VRの幕開けを飾るベストコンテンツはこれだ!「VR Award Japan 2014」結果発表
12月11日から24日までの2週間、投票を受け付けた「VR Award Japan 2014」。Oculus RiftやProject Morpheusなどまだ開発段階のデバイスがほとんどの中で200票近い票が集まった。投票されたコンテンツも実に多く、75ものコンテンツに票がバラける結果となった。
果たして、どのコンテンツが今年のベストVRコンテンツだったのか、VRの幕開けとなった2014年を代表するコンテンツベスト10を寄せられたコメントとともに紹介していこう。なお、同列が多いため、実際には11作品である。
第9位『めかしむ☆』(izm氏)
第9位は3作品が同列となった。まずは、鉄騎のコントローラーを使ってロボットを操縦できるこちらのコンテンツ。操縦桿を握れるとは胸熱である。制作者の@izm氏のブログ記事もあるが、酔いの防止や描画速度などにも徹底的な配慮が為されている。
イベント限定のコンテンツで筆者も体験したことがないのだが、機会があればぜひ体験したい。また、10位以内には入らなかったが、海外で制作されたロボット操縦シミュレーターの『VOX machinae』も票を集めていた。
※制作者のizmさんによる参考記事
鉄騎コントローラを使ってロボットを操縦して戦うOculusコンテンツを作った
http://izm-11.hatenablog.com/entry/2014/09/16/230136
●投票者コメント
-大きなコントローラーをがっしり握って倒すとがっしょーんと動いて進む感覚は機械にロマンを感じる男子なら気に入ると思う。操作の難易度が高いが、機械に乗ってる感が出るので寧ろ○。
ロボットの移動に合わせて振動ユニットが揺れて、実際に振動を感じ取ることができることもよかった。
ゲームとしてはまだ色々頑張ってほしいところがあるが(それだけ楽しみ)デバイスの組み合わせと操作しているときのワクワク感はとても素晴らしかった。-やはり実際に鉄騎コントローラーで操作できることと振動が臨場感を高めていて良かった。ゲームに不慣れな人間でもちゃんとクリア出来る難易度に設定してあるのもよかった
第9位『UnityCoaster2-Urbancoaster-』(iworks氏)
スカイツリーや国際展示場、都庁など東京のビル群を駆け抜けるジェットコースター。OculusRiftで体験すると良い定番コンテンツ「ジェットコースター」の中でも非常によくできている。高速で移動するので酔いやすいのだが、その点も良く考慮されている。最近のバージョンアップで、隣に美少女が同乗するようになった。
ダウンロードして楽しむことができるが、東京・秋葉原のG-tune GarageのOculus Rift体験コーナーでも体験可能だ。
ダウンロードはこちらから。(もぐらゲームス内、DLページ)
●投票者コメント
-初めてのVRジェットコースターでしたが、都内の有名スポットを駆け抜け、景色を見渡すのが楽しく、酔いも少なく非常に面白い体験でした。
-VRを紹介するデモアプリとして大変重宝した。
第9位『ポポポ認証の五次元異空間ミョーミョンでピョまりたい』
不思議な名称だが、同時接続するとVR空間にアイコンを浮かべて会話ができるというもの。11月に開催された2日間のOculus Game Jamで制作された。Jamでは東京と沖縄で会話ができた。声の大きさに合わせてアイコンが伸縮したり、頭の動きに合わせてアイコンが動くことで3Dのアバターで会話するよりも、リアルに相手を感じることができるのが不思議な体験だった。唐揚げを投げつける謎機能付き。公開が待ち遠しい。
元ネタ等の一連の流れはこちら(Togetter)
●投票者コメント
-サマーウォーズやセカンドライフのようなオープンワールドを2日で作ったという点。
-チャットものやLeap Motionのデバイスを使用した物は今後のコミュニケーションツールになる予感がするところが印象的な気がした。
第7位『Hiyoshi Jump、超会議ジャンプ、成層圏ジャンプ』
第7位は2作品が同列となった。派生系ということで一つにまとめたが、Oculus Riftを装着しジャンプすると、映画の主人公のように空高く飛ぶことができる実写系コンテンツだ。『Hiyoshi Jump』は神奈川県にある日吉の上空までジャンプができるDK1用のコンテンツになっている。他にも大気圏まで一気にジャンプできる『成層圏ジャンプ』や、イベント当日に撮影した会場の真上に飛べる『超会議ジャンプ』などをイベントで体験することができた。
現在公開されているのは、HiyoshiJumpのみだが、Oculus Riftだけでなく、ハコスコ、Google Cardboardといったスマホ用のヘッドマウントディスプレイでも遊べるのは非常に手軽だ。
※制作者
Hiyoshi Jump:伊藤 周氏、簗瀬 洋平氏、古川 正紘氏、MHD Yamen Saraiji氏
超会議ジャンプ:伊藤 周氏、簗瀬 洋平氏、MHD Yamen Saraiji氏
成層圏ジャンプ:The University of Tokyo Rekimoto Lab、Unity Technologies Japan、SONY CSL
Oculus Rift向けHiyoshi Jumpのダウンロードはこちらから(Oculus Share)
ハコスコ向けスマホ用アプリはこちら(iTunes)、こちら(Google Play)
●投票者コメント
-現状最強のタマヒュンコンテンツだと思います。日吉ジャンプや成層圏ジャンプも良かったけど、超会議会場で体験できたのが大きかった。ホントに大ジャンプしている気分になれました。
-着地時に自分の足がぶっ壊れそうなのに、何も感じなくて脳が混乱する体験が面白かったです。
第7位『PLAYGIRLS』(PG Production)
VRといえば、アダルト分野は欠かせない。2014年アダルト分野を牽引してきたのは間違いなくこの『PLAYGIRLS』だろう。11月に発売されたアダルトゲームだ。紗倉まなや波多野結衣といった人気女優を3Dスキャンしモデリング、そんな彼女たちとあんなことやこんなことをする自分だけのオリジナルシーンを作って楽しむというソフトだ。共有機能もあり、作成したシーンを公開することができる。Oculus Riftへベータ版ではあるが対応しており、作成したシーンを鑑賞することができる。この記事では詳しくは語れないが、実際に体験すると、非常にリアルなモデルとシーンに度肝を抜かれる。漫画家の花沢健吾が処女作「ルサンチマン
」で描いたようなVRアダルトゲームの世界が実現する日も近いのではないかと思わせる作品だ。
なお、同様に女優が元ではないがCGモデルを作りこんだ3Dアダルトゲームとしては、『カスタムメイド3D』もOculus Riftに対応している。
PLAYGIRLS公式サイト(18歳以上の方のみご覧ください。購入はDMMより可能。紗倉まなver、波多野結衣ver各4,800円)
●投票者コメント
-夢が広がりまくりです。
-「VR+エロ」の可能性!
第5位『Zero Point』(Condition One)
第5位は2作品が同列となった。10月末にSteamで公開された360度撮影された短編のドキュメンタリー映画。15分程度の体験だが、360度の高性能カメラで撮影された映像は迫力満点だ。特に印象的なのは夕暮れの草原で歩く牛の群れのシーン。牧歌的な風景に見とれていると、頭の後ろの方から鼻息が聞こえ、振り返ると牛の顔が…。サラウンドと360度映像のなせる技だ。カメラも高性能なものからGoProを使って撮影するもの、またRICOH THETAでの撮影など手軽に撮影できるような状況になりつつある。動画から360度の映像へ。次のメディアの姿を予期させる。
また、スマホで使えるヘッドマウントディスプレイのハコスコでも360度の実写コンテンツを楽しむことができる。CGと合わせて実写系のコンテンツにも目が離せない。
もはや“映像”を越えた“体験”! Oculus Rift専用実写コンテンツ「Zero Point」 世界初のOculus専用ショートムービー。その場にいるような360度の体験は衝撃!(窓の杜)
Steamでの購入はこちらから(定価1400円。1月2日まで66%オフの503円)
●投票者コメント
-全天周動画がこれ程すごいとは思わなかった。
-実写系コンテンツは、全天球撮影デバイスも増えてきて手軽に撮影できるようになってきているので、今後面白くなりそうだと思いました。
第5位『MikuMikuAkushu、MamiMamiAkushu』(GOROman氏)
初音ミクやクリィミーマミのマミと握手ができるコンテンツ。使用するのはNovientFalconという手のような形をしたデバイスだ。この装置を使うことで、握った手の反応に応じて目の前のキャラクターの腕が動く。さらに、自分の方に引っ張るとグイッと引っ張り返してくるような、まさにVR空間の中でキャラクターと握手しているかのような体験を実現している。
イベント限定のコンテンツなので、また体験できる機会があればぜひ体験してほしい。4月に開催されたニコニコ超会議3では、5台ものPCとこの装置を準備、数百人が体験した結果、使いすぎて全てのNovientFalconが壊れたという話もある。ついつい興奮してみんな手を振りすぎたのかは分からないが、とにかくVRの中のキャラクターに触ることができる体験は感動だ。
●投票者コメント
-ミクからこちらへ体感できる反応があり驚くほどの実在感。VRだとわかっていても、こちらから手を握るとミクが喜んで握手してくれるのが単純にすごくうれしくて印象に残った。
-マミマミ握手はDK2になって格段に綺麗になったのとこちらがしゃがむと腰屈めてくれたり手がシリコンになって柔らかくなっていてよりリアルな存在に感じられて感激した事
第2位『ユニティちゃんライブステージCandyRockStar』
2位は3作品が同列となった。まず一作目は、ゲームエンジン「Unity」のマスコットキャラクター、ユニティちゃんが歌って踊るライブステージをOculus Riftを使って最前列で見ることができるコンテンツ。ダンサーの動きをモーションキャプチャーして作られた動きは柔らかく、ステージ上を飛び跳ねるユニティちゃんに目が釘付けになることは間違いない。
9月に開催された東京ゲームショウでOculus Riftを開発しているOculus VR社のブースで展示され、注目を集めた。11月にプロジェクトファイルが公開、自作することで展示されていたような体験が可能になった。
【DL可】ユニティちゃんが歌って踊るライブコンテンツ『ユニティちゃんCandy Rock Star』をUnity初心者がOculus対応させてみた
もぐらゲームスにて作成したものはこちらから(もぐらゲームスDLページ)
●投票者コメント
-かわいいらしいキャラであるユニティちゃんが目の前にいるように感じました。
また、目の動きや体の細かいとこまで作りこんであり非常に驚きました。
いつか自宅にこのコンテンツが見れる環境を用意したいと思いました。-ようやく生きたキャラクタをVRで見られる様になってきた2014年だったと思います。2015年はもっともっといろいろなものが出てきます様にっ
第2位『The 井戸』(桜花一門氏)
目の前に井戸がある、明らかにあやしげな雰囲気の井戸に近づいて覗きこむと…。30秒で「近づく」(トラッキングカメラ)、「覗きこむ」(360度センサー)といったOculus Rift DK2の機能をフルに使い、さらにホラーに仕上げたコンテンツ。ドッキリの瞬間には誰もが「ビクッ」となる。Ocufesの代表である桜花一門氏が8月に公開した名作だ。
ダウンロードはこちらから(もぐらゲームスDLページ)
●投票者コメント
-実際にそこに居ると言う感覚、覗きこむ恐怖と好奇心、それをあんなに短時間で表現出来るのは本当に素晴らしい体験だった。
-シンプルかつインパクト十分で、家族ともども大いに楽しませてもらいました。
-久しぶりにリアルにビックリした!わかってても声上げるほどビックリした!
第2位『Mikulus、MikulusDK2』(GOROman氏)
ミクが目の前にいる、ただそれだけのコンテンツだ。だが、Oculus Riftの開発者向けキットが出荷され、今では日本におけるOculusRiftの普及の第一人者であるGOROman氏が日本で一番最初に公開したこのコンテンツは大きな意味を持っていた。画面の中の嫁が画面から出てこないと嘆くのではなく、自分が入っていけばいいということを多くの人に教えてくれたのだ。これまでと比べ、VRを通してキャラクターとの距離が一気に縮まることが明らかになった。
DK1からDK2へ、デバイスの解像度が上がったことでコンテンツもパワーアップ。美しくかわいいミクさんと素敵なひとときを過ごしてみることをオススメしたい。
ダウンロードはこちらから(Bowlroll)
●投票者コメント
-実在感が凄かったから
-一瞬でVRを体感させるわかりやすさとインパクト
-VRを知らない人に短時間で説明なしにどうすごいかを理解させられるので
第1位『Hashilus』(Team Hashilus)
見事1位に輝いたのは、健康器具を魔改造して乗馬レースが体験できるこのコンテンツだった。実は2位まではかなり接戦だったのだが、1位のHashilusは2位の投票数の倍以上の票を獲得するぶっちぎりの結果となった。
健康器具を使うという発想、VRとは何かを考えぬいた結果の酔いの防止や水しぶきの体験などの細やかさ、数多くの日本中のイベントに出展し経験を重ねた制作チームの展示における改良と工夫、などは脱帽もの。まさに日本を代表するVRコンテンツといっても過言ではない。
なお、本コンテンツは自宅で楽しむことはできない。常設されているのは長崎県にあるハウステンボス内の「ゲームの王国」だ。ハウステンボスでは、12月からは応用版ということで『鳥獣ライド』なる展示もスタートしている。また、28日まで1週間ほど秋葉原で開催されていたイベント「ウルトラ有馬記念」にも『ウルトラホースライド』と銘打って出展していた。このように日本各地のイベントに出展しているので、情報を見逃さないようにしよう!
●投票者コメント
-体感の一致がすごかった。感動した。
-座面の硬さ、画面と連動した振動など本当に乗馬してる感覚で、鞍の高さや下り坂の前傾姿勢に恐怖すら感じた。完成度が高いと思いました。
-楽しい。理屈抜きでそれが体感できる
-体感の一致、しかも体を激しく揺さぶられるので勝手にテンションが上がります。観客にも楽しく素晴らしいアトラクションです。
さて、一気に11作品を紹介したが、いかがだっただろうか。他にも紹介しきれないほどのコンテンツが山のようにあった。そして、興味深いのは海外のVRメディアが選んだVR awardsと大きく内容が異なっている点だ。日本では日本人制作者のコンテンツに振れる機会が多くなるので当然だが、キャラクター系などのコンテンツは日本人に特徴的な発想なのだろう。
また、今回票がバラけたので10位以内にはランクインしなかったが、Sonyが開発中のProject Morpheusの『サマーレッスン』や『The Deep』、『The castle』といったコンテンツも、体験できる機会が限られていたにも関わらず票をしっかりと集めていた。
Oculus Riftの関係では、海外でも賞を受賞していたスペースシミュレーターの『Elite:Dangerous』や普通の2Dの動画をOculusを装着して鑑賞できる『Kaleido Player』、国内外のイベントでも展示された『ソードアート・オンライン』のデモや現在も東京・上野で展示中の『進撃の巨人展「360°体感シアター “ 哮 ( こう ) ”」』などにも票が集まっていた。
今年のVR Award Japan 2014はこれで終了となる。今回は初の試みとして開催したため、賞品等はなく、栄誉を称えるにとどまっている。いよいよVRのデバイスが一般発売され、普及が加速するであろう来年は、よりパワーアップして開催したいと考えている。
そして、もぐらゲームスでは、今後、今まで以上に力を入れて国内外のVRのコンテンツを紹介していくつもりだ。
VRにまつわるニュース・ソフトの紹介はMoguraVRにて更新中!
http://www.moguravr.com/