そこは小規模ゲームの宝石箱。ゲーム販売サイト『itch.io』とは

インディーゲーム

皆さんは「itch.io」というサイトをご存じだろうか。もし良く知っておられるならこの記事は読む必要はありません。記事の下の方にitch.ioで遊べるオススメゲームを紹介しているので見ていってくださいな。

itch.ioをよく知らないというそこの方! インディーゲームに興味があるなら新たなゲームとの出会いがそこで待っています。あるいはゲーム製作に興味がある方。itch.ioの存在を覚えておいて損はないはずです。ぜひ本記事をお読みくだされ。

itch.ioとは

itch.ioは、インディーゲームを中心とした「ゲームの販売サイト」だ。製作者がゲームを登録し、値段を付けて販売(あるいは無料で配布)することができる場のひとつだ。
 
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ゲームの販売サイトといえば「Steam」や「PLAYISM」などが代表的だろう。しかし、PLAYISMは製作したゲームを販売してもらう際に審査が必要で、Steamは新制度により誰でも販売することが可能となったものの、手続きが複雑で事前にお金がかかる。このため小規模ゲーム製作者にとっては少々ハードルが高い。筆者も個人で小規模ゲームを製作しているが、このどちらでもゲームを販売することはできなかった。

しかし、itch.ioでは販売することができた。なぜならitch.ioはゲームを有料販売できる場でありながら、審査やお金などが不要で、誰でも気軽にゲームを登録できる仕組みとなっているからだ。筆者のような小規模ゲーム製作者にとっては非常にありがたい場だ。他の製作者にとってもそれは同様のようで、小粒かつ意欲的な作品が数多く集まっている場でもある。ユニークなゲームを遊びたいプレイヤー達にとっても魅力的な場でもあると言える。

ゲームの価格をユーザーが自由に決められる

itch.ioの最大の特徴は、ゲームの価格をユーザーが自由に決められるPWYW(Pay What You Want)方式が採用されている点だ。例えば製作者がゲームを登録する際に「最低価格:0ドル」と設定した場合、そのゲームは無料でもダウンロードできるが、お金を支払って購入することも可能となる
 
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↑ダウンロード時に購入金額を入力する画面がある。

「無料なのにわざわざお金を払う人がいるの?」と疑問に思うかもしれないが、結論から言えば、いる。

この場で支払ったお金は製作者に直接届く。製作者はそれによってモチベーションが高まり、次の作品を作るための資金にもできる。だから次の作品が作られる可能性が高まるし、作品がより良くなる可能性も高まる。結果的にユーザーはより魅力的なゲームが楽しめる。このことを理解してくれているユーザーが一定数いるからなのだと私は考えている。

実際、筆者が公開している作品でも、最低価格に上乗せして買ってくれる人がいる。「最低価格:0ドル」で公開した作品も数パーセントの人がお金を支払ってくれているし、「最低価格:2.8ドル」に設定した作品は4割以上の人が最低額を超えてお金を支払ってくれた。(中には10ドル以上支払ってくれる人もいた!)
 
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↑最低価格0ドル以上で公開している作品の売上げデータだ。最初に提示される額が1ドルであるためその通りの金額で購入してくれる人もいるし、そこにさらに上乗せしてくれている人もいる。

PWYW方式は、筆者にとって2つの利点があった。1つはまず「責任が重くならない」という点だ。最低価格を「0ドル以上」にして無料でも遊べるようにすれば、有料販売特有の責任と不安感を避けることができ、その上で少額だが収入を得ることができる。

2つ目の利点は「純粋に嬉しい」という点だ。固定額の場合と違い、PWYW方式の場合はユーザーが自らの意思で金額を上乗せしている。それはつまり「作品に価値を感じてくれた」という事を意味するからだ。製作者としてこんなに嬉しい事はないだろう。

英語サイトであるため、小規模ゲームを海外プレイヤーにゲームを遊んでもらいたい場合は最適な場だろう。(日本人ユーザーについては、この記事によって増えることを願いたい) ゲーム製作している方、ゲーム製作に興味がある方は、itch.ioでの作品公開を検討してみてはいかがだろうか。

インディーゲーマーにとっても魅力的な場

itch.ioは純粋に「ゲームが遊びたい」というインディーゲーマーな人にとっても魅力的な場だ。最大の特徴は「ゲームとの出会い」がとてもやりやすい場となっている、という点だ。

itch.ioにはSteamでは配信されないような小規模ゲームや、ユニークな実験的作品が山のようにある。また、itch.ioにはゲームジャム(短期間でゲームを製作するイベント)を開催するための機能があるため、ゲームジャムによって生まれたユニークな作品もこの場に沢山登録されている。多くの作品は小規模かつ無料で、短い時間で遊び尽くせるタイトルも多く、気軽に起動できるのも利点といえるだろう。

また、作品との出会いも非常に便利になっている。多くのゲームはgifアニメによって事前に内容が分かるように掲載されている事が多く、サムネイルの段階でゲーム内容がイメージできるようになっているタイトルも多い。また、公式で配布されている専用のクライアントソフトを使用すれば「ダウンロード」「起動」「アンインストール」がそれぞれワンクリックでできるようになる。条件を設定して、それに合致するゲームがランダムで提示されていく「Random Game」機能も、新しいゲームとの出会いを促進してくれる。
 
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↑クライアントソフトの画面だ。自分のお気に入りのゲームが並ぶのも純粋に嬉しい
 
このように、itch.ioはゲームを見つけて起動するまでがとてもスムーズにできるようになっているのだ。ダウンロードそして起動、合わなかったらすぐに消す、ハマったらサッとクリアする、とテンポ良くやっていく感覚は、一度体験するとやみつきになるはずだ。itch.io全体のサイクルがある種のゲームなのではないか、とも思えるような心地よさがある。

よく、Steamのことを「ゲームを詰むゲーム」などと揶揄されることがあるが、itch.ioは「ゲームの山を掘り進むゲーム」と言えるかもしれない。

登録方法と簡単な使い方

ここまで読んで興味を持った方のために、登録方法と簡単な使い方を解説しておこう。

…といっても、まったく難しいことはない。最低限使うだけなら登録も不要だ。itch.ioのトップページにアクセスすればオススメのゲームが並んでいるので、そこから気になるゲームを見つけるだけだ。カテゴリやキーワード検索もできる。
 
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1.トップページだ。右側にずらっと並んでいるのが配信中オススメタイトルだ。マウスポインタを合わせると簡単な説明が見れる。左側の項目から条件を指定してゲームを探すこともできる。
 
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2.ゲームを選ぶと作品紹介ページに飛ぶ。ゲームを遊んでみたい場合は「Download Now」ボタンを押す。
 
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3.支払い金額を決める画面。最低価格0ドルからのタイトルの場合、「No thanks, just take me to the downloads」のリンクをクリックすることで無料でダウンロードすることができる。(もちろんお金を払ってもOK)
 
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4.使っているOSに合わせたダウンロードボタンを押せばダウンロードが始まる。あとは楽しむだけだ。
 
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5.より便利に活用したいのであれば、「Get app」をクリックしてクライアントソフトを使うのがオススメだ。ゲームの入手と管理が格段に便利になる。

それでは素敵なitchライフを!

付録:itch.ioでダウンロードできるオススメタイトル

itch.ioでダウンロードできるゲームの中から、筆者が独断で選んだオススメゲームを紹介させて頂きたい。いずれも最低価格0ドルからで、15分程度で遊べるタイトルばかりなので気軽に遊んでいただきたい。

ウィンドウがゲームに影響を与える『windowframe』

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Windowsのウィンドウを活用してゲームを攻略するアクションゲーム。ウィンドウを固定したり、ドラッグしてウィンドウサイズを変えることでゲームを攻略する。説明だけで分かる通り、かなり斬新なゲームだ。

ダウンロードはこちら:
https://managore.itch.io/windowframe

バグったキャラがバグった世界を探索する『GlitchDungeon』

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バグによって壊れている世界を探索していくパズルアクション。主人公自身も「落下フラグがおかしくなる」「当たり判定がなくなる」などバグを纏うことで攻略していく。カオスな見た目に反してかなり丁寧な作り。バグっぽさも相当リアル。

プレイはこちらから:
https://cakeandturtles.itch.io/glitch-dungeon

倒した敵を生き返らせて仲間にできる『Right Click to Necromance』

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自軍を移動させて戦わせるだけのシンプルな戦争ゲーム。敵の集団を全員倒したら死体を生き返らせて仲間にできる。戦力の収支を考えながらどんどん味方を増やしていくのが楽しく、延々と遊べてしまう。

ダウンロードはこちら:
https://juicybeast.itch.io/right-click-to-necromance

盲目の侍が戦う『BlindBlade』

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何も見えない状況の中、音を頼りに敵の位置を推測しながら戦うアクションゲーム。敵が攻撃してくる直前に見えるので、そこをすかさず切り捨てる「見切り」感がとても渋い。

ダウンロードはこちら:
https://potionc.itch.io/blindblade

リズム×観察×ジャンケン『The Rock the Paper and the Scissors』

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相手がリズムに合わせてジャンケンの手を出してくるのでパターンを呼んで対応した手を出して敵を倒す。結構難しいが総合的な完成度が高い。ゲームの進行に合わせて音楽がシームレスに盛り上がっていく様は必聴。

ダウンロードはこちら:
https://toastygames.itch.io/the-rock-the-paper-and-the-scissors

  • ニカイドウレンジ(@R_Nikaido

    Twitterでゲームのこと語ってたら人生が変わった人。Twitterやってただけで文章力と思考力が身について、Twitterやってただけでライターやゲーム制作の仕事を頂きました。個人でゲームも作ってます。詳しいプロフィールや活動内容はプロフィールサイト