されるとなると、それだけで既に恐ろしい……。(Noah)

ダウンロード:ふりーむよりダウンロード

クロエのレクイエム

2013年10月公開。2014年11月小説版

ピアノの天才少年ミシェルと、屋敷に閉じ込められた少女クロエ。クロエの呪いを解くためのミシェルは屋敷の謎を解き明かす……。クラシック音楽をベースにした奥深い展開、程よく歯ごたえのある謎解き、そして魅力的なキャラクター、と3拍子、いや4拍子も揃った名作。小説版では新たなキャラクターも登場し、近日公開予定の番外編もリリースされる予定。広がるクロエの世界を楽しんでみてはいかがだろうか。(すんくぼ)

クロエのレクイエムの作者「ブリキの時計」インタビュー記事はこちら
成長するフリゲ作者『クロエのレクイエム』から『幻想乙女のおかしな隠れ家』へ。ブリキの時計インタビュー

ダウンロード:ふりーむよりダウンロード

霧雨が降る森

2013年10月公開。2014年6月漫画版、2014年9月小説版
(画像は漫画版)

両親を事故で亡くした大学生シオリは、小さいころの秘密を探しに地元を訪れる。そこにあるのは、入ってはいけない森の『約束の地』だった…。シオリともう一人の主人公須賀をめぐる切なくも美しいストーリーに人気が集まり、Pixivでも投稿されたイラストの数は5000点を超えている。(すんくぼ)

ダウンロード:ふりーむよりダウンロード

黒先輩と黒屋敷の闇に迷わない

2014年3月公開、2014年11月小説版

ホラーゲームと位置づけるかやや疑問符がつくが、人気のない屋敷に迷い込んだ先輩と2人で謎を解いていく。ゲームが始まった一瞬だけは屋敷で何が起きるか分からずホラーな緊張感が漂うのだが、次の瞬間このゲームの本質が明らかになる。それは、先輩とのセクハラまがいなコミュニケーションを楽しむこと。奇作だが、ホラーを逆手にとるその展開と、先輩との濃厚なやりとりは確かにラノベ向きだ。(すんくぼ)

ダウンロード:ふりーむよりダウンロード

この他にも、『ゆめにっき』『タオルケットをもう一度』『魔王物語物語』など、フリーゲームで小説化した作品は多数存在している。今後、小説だけでなく、今回の『恐怖の森』や今年の夏に公開されていた『青鬼』など、実写映画などの展開もあり得るし、もしかしたらアニメ化するような作品も生まれてくるのかもしれない。様々な形態で加速していくフリーゲームのマルチメディア展開に、今後も目が離せない。

  • Noah(@powerofgamesorg

    通称のあP。「もぐらゲームス」エグゼクティブプロデューサー&共同編集長。ゲームをする人。「ゲームのちからで世界を変えよう会議」の中の人。経営戦略(ゲーム産業)と金融が一応専門分野。 MMORPG「リネージュ」の元プレイヤー(8年ぐらい、10,000時間ほどプレイ)。長らく一つのゲームをやりこむ派でしたが、最近は雑食気味にいろんなゲームをプレイしています。思い出に残っているゲームはリネージュ、ティアリングサーガ、勇者のくせになまいきだ。or2など

  • poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。

  • すんくぼ(@tyranusii

    学生時代、MMORPG「リネージュ」で朝から晩まで飽くことなきレベル上げと戦争に没頭する毎日を送る。本業では廃人卒業後、国家公務員を経て、再びゲームの世界へ。「もぐらゲームス」を立ち上げました。ハマったゲームはライブアライブ、ファイアーエムブレム 聖戦の系譜、デモンズソウルなど。
    個人ブログもやってます:もぐらかペンギンか

  • 水原由紀(@mizuharayuki

    読みは「みずはらゆき」。ゲーム業界のはしっこに勤めつつ、色々書いてます。思い入れの強いゲームは初代『.hack//』や『風ノ旅ビト』、『Dear Esther』『ゆめにっき』『Ruina 廃都の物語』などなど。2015年マイベストははむすたさんの『ざくざくアクターズ』。美学と工学の交差するゲームを求め、今日も片道切符。Narrative関係勉強中。