中毒者続出。ローグライクRPGとリズムゲーを組み合わせた異端児『ネクロダンサー』が神ゲーな理由
ゲームをプレイしているときにそのBGMがマッチしたときの気持ちよさは何物にも代えがたい。ゲーム音楽のコンサートが開かれることも多く、一つの音楽分野としても確立している。
通常ゲーム音楽はゲームシステムとは別のものとして存在している。唯一、音ゲーと呼ばれるジャンルのゲームは音に合わせてボタンを押して音を奏でること自体がゲームになっている。
では、音楽をRPGのゲームシステムに組み込んだらどうなるだろうか?
今回紹介するPCゲーム『Crypt of the NecroDancer』はリズムを、ローグライクRPGと組み合わせてしまった、まさに異端児的な作品だ。その組み合わせは意外だが、半端無く面白い。ハマることは間違いない。
ニコニコ動画でのテラゾー氏による実況動画も人気だ。リズムに合わせてゲームをしながらの実況は相当難しいはずだが…。
止まることなど許されない
『風来のシレン』や『トルネコの大冒険』、『片道勇者』といったローグライクRPGは、基本的にターン制で進めていく。どんな配置で敵に遭遇するか、自分の装備や持っているアイテムも常に異なるので、プレイヤーはその時々の状況に応じてどんな行動をとるのか毎ターンごとに判断をしなければならない。RPGの中でも、特に1手1手に緊張感のある戦略性の高いゲームジャンルだ。
そんな緊張感の高さを利用したのが、この『Crypt of the NecroDancer』だ。このゲームでは階層ごとにリズミカルで激しいBGMが流れるのだが、その曲こそがプレイヤーの行動を制限する。
どういうことか。BGMの1拍子が1ターンとなっており、リズムに従ってプレイヤーも敵もターンが経過していく。プレイヤーは一歩歩くか敵を攻撃するか、はたまた壁を掘るのかなど1拍子につき方向キーを使って1回行動できる。ちゃんとBGMのリズムにタイミングを合わせないと、ミスになって行動できないため、リズムに合わせてノリながら行動しなければならない。
敵も同様で、BGMのリズムに合わせて行動してくる。こちらが動かないでいると、敵がどんどん近づいてきて攻撃されてしまうわけだ。
敵はどんどん行動する。ターン制ならば、敵が大量に待ち構えるモンスターハウスに入ったら一瞬操作が止まったりするが、このゲームでは一休みするヒマなど与えてくれない
敵を倒すと、床の色がリズムに合わせて2色に点滅する。リズムに乗ってミスをすることなく行動していれば敵を倒して獲得できるコインの数が倍になっていく、ボーナス状態だ。当然止まることなど許されない。ダンジョンという名のクラブなのかこれは。
リズムを刻み続けるだけではない。BGMが終了すると強制的に次の階層へ落とされることも忘れてはいけない。
つまり、このゲームには、リズムに乗って行動し続けないといけないという強力な縛りがある。階層によって曲は異なるが、基本的には毎拍何らかの行動をし続けなければならない。
「縛り」「制限」という言葉を使ってはいるが、リズムに乗って行動をするのはいわば楽器を演奏したり、踊っているのと同じだ。非常に楽しい。音楽に乗るというのは本能的な行為でもあるので、徐々に慣れてきてリズムよく行動できるようになると疾走感があり快感だ。
それもそのはず、このゲームはリズムに乗って行動するという縛りがあるゆえに、操作は全て方向キーだけと極限まで簡素化されている。移動はもちろんのこと攻撃も、壁を壊すのも床にあるアイテムを拾うのも全て方向キーだ。アイテムを使うときは方向キーを組み合わせて使用する。
魔法やアイテムを使用する際は方向キーの組み合わせになる。この状態でハート1個分の体力を回復する林檎を使うには方向キーの上と左を同時押しする。
初プレイの衝撃が次第に2重の快感へ
このゲームはローグライクゲームとしても完成度が高い。もちろん、その完成度の高さにはリズムが深く関係している。
例えば、敵の行動はかなりパターン化している。敵の進行方向に自キャラがいるとダメージを受けるのだが。一気に体力が2減るような強大な敵でもリズムに合わせてどう動くのかを見極めることが攻略の近道になる。
青いスライムは、ジャンプ(無害)・ジャンプ(無害)・移動(移動先にいるとダメージ)、というパターンで動く。
序盤の強敵 ミノタウロス。突っ込んでくるので避けると止まれずに壁にぶつかって…
同じく強敵レッドドラゴン。攻撃力が強いだけでなく、横の直線上に入ると炎を吐いてくる
各ZONE(ダンジョン)の最後4層目では3種類いるボスのデスメタル、コンガ、ブルースのいずれかがランダムで出現する。どのステージで現れるかによってボス戦の内容も若干違う。ボスは、音楽に由来しているのは名前だけではない、行動も全く異なる。
キングコンガは8拍子だが、最後の1拍子は存在しない。うっかりリズムをはずさないように注意だ!
また、アイテムも程よくダンジョンの攻略に役立つ。
武器もバリエーションは豊富だ。2マス先まで攻撃できる「槍」や前方3マスに攻撃できる「ブロードソード」など使いやすいものから、遠くまで攻撃できるがリロードが必要な「銃」など癖のある武器も多い。それぞれの武器には、ダメージを受けると壊れてしまう「ガラスの」武器や敵を数匹倒すと体力が2分の1回復する「血塗られた」武器など、様々な追加効果が存在する。
ダンジョン内で拾えるダイヤを集めていくと、ダンジョンに行く前の準備ができるロビーで様々な買い物ができるようになることも難易度を絶妙に保っている要素の1つだ。
ダンジョン内でも買い物ができる。店に近づくと店主が歌い出すのが目印。買い物はアイテムの上にのるだけ。慎重に選ぼう。
序盤まずやることとして、開始時点では2しかないライフを増やしていくことをオススメしたい。強敵と遭遇したときの一撃死やうっかり手が滑ってしまったときの事故死も減り、生存率がグンと上がる。ライフを増やすために必要なダイヤの数は、1個ずつ(5に上げるためには2個必要)で5まで上昇する。ダイヤの数はリセットされるのでどんどん使った方がいい。なお、ライフ以外の他のアイテムや魔法は、購入するとダンジョン内で宝箱を開けた時に出現するようにアンロックされていく。
このようにローグライクRPGとしての攻略要素も満載。うっかり操作ミス、判断ミスをしてしまうと死ぬ場面も非常に多く、1拍子ごとに常に緊張感を感じずにはいられない。これこそまさにローグライク!
最初にプレイした時はリズムに合わせて動くことに集中しすぎて、右も左もわからず敵にフルボッコにされる…そんな状態だ。だが、数多の死を乗り越えてくると、徐々にリズムに合わせる以外のことにも集中できるようになる。
慣れてくると徐々に気づいてくるはずだ。リズムに乗って動く疾走感と、ローグライクRPGの緊張感、その融合がもたらす二重の快感に…。
おまけ機能も充実
これだけでも既に十分楽しめるのだが、さらにおまけ要素がこれでもかというくらい盛り込まれているのも特徴だ。
強化などは全て初期状態。死んだら終了でクリアまでのタイムを測るハードコアモード、操作するキャラを変えてチャレンジするキャラクターセレクトなど普段とは違ったテイストで遊ぶこともできる。
また、オプションでは曲を好きなmp3ファイルに変えることができる。お気に入りの曲のリズムを読み込んで、リズムを作ってくれるのだ。
試しに『LIVE A LIVE』のボス戦曲「MEGALOMANIA」をかけてみた。熱い!
他にも敵キャラやボスとタイマンで戦える部屋など、ロビーでは色々なことができる。
さて、この『Crypt of the NecrDancer』は、実はまだ製品版ではない。PCゲームを販売しているSteamでEarlyAccess中という扱いだ。このEarlyAccessという仕組みは、開発中のタイトルを購入することで、開発者を応援できる仕組み。購入者は随時アップデートを受けることができるので、開発されたばかりの新要素を楽しめる。現在、ダンジョンは3つ目のステージとなるZONE3まで実装されている。
筆者は、ゲームの終了後も、音楽に合わせてキーボードを叩く癖がついてしまった。それほどハマるこの『Crypt of the NecroDancer』、ぜひプレイしていただきたい。
[基本情報]
タイトル Crypt of the NecrDancer
制作者 Brace Yourself Games (英語版のみ、制作者ページはこちら)
クリア時間 プレイヤー次第!
対応OS Win / Mac
価格 1,480円。サウンドトラック付きは2,480円。
ダウンロードはSteamから
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