アイテム収集が楽しい!おすすめフリーゲームRPG10選
ゲームには数多くの「やりこみ要素」が存在する。その中でも、とりわけRPGのやりこみ要素の1つとして、真っ先にあげられるのはやはり「アイテム収集」ではないだろうか。
膨大な数に上るアイテムのコンプリートを目指し、少ない確率にもめげずにアイテムドロップをひたすら祈り、期間限定アイテムの取りこぼしを恐れスケジュールを組む。
アイテム収集の趣味がないプレイヤーには、ともすれば苦行に感じられるかもしれない作業を必要とするアイテムも、アイテムコレクターにかかれば垂涎の一品である。見事アイテムを手に入れた時に溢れ出る脳内麻薬を夢見ながら黙々と勤しみたいプレイヤーに向けて、今回はアイテム収集要素が光る定番のフリーゲームRPGを紹介しよう。
悠遠物語
アイテムやり込みゲームの中で、アイテム探索と並んで欠かせないもの、それは「アイテム合成」である。アトリエ系、錬金ゲー、調合ゲーと表すこともあるかもしれないが、その本質は変わらない。
アイテム合成ゲーは、有名な『レミュオールの錬金術師』、『AIRAM EVA』などのようにシミュレーション、とりわけ経営シミュレーションに多く見られるが、本作『悠遠物語』は公式が発表するジャンルも「ファンタジック経営シミュレーション恋愛推理アクションRPG」と、とても欲張り、ゲームのいいとこ取りなものだ。そして実際にその内容も、アイテムの合成あり、合成したアイテムを使っての経営あり、多彩なスキルあり、装備によって変わるアクションあり、お使いクエストあり、キャラ同士の掛け合いあり、深いストーリーあり……。あれもあり、これもあり、それもありだが、どれか一つとっても一級品のクオリティである。おだやかでほのぼの、と最初に受けるイメージで軽く臨んだら時間を根こそぎ持っていかれるだろう。
現在はVer0.65ということで、ゲームとしては未完結ではあるものの、現状のバージョンでも楽しむことが出来る内容が十分にあるため、今回紹介させて頂いた。全部楽しみたい!そんな欲張りな人に持って来いの作品だ。
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Elona
次に紹介する作品は、一番、ダメな方向に自由度の高いローグライクRPG『Elona』。その自由度と比例してファンもとても多い。そして、自由度が高いということはアイテムも多い、ということである。それこそ装備に関わらず食べ物、家具、剥製など様々だ。
その中で、プレイヤーはどんな収集の仕方をしても良い。種族が妖精であり職業がピアニストなプレイヤーキャラクターにお似合いのグランドピアノを求めるのも良し、武器としても魅力的な女性用下着を集める旅に出ても良し、憎きあんちくしょうの剥製を手に入れるために武者修行するのも良しだ。
また、一見くだらないと思えるアイテムに深いストーリーが読み取れる場合もある。もし貴方がこのフリーゲームのプレイを始めた時には、ゲーム内で請ける事が出来るクエスト(依頼)にて「子供の誕生日にクズ石をプレゼントしようとする父親」「明日のために必要だと依頼しておきながら、渡されたアップルパイをその場でむさぼり始めるご婦人」など多くのシュールな、いや心あたたまる場面を見かけることだろう。そしていつの間にか、貴方自身が己の信仰する神にクズ石を投げつけることになるだろう。
このゲームはどんな人間さえも受け入れる大変に懐の深いローグライクと言えよう。
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パトルの軍事博物館
先程Elonaを「一番ダメな方向に自由度の高いRPGである」とご紹介した。とはいうものの、その「ダメな方向性」を楽しむにはプレイヤー自身が突き抜ける必要がある。対してこちらのゲームは作品側が突き抜けた顕著な例である。
ツクールXP製のこのゲーム、起動して早々いくつかの選択肢でプレイヤーに質問を答えさせる。が、早い話「不謹慎な内容に耐えられるか否か」というものだ。それに加えてこのタイトル。そう、このゲームでプレイヤーが集めるものは「兵器」である。第一次世界大戦から戦後に至るまで、各年代各地域、約200種の兵器を収集し、何故か宝箱に入っている軍歌なども押収しつつ素晴らしき軍事博物館を作り上げるのがこのゲームの目的だ。
そして、ストイックな資料収集ゲームでないことは最初に答えさせられる質問で察しがつくことだろう。ストーリーではとってもアカいウサギの演説を右から左へ聞き流し、米という漢字が似合いそうな大統領に舌を出す、擁護のできないしようがない、清々しいまでの不謹慎ゲームだ。
ギリギリアウトをウルトラCの低空飛行で飛び回るネタに割りきってお腹を抱えて笑える人に遊んでほしい作品。この作品、『パトルの軍事博物館2』というシェアウェア版も発売中だが、より一線を越えた輸出禁止ゲームになっているのでお気に召した方は要チェックだ。
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巡り廻る。
フリーシナリオRPGなこのゲームも、また自由度が高いことで有名である。elonaが無秩序な自由度の高さならば、こちらは秩序的な自由度の高さとでも言えるだろうか。ファンタジーでありながら微妙な世知辛さが、たまらなく好きな人にはぐいぐい来ることだろう。
もちろん、この自由度の高さはアイテムにも通ずる。巡り廻る。におけるアイテム収集の楽しさとは大雑把に言うと二つだ。一つ目は合成の楽しさ。このゲームは定番の武器防具に限らず、薬、交易品、食事等も合成することが出来る。装備の合成は、極めればもちろん店で売っている最高の装備を超える性能を持ち、料理は調理方法や食材によって料理名やブーストされる性能が変わるのが楽しい。
そして二つ目は、街の中にある鍵の掛かった箱などを開ける「ピッキング」の楽しさである。このゲームにおけるピッキングは割と馬鹿にできない。序盤はありがたい収入源に、中盤以降はありがたい素材源になる、という御託すら捨て置く程に楽しい仕様である。恐らく、深夜以外に行うと、ゲームの進行や発生イベントに関係する重要パラメータである「名声」の下がるスリルと背徳感、中身の分からぬ箱を開けるギャンブル感、自分の感覚を信じてピッキングの釘を打ち上げる作業感が関係しているのだろう。
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魔王物語物語
RPGツクールXP製の名作RPG。全て語らずに断片を見せてプレイヤーに考察させるストーリーで人気のこの作品だが、アイテムの面から見てもとても魅力的である。
他のアイテム収集RPGと比較すると、決してアイテムの数は膨大ではないのだが、期間限定アイテムが多いこと、そしてこのゲームにおけるアイテムの重要度が高いことが特徴だ。
一度クリアすると入れないダンジョンや、ストーリーが進行するともう手に入れられないアイテムはコレクターにとってスリルそのもの。アイテム収集により一層背筋が伸びることだろう。
このゲームにおけるアイテムの重要度の高さ。これは魔王物語物語が誇る「なんでも装備システム」にある。その名の通り、三つの枠に、武器だろうが防具だろうが素材アイテムだろうがアンナおばさんの毒饅頭だろうが、とにかくなんでも装備できるシステム。アイテムごとに「HP+10」「アイテム拾得率UP」「スキル習得」など効能は変わるので、その場に合わせた装備が必要だ。
自分の集めたアイテムを組み合わせ、自分の求める装備を完成させる。収集だけで終わらないアイテムのやり込みがそこにある。
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Nepheshel
アイテム収集とは宝探しに始まり、そして宝探しに帰結する。そんなことを思い出させてくれるツクール2000製のRPGである。こちらもやはり集めている過程が楽しいゲームでありながら、盗人講座とはまた違い、硬派にひたすら探索するタイプのゲームだ。
ストーリーは先程ご紹介した魔王物語物語などと同じく、断片をプレイヤーに与え考察させる形式である。アイテムを探しストーリーを探し、まっこと探索に重きを置いていると言えるだろう。現に、このゲームはザコ敵ですら侮れないほど強く、地道にレベル上げ、という手法はあまり賢くない。シンボルエンカウント形式で遭遇するザコ敵や強敵に尻尾を巻いて逃げ出し、ダンジョンの先に眠る強い装備を見事見つけ出し手に入れることが推奨されるのである。
また敵や装備には多くの属性があり、いわゆる「属性パズル」を考えるか否かで戦闘難易度は随分と変わる。強力な装備をひとつ手に入れるだけでなく、立ち塞がる強敵に対応するべく様々な装備品を組み合わせる必要もあるため、「ねんがんのソードを手に入れたのでしばらく探索はお休み」ではいかんのだ。
常に宝を求めてやけに入り組んだダンジョンの中、襲いかかる強敵から命からがら逃げ切り、その先でついに装備を手に入れる。そんなゲームに脳内麻薬がダバダバと垂れ流しになる人に何としてもプレイしていただきたい。
このゲームがたまらない人には、同じく宝探しに全力を尽くす『イストワール』もオススメしたい。
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ざくざくアクターズ
タイトルから自動生成のダンジョンに潜るRPGかと思いきや、ランダムなのは宝箱の中身だったことでプレイヤーの度肝を抜いた『らんだむダンジョン』でお馴染みな作者のツクールVXAce製の新作『ざくざくアクターズ』(以下『ざくアク』)。
今回も前作同様、アイテム数がとにかく多い。消耗品、装備品などを合わせて約400種のアイテムがプレイヤーをお出迎えする上、手に入れることのできる確率が極端に低い激レアアイテムなどもある。それは「アイテムコンプは精神を病まない程度に」と作者に言わしめる程である。
また、『ざくアク』でのアイテムの特徴はまだまだある。例えばアイテム図鑑。アイテム収集マニアにとっては、そもそもアイテム図鑑が存在することが歓喜の極みだろうと思うが、このアイテム図鑑は説明文が歯切れの良いユニークな短文で、ついつい全ての説明文を読みたくなってしまう。
らんだむダンジョンと違い、アイテムをゲットしたことにより発生するサブイベントである「宿屋イベント」が起こらないのは少し残念だが、今回は「特産品」という新たなコレクト要素も加わった。
キャラクター、ストーリー、やり込み要素、どれを取っても一級品の、安心してお勧めできる作品。作者の前作、『らんだむダンジョン』も負けず劣らずアイテム収集のやりごたえ抜群なのでこちらもオススメする。
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おっさん or die
こちらは2004年9月10日に公開されたRPGツクールXP製のフリーゲームである。特徴的なタイトルからも薄々察すことができるが、中身も大変に尖った作品だ。
ストーリーについても「非モテの冴えないおっさんが打倒モテを掲げ装備を整えつつ倒す!倒す!」という特徴的なものなのだが、この作品の真骨頂はそこではない。
ゲームジャンルは、作者曰く「永遠に完成しない鬱RPG」。先程、公開は2004年だと紹介したが、このゲームの最新更新日は2017年1月4日。ゲームバージョンは「28.7」である。「2.87」の間違いではなく、れっきとしたVer「28.7」である。
ここから既に、おっさん or dieの特殊性が読み取れるだろうか。さて、肝心のアイテム収集だが、集めることができるのは定番の武器防具、装飾品、回復アイテムはもちろん合成素材、「アーティファクト」と呼ばれる激レア装備、敵から吸収できる「おっさんソウル」と呼ばれる特殊能力など多種多様。
アイテムの数、コンプリートの難しさ、そして終わりの見えなさでいったら間違いなくフリーゲーム随一と言っていいだろう。先の見えない鬱屈とした空気にたまらなく身悶えする御仁には是非ともオススメする。
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アールエス
次に紹介するのは、長年フリーゲーム制作を行なっている老舗サークル「アンディーメンテ」のRPG作品『アールエス』。こちらは今回ご紹介するどのゲームよりも「よく分からないアイテム」の存在が多いゲームである。
元々この作者のゲームの特徴ではあるが、「地球おにぎり」などというちょっと想像ができそうなよく分からないアイテムから「放射線バーストケーキ」などというちっとも想像ができそうにないよく分からないアイテムまで様々だ。
さて、アイテムにおける「よく分からなさ」とはロマンである。このアイテムは一体どういった性質のものなんだろうか、このアイテム名にはこういう意味があるのではないだろうか。このアイテムにはこんな過去があるのではないだろうか。そういえば、この作者の他のゲームにもこのアイテムは登場したな……などなど、アイテム一つとってもゲームの世界はどこまででも広がるのである。このアイテムは、その「分からなさ加減」が絶妙であり、心地良い。
アイテム名のみ見ても、この様に素敵なネーミングセンスだが、小説家やボーカロイド楽曲の制作者としても活躍されている作者のこのフリーゲームは、ストーリーからBGMから、はたまたシステムまでやけに中毒性が高いことも特徴である。一度ハマり込んでしまったら数多くのこれまた中毒性の高い著作フリーゲームを行脚して延々と時間を吸われることになるだろう。行脚は作者サイトのまおうせいから。
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盗人講座
アイテム収集には大きく分けて二つの楽しみがある。一つ目が、スキルを使ったりスケジュールを組んだり宝箱までの厳しい道をクリアしたり、と「アイテムを入手する過程」の楽しみ。二つ目が、図鑑コンプリートを目論んだり強いレアアイテムを装備して振り回したり、と「アイテムをゲットした後の楽しみ」だ。
さて前者、アイテムを取得する方法が一段ユニークなのがRPGツクール2000製のこのフリーゲームRPG『盗人講座』。盗賊の村で盗賊学校に通う主人公が、盗みのスキルを駆使してアイテムをゲットする一風変わったもの。名あり名無しのキャラに関わらずほぼ全てのNPCからアイテムをスリ取れる、というのも心惹かれるプレイヤーがいることだろう。RPGと銘打ちながらも戦闘パートはなく、盗むことによってストーリーが進行する形式も筋金入り。
手に入れることのできるアイテムも日記帳から牛そのものなど愉快な物が多い。中にはスリ取ることが難しい物もあるが、主人公はスリを成功させる度に成長し1%ずつ成功確率が上がっていく。
メインストーリーだけを追うならまとまりのいい短編だが、テンポのいいサブイベントもこのゲームを盛り立てるポイントだ。RPGツクール2000初期の作品として決して外せない不朽の名作である。
ダウンロード:第5回エンターブレインゲームコンテストよりダウンロード
さらにフリーゲームRPGを探したい方へ
以上、アイテム収集の楽しみが存分に味わえる10作品を紹介させて頂いた。
なお、もぐらゲームスでは前回にも、定番となるフリゲRPGの特集を行なっている。今回の特集でカバーできなかった古典的な名作も紹介しているので、今回紹介したゲームを遊んだ後は、こちらもぜひ見てほしい。