美しくも切ない兄と妹の悲劇。フリーホラーゲーム『PRICE』
昨日紹介したフリーゲーム『第七号車』。
フリーゲーム『第七号車』レビュー。列車で出会った少女の物語、心を癒やす旅路。
その中→日翻訳を手がけた悲しき魚さんが新たに翻訳したフリーゲームが先日7月17日にリリースされた。
フリーゲーム『PRICE』。
貧しい兄妹をめぐる美しくも儚い物語だ。
フリーホラーゲームというと、『Ib』や『霧雨の降る森』など、RPGツクール等で作られた探索型のアドベンチャーゲームが多いが、このゲームは違う。
横スクロールで狭い部屋の中を探しまわる脱出ゲームだ。謎を解いていくと、悲しいストーリーも明らかになってくる。その丁寧な作りこみが素晴らしい。
とにかく美しく、悲しい世界観
起動してまず感じたことは、画面が綺麗だということ。
その中に常に悲劇の要素が織り込まれているので、何か怖いこと、悲しいことが起きることをひしひしと予感させる。
そして始まるのは悲しくも激しい音楽とともに流れるオープニングムービー。
描写される美しい兄妹。そして、血、不吉な影。
決して3Dのキャラがぬるぬる動くド派手なムービーではない。だが、その印象は強烈だ。日本人制作者サークル「小麦畑」のフリーゲーム『デンシャ』のような、インパクトのあるそして劇的なオープニングを彷彿とさせる。
フリーホラーゲーム『デンシャ』
http://wheat.x0.to/game/densya/
筆者はこのOPの時点でグッとこの不気味な世界に引き込まれた。
オープニングや冒頭でストーリーは多くは語られない。ムービーが終わると主人公である兄・イヴリーが目を覚ますと妹・イヴァーの部屋にいたところからゲームが始まる。
部屋から出るための鍵を探して謎解きをしていくにつれて、この兄妹にまつわるエピソードも明らかになっていく。
見えてくる悲劇、その丁寧な織り込み
このゲームは、部屋から出るゲーム。いわゆる脱出ゲームと同じ要領で進んでいく。
部屋の中をクリックして探索し、発見した手がかりを組み合わせ、使っていこう。
とにかく探し回ろう。一度探したところも、ストーリーが進んだ後でもう一度調べるとなにか見つかるかもしれない。
手がかりを組み合わせることができる場合とできない場合がある。色々な組み合わせを試してみよう。
謎解き=ストーリーを進めていくと時々、シーンのアップが現れる。
こうした演出も、自然に組み込まれていて非常に臨場感がある。
この部屋を出ることができた時、果たして彼は妹に会えるのだろうか。
ストーリーはいよいよ核心に近づいていく。
このゲームの醍醐味は、謎を解いていくと、悲しいストーリーも明らかになってくること。ネタバレは厳禁だ。何が起きるのかはぜひ自分でプレイしてみてほしい。
タイトル PRICE
制作者 夜兎ADV (翻訳者は悲しき魚氏)
クリア時間 1~2時間
対応OS Win
価格 無料
備考 右クリックでメニュー画面が開き、セーブができます