今後のアップデートと完成が期待される、注目の制作途中フリーゲーム3選(2021年5月号)
日々、個性豊かな新作が誕生し続けているフリーゲーム。その中には完成品に限らず、現在制作途上のものもあり、公開後も都度実施されるアップデートで完成に向け、着々と進歩し続けている。
本記事では、そんな制作途上のフリーゲームより注目の3本を紹介。
今回は2021年2月に開催された「ウディフェス2021」の出展タイトルから2作、そして懐かしい作風のRPG、計3本をピックアップする。
いずれも今後のアップデート、完成版の登場が期待されるタイトルである。興味があれば、それぞれダウンロードして魅力を確かめてみて欲しい。
目次
ナナイロアイロニー
七色に輝く「ナナイロアイラン島」に囚人としてやってきた主人公になり、島の秘密と自らの記憶の謎に迫っていく3DダンジョンRPG。現時点で公開されている体験版では、最初のダンジョンの1階までがプレイ可能になっている。
ゲームの流れは拠点の「街」で準備を整え、島の各地にあるダンジョンの探索に挑むという、ジャンルの王道に則ったもの。システム面では「ジョブ」が特徴で、それら専用のレベルを上げ、「スキル」獲得や新たな「ジョブ」の解禁をしていくことになる。解禁したジョブは「街」の「酒場」で変更でき、それぞれ固有の能力を使えるようになる。また「酒場」では、仲間を4人迎え入れられる。起用にもお金はかからないので、最序盤から最大5人のパーティが編成可能だ。裏を返せば、それ以下だと地獄行き確定なぐらい戦闘難易度は高め。しかも、お金がほとんど手に入らない。稼ぐには探索中に手に入れた装備品、アイテムを売却しなければならないのだが、ドロップ率が低いので、そう易々とはいかない。おまけに物価も高めなので、各種恩恵にもあずかりにくい。
まさに囚人の身分を体現した、世知辛さ溢れるバランスで、異様な雰囲気と手応えを持ち合わせた3DダンジョンRPGになっている。見た目の可愛さから入ると、その厳しさに戸惑ってしまうほどだ。3DダンジョンRPGとしても探索と戦闘は手応え十分、育成面でも「ジョブ」の豊富さも相まって検証し甲斐のある作りになることが予感される。
正直、ドロップ率はもっと上げてもと思う所もあるが、完成版は体験版で得られた感想を元に改善を図っていくようなので、今後のアップデートで改善が図られていくことに期待したい。手応えのある3DダンジョンRPGが好きな人には注目の1作。これらのシステムと資金繰りのバランスに少しでも興味を抱いたのなら、ぜひダウンロードしてプレイし、作者に意見を送ってみよう。
[基本情報]
タイトル:『ナナイロアイロニー』
作者:サモエ堂
クリア時間:1~2時間
対応OS:Windows
価格:無料
※ダウンロードはこちら
ウディフェス公式サイト
https://wodifes.net/game/show/430
BOOTH(クリエイター支援用の有料版あり)
https://samoedou.booth.pm/items/2915952
PREDATIONⅡ
人間と人外が暮らす平和な街「クォークシティ」を舞台に、元人間のゾンビ「メルク」が街を護る組織に所属し、突如訪れた戦禍に巻き込まれていく様子を描く弾幕シューティングゲーム。「アクティブフェイズ」、「シューティングフェイズ」の2つを交互にこなしながら進める構成が特徴で、前者ではRPGのようにマップを探索したり、キャラクターと会話したりといったジャンルらしからぬことが楽しめるようになっている。
後者「シューティングフェイズ」も、キーボードとマウスによる操作を基本としている関係で直感的かつ、大胆な立ち回りができるのが大きな見所。ショットも全自動で射出されるので、キーやボタンを押す必要もなく、敵の弾幕回避に集中できて非常に遊びやすい。相応に弾幕は激しく、ボスも数段階に及ぶ苛烈な攻撃で攻めてくるが、こちらにも「コネクト」と「ミステリー」なる2種類のボムを用意。前者はゲージが溜まる度に何度も撃て、後者は有限式ながら致命的なダメージを相手に与えられるので、使い方次第では力押しも決められる。いずれも発動後数秒間、無敵時間が発生するのもポイント。さらに「ミステリー」の残り弾数は「アクティブフェイズ」で常に回復できるため(回復しないままにするのもOK)、基本的にどこのステージでも惜しみなく撃ちまくれるのも痛快だ。下手に撃ちすぎるとボス戦が大変なことになるが。
ストーリーも意志を持ったゾンビと人間が未来都市で争うという、SFとホラーが混ざった独特すぎる世界観と設定が光る。体験版は全6章の内の3章までしか遊べないが、十分に異質なゲームプレイとシステムの数々を味わえる内容。難易度はやや高めだが、マウス操作ゆえの動かしやすさから、普段シューティングゲームを遊ばない人も試してみて欲しい注目作だ。もちろん、シューティングゲーム好きもこの異色のシステムの数々を見逃すなかれ。
[基本情報]
タイトル:『PREDATIONⅡ』
作者:きゅぷら
クリア時間:40分~1時間
対応OS:Windows
価格:無料
ダウンロードはこちら
https://wodifes.net/game/show/448
宝石箱の小迷宮
辺境の村で静かに暮らしていた少女「メイ」が、ある日の出会いをきっかけに村はずれの秘匿遺跡内の迷宮へと挑み、一度諦めた過去を取り戻すストーリーを描く、少し懐かしい作風のロールプレイングゲーム(RPG)。
具体的にはダンジョン探索に焦点を当てたRPGで、拠点となる村で準備を整え、ストーリー上の主舞台となる遺跡内の迷宮に挑む流れで進めていく。
システム面は懐かしい作風を意識してか、王道重視の方針で構成。「スキルツリー」を通してのスキル獲得、敏捷性のステータスが高い順から行動するサイドビューのコマンド選択式バトルなど、全体的に取っ付きやすさを重視した作りが徹底されている。ただし、ダンジョン探索中のセーブは特定地点でしか行えないため、突入前には消費アイテムの用意などの準備が必須。戦闘で戦う敵も総じて強めだ。さらに「免疫システム」なる、状態異常技をかけ続けると耐性が上昇していく仕組みを備えているため、状態異常に頼った戦術は活用しにくい。ボスも一発の攻撃が重めなので、ちゃんと戦略を立てた上で挑むことが試される。ただ、戦闘終了時に自動セーブされる機能が備わっているほか、脱出は好きなタイミングで何度も可能と、過度なシビアさは抑えている。懐かしさは取っ付きやすさ、手応えのある戦闘難易度に特化と、ハッキリとした方針が光る設計だ。
ストーリーも迷宮探索に至るまでの過程、登場キャラクターたちの大まかな人物像などを細かく描写するなど、丁寧な作りが異彩を放っている。丁寧なりに戦闘と探索の本番開始まで時間を要するのが賛否分かれる部分だが、遊びやすくて手応えのあるバランスと独特の雰囲気を醸し出したストーリーはインパクト十分。現時点で公開中のα版は第1迷宮までしか遊べないが、密度は申し分なく、今後の発展への期待が高まる作りになっているので、RPG好きは要チェックだ。
[基本情報]
タイトル:『宝石箱の小迷宮』
作者:きょろも
クリア時間:1~2時間
対応OS:Windows
価格:無料
ダウンロードはこちら
https://www.freem.ne.jp/win/game/25227