シュールな居合フリゲアクション『iai』 「100人斬り」の先に待つのは…

アクション,フリーゲーム

日々多くの作品が生まれるフリーゲーム。現在ではホラー・アドベンチャーの人気が根強いものとなっているが、公開される作品の中には、ユーモラスでシュールなノリが魅力的となる独特な作品も存在している。

そこで今回は、刀の「居合」をテーマとした、そのストイックかつシュールな世界観が魅力のアクションフリーゲームを紹介する。本作は、登場人物たちのどこか気の抜けた会話が笑いを誘う、1プレイ5分~10分程度の短時間で気軽にあそべる作品となっている。ホイール付きマウス1つで操作が可能というお手軽さもポイントだ。さっそく紹介しよう。

どことなくゆるい雰囲気の中で「100人切斬り」を目指そう

ゲームを起動すると、刀を持った浪人2人が描かれた白黒イラストという、まるで和風映画のようなタイトル画面が現れる。この段階では硬い印象を受けるかもしれないが、まずは簡単な操作方法を見てから本編を開始してみよう。

フリーゲーム iai
「敵」は斬り、「魂」は斬れないので成仏させるという、とても簡単なルールだ

ゲームシステムとしては、居合抜きで敵を攻撃し、刀を鞘に納め、ふたたび斬る。といったように、襲い来る敵を一人一人迎え撃つというもの。敵には人間だけでなく、人間を倒した後に幽霊となって襲い来る敵や、遠くから放たれる矢の存在がある。これらをそれぞれ撃退することでゲームを進めていく。

戦いの中で交わされる主人公たち2人の掛け合いで、物語の背景のような内容なども語られる。……が、どうにも気の抜けたやりとりも多く、思わず笑ってしまうものもある。モノクロのゲーム画面も合わさり、世界観としてはストイックな印象を受けつつも、空気感自体はゆるい側面があるのもも魅力の1つだ。

フリーゲーム iai
せまる敵を次々と切り伏せていこう
 
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10人斬りを行うたびに、気の抜けた掛け合いが見れる
 
登場する敵のうち、人間は刀で切ることができる。マウスの右クリックで刀による攻撃を行うことができ、敵を一撃で倒すことができる。一度抜いた刀は、鞘に戻さなければ再度攻撃することができない。左クリックで鞘に戻し、もう一度右クリックをすることで再び居合ができる。この動きを繰り返して攻撃していこう。
 
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納刀と抜刀を繰り返すことで敵を倒す
 
人間は、倒すと幽霊となり襲い掛かってくることがある。その場合は刀では斬り殺せないので、マウスホイールをクリックして「合掌」することで成仏させることができる。これにより幽霊を倒せるのだ。

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幽霊となった敵は「合掌」して成仏させよう
 
戦いを繰り返しているうちに、遠くから「矢」が飛んでくることもある。その場合はマウスホイールを上に回すことで「鞘受」することができ、矢をガードすることができる。連続して矢が飛んでくることもあるので、タイミングを見て、マウスホイールを下に回して鞘のガードを解除しよう。ガード中はほかの行動を何も出来なくなってしまうので、注意が必要だ。
 
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「矢」は連続して放たれることもある。タイミングに注意だ
 

シュールなやりとりと、そして先に待つもの

このゲームで物語といえる要素は、敵との戦いの中で交わされていく二人のシュールな掛け合いくらいだ。「100人斬り」というシリアスに思える目的がありながらも、話の内容はそれとは真逆。ゲームを進めていくうちにプレイヤーも次第に不思議な気持ちになっていくことうけあいだ。

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戦いの最中とは思えないほどの、のほほん具合
 
そう、こういった全体的にカジュアルに楽しめるゲームだからこそ、筆者は本作のとある部分に、意表を突かれたのだ。そこではゲームならではの物語り方とも言える演出を、少しだけ味わうことができたように感じる。簡単な操作で、かつ短時間で手軽に遊べる作品となっているので、ぜひ「100人斬り」まで遊んでみてはいかがだろうか。

[基本情報]
タイトル:『iai』
制作者:any
クリア時間:1プレイ5分~10分程度
対応OS:Windows
価格:無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/12145

  • poroLogue(@poroLogue

    もぐらゲームス編集長。大学在学中にフリーゲームをテーマとした論文を執筆。日本デジタルゲーム学会・若手発表会にて「語りとしてのビデオゲーム(Videogame as Narrative)」を発表。NHKのゲーム紹介コーナーへの作品推薦、株式会社KADOKAWA主催のニコニコ自作ゲームフェス協賛企業賞「窓の杜賞」の選考委員として参加、週刊ファミ通誌のインディーゲームコーナーの作品選出、株式会社インプレス・窓の杜「週末ゲーム」にて連載など。

    フリーゲーム作者さんへのインタビュー・レビューなど多数。フリーゲーム歴は10年半ばほど。思い出に残っているゲームは『SeraphicBlue』『Berwick Saga』。