双子の姉妹を交互に操作して、お化けと鬼ごっこ。フリーホラーゲーム『少女繭中』
プレイヤーが操作するキャラクターを入れ替えて進んでいくゲームシステムは「ザッピング」と呼ばれる。複数の視点から見たストーリーが描かれることで、プレイヤーは物語も紐解いていく楽しさをを味わうことができる。フリーゲームのアドベンチャーでは、『かみさまの心臓』や『コクラセ』などがこのザッピングシステムを採用している。
今回紹介するのは、姉妹を交互にザッピングして、お化けから妹を守るホラーアドベンチャー『少女繭中』だ。一目見るとかわいい絵柄が印象的だが、語られる物語はかなりおどろおどろしい。
さっそく紹介していこう。
お化けを探知する姉、逃げなければならない妹
『少女繭中』はWOLF RPGエディター製の横スクロールのアドベンチャー。本作の主人公は、2人で暮らす双子の姉妹。姉の繭中掠(まゆなか かすり)は、霊感が強く、小説を書き生計を立てて梢を支えようとしている。一方、妹の繭中梢(まゆなか こずえ)は、掠のおかげで学校に通いながら生活している。
そんな掠の元に、1通の呪いの手紙が届くところから話は始まる。手紙を捨てに森の社に行った掠は、嫌いな人を呪い殺す【オムカエ様】の儀式を見てしまう…。
本作のゲーム部分は、掠の代わりに梢を狙うお化けから、梢を守りつつ、シナリオを進めていくところがミソだ。
霊感の強い掠はお化けのいる場所が分かるが、梢は分からない。そして霊感のない梢はお化けと同じエリアにいるとダメージを受けてしまう。ケータイで電話をかけて2人を入れ替えながら、掠はお化けを追い払うためのアイテムを集め、梢はストーリーの核心に迫るとあるための手紙を集めていくことになる。梢の行動によってエンディングが分岐していくので、何もしなければいいというわけではない。
梢を操作しているときは、右下に体力が表示される。同じエリアにお化けが来ると、体力が奪われていく。
お化けが家の中にいる時は、怪痕と呼ばれる不気味な現象がところどころで発生する。
ネタバレになってしまうので詳細なストーリーの描写は避けるが、梢が手紙を集めていくことで、物語の真相が徐々に明らかになっていくので、お化けから逃げながら手紙を集めてほしい。
難易度選択によるゲームプレイの変化
このゲームをさらに味わい深くしているのは、難易度の選択だ。ゲームを開始するとプレイヤーはまず難易度を選択することになる。用意されているのは甘口、中辛、辛口。いずれの難易度を選んでも、エンディングの分岐は同じになる。
筆者は最初甘口を選んでみた。お化けの移動時間も長く、梢の体力の減り方も小さいため、ストーリーに集中できる難易度だ。しかし、中辛以上ではお化けの移動速度が上がり、体力の減りも大きいため、一気にゲーム性が上がる。限られた霊力とアイテムを駆使してお化けを追い払わなければならない。
難易度によるゲームプレイの違いは、ゲームそのものの難易度だけではない。イベントの展開も微妙に変わっていく。特に甘口と、中辛・辛口では展開にかなり違いがある。そしてトゥルーエンド後に出現するクリア特典のコンテンツが異なっているのだ。クリア特典では、ストーリーの背景にある設定をより深く理解できる。
クリア後に出現するクリア特典(SSは甘口、梢の学校の友だち智が主役のちょっとしたミニゲームだ)
冒頭にも述べたように、かわいい絵柄に似合わず、明かされるストーリーはかなり悲劇的だ。お化けとの鬼ごっこを楽しみながら、ぜひ堪能してほしい。
[基本情報]
タイトル 少女繭中
制作者 ねこまりえる
クリア時間 1周2時間剃度
対応OS Win XP以降
価格 無料
ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/8359