海外フリーゲーム5選:禍々しくも精緻なドット絵アクションや、ブラックユーモアに溢れたバカゲーなど

フリーゲーム

もぐらゲームスでは、これまでにも多くのフリーゲームの特集を行ってきた。今回は新しく海外のフリー・インディーゲームの特集になる。アート的な切り口であったり、または残虐 さが目立つアクションであったり、はたまたでたらめなアイディアのバカゲーなどをセレクトした。日本国内のフリーゲームとは一味違う、どれも独特の体験ができることうけあいだ。

Butcher

簡単に説明すれば『2DプラットフォーマーによるDOOM』。『DOOM』の特徴である、主観視点でマウスで狙いをつけ、クリーチャーやソルジャーとハイスピードで銃撃戦を行うゲームデザインがそのまま2Dのジャンプアクションとして翻訳されている。

『Risk of rain』にも似たミニマルなピクセルで描かれ、広いマップをジャンプして探索するという『DOOM』とは全く違うビジュアルやジャンルであるにもかかわらず、『DOOM』の体験であるハードロック調のBGMにハイスピードなガンアクション、そして肉片が四散する強烈なゴア表現などのプリミティブな体験まで遺憾なく2Dアクションに落とし込まれている。

この作品が単なる「DOOM」を2Dアクションに翻訳したものに終わらないのは、どちらかと言えばオリジナルの『DOOM』ではなく、膨大な血しぶきと臓器がばら撒かれる強烈なゴア描写のアップデートが続けられているmodで有名な『Brutal DOOM』の影響が強いからではないか。ミニマルなピクセルアートで描かれる禍々しさはそのままに、実際いくつかの演出はそのままだったりもする。

そうした影響もあるのか、冒頭からレベルデザインは苛烈だ。空中を飛び回るクリーチャーが要塞を守る兵士と激闘を繰り広げているところに乱入して銃撃戦を行う三つ巴の闘いが演出されているくらいだ。高難易度でスタートしたならばよりそうした体験が強化されるのだ。

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NORTH

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兄からの手紙を受けながら、奇妙な街の中で様々な化け物ともつかない住人達が蠢く中を探索していく。一見すると『Dear Esther』のようなウォーキング・シミュレーター(FPS視点で探索しながら風景と物語を味わうことがメインのジャンル)のように見えるのだが、随所で謎解きを要求される作りになっている。

陰鬱な都市の風景だけではなく、不気味なイラストレーションや実写映像など様々な表現がミックスされることで、混沌とした空間が特徴だ。謎解きのヒントも含めた兄からの手紙を受け取りながら、探索の先にあるものとは…

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Cold Email

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ウェーブ制で迫りくる障害を排除していくゲームなのだが、やってることはPCの前でひたすらメールを送りまくるという最悪な作業を行う『バイトヘル』のようなゲーム。

どうしようもないポップアップ広告を避け、机の上を覆い尽くす(おそらく作業中に飲んだり食べたりしたってことだろう)皿やビンをかき分けながら、PCがダウンするまでにひたすらマウスクリックで膨大なメールを送り続けることでステージクリアとなる。

しかしなにより哀しいのは、ゲーム内の物語設定として、こんなことをするに至った背景に、プレイヤーキャラクターである個人ゲームの製作者が「ゲームを2年かけて作ったがろくにプロモーションしてない」「だからこんなメールの勧誘で知ってもらう」みたいな理由で膨大なメールをばら撒いているということである。 バカゲーに見せかけながら個人ゲーム製作者の環境を描いた自虐的な内容なのだ。

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TULGUL:Rapid Fighting

30歳前後の方ならばアクションゲーム『イーアルカンフー』や『スーパーチャイニーズ』を思い出すヴィジュアルの、素早くクリック連打を行いパワーを貯め、貯めたパワーを使って3段階の攻撃や避けと防御を使い分けながら闘うという変形のコマンドRPGの戦闘を行っていくゲーム。

要は往年のカンフー映画によくある高速での打撃の応酬の果てに、隙を見て必殺の一撃を叩き込むというあのやり取りを体感できる作品だ。ゲームメカニクスの大ざっぱさに反して不思議に面白いという感慨を抱くあたりも『スーパーチャイニーズ』世代に響く。

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I Like Walking Very Much

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さてこちらは日本の作家camel504さんがitch.ioにアップロードしている『2Dのウォーキング・シミュレーター』という作品だ。蜘蛛(に見える、もしかしたら何か別の生き物)が歩くその先にある何かを体験していくゲームになっている。

『Limbo』以降のモノクロームとシルエットを基調にしたアートスタイルが目を引く。プレイヤーの操作する小さな蜘蛛の対比で出てくる鳥や人間の巨大さと不気味さの演出は、最近リリースされた毛糸を操るアクションアドベンチャーの『Unravel』を思い出しもする。

本作のラストは難解に思われるだろうが、作品ページに残されている解説を読めばある程度最適な解釈に辿り付けるかもしれない。『この作品は社会での自分の経験が元になっている。憎しみが承認欲求を掻き立てて、また別の憎しみを生み始めるんだ』という、いささかネガティブな感情がコンセプトにあるとのことだ。

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