京都インディーゲーム祭典めぐり1日目 「Bitsummit」注目作14選やグッズを紹介
5月20日から21日の期間中、京都にてインディーゲームの展示イベント「Bitsummit」が行われた。同期間には、「Megabit Convention」「関西学生ゲームコンソーシアム Connect Fest」という2つインディゲーム展示企画も開催されており、二日間で全3つのインディゲーム関連イベントが同時開催されるという豪華な催しとなっていた。
今回もぐらゲームスでは、2日間のイベントの集中取材を行った。特にBitsummitは日本語にローカライズされたゲームが国外からの持ち込まれるケースも多く、参加者の多さとともにインディーゲームの盛り上がりを一層感じられるイベントとなっていた。ここからは全2回にわけて、そんな熱気あふれる2日間のレポートをみなさまにお届けしたい。
紹介するゲームは開発中の作品だけでなく、既に配信が開始されているゲームもある。気になった作品はぜひ遊んでみてほしい。
Iconoclasts
”Konjak”という名前を出せば、それだけでピンとくるインディーゲームファンは多いことだろう。
『Noitu Love 2:Devolution』『Legend of Princess』など2Dアクションゲームの名作の数々を送り出してきたKonjakことJoakim Sandberg氏が、本作のプロトタイプといえる『Ivory Springs』から8年の歳月をかけて制作した待望の大作2Dアクションが『Iconoclasts』である。
Konjak作品の特色と言える職人的な描き込みのドット絵と滑らかなアニメーションは本作においても健在だ。操作性も良好で横穴をスルスルと潜り抜けていくだけでも楽しい。
巨大レンチを持ったメカニックの少女が主人公となっており、レンチは敵を倒す以外にも、ボルトを回してシャッターなどの仕掛けを動作させて道を切り開くのに使用する。
それ以外にも急降下踏みつけで敵を気絶させたり、オートで照準してくれる銃を使った攻撃も存在している。
会場で展示されていたバージョンでは平原を抜けて街へたどり着くまでのシーンをプレイすることができた。Konjakの公式サイトでは2012年に公開された初期α版が現在でもダウンロード可能なので、興味を抱いた方はそちらをプレイしてみると概要がつかめるだろう。
リリース時期は夏ごろの予定。Steamのほか、PlayStation4およびPlayStation Vitaでの配信が予定されている。会場で公開されていた体験版は日本語ローカライズがなされており、リリース時点で日本語にフル対応する予定とのこと。これまでKonjak作品の日本語ローカライズや日本国内での家庭用ゲーム機への進出が無かっただけに嬉しいニュースと言えるだろう。
CrossCode
ドイツのインディディベロッパー「Radical Fish Games」が開発を進める早期アクセス作品『CrossCode』の日本語ローカライズが会場でプレイアブル展示された。実は先日中国語ローカライズが実装された際のアップデート告知でBitSummit参加と日本語ローカライズをがんばってるよ!と発表していた。……のだが、下の方に小さく書かれていたものだから全然気づいていなくて、会場について「ああ!日本語がついてる!」と驚かされた。
『CrossCode』は昔ながらの見下ろし視点のアクションRPG作品だ。開発が本作を「
retro-Inspired 2D Action RPG」と呼んでいるように、スーパーファミコンのようなグラフィック、テンポの早い戦闘システム、そしてステージにちりばめられたパズル要素などなどあの頃を思い出すファクターで満ち満ちている。仮想世界『CrossWorld』を舞台に、記憶喪失の主人公のLeaは自身の正体の謎と、Crossworldの裏に蔓延る陰謀へ挑むこととなる。
日本語ローカライズは高い完成度で、本作は文章を表示するウインドウのサイズが可変式で、そのまま移植するとよくある文章のはみ出しが起きてしまうのでは?と心配してしまうところもしっかりと対応されていた。日本語のファントランスレーション開発が断念された本作だけに、公式での日本語化は非常にありがたい。
日本語の実装時期は近々とのこと。毎月の更新報告をワクワクして待とう。
参考:日本の名作ゲームを思い出す海外作品『CrossCode』。MMORPG風の仮想世界が舞台の2DアクションRPG
Brave Earth: Prologue
ある種の伝説にまで上り詰めた死に覚えハードコアアクションゲーム『I wanna be the guy』。その作者であるKayinさんの新作『Brave Earth: Prologue』がプレイアブル出展、しかもすでに日本語ローカライズ付きで展示された。『I wanna be the guy』は日本においても高い人気を誇る。会場ではKayinさんと記念撮影を求めるファンも見られた。
ファンタジーな世界の一国エイストリアは突然化物たちの襲撃を受ける。エイストリアの騎士ナオミはいち早くその現場にたどり着くが、そこはすでに地獄と化していた。ダークファンタジーな世界観と陰謀うごめくストーリーはハードなゲーム性と非常にマッチしており、オールドスクールな色使いも雰囲気を盛り立てている。
展示ではナオミ以外にも、もう一人のキャラで遊ぶことができ、製品版ではさらにプレイできるキャラが増えるそうだ。
とにかく難しい作品であることは間違いない。HPゲージがあるため一発食らえば終わりというわけではないが、ダメージを受ければノックバックして奈落へ落ちてしまうし、数発食らえば死んでしまう。もちろん、初見殺しの罠も満載だ。様子見をしてじっとしていると死んでしまう罠。乗った瞬間沈む床。まさしくKayin作品といった出来栄えである。
Steamにて本年中のリリースを予定しており、日本語は発売から後になるがしっかり実装されるとのことだった。『I wanna be the guy』のファンは今から腕を磨いておこう。
Momodora V
redinさんが率いる「Bombservice」の人気シリーズ『Momodora』。先日その続編にあたる『Momodora V』の開発が発表され話題となった。それが早くも今回のBitSummitでプレイアブル展示されていた。アルファ版であることは承知であるが、それでもこの展示の早さは驚きを隠せない。しかも日本語までついている。すごい。
『Momodora』シリーズは1~3がいわゆるプラットフォーマーアクション、4作目である『Momodora 月下のレクイエム』がメトロヴァニアと全て2D作品であったが、『Momodora V』はなんと3D作品へと進化を遂げていた。
ファンの方には、今までと全く違う作風のためどう変わってしまうのかと不安を感じている方もいるかもしれない。だが心配は不要だ。3Dになっても『Momodora』シリーズらしい、難しくも操作感がよく遊びやすい手触りはしっかりと残っていた。
『Dark Soul』に近い操作系統で、回避を上手に使い、敵の攻撃をよく見て反撃するあたりはまさしく『Momodora』シリーズであろう。また、効果音がこれまでのシリーズと同じものが使われていたのもよかった。まだアルファ版なので今後どうなるかわからないが、今までと大きく変わったものの、しっかりとつながりを感じさせてくれるところはファンとしてうれしいところだ。
まだまだアルファ版が発表されたという段階ゆえ、リリースがいつになるのか、どのような形態でのリリースになるのか、全くわからない。だが、期待できる作品には違いない。
『Iconoclasts』『Crosscode』『Brave Earth』『Momodora V』の上記4作品はいずれも新興のパブリッシャー「DANGEN Entertainment」からの配給となっている。すべての作品で日本語対応を着実に行っているうえ、人気作家で固めたラインナップに日本市場への気合いの入り方を感じさせる。今後の動向に要注目だ。
OneShot
Little Cat Feet(Team OneShot)が開発した人気パズルアドベンチャー『OneShot』の日本語デモが展示されていた。BitSummit合わせで日本語ローカライズ発表がなされ、日本語化が待たれていた作品だけに会場での注目度も高かった。
猫目猫耳の可愛らしい主人公「ニコ」を操作して、マップ内を探索してアイテムやキーワードを探し出し、それを対応する箇所へあてはめていくことで先へと進んでいく。唐突にゲーム外のPC画面上に現れた「OKダイアログ」にタメ口をきかれるといった、メタフィクショナルで奇妙奇抜なイベントが多数盛り込まれている。ゲーム好きならば必ずその演出に驚かされ、楽しめるはずだ。
RPGのような見下ろし視点での作風は本作の前身となるRPGツクール版『OneShot』の雰囲気をそのまま別エンジンで再現したものだ。前身の作品はフリーゲームであり、もぐらゲームス読者の方にはそちらをプレイしたことがある方も多いだろう。だが、Steam版『OneShot』はそれとは全く別の作品へと進化している。日本語化を機会にRPGツクール版プレイヤーにもぜひSteam版を遊んでほしい。気になる日本語ローカライズの実装時期だが、3カ月程度での実装を予定しているそうだ。
話はそれるが、本作は日本語ローカライズ発表以前にファンアートコンテストを開催していた(なんと日本語での案内もあった)。今回お話を伺った配給のDegica Gameの担当者によれば、新規プレイヤーに向けたプロモーションだけでなく、こうしたファンに向けたイベントやグッズ展開といった、ファンを盛り上げていく活動にも力を入れていきたいとのことだ。こうした動きにもぜひ注目していきたい。
VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action
ベネズエラの「Sukeban Games」が開発し、Vitaへの移植をアメリカの「Wolfgame」が担当したサイバーパンクアドベンチャーゲーム。すでにSteam版は配信している本作ではあるが、日本語化が切望されていた作品であり、日本語ローカライズの発表とVita版のプレイアブル出展が目玉となっていた。
近未来のディストピア都市グリッチシティ。その片隅で営業するバー「Va-11 Hall-A(ヴァルハラ)」を舞台に、主人公であるバーテンダー「ジル」を操り一癖も二癖もあるお客にカクテルをサーブしていく。
サイバーパンクな世界観、PC-98時代のアドベンチャーゲームにインスパイアされたグラフィックデザインなど人を引き付ける要素は多くあるが、注目すべきは選択肢ではなくお客にサーブするお酒によって展開が変わってくるシステムだろう。落ち込んだお客に何を提供するべきか?途中で注文を変えたお客にどちらのカクテルを提供するか?すべてはバーテンダーであるジル、プレイヤーの手に委ねられる。バーテンダーを主役としたアドベンチャーゲームとして、これ以上ないシステムだ。
Vita版の操作感はよく、タッチパネルでのカクテル作りはゲームによく合っていた。Vita用に調整されたUIも美しい。携帯機に向けしっかりとチューンされ、Steam版をすでに遊んだプレイヤーも買う価値のある作品へと仕上がっている。
加えて、先日Steam版に追加実装されたプロローグエピソードもVita版にしっかり実装されている。特別に触らせてもらったが、こちらもしっかり翻訳済み。Vita版から遊ぶ人も、Steam版と差異なく遊ぶことができる。
日本語ローカライズはしっかりしていて、フレーバーテキストのような細かい部分まで翻訳されていた。英語だからと避けていた方も安心して遊ぶことができるだろう。ただ、本作はスラングや英語でのジョークが大量に出てくる作品だ。こうした部分に生じる原語版との差異がどうなってくるのか?翻訳作業を行った「PLAYISM」の方は、そこが非常に大変な作品で気を使って翻訳しているとおっしゃっていた。長く翻訳を手掛けてこられたその手腕に期待したい。
Vita版の配信やSteam版への日本語追加時期はまだわからないそうだ。だが作業はしっかりとすすんでいるとのこと。続報を待とう。
TOKYO DARK
鎌倉に拠点を置く「Cherrymochi Game Studio」の開発するポイントクリックミステリーアドベンチャーゲーム『TOKYO DARK』が本年も展示されていた。昨年から注目を集めていた作品だけに、今後の展開について伺ってきた。
『TOKYO DARK』は主人公伊藤刑事の相棒が行方不明になるところから始まる。伊藤は相棒を探し単独で捜査に乗り出すが、捜査を進めるうちに事件は複雑な様相を見せ始める。謎に近づくにつれ伊藤は自分の過去と向き合うことを余儀なくされ、伊藤の精神は揺らいでいく。果たして自分は正気なのか?それを確かめてくれる相棒はいない。
本作の大きな特徴は主人公の取った選択によって4つの精神値、S.P.I.N(Sanity,Professionalism,Investigation,Neurosis)が変動し、ストーリーの展開やキャラクターとの関係を変える部分だ。狂気に晒され続ければ正気を失ってしまうし、ストレスがたまればノイローゼになる。この精神値の加減によって、エンディングが11にも分岐する。ポイントクリック系ゲームでこれだけ多くのエンディングを備えた作品というのは珍しい。
昨年から大きな変化としては、リッチなアニメーションカットが追加されていたところだろう。このアニメーションカットはアニメ制作会社「グラフィニカ」に依頼して制作したもので、全編の多くの場所で差し込まれるそうだ。プロによるクオリティの高いアニメーションでさらにストーリーへのめり込めるだろう。
作業が全て終了しているらしく、現在はパブリッシングの調整を行っている。本年中にリリースされるそうなので、ミステリーゲームファンはぜひとも注目してほしい。
RUINER
ポーランドの「REIKON Games」が開発するトップダウンシューター『RUINER』。サイバーパンクな世界観や、クールなアートワーク、平沢進氏が楽曲を提供したことなどで世界的に注目が集まっている本作が、なんとBitSummitでプレイアブル出展されていた。
本作は雰囲気としては『Hotline Miami』シリーズのような、近接攻撃と銃を使いこなし、敵を排除していくトップダウンシューターだ。同作のように一発貰うだけ死ぬわけではないし、エナジーゲージを使って貼れるシールドもあるが、それでも敵の攻撃は重く、すぐに死んでしまう。さらに、銃は弾数が限られており、多用はできない。そこで活用すべきが、本作の特徴であるダッシュである。
ダッシュ中は無敵でどんな攻撃も当たらない。しかもこのダッシュは回数制限はあるものの続けて利用可能で、銃弾をすり抜け敵を殴り殺す……なんてことが簡単にできる。まあ、ここまでならよくある回避アクションだ。面白いのはここからで、ダッシュボタンを長押しすることで時間が止まり、この状態でポイントを指定すると、ダッシュ経路を事前に設定することができるのだ。
徒党を組んで攻めてくるたくさんの敵であっても、時間を止め、事前にそれぞれ敵の背後に回り込む経路を設定することで、あとはダッシュ終了地点でタイミングよく攻撃を加えるだけで敵を倒せる、というわけだ。ハードなプレイングと、敵をバッタバッタとなぎ倒す爽快感を両立した作品と言えよう。
プレイ中はどうしても写真が取れないためダッシュの経路指定が伝わりづらいかもしれないが、例えるなら『Transistor』のTurn()システムが近い。事前に行動を設定し、アクションゲームながら戦略的に立ち回れるのが本作の魅力だ。
加えてめちゃくちゃカッコいいグラフィックにも注目したい。サイバーパンクな世界観を余すところなく再現したリッチなグラフィックはインディとはとても思えないレベルで、画面に突然メッセージが差し込まれる演出もカッコいい。
本年にSteamにてリリースされる予定の本作。ますます期待が高まる展示だった。
SOULLOGUE
noitems studioが開発中の『SOULLOGUE』は見下ろし視点の2DアクションRPG。
作者であるはちのす氏が以前に制作していた同タイプのRPG『The Souls of Yore』からゲームエンジンを一新し、そこへ数々のアイデアを盛り込んだ後継プロジェクトとなっている。
本作の鍵となるのが敵キャラクターに乗り移る「憑依」のアクションで、鬼火のような敵キャラクターに乗り移って行く手を塞ぐ木箱や他の敵を燃やしたり、乗り移った敵をスイッチまで移動させて扉を開ける、というように、迷宮の先へ進むために「憑依」を活用していくことになる。実際に試遊させてもらった際には、魂を持たないロボットの敵には「憑依」することができないという点が強く印象に残った。
編笠を被った主人公の主な武器はクロスボウであるが、持てる矢の数に限りがある上に、矢に火が付いた時には急いで回収しなければ矢が燃え尽きてしまうなど難点が多い。「憑依」の力を駆使しなければ複数の敵を相手取るような大立ち回りは難しく、総じてパズル性が重視されている作品と言えるだろう。
「ドット絵=レトロ」の観念を覆さんとするアジアンテイストのこだわり抜かれたピクセルグラフィックスは必見だ。
本作の完成は来年以降の予定、これからの続報に期待したい。
BackSlash
『BackSlash』(バックスラッシュ)は1on1の横スクロール対戦アクションゲーム。
海外作品のような雰囲気を醸し出してはいるが、Bitsummitの開催地である京都のスタジオSkeleton Crew Studioの作品であり、英語・日本語に両対応となっている。
対戦前に二種類のバトルスタイルを組み合わせ、それに応じてキャラクターの見た目や二つ名が変化するようになっている。
フィールド内を右へ左へ駆け回り、殴る蹴るの格闘攻撃、落ちている剣を拾って繰り出す剣技、一発逆転の秘術などを組み合わせて武侠映画さながらのバトルを展開することができる。攻撃によって地形が削れるようになっている点もダイナミックだ。
対戦ゲームとあれば気になるのはネットワークを介した対戦機能の有無についてであるが、実装は未定とのこと。ここはぜひともネット対戦の実装に期待したいところである。本作はSTEAM GREENLIGHTを通過済みであり、PC版のリリースは今秋を予定している。また、Nintendo Switchへの対応も発表された。
in:dark
『in:dark』(インダーク)はオヅミカン氏が開発しているスマートフォン向け2Dアクションゲーム。スマートフォンの縦長の画面に合わせた上から下へ向かう縦スクロール方式となっており、奈落へと落ちていく少女を、人魂を操作して護っていく。
幻想的なシチュエーションの一方で、タップで炎を出して迫る敵を焼き払い、フリックによる高速移動で道を塞ぐブロックを破壊し、トラップのある地域はスライドで慎重に進む、といったように指をフル稼動させるアクションの激しさも兼ね備えた作品となっていた。
そのほかにも「カルマ」と呼ばれるアイテムを回収してパワーアップや体力回復にあてたり、小魚などを食べて「ソウル」を溜めてスキルを発動させる、といった要素があり、これらの活用が攻略のカギを握ることになるだろう。
リリースは当初今年6月を予定していたが、今回のBitsummitで得た意見をフィードバックしたうえでリリースしたいと更なる作りこみに意欲を見せていたのが印象的だった。
A 5th of BitSummitに「インダーク」を出展いたします。ぜひ遊びに来てください〜!
インディゲームの祭典「A 5th of BitSummit」出展者97組が決定! | インサイド https://t.co/GjOewrLQ94pic.twitter.com/HhiPUuv3TT— おづみかん (@ozumikan) 2017年4月21日
この灯を今すぐ消せ(仮)
『この灯を今すぐ消せ』(仮)は『ヒーラーは二度死ぬ』を制作したPon Pon Gamesの新作RPG。
グリッドベースの3DダンジョンRPGであり、試遊台のそばには地図をメモするための方眼紙が用意されていた。昔気質の3DダンジョンRPGのファンにはハートに訴えかけてくるものがある光景だろう。
この手のダンジョンゲームはただでさえ迷いやすいものだが、本作はダンジョン内がただただ暗く、さらに迷いやすい作りになっている。壁に備え付けられた灯りをつけることができるようになってはいるものの、その灯りが届くのは一部でほとんどの場所は暗いままである。どうしても迷ってしまいどうしようもない。そんなときのため、プレイヤーはYボタンで松明をいつでもつけることができる。
ならずっと松明をつけておけばいいだけでは?
そうは問屋が卸さない。松明をつけると、敵との遭遇確率がどんどんと高まりダンジョン探索が危険なものへと変わっていく。
暗闇の中をぐるぐると迷ったすえ敵に殺されてしまうか、それとも起死回生をかけて灯りをつけるのか。灯りを付けるか消すのかの葛藤が肝になるといえるだろう。
リリースは来年を予定しており、可能であればSteamでの販売も行いたいとしている。
GREEN
『GREEN』は青山真弥氏が制作しているプラットフォーマーゲーム。プルプルした緑のブロック生物GREENくんを操り、体からブロックを左右に発射してステージを進んでいく。
発射したブロックはブロック発射ボタンを押している間は飛び続け、ボタンを離すことで空中で静止し足場にすることができる。うまく狙った位置に足場を作りたいところだが、ジャンプの頂点でブロックを作ってしまうと上に乗れないという間抜けなことも起きるので、ジャンプボタンを含めてボタンの押し加減が重要になる。
これ以外にもブロック同士をぶつけてブロックを消す、敵にブロックをぶつけて敵をやっつけるなど、ブロックには数多くの使い道があり、シンプルながら骨太な作品となっている。
本作は元々はアクションゲームツクールで開発されたが、エンジン由来のバグが解消できないままエンジンのサポートが終了してしまい、現在はUnityへの移植を行っている。前身となるアクションゲームツクール製のものは公式サイトで公開されている。
本年中にSteamにてリリースし、その後他コンソールへの移植を検討する予定とのことである。
Strange telephone
モバイル向けに配信され人気を博しているアドベンチャーゲーム『Strange Telephone』。だが開発エンジンの関係で、コンシューマ移植が難しい作品であった。そこで現在、コンシューマ機への移植を目標にゲームをUnityへ移植する作業が行われている。開発者であるyutaさんは先日のUnite Tokyoでもご登壇されており、Unityのもつ幅広いハードへの対応力に期待を寄せているようだ。BitSummit会場でもUnityへの移植作業を行っていた。
Unityに移植しているという展示ですか?と伺うと、空いた時間ができたので開発を進めていましたと言われびっくり。なんとイベント会場で開発作業をされていたようだ。
また、同作に関連したステッカーやバッジ、Tシャツなどのグッズが販売されていた。ゲーム自体はリリース済なので、ゲームを既に遊んだファンに向けて提供できるものをとグッズ販売を計画したそうだ。反響は好調で、二日目終盤には売り切れが目立っていた。
こうしたグッズの好評を見るに、本作の移植には注目が集まってくるだろう。今後の動向に注目したい。
参考:『Strange Telephone』配信開始 6桁の電話番号で自動生成される夢世界を探索するADV
番外編:グッズ関連
Strange Telephone以外にも今回はグッズの販売を行うブースやグッズメーカーの出店が多くあり、例年のBitSummitに比べゲームのグッズが非常に目立った。その様子も一部紹介したい。会場の雰囲気の一端が伝われば幸いだ。
様々なゲームグッズを製造・販売するアメリカの企業「ファンゲーマー」のブースでは、人気作『Undertale』のぬいぐるみや『ショベルナイト』のTシャツなどが並んでいた。クレジットカードやPayPalアカウントがあれば公式サイトから注文・輸入することもできるので、興味のある方は購入方法ガイドを参考に注文してみると良いだろう。
このほかにも「EDITMODE」ブースではBitsummitのオフィシャルTシャツや任天堂作品のグッズ、「サンシー」のブースでは『FREEDOM PLANET』や『Skullgirs』といった海外ゲーム関連グッズが販売されていた。会場ではこれら専門メーカーによるクオリティの高いグッズが人気を集め、二日目には一日目に購入したであろうTシャツで会場を歩く参加者が目立った。
「room6」では制作中のアドベンチャーゲーム『OPAKE』の展示に合わせ、登場キャラクターのアクリルキーホルダーなどのグッズの販売も行われていた。ピクセルアートで描かれた幽霊と少女のキャラクターがキュートだ。
パブリッシャ―「GameTomo」のブースでは「ここ数年見た中で、もっとも革新的なTシャツだ。」というゲームレビューからのフレーズをあしらった『SUPERHOT』の日本語版Tシャツが異彩を放っていた。その革新的な図柄に惹かれ、取材の合間にTシャツを購入したところ、STEAMのダウンロードコードが書かれたカードも合わせて付いてきた。Tシャツのオマケにゲーム、これは革新的だ。