今後のアップデートと完成が期待される、注目の制作途中フリーゲーム3選(2022年5月号)
日々、個性豊かな新作が誕生し続けているフリーゲーム。その中には完成品に限らず、現在制作途上のものもあり、公開後も都度実施されるアップデートで完成に向け、着々と進歩し続けている。
本記事では、そんな制作途上のフリーゲームより注目の3本を紹介。
今回はローグライク、デッキ構築型カードバトルRPG、ポイント&クリックアドベンチャーの3タイトルをピックアップした。
いずれも今後の完成版登場が期待されるタイトルである。
機会があれば実際にプレイして、その魅力を確かめてみていただきたい。
目次
FortuneExplorer ~ミリィと不思議なダンジョン~
2021年7月の「制作途中フリーゲーム3選」にてピックアップしたシミュレーションRPG(SRPG)、『Flame Espadia』の前日譚を描いたスピンオフ作品。冒険家の少女「ミリィ」が、「ヴァンドール帝国」侵攻前の「パトリア王国」にある遺跡の探索に挑むというストーリーになっている。
『Flame Espadia』同様、本作もシミュレーションRPG制作ツール「SRPG Studio」製タイトルだが、ジャンルはなんとランダムダンジョンRPG(ローグライク)!地形、敵の配置などが変化するマップを進み、舞台となる遺跡の最深部を目指す。
最大の特徴はその紛うことなきローグライクの遊び心地。プレイヤーが1歩動けば敵も1歩動くターン制、それによる戦闘システムまでもが忠実に再現された仕上がりになっている。
ただ、攻撃やアイテム使用、その場待機(1ターン消化)を行う際にはコマンドメニューを開いて関連項目を選んで決めるなど、ツールの制約を感じさせる仕様も。その影響で敵との間合いや武器の特徴に応じた決断が試されるなど、SRPG的な戦術性が表現されている特徴もある。
成長要素も独特で、3フロアごとに設けられた中継地点「棄てられた聖地」でレベルアップなどを実施。さらにランダムで抽選された3つのスキルの内1つを選んで習得することもできる。難易度も2種類あり、「ノーマルモード」は中継地点でのセーブが可能かつ、力尽きた際のペナルティが緩め。逆に「ハードモード」は力尽きればアイテムなどが全部没収、セーブも専用アイテムが必要になるなど、申し分ない緊張感を味わえる。
本稿執筆時点で5階層までが実装済み。「SRPG Studio」で作ったローグライクという点でも非常にユニークすぎる作品なので、興味があればぜひ、プレイいただきたい1本だ。『Flame Espadia』の関連作品だが、前日譚ゆえ本作から始めても大丈夫。後から同作に触れてみるのも一興だ。
[基本情報]
タイトル:『FortuneExplorer ~ミリィと不思議なダンジョン~』
作者:くらいまん
クリア時間:1~2時間
対応プラットフォーム:Windows
価格:無料
※ダウンロードはこちら
https://www.freem.ne.jp/win/game/27736
HollowSky(ホロウ・スカイ)
以前、もぐらゲームスにて紹介した和風ファンタジーRPG『剣閃神姫誅伐伝』(紹介記事)などの作者、anubis氏(Hollow_Perception)が制作中のデッキ構築型カードバトルRPG。数多の神が世界を創造し、管理している上位世界に住んでいた一柱、言華(コトカ)・インタプリターとその3人の仲間たちが見覚えのない「現代もの」な世界を探索し、異変の真実に迫っていく。
具体的な内容はノンフィールド型のRPG。行動コマンドを選んでフィールドのないエリアを前進し、踏破を目指す。
その合間に敵が現れ、戦闘が発生するのもノンフィールド型RPGの定型に則っている。ただ、その戦闘システムというのがカードバトル形式。20枚のカードで構成された「デッキ」の中から5枚が引かれ、行動力(AP)の範囲内でそれらを選択して使い、攻撃を始めとする行動を実施していくものになっている。
最終的に敵が全滅すれば勝利し、「SP」なるポイントを獲得。これを一定数貯めることで、事前準備などを行う「拠点」から追加のカードを購入できる。また、攻撃はカード以外に「カルネージ」なるものも用意。行動力とは異なるコストを消費することにより、キャラクター固有の奥義を発動できるようになっている。これで強敵に大ダメージを与え、窮地を覆すといった戦術も取れるようになっている。
キャラクターも主人公のコトカのほか、仲間の3人に切り替えてプレイすることが可能で、それぞれ違った戦術による異なる展開が楽しめるのも見どころである。
全体的に売りにしている戦闘システムの完成度が高く、カードバトル特有の戦術・戦略性が見事に表現されている。難易度もその醍醐味を意図したかのように手ごわめに設定されており、カードの特徴などの理解が深まるにつれ、緩やかになっていくバランス調整が絶妙。ボリュームも本稿執筆時点では2シナリオ予定されているうちの1シナリオのみ実装されているが、キャラクター別の攻略も用意されていて結構な密度。今後のシナリオ追加で、どこまで拡張されるのか気になるところだ。
敵の体力が攻撃対象選択時にしか表示されないなど、少し不便な箇所も見られるが、凝った戦闘システムとカードゲームらしい遊び心地がギラギラ光る1本。カードゲーム好きからノンフィールド型RPG好きまで、要チェックの新作だ。
[基本情報]
タイトル:『HollowSky(ホロウ・スカイ)』
作者:anubis@Hollow_Perception
クリア時間:3~5時間
対応プラットフォーム:Windows
価格:無料
※ダウンロードはこちら
https://www.freem.ne.jp/win/game/27950
ウィルと黄昏の旅 Twilight journey to find someone
「樹の塔」に居るとされる女性「オルガ」を探すため、記憶のない少年「ウィル」が塔を登る旅に出るストーリーを描く、ポイント&クリック型アドベンチャーゲーム。本稿執筆時点で配信中の体験版では、最序盤の第1階層がプレイ可能。第2階層以降は順次追加予定で、完成版は全7階層の規模になるとのことである。
本編はマウスカーソルを操作し、怪しい所を調べたり、近くにいる人と会話しながらストーリーを進めていく形となる。ポイント&クリック型のアドベンチャーゲームとしては王道の作りだ。システム周りにもこれといって独自性の強いものはない。この種のアドベンチャーゲームを少しでも遊んだことがあれば、すぐに慣れ親しめるだろう。
そして、ゲーム周りが王道に徹する分、世界観、ストーリー、グラフィックといった部分では独自性が炸裂。特にグラフィック周りには気合が込められており、人に動物、果ては背景の小物まで、クリックするたびに対象が細かく動いては、固有の反応を返してくれる。中にはイベントが発生する仕掛けも凝らされており、なんの気なしにクリックした結果、存外な事態が起きることも。そのような作りをしているだけに、適当にクリックするだけでも楽しい、いじり倒したくなる面白さがある。
また、本編は様々なキャラクターたちと会話しつつ、塔を登るための手がかりを探していくのだが、これ以上新たな情報を得られないキャラクターには「★」のマークを表示し、無駄な総当たりを防ぐという配慮がなされているのも見所。住人も名のないモブまで、印象的な個性付けが図られており、きちんと存在感が確立されているのも驚かされるところだ。
まだ序盤も序盤のため、プレイ時間は20~30分と短い。だが、凝ったグラフィックと多彩な反応の数々、幻想的な世界観と雰囲気で強烈な印象を残す内容に仕上げられている。ストーリー的にも今後、どうなるのか気になる箇所が多く、第2階層以降の追加とそこでどんな展開が繰り広げられるのかが興味深い限りだ。この見た目に惹かれた人はもちろん、アドベンチャーゲーム好きも一度でもいいので体験いただきたい注目作である。
[基本情報]
タイトル:『ウィルと黄昏の旅 Twilight journey to find someone』
作者:渦女屋本舗
クリア時間:20~30分
対応プラットフォーム:Windows
価格:無料
ダウンロードはこちら
※ふりーむ!
https://www.freem.ne.jp/win/game/27986
※BOOTH(要:pixiv ID)
https://booth.pm/ja/items/3753147