フリーゲーム「いりす症候群!」が神秘的なパズルゲームだった
今回は「即死系パズルゲーム」と呼ばれている「いりす症候群!」を紹介していこうかと思います。フリーゲーム界隈でも屈指の有名作品「魔王物語物語」の作者カタテマさんの作品なので、ご存じの方も多いと思いますが…みんなが知っていてもなおこのゲームの魅力をちゃんと言葉にしてみたいと思ったので「もう知ってるよ」という方もお付き合いいただければ嬉しい限りです。
ゲームの概要
「即死系パズルゲーム」の名前に恥じない即死ぶりに加えて、ろくにチュートリアルと呼べるテクニックの紹介やゲームのコツ解説などもないため「死にながら覚えていくパズルゲーム」です。
ゲームとしての魅力はクリアの回数や点数に応じてテキストファイルが開放されていくこと、エンディングが変わる、新しいステージが開放される…などの楽しみ要素があります。
ゲーム画面は敢えて見せないで、冒頭の画像だけ見せちゃいます。
いや~かわいらしい。(ちなみに、この冒頭の画面、ストーリーに関係してる部分がもうすでにありますからよくよく覚えておいてもらうといいかもしれません)
即死系ではございますが、エンディングが変わる2万点、新ゲームが出る4万点のところを目安にがんばってみてください。
ちなみに、僕は5万点以上は取ってるので、一応このゲームを楽しむために必要な点数は取ってます。10万点までエンディングや仕様を変える要素があるそうなので、興味のある人目指してみてください。
感情に目覚めるパズルゲーム
お金払ってやったゲームを含めてもこのゲームはとても斬新で、何よりもパズルゲームという僕のイメージを飛び越えていったゲームでした。
まず、ゲームとしての部分から紹介します。
おおまかにパズルゲームというと2種類に分けられます。
1、「あらかじめ積み上がった」コマを整理してくタイプ
『さめがめ』や『上海』のように、既に配置されているコマを並び替えて、色や文字などを揃えていく事によって何かがおこるタイプのパズルです。『パズドラ』なんかも、この一種といえるかもしれません。
2、流れて来る過程で「コマの配置を反射的に決めて」収めるタイプ
例えば『ぷよぷよ』『テトリス』のようないわゆる落ち物系のパズルがこれにあたります。
だが、実は「いりす症候群!」はどちらでもない。2のように落下させて消すことも可能なゲームだが、それでは間に合わないため、うまい人は「下に貯まる前に、流れている段階で消す」という方法を取ることが主流です。
ぷよぷよやテトリスと違って、複数のコマが同時に落ちてくるため「空中でコマを同時に消すためには、自分はどのコマをタッチして落とせばいいか?」を考えるゲームになっています。わかりにくい新種のパズルゲームです。参考に名人の動画を貼っておきますので、「ネタバレしてもいいよ」という方はどうぞご覧ください。
「即死系パズルゲーム」の所以はルールやコツをつかむのに時間がかかることももちろんあります。しかし、最もややこしいのは「出てくるコマとその時の体力によっては簡単に死んでしまう運ゲー要素」が大きいことです!
連鎖やコンボで効率よくコマを消していくことで残機を稼ぐが、スタート時には2回しか失敗できません。そのため、コマに恵まれない・下手な人はパズルゲームとしてゲームを楽しむ前に死にます。
それゆえに、このゲームのユニークにして斬新なところは「パズルゲームなのに、限界まで積み上がって負けることがほとんど無い」ことです。限界まで積み上がるよりも消せないコマが続いてしまう運の悪さ・段取りの悪さで失敗することの方が圧倒的に多いのです。
もっとパズルゲームらしいゲームを楽しみたい人は4万点をぜひとも「いりす症候群!」で獲得して「いりす症候群!滅」という特典ステージを出していただきたい。
「いりす症候群!」さえ「即死ゲー」と名高いが、それよりも更に難しいゲームが「滅」です。とても難しいですが、運ゲー要素は減り、積み上がったコマに苦しめられながら負ける馴染みのあるパズルゲームの感覚に近づけるためです。
具体的には、「上下からコマが流れてくる」というところに「滅」の最大の特徴があります。
上からも下からもコマが流れてくるため、「下のコマに上のコマを当てる」「下のコマが浮き出てきてコマを消す邪魔をしないようにうまく管理しないといけない」忙しいゲームです。
気が滅入りそうな忙しいゲームではありますがが、僕は敢えて「滅」までやって欲しいのです。「滅」までやるとこのゲームを僕が紹介したかったほんとうの意味がわかり、楽しさに目覚めるからです!
神秘的で心揺さぶられる美しきパズルゲーム
「いりす症候群!」にも「滅」にも言えることだが、とにかくパズルとして美しいのです!
もちろん、付随するシナリオがテキストとして出てきたり、イラストやエンディングで出てくることも高く評価しているが、僕が何よりも評価しているのはパズルとしての美しさなのです!
・まるで水の中をイメージしたようなパズルがゆっくりと流れてくる重力感
・同じ色を合わせると泡のように儚く消えるコマ
・ピアノを中心にしたヒーリング系の音楽がじっくり聞けるような間をパズルの中に設けてあるところ
淡々とゲームを楽しむ仕様にされたパズルゲームは多くの人が見たことあるでしょう。しかし、演出を楽しむためにテンポをゆっくり目にしたり、ゆっくりにしながらも難しくなるような仕掛けを作りられています。加えて、その仕掛けを更に極端にした「滅」を設けることで長く遊べるゲームを作っているところが斬新にして、僕が紹介したくなる理由です。特に「滅」では水の中のような重力感に加えて、上下でコマが動くことで魚や貝が入り交じる水族館のような美しさがあるのでそこにも着目してほしいのです。
そして、最後にシナリオ・演出です。
殆どの人はやり方がつかめないうちにバッドエンドが流れてしまう人がほとんどで、バットエンドの背景やバットエンドが何だったのかを説明する意味で「滅」ではイラストとテキストがでてきます。
「いりす症候群!」と言いながら、このゲームをプレイしてからしばらく(2万点取るまで)はいりすが何者かはもちろん、いりすの画像はトップ画面にしか登場しません。
出ないため、プレイ中ずっと「お前誰だよ?」と思いながらモヤモヤとプレイしたり、背景についても意味がわからないまま「悪趣味」「ヘタウマ」と納得行かないまま見つめ続けることになるが…それが全てわかった時に、このゲームの本当の良さに気づけるはずです!
パズルと意味不明にしか思えない演出…そしてコツをつかむまで即死し続けるパズルゲーム。
評判を聞きつけてプレイした人ははじめの10分ぐらいで「どこが名作だ!雰囲気だけじゃないか」と言いたくなることでしょう!
しかし、その理不尽を乗り越えて遊び倒した先にこのゲームの本当の神秘性があるから、敢えて「みんなにはできないかもしれないゲーム」に僕は推薦状を出したいのです!
ニコニコ動画でプレイ動画を参考にしてもいいし、公式サイトを参考にしてもいいからとにかくがんばってクリアしてほしいです。
そうですねぇ…パソコンが壊れたのではないかと思うようなおっかない演出が見られるからあそこまではやってほしいですね。-僕が「夜中の1時にプレイしてて眠れなくなるほどビビった」あそこまでは…。
[タイトル]
『いりす症候群!』
[ソフトウェアタイプ]
フリーゲーム
[対応OS]
Windows Vista/XP/Me/2000/98
(Windows 8などでの動作報告もあり)
[ダウンロード]
Vector
[制作者]
てつ 氏
[プレイ時間]
10時間(※エンディングを出すまでにかかった時間)