「東京インディーフェス」で見つけた注目のゲーム7選
5月14日に開催されたインディーゲームの展示イベント「東京インディーフェス」。東京サンドボックスという複合イベントのひとつとして開催されたこの催しは、1200人の参加者(一般公開日)が入場した盛況なイベントとなった。
今回もぐらゲームスでは、会場で遊べたインディーゲームの中から7つをピックアップ、面白さやポイントを紹介する。現在は開発中段階となっている作品もあるが、いずれも配信の予定があったり、海外からの出展作でも日本語展開が予定されているものが多い。この記事で気になった作品を見つけた方は、ぜひこれから情報を追ってみてはいかがだろうか。
ゴルフは、冒険だ。芝生の上を旅するRPG『RPGolf』
Chorus Worldwideブースにて展示されていた『RPGolf』は、その名の通り「RPG」と「ゴルフ」を融合させたスマートフォン向けタイトルだ。配信は今夏の予定。
使用するクラブ・ボールを飛ばすコース・かけるスピンを決め、タイミングを計ってパワーを決定し、ショットを打っていくのは一般的なゴルフゲームと同様。
しかし次のショットを打つためにはボールのもとへ移動する必要があり、その道中は怪物たちが邪魔をするのでクラブを振るって撃退しながら進むことになる。
「RPG」に「ゴルフ」というミスマッチにも思える組み合わせだが、池の向こうへ打ったボールにたどり着くために洞窟に回り道したり、長いホールとホールの間を馬車ならぬゴルフカートで進むなど、目的地へ向かってフィールドを移動していくフィーリングはRPGそのものだ。
他にも、怪物を倒してレベルアップした際にSTR(筋力値)に能力を割り振れば、怪物への攻撃力だけでなくショットの飛距離も伸ばせる、といったようにゴルフとRPGが相互に作用する奇妙な味わいのある作品となっている。
(真野 崇)
公式サイト:http://chorusworldwide.com/
お寿司屋さん大忙しなパズルアクション『ペコペコスシ』
Hanaji Games『ペコペコスシ』は回転寿司をモチーフとしたスマートフォン向けのパズルアクションゲーム。こちらも今夏の配信が予定されている。
ルールはいたってシンプルで、来店したお客さんの要望に合わせて寿司ネタをドラッグして届けると売上が上がり、一定時間内でどれだけ売上を稼げるかに挑戦することになる。
隣り合った同じ種類の寿司ネタをひとつにまとめて届けたり、ミスなく連続で寿司ネタを届けてコンボにすると高収入を得られる。ハイスコアを狙う際は寿司ネタをまとめて届けやすいよう寿司ネタの位置を入れ替えたり、スムーズなコンボができるようにお客さんへ寿司ネタを届ける順番を考えていくことが重要といえるだろう。
なんだかどこかで見たことがあるようなお客さんたちをはじめとする、ピクセルアートのポップで可愛い見た目とは裏腹に、お客さんも寿司も次々と流れていくため、終始てんてこ舞いになること請け合いだ。
(真野 崇)
公式サイト:https://www.hanaji.com/
引力で”月”を振り回して敵を破壊 『EARTH DEFENSE SATELLITE』
インディーゲームディベロッパーのニカイドウレンジ氏が手がけた『EARTH DEFENSE SATELLITE』は、宇宙を舞台に月を武器にして戦うシューティングゲーム。宇宙空間に現れる敵機を全て倒すことで進むWave式となっている。本作の攻撃方法は、プレイヤーが操作する地球からの攻撃ではなく「月との引力を利用して破壊する」1つのみ。
地球と月との引力にはルールが定められており、月は引力によって地球に引っ張られている。そのため地球と月との距離が近いと月のスピードが遅く、地球と月との距離が遠いと月のスピードが早くなる。この法則を利用して、敵の位置に上手くコントロールして破壊していく。
地球のHPはとても多いとは言えず、月と衝突しても一撃でゲームオーバーとなってしまう。地球を動かせる範囲も決まっているので、月を操るスペースを確保しつつ、どの敵を先に破壊すれば良いのかと考えるのが楽しい。本作は、攻撃方法は1つのみでシンプルに見えるが、月を操る感覚が難しくもプレイを歯ごたえのあるものにさせている。
新作ゲーム『EARTH DEFENSE SATELLITE』販売開始しました! 地球を操作して月を振り回して戦うシューティングゲームです! 上達の楽しさが味わえるゲームです! よろしくおねがいします!!https://t.co/350Yalc7rDpic.twitter.com/5oyl05izSJ
— ニカイドウレンジ (@R_Nikaido) 2017年5月13日
・『EARTH DEFENSE SATELLITE』購入ページ
https://r-nikaido.itch.io/earth-defense-satellite
(みたらし)
青と黒で描かれた、「手紙」が伝える物語『From_.』
黒色と青色のみの世界観で描かれた2Dドットアドベンチャーゲーム『From_.』を制作したのは、インディーゲームディベロッパーのなかじま氏。TokyoIndieFes2017での展示では、黒いカーテンに囲まれ水の音を聞きながら独特な空間での試遊を体験。本作の試遊には長蛇の列ができ、約1時間待ちになるほどの人気となっていた。
『From_.』の舞台は一面水で覆われた「水の国」。プレイヤーは、個々の島で暮らしている住人に手紙を届ける役目の「郵便屋さん」を操作する。主人公は舟で島々を移動しながら手紙を届け、住人との会話を通して物語が進んでいく。
主人公の背後には、いつも連れ添う存在がいる。そのものについての説明は特にされず、言葉も発することはない。しかし、ある時、謎の男から「とんでもないものを連れているじゃないか」と言われる。住人が口々にする、ある悲しい噂と主人公らの関係性はいかに……。
本作はまだ開発途中とのこと。今後の続報が待ち遠しい。
(みたらし)
『聖剣伝説』菊田氏も参加する戦略SLG『タイニーメタル』
ヨーロッパの小国を思わせる国「アルテミシア」、同国の王を暗殺した国とされた「ジパング」の戦争を描いた、戦略シミュレーションゲーム。アメリカに拠点を構えるインディーデベロッパー「AREA34」が開発。『聖剣伝説2』などで知られる作曲家・菊田裕樹氏を始めとする日本の著名なクリエーターも多数参加している。
自軍・敵軍の行動順で進行するユニット単位のターン制シミュレーションゲームで、「工場」などの施設でユニットを生産。敵のユニットを撃退したり、マップに点在する「都市」などの施設を占領して資金源を得ながら、敵の本部(HQ)の占領を目指していく。
特徴として、登場するマップのほとんどが全体像の見えない索敵仕様で、地形を探っていく行軍が求められる。また、ユニットには方向の概念があり、攻撃時に背後を突くことで、大きなダメージを与えることができる。ユニットによっては「ロックオン」、「突撃」と言った特殊なコマンドを選択でき、活用することで相手を吹き飛ばしたり、援護射撃を展開させる戦術を駆使することもできる。
プレイ感覚は王道の戦略シミュレーションだが、索敵仕様のマップ、方向の概念によって、独特の駆け引きが楽しめる。歩兵、戦車と言ったユニットを動かす度に日本語ボイスで喋り、それぞれ独自のキャラクター付けが行われているのも面白い。筆者個人としては、ダメージを受ける度に「はわわ~!」と叫ぶ偵察車が強烈な印象を残した。というか、なんで女の子なの。
ゲームシステムの手軽さから、この手のジャンルを経験したことのないプレイヤーも安心して遊べそうな作りの今作。開発は順調のようで、今年下半期にプレイステーション4、パソコン、更にニンテンドースイッチでのリリースが予定されている。戦略シミュレーション好きなら、要チェックだ。
(シェループ)
公式サイト:http://www.tinymetal.com/
まるでゲームボーイの新作アクション?『助けてタコさん』
『助けてタコさん』は個人開発者のChristophe Galati氏が製作中の2Dアクションゲーム。
人類とタコ達が生存圏を求め、戦争中にある世界を舞台に、争いを嫌う主人公・タコさんが人間の女性を助けてしまったことで、数奇な運命に翻弄されていくストーリーが描かれる。
アクションゲームとしては王道のステージクリア型で、行く手を阻む敵に墨を吐きつけ、足場にしながらゴールを目指す。ステージによっては、無くなったキーアイテムを探し出すなどの「クエスト」も発生し、それを攻略することで、基礎ステータスを向上させる装備品を獲得できる。他にアクションを拡張するアップグレードなど、RPG的な要素もふんだんに盛り込まれている。
今作はゲームボーイの生誕25周年を祝う為に立ち上げられたプロジェクトとのことで、モノクロのグラフィックから8ビットの音楽に至るまで、徹底してゲームボーイの新作っぽさを出している。アクションもジャンプと墨を吐くの二つのアクションだけと、非常に取っつきやすい。また、ステージ選択画面が『星のカービィ(具体的には、星のカービィ2)』に近いスタイルであるなど、ゲームボーイで生まれた名作のオマージュが盛り込まれているところには筆者自身、ニヤリとしてしまった。
タイトル名から分かるように、日本語化も行われている。試遊では、アップグレードまで体験することは適わなかったが、童話な香り漂うストーリーを始め、奥深い体験が堪能できる作品になっていそうで、正式リリースの時が楽しみだ。
(シェループ)
公式サイト:http://www.indiedb.com/games/tasukete-tako-san-save-me-mr-tako
「走行」と「飛行」 二つの形態を使い分けるSFレースゲーム『LIGHTFIELD』
オーストリアの独立系ゲームスタジオ「Lost in the Garden」制作によるSFレースゲーム。「走行」と「飛行」の二つの形態を持つマシンを操縦し、ライバル達との順位争い、タイムアタックに挑む。
地上を走行する場合はアクセルボタンとスナップ(接地)ボタン二つの同時押し、飛行する場合はスナップボタンから指を離し、アクセルボタン単体を押しっぱなしにする、地形の構造に応じた切り替えが要求されるマシンの操作系が最大の特徴。
その操作に応じた局面がコース上に用意されており、プレイヤーに瞬時の判断を求めてくる。意外な抜け道や分岐点も豊富で、一周する度に新たな発見がある。何より、飛行形態の活用の仕方によっては、大胆な近道(ショートカット)をできてしまうのが痛快。基本、チェックポイントさえ通過すれば、どう進もうがペナルティは課せられないので、まさに「勝てばよかろうなのだ」の競争が満喫できる。
プレイして感じたのが「開放感」。コースが広々としているのもあり、単純に走っている(空を飛んでいる)だけでも気持ちよい。走行だと高速で移動できるが、飛行だと行動範囲が広がる一方で低速移動になるなど、それぞれのデメリットもしっかり設定されていて、ゲームバランスの調整も万全。今回の試遊ではよく聴き取れなかったが、音楽にも力を入れているようで、美しいグラフィックとの相乗効果による爽快なレース展開が楽しめそうだ。
今年の秋にプレイステーション4、パソコン向けに配信予定。今後、オンラインのマルチプレイも実装されるほか、架け橋ゲームズによる日本語ローカライズも実施される。
試遊ではローカライズ担当者の方が案内を務めていて、現在、頑張って作業しているとのお話しを聞くことができた。正式リリースの時が待ち遠しい。
(シェループ)