今後のアップデートと完成が期待される、注目の制作途中フリーゲーム3選(2021年2月号)
日々、個性豊かな新作が誕生し続けているフリーゲーム。その中には完成品に限らず、現在制作途上のものもあり、公開後も都度実施されるアップデートで完成に向け、着々と進歩し続けている。
本記事では、そんな制作途上のフリーゲームより注目の3本を紹介。
今回は戦略重視、3Dダンジョン、シミュレーションと、コンセプトの異なるロールプレイングゲーム(RPG)作品から注目の3タイトルをピックアップした。
どれも今後のアップデート、完成版登場が期待されるタイトルだ。
機会があればぜひ、プレイしてその魅力を確かめてみて欲しい。
目次
WhiteClothes
世界を脅かす魔王を倒し、その手先に誘拐された妹を救うため、モンスター退治をして暮らす少女が冒険に出るストーリーを描くRPG。またの名で「戦略ケモノRPG」。
そのジャンル名に違わぬ、ケモノキャラクター勢揃いな世界観とゲームシステム面の充実ぶりが最大の特色。基本は正統派のRPGで、ストーリーに沿って発生するクエストを攻略しながら進めていく。戦闘も馴染み深いコマンド選択式。だが、攻撃の種類にまで及んだ膨大な属性、「スキル」を使い込んで「閃き」を発生させて新たなスキルを習得するシステム、陣形によるステータス上昇効果など、どこかで聞き覚えのある要素が膨大に詰め込まれた、戦略性と極め甲斐の高さが際立つ作りになっている。キャラクターの育成も経験値を貯めることによるレベルアップのほか、フィールド上に散らばる「スターキャンディ」なるアイテムを一定量回収し、それを消費して「パッシブスキル」を習得するなど、非常に細かい強化を図れる設計。アイテム、装備類も戦闘経由で手に入る機会が多い。そのため、よりよい種類を求め、何度も戦闘を繰り返したくなる中毒的な面白さもある。
体験版の時点でも相当な完成度を誇る作品で、特に戦略重視、高難易度のキーワードに心ときめく人には深々と突き刺さるRPGになっている。グラフィックと演出面も派手かつ作り込まれており、特にキャラクターの滑らかなアニメーションは圧巻。ゲームテンポも探索、戦闘共に抜群で、キーレスポンスも驚異の軽快さ。イベントスキップ、拠点ワープなど、痒い所まで手の届く配慮を効かせているのも驚かされる。
前述のキーワードにときめく人は言うまでもないが、RPG好きなら少しでも良いので遊んでみて欲しい。ケモノキャラクターの存在感と主人公「ミルネ」の”ある部分”に目が行くかもしれないが、それを超越した凄味がある。
[基本情報]
タイトル:『WhiteClothes』
作者:もこむ
クリア時間:5~7時間
対応OS:Windows、Mac
価格:無料
備考:15歳以上対象
ダウンロードはこちら
※ふりーむ!
https://www.freem.ne.jp/win/game/24629
※BOOTH
https://booth.pm/ja/items/2680335
Guide in Blaze
戦国大河シミュレーションRPG(SRPG)『水桜記』の作者、びびんばー氏が制作中の新作SRPG。本作はファンタジー系の世界観となっていて、3人の若者が隣国の侵略から自分たちの街を守るため立ち上がり、やがては大陸全土を揺るがす大きな戦いの渦中へ身を投じていくことになるストーリーが描かれる。
SRPGとしての作りも王道の交互ターン制を採用したもの。ただ、独自システムが多数。ひとつに「ガイド」なるコマンド。本作の主人公は部隊を率いる「軍師」で、任意の味方ユニットに1ターン限定の強化を図る専用コマンドを使え、窮地の打開を狙えるようになっている。もうひとつに「SP」。ユニットが戦闘する度に溜まるポイントで、一定量に達すると先の「ガイド」のほか、必殺攻撃を始めとする強力な「コマンドスキル」を繰り出せる。後者は敵も同様で、特に大量に溜まっている時は強力な反撃が来ることが予測されるため、注意が必要だ。さらにもうひとつが「サクシード」。本作はユニットが戦闘で敗北すると永久退場になる。だが、その仲間の固有スキルなどをアイテムの形で継承できるようになっており、多ければ多いほど自軍が強化されていくようになっている。
要は戦死者が多いほど難易度が和らぐ。失ったユニットの想いが目に見える形で活かされる、独特で残酷な展開を楽しめるのだ。(このため、本作は犠牲不可避の場面も多い)
他に育成面でも戦闘に勝っても経験値は10で固定、マップクリアで生存ユニットは全員、強制的にレベルアップするなど、力押しを封じる要素が。仲間を増やす際にも「傭兵雇用」、お金で雇う形式と大分個性的なものになっている。
作者の前作『水桜記』も独自の発想が光るSRPGだっが、本作もそれに負けず劣らない作り。特に戦略、戦術面重視のSRPG好きには要注目の新作。犠牲を避けられない過酷な戦闘を通し、己の理想と現実の重みに挑もう。
[基本情報]
タイトル:『Guide in Blaze』
作者:びびんばー
クリア時間:
対応OS:Windows
価格:無料
※ダウンロードはこちら
https://bibinbasrpg.jimdofree.com/guide-in-blaze/
憧憬の塔~Tower of Longing~
父親の墓参りのため、5歳の女の子が墓のある魔物蔓延る塔の探索に挑むという、ツッコミどころ満載のストーリーを描いた3DダンジョンRPG。5歳の第1部、15歳の第2部の2部構成が予定されており、執筆時点では第1部が楽しめる体験版が公開中となっている。
3DダンジョンRPGとしては正統派だが、探索も戦闘も基本的にリリアひとり、物理攻撃よりも魔法による攻めが推奨、セーブは特定の地点でしか行えないなど、懐かしの『魔導物語』を強くリスペクトした古典的なゲームデザインになっている。主に古典的な部分に準じてか、戦闘難易度も極端に高い。ゲーム開始間もない頃より、ワンパンチでノックアウトされる凶悪な雑魚敵が登場する点でお察しいただきたい。
ただ、その種の敵からの逃走は容易だったり、強化手段も豊富。探索中に手に入る「粉」を使えば特定のステータスを尖らせたり、「ラムネ」のアイテムがあれば、一瞬でレベルも上げられるようになっている(※いずれも塔内部の「泉」で関連コマンドを選んで実施)。相応の強化が行われれば、雑魚敵からもほとんどダメージを受けなくなるように。ただ、不意に強敵との戦闘が始まることもあるので、油断は禁物。もし、そこまでセーブポイント未発見で、敗北を喫してしまえば……お察し頂きたい。
完成版もこのバランスを維持するのかは謎だが、全体的に可愛らしくもトゲのある3DダンジョンRPGになっている。『魔導物語』を意識しているなりに攻撃時などにパートボイスが流れる演出も仕込まれていて、その声が絶妙にユルくて可愛い。人によっては、耳に焼き付いちゃうほど強烈な印象を残す……かもしれない。
正統派且つ、古典的な作風だが、様々な意味で面白い癖を持つ作りになっているので、主に3DダンジョンRPG好きなら要チェックだ。
特に繰り返しになるが、パートボイスには要注目である。(力説)
[基本情報]
タイトル:『憧憬の塔~Tower of Longing~』
作者:meg
クリア時間:30分
対応OS:Windows
価格:無料
※ダウンロードはこちら
https://www.freem.ne.jp/win/game/24487