撃ちまくり爆発しまくりの激闘を楽しもう。”ラン&ガン”インディーゲーム5+1選

アクション

今なお根強い人気を保ち続ける横スクロールのアクションゲーム。家庭用ゲーム機においては、特に1980~1990年代にかけ、数多くの新作が生まれては好評を博した。昨今もその人気は衰えず、主にインディーゲーム界隈においては意欲的な新作が続々と誕生している。ただ、全体としては探索型……任天堂の『メトロイド』やKONAMIの『悪魔城ドラキュラ(※月下の夜想曲以降)』に影響を受けたものが多い。純粋なステージクリア型、ゴールを目指すタイプのものは二番手の印象だ。

とは言え、ステージクリア型で大きな人気を博した作品は少なくない。
家庭用ゲーム機界隈に至っては、今なお絶大な信頼を得ている。
そして昨今、そんなステージクリア型における一つのスタイルが静かに勢いづいている。

「ラン&ガン」だ。

ラン&ガンとは

直訳すれば「走って撃つ」
いわゆる、マシンガンのような連射系の武器で敵と戦うスタイルだ。
シューティング色の強いアクションゲーム、というと想像しやすいかもしれない。主にステージクリア型にて採用される傾向が多く、1980~1990年代にかけ、人気を博した作品が複数存在した。

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▲『魂斗羅アニバーサリーコレクション』より、ファミコン版『魂斗羅』

最も象徴的な作品と言われるのが、KONAMIの『魂斗羅(コントラ)』。筋肉隆々な主人公を操作し、次々と迫りくる敵エイリアン達をマシンガンなどの多彩な武器で倒していくアクションゲームだ。その分かりやすくも爽快感満点、それでいて手応え十分の難易度で人気を博し、以降、家庭用ゲーム機に移植、専用の新作が作られるなりしてシリーズ化を遂げた。

他にその魂斗羅に携わったクリエイターが制作した『ガンスターヒーローズ』、ミリタリー色の強い世界観と弾数制限、近接武器などの特徴を持つ『メタルスラッグ』も代表的な作品として謳われる。

例に挙げた作品には、共通した特徴がある。(以下に列挙)

・走りながら撃てる弾数無限のマシンガン系武器
・複数の武器を使い分ける戦術性
・続々と湧き出てくる大量の雑魚敵
・派手な爆発と巨大なボス
・荒唐無稽で仰々しい演出
・一周単位の手頃なボリューム

マシンガン系武器に関しては、弾数制限付きの例もあるが、本スタイルにおける最も象徴的な要素なのは間違いない。大量の雑魚敵、爆発、巨大ボスはいずれも共通。爽快感と達成感を際立たせる要素だ。

プレイ時間の短さもある。基本的に早ければ30分~1時間程度で一周できるものが多い。ゆえにボリュームは不足気味だが、その分、ステージ一つの密度を濃くする手法でまとめられている。そして、コンパクトにまとまっているからこそ、気分転換に適している。寝る前に一プレイなど、気軽に遊べるアクションゲームとも言えるだろう。

そんな「ラン&ガン」の作品は特に2000年以降、先に挙げた三つに続くヒット作が現れず、次第に存在感を薄めていった。だが、インディーゲームの台頭以降、僅かながら新作が出てくるようになる。

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▲『Cave Story +』(Nintendo Switch)より

また、探索型に同スタイルを用いた作品も出てきている。
『洞窟物語(Cave Story)』は象徴的な一例と言えるだろう。

もちろん、ステージクリア型にも多数の新作が誕生している。非常に長い前置きになったが、本記事ではそんな現代に誕生した「ラン&ガン」作品を五作ピックアップして紹介する。中には先に列挙した特徴から外れた例もあるが、他の部分はきちんと持ち合わせたものばかりだ。興味があれば、ぜひその独特なプレイスタイルを味わってみて欲しい。

ケロブラスター

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先にも名を出した『洞窟物語』の開発室Pixel制作による作品。2014年5月11日にWindows、iOS向けにリリースされた。後発で2017年4月11日にPlayStation 4、2018年8月23日にはNintendo Switchへと移植されている。「C&F(キャットアンドフロッグ)社」に所属するサラリーマンのカエルを操作し、様々な武器を駆使して「大そうじ」として敵を退治していく内容。

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本作を「ラン&ガン」にカテゴライズするのは、少し際どくもある。特に敵があらかじめ出現位置などが定められているので、一体ずつ堅実に対処していくのが基本となるからだ(その関係で敵の耐久度も高めに設定されている)。さらにダメージ制、道中で手に入るお金を用いて体力や手持ちの武器を強化するアップグレードシステムもあるため、力押しも効きやすい。ボリュームも1時間ほどでクリアできる物量ではない。

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しかし、手持ちの武器はオート連射可能、毎ステージの最後には大型のボスとの戦闘がある、爆発は派手など、随所に特徴を持った仕上がりだ。アップグレードシステムの存在もあって、繰り返しプレイを重ねることでお金が溜まり、プレイヤーが強くなって楽になるなど、ゲームバランスもアクションゲームが苦手なプレイヤーにも配慮されたものになっている。もちろん、上級者を対象とした高難易度の二周目と言ったフォローも万全だ。テイストは異なるものの、「ラン&ガン」の醍醐味はしっかり味わえる良作。

最新のNintendo Switch版は、それまでiOS版特有のものだった外出先でも気軽に遊べる強みが加わっているので、未プレイであればぜひ。

[基本情報]
タイトル:『ケロブラスター』
制作者: 開発室Pixel(※販売:PLAYISM)
クリア時間: 3~5時間
対応OS: PC(Windows)、iOS、PlayStation 4、Nintendo Switch
価格: ¥980

購入はこちらから
※PC(Windows):PLAYISMストア
https://playism.com/ja/product/kero-blaster

※PC(Windows):Steam

※iOS
https://apps.apple.com/jp/app/%E3%82%B1%E3%83%AD%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC/id867598817

※PlayStation 4
https://store.playstation.com/ja-jp/product/JP0122-CUSA06011_00-KEROBLASTERJP000

※Nintendo Switch
https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000007783

Cuphead

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当もぐらゲームスにもレビューを掲載している本作は、『魂斗羅』、『ガンスターヒーローズ』などの影響を受けたと、制作の「Studio MDHR」設立者で代表のChad&Jared Moldenhauer兄弟が明言している紛うことなき「ラン&ガン」の新作だ。本編にも「RUN&GUN」と名付けられたステージがあり、次々と現れる敵をマシンガンのように放たれる「ミズテッポウ」などを始めとする武器で倒しながら進める、伝統的な展開を楽しめる。

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だが、真に注目すべきは本作の根幹に当たるボス戦だ。1フレーム単位で手描き、手塗りによって表現された巨大ボス達は圧巻の一言。ダメージを与える度に姿を変え、攻撃がより仰々しくなるのも、往年のラン&ガン作品を意識したものになっていて、終始、気の抜けないスリルと倒した時の確かな達成感を味わえる。極め付けに総数にして30体以上、似通った個体も一切なし、しっかり無傷で倒せるよう入念にバランス調整も施されているという徹底ぶりである。

爽快感よりもやり応え重視の作風で、どちらかというと腰を据えて遊ぶタイプだ。ボリュームも大きい。しかし、見応え十分のアニメーションにバランスの取れた高難易度、魅力的なボスキャラクター達が光る傑作に完成されている。

2017年のレビュー当時は日本語非対応だったが、2019年4月13日の関連アップデートでついに対応し、ストーリー共々、楽しめるようになった。さらにNintendo Switch版も配信。今後、Nintendo Switch版はXbox Liveへの対応が行われるほか、全機種共通で新たなキャラクターとステージ、ボスを追加するダウンロードコンテンツの配信も行われることになっている。間違いなく、昨今の「ラン&ガン」を象徴する一作。まだプレイしていない方は、ぜひこの機会に挑んでみよう。けど、悪魔の誘いには乗っちゃ駄目だぜ……!

[基本情報]
タイトル:『Cuphead』
制作者: Studio MDHR(※日本語ローカライズ:GameTomo)
クリア時間: 5~8時間
対応OS: Xbox One、PC(Windows)、Nintendo Switch
価格: ¥2350(Xbox One)、¥1980(PC、Nintendo Switch)

購入はこちらから
※Xbox One版
https://www.microsoft.com/ja-jp/p/cuphead/9njrx71m5x9p

※PC(Windows)版

※Nintendo Switch版
https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000016331

Bleed、Bleed 2

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本作もまた、当もぐらゲームスにてレビューしている作品だ。そして、スタイリッシュ系ラン&ガンとも称せる力作。”さいきょうヒーロー”に憧れる残念少女「Wyln」が堕落したかつてのヒーロー達をぶっ殺して、新たなヒーローにのし上がるために暴れ回るというストーリー。続編『Bleed 2』では、夢に見たヒーローになった彼女の座を奪おうとする挑戦者との過酷な防衛戦が描かれる。

二作共にラン&ガンの一周単位の短さ(手頃なボリューム)のほか、複数の武器を使い分ける戦術性、巨大なボスなどの特徴をほぼ網羅したアクションゲームに完成されている。そして、最大の特色たる「スロータイム」。一定時間、周囲の時間を遅くさせ、その隙に敵の攻撃を潜り抜けたり、集中砲火を浴びせるなどの華麗な立ち回りができる。続編『Bleed 2』では、新たに近接武器の「ソード」が追加され、これで特定の色が付いた敵弾、さらにはボスの攻撃を跳ね返すカウンター攻撃も仕掛けられるようになって、よりダイナミックなアクションを楽しめるようになっている。他に二作共通で最大三回可能な空中ジャンプ、初代『Bleed』限定のステージごとの攻略の幅を広げる武器セレクトなどの要素が満載。右スティックで射撃、トリガー系ボタンでジャンプなどを実施するツインスティックシューターを元にした操作性や、ラン&ガンの醍醐味を存分に味わえる一発勝負のアーケードモードなど、意欲的な試みも多く盛り込まれている。

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筆者お薦めは続編『Bleed 2』。爆発系の演出が大幅に強化されているほか、荒唐無稽なシチュエーションを舞台にした熱いボス戦、Jukio Kallio氏によるメロディアスで勢いのある音楽など、これぞラン&ガンの爽快感を短時間でたっぷり味わえる傑作に完成されている。二作共にPlayStation 4、Xbox One、Nintendo Switchの家庭用ゲーム機にも移植されているが、海外のみ。日本国内で手軽に入手できるのは「Steam」のPC版のみとなる。日本語にも対応していないが、分からずとも勢いで遊べてしまう仕上がりだ。初心者向けの低難易度、ダメージ制も採用されていて、入門編にも適しているので、興味があればぜひ。

[基本情報]
タイトル: 『Bleed』 / 『Bleed 2』
制作者:Ian Campbell(BOOTDISK REVOLUTION)
クリア時間: 25分~1時間
対応OS: PC(Windows、Mac、Linux)、Xbox360(※配信終了)、PlayStation 4(※海外のみ)、Xbox One(※海外のみ)、Nintendo Switch(※海外のみ)
価格: ¥498(PC版)

購入はこちらから
※Bleed:PC(Windows、Mac、Linux)版

※Bleed 2:PC(Windows)版

メカフォース

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ここからは発売されて間もない作品を紹介する。最初に『メカフォース』。ニンテンドー3DS、WiiU、iOS、Android、PC、そしてNintendo Switch版も配信された横スクロールアクションゲーム『ガンマンストーリー(※原題:Gunman Clive)』を制作した「Hörberg Productions」の新作だ。2019年6月14日より、Nintendo Switch用ソフトとしてフライハイワークスより配信されている。

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弾数無制限のマシンガンで戦うラン&ガンだが、特筆すべきはボス戦特化型のゲームデザイン。次々と襲い来る雑魚敵を倒しながら最後に待ち構えるボスを倒す、またはゴールを目指す展開が一切ない。極端に言うなら、先に挙げた『Cuphead』の「RUN&GUNステージ」無し版である。また、タイトル名にもある通りボス達は全て巨大なロボット。いずれも主人公が小さく見えてしまうレベルの大きさで、様々な猛攻を潜り抜けながら弱点のコア破壊を目指す形になる。そのコアの壊し方も独特で、黄色のコアであれば射撃が効く一方、赤色のコアは近接攻撃を決めなければならない。しかも、露出させるにはボスを怯ませるなどの特殊な手順を踏む必要がある。タイミングを見計らったジャンプなど、小手先のテクニックが要求される場面も多々あり、単に撃ちまくればいいでは済まされない展開も。

雑魚敵が登場しない分、巨大なボス、派手な爆発、荒唐無稽な演出に振り切った潔さが痛快で、一風変わった遊び心地を誇る作品に完成されている。難易度もダメージ制が採用されているほか、戦闘で得られる資金を払って強化アイテムを購入するアップグレードシステムもあるので良心的。最終ボス戦がやや難ありながら、独特の魅力を持った一本。往年の特撮作品っぽさ溢れる音楽も含め、男の子心も刺激する注目作だ。

[基本情報]
タイトル:『メカフォース』
制作者: Hörberg Productions(※販売:フライハイワークス)
クリア時間: 3~4時間
対応OS: Nintendo Switch
価格: ¥1200

購入はこちらから
※Nintendo Switch
https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000019356

Blazing Chrome

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同じく最新タイトルの一つで、最後にピックアップするのが『Blazing Chrome』。PC版メタルスラッグシリーズのパブリッシャーである「DotEmu」が立ち上げたインディーゲームブランド「The Arcade Crew」の一作目で、ファミコン風アクションゲーム『Oniken』を制作したブラジルのインディーゲームディベロッパー「JoyMasher」制作のラン&ガン。2019年7月11日よりNintendo Switch、PlayStation 4、Xbox One、PC向けに配信されている。日本語にも対応していて、ローカライズは架け橋ゲームズが担当。

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その16ビットスタイルのグラフィックから明らかな通り、魂斗羅シリーズを強く意識した作品。五種類の武器、一発被弾すればミスになるルールなど、随所において同作をインスパイアしたシステムが搭載されている。続々と湧き出てくる雑魚敵、巨大なボス、派手な爆発などのお約束も万全。ステージ総数も6つと、手頃なボリュームに収まっている。
ただ、一ステージ当たりが長く、一周クリアにも4~5時間かかる密度。雑魚敵も耐久力が高く、弾を一発当てても倒せないので、突破してきた個体をショットボタン単発一回押しで発動する近接攻撃で倒すことが時々要求される。補助攻撃の実施、移動速度を早くする「ボット」なるオプションアイテムによる強化、二足歩行のアーマーに搭乗しての進撃などの独自要素もあるほか、プレイヤーキャラクターにも近接攻撃専門という、ラン&ソード(もしくはニンジャ)な面子もいる。

見た目こそ往年のラン&ガンだが、特にゲームバランスの味付けが大分異なり、爽快感を求めると反ってストレスを溜めかねない作りになっている。ただ、コツを掴めば撃ったり殴ったりの豪快なアクションを楽しめる。一本道構成ではあるものの、クリアしたステージは常に記録されて途中からの再開も可能、ゲームオーバー時のコンティニュー制限なしと(※一部難易度は記録なし&制限あり)、現代的な配慮も万全。ヘビー系ラン&ガンという前提で遊べば楽しめる作りなので、その種の手応えのある内容をお求めの人におすすめの一作だ。音楽も見た目を裏切らない、16ビット風の楽曲が揃っているので要チェック。楽曲担当は当もぐらゲームスにもレビューを掲載しているガンシューティングゲーム『Bot Vice』のDominic Ninmark氏だ。

[基本情報]
タイトル:『Blazing Chrome』
制作者: JoyMasher / The Arcade Crew, CE-Asia(※日本語ローカライズ:架け橋ゲームズ)
クリア時間: 3~4時間
対応OS: PC(Windows)、Nintendo Switch、PlayStation 4、Xbox One
価格: ¥1730(PC)、¥1900(Nintendo Switch、PlayStation 4)、¥2000(Xbox One)

購入はこちらから
※PC(Windows)

※Nintendo Switch
https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000013875

※PlayStation 4
https://store.playstation.com/ja-jp/product/UP5358-CUSA14656_00-JPPS400000000001

※Xbox One
https://www.microsoft.com/ja-jp/p/blazing-chrome/9n5p2152rbpm

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▲『Gunlord X』(※Nintendo Switch:海外限定)より

ピックアップからは省いたが、他にもこのスタイルのアクションゲームでは『ガンズゴア&カノーリ』二作(PlayStation 4、Nintendo Switch)、『MATTERFALL(マターフォール)』(PlayStation 4)、そして海外限定タイトルになるが『Gunlord X』などがある。

2000年代以降も積極的に新作を出し続けていた魂斗羅シリーズも、2019年9月26日に最新作『魂斗羅ローグコープス』を販売することを発表し、(日本国内では)8年ぶりの再始動と共にラン&ガンへの熱も静かに高まってきている。

紹介した作品それぞれの個性は違うが、マシンガンを撃ちまくる爽快感や手応えのある難易度は共通事項。この機会にいっちょ思うがままにぶっ放し、暴れ回ってみてはいかがでしょうか。

  • シェループ(@shelloop

    様々なゲームに手を伸ばしたがる人。2D、3Dのアクションと手強めの戦略シミュレーションを与えると喜びます。

    Webサイト:box sentence