限られた資源で戦うフリーゲームRPG『ローズマリーダスト』。仲間召喚&魔法生成を駆使するパズル的戦闘

RPG,フリーゲーム

今回は、フリーゲームRPG『ローズマリーダスト』を紹介する。このゲームは、以前にもぐらゲームスで紹介した「取捨選択」が醍醐味のノンフィールドRPG『ロードライト・フェイス』などを制作したud氏の新作だ。
本作の特徴は、重要なパラメータである「TP」を貯めて使用することで、戦闘中に仲間を「召喚」することや、アイテムを生み出す「魔法生成」などを行うことが出来るシステム。またHP回復手段などが限られたなか、パラメータを上手くやりくりして敵を倒していくという、RPGにおける「リソース管理」の面白さがあるという部分だ。全体としては1時間ほどでクリアできる短編となっている。

「召喚」と「魔法生成」という特殊システムが鍵のRPG

本作の主人公は、とある魔術書を守っている家系の魔術師である「ローズマリー」。妹「カレン」と一緒に住んでいる彼女の元に、嵐の夜、冒険者の「アッシュ」がやってきたことから物語は始まる。一晩泊めて欲しいと請うアッシュ、怪しむものの、結局泊めることにしたローズマリーだが…。

image01
雨の夜の来客を怪しむ魔術師「ローズマリー」

image07
嵐の夜にやってきた冒険者「アッシュ」

本作のゲームシステムとして重要な要素は、主人公ローズマリーが戦闘中に使用できる「召喚」と「魔法生成」だ。そのどちらの行動も、ローズマリーのパラメータである「TP」を使用する。TPは戦闘ごとにリセットされ、攻撃を行うごとに1ポイント増加し、攻撃を受けるとダメージ量と同じポイントだけ増加する

image06
戦闘中にやりくりする重要なパラメータである「TP」。これをどう使うかはプレイヤーの判断にゆだねられる

このゲームの特徴的なシステムである「召喚」について、本作では戦闘中にTPを消費することで、共に戦う仲間を呼び出すことが出来る。ゲーム開始直後は妖精である「スプライト」の召喚のみ行うことが出来るが、ゲームを進めるごとに新しい召喚を入手することが出来る。呼び出した召喚獣も同じくTPを使用した技を使用することができ、その高い能力でローズマリーと共に戦ってくれる。

image04
ゲームを進めるごとに、使用できる召喚も強力なものになっていく

召喚できる仲間はそれぞれ特徴を持っており、たとえば最初から呼び出せるスプライトは補助の能力に優れ、敵全員を暗闇状態にして命中率を下げる魔法、味方のHPを回復する魔法を使うことが出来る。本作では、HPの回復手段が限られているため、こういった回復の技能がとても重要なものとなってくる。そのため有効に活用したいところだ。

image09
召喚した仲間にはそれぞれ特徴があるので、状況に応じた行動をさせよう

次に「魔法生成」について、本作では攻撃・補助・回復などの魔法は、召喚した仲間が使用する技能のほかには、アイテム「魔法書」を使用することで発動することが出来る。魔法書はダンジョン内部の宝箱から入手するほか、戦闘中に使用できるローズマリーの技能「魔法生成」で、TPを消費することにより魔法書を生成をすることが出来る

魔法生成にはレベルが分かれており、高レベルの魔法書を生成するためにはより多くのTPを使用しなければならない。魔法を生成するためにTPを貯めるか、それとも、戦闘の被害を抑えるべく早く敵を倒すために他の行動を行うか…。戦闘中のプレイヤーの判断が問われるのだ。

image05
魔法生成は戦闘中のみに行える。状況を見て、安全な頃合に生成しよう

また、ゲーム中で入手できるアイテム「プリマ・マテリア」を使うことで、ダンジョンを探索する中で入手できるアイテムを「マナ」に変換し、変換したマナを使用して強力なアイテムを生成することもできる。生成できるアイテムは魔法書のほか、ローズマリーのHPや能力を強化することが出来る装備アイテムなどがある。

装備アイテムには強力なものが揃っているため、それらを作ることで戦闘を有利に進めることが出来るだろう。なお、プリマ・マテリアは入手できるタイミングが限られているので、なるべく無駄の無い使い方をするのもポイントとなる。

image00
装備アイテムには強い効力を発揮するものが多い。ぜひ探索に活用しよう

「確定要素」と「ランダム要素」の交わった戦闘を切りぬけろ

このゲームの戦闘形式については、オーソドックスなターン制のコマンド選択式戦闘となっているが、「運の絡む要素」と「運の絡まない要素」が交わっていることが特徴となる。たとえば、運の絡まない要素として、敵に与えるダメージや敵から受けるダメージは、自分と相手の能力に応じて固定の値として計算される。同じ行動をすれば必ず同じポイントのダメージを与えることができ、一戦一戦がパズルのような戦闘を楽しめる。

一方、魔法生成に関しては入手できるアイテムがランダムとなっているため、こちらは運の要素が絡んでくる。「運の要素を考慮しつつ戦術を考える」という、まるでローグライクゲームのような楽しみ方が出来るRPGとなっているのだ。

image08
ダメージや効果が計算によって固定で決まるスキルがほとんどだ。一方、魔法生成で生み出される魔法書はランダムで決まる

探索するダンジョンについては、いくつかの階層に分かれており、階層の境目には強力なボスキャラクターが待ち構えている。通常の敵との戦いも、マップを歩いているうちに敵と遭遇するランダムエンカウント形式ではなく、敵がマップ上に固定されているシンボルエンカウントの形式となっている。
そのため一戦一戦の準備をしっかりと行ったうえで戦いに望むことが出来る。持っている魔法書、使えるスキル、それら全てを考慮し、有効な戦い方を見つけていこう。魔法書には便利なものが多いが、無計画に使うとすぐになくなってしまうことには注意だ。

image02
手持ちの魔法書のストックを考慮し、計画的に探索を進めていこう

image03
敵のシンボルは動かず、接触しないかぎり戦闘にはならない

フリーゲームでは、本作を制作したud氏の過去作である『ロードライト・フェイス』はもちろんのこと、話題となったアナログゲーム『シェフィ』や『ゴリティア』のゲームデザイナーであるポーン氏の制作したノンフィールドRPGである『雪道』、また、先日もぐらゲームスでも記事にて取り上げた『嘘つきジニーと磔刑の国』、そしてパズルライクRPG『グリムボルトDeep』など、与えられたアイテムやリソースを上手くやりくりしてクリアを目指すというゲームは人気となっている。RPGに「試行錯誤」を求めている人はぜひ遊んでみてほしい。

[基本情報]
タイトル 『ローズマリーダスト』
制作者 ud(制作者様ページはこちら
対応OS Win
価格 無料
プレイ時間 1時間程度

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/9368

  • poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。